2019年5月
意思決定論の数学的背景を知りたいなら - 書評: 木下栄蔵『わかりやすい意思決定論入門』
木下栄蔵の『わかりやすい意思決定論入門』を読みました。 私はもともと多少はオペレーションズ・リサーチを勉強していたのですが、それでもこの本は「わかりやすい」とは言えませんでした。いろいろなツールが紹介されているものの、そのツールがどのようなものかということを説明する前に細かな数学的説明が始まり、しかも各変数の意味も順を追って詳しく説明されるわけではないので、初学者が読んでも全く意味がわからないと思います。 たとえば私はAHPをときどき実際に使用するので、AHPについての章は理解できました。しかし、何も知らない状態でこの本を読んで何かを得られたかというと、得られなかっただろうと思います。AHPの…
前職の後輩と食事をしました。部署が全く異なっており、退職する直前までほとんど交流もなかった後輩なのですが、何かきっかけがあったのか私のことを慕ってくれており、退職後に時々一緒に食事をするようになりました。話すことの大半はキャリアの相談なのですが、今回、働き方が話題になりました。 前職はフランス系の企業で、フランスをはじめとする海外のグループ企業との交流が頻繁にありました。私自身もしばらくフランスで仕事をしたことがあり、また、帰国後に働く中でも、色々な国の同僚達とともに仕事をしてきました。今回一緒に食事をした後輩は、先日2週間ほどヨーロッパに研修をしに行っていました。はじめてのヨーロッパでの2週…
台湾の歴史を手軽にしかし真剣に学ぶために - 書評: 胎中千鶴『あなたとともに知る台湾』
胎中千鶴の『あなたとともに知る台湾』を読みました。 少し時間は経ちましたが、この連休中に台湾に行きました。観光のためだけに海外に出かけるのは随分久しぶりのことでした。 せっかく台湾に行くのだからといくつか歴史関係の本を読んでみたのですが、この一冊はその中でも最も分かりやすく書かれていたものでした。語り口は軽妙なのですが、日本による侵略の時代から、中国復帰、そして中華民国としての曖昧な立ち位置に至る沈鬱な歴史を、正面からとらえて描いています。読みやすさと内容の真剣さとのバランスが、非常によくとれていると感じました。とりわけ、228事件の顛末については大変分かりやすく印象的に書かれており、台湾の歴…
世界の今を知る - 書評: ハンス・ロスリング『ファクトフルネス』
ハンス・ロスリングの『ファクトフルネス』を読みました。 私は一時期国際協力に興味があり、いろいろと勉強していました。この本には世界の今の姿をどのくらい正確に理解しているかというテストがあって、著者が出題した限りでは、全問正解した人はいなかったそうです。私も12問のうち、正解は9問でした。平均的には正答率は1-2割程度のようで、それに比べればよくできたのでしょうが、一見して「当然知っているべき」と思えるような問題ばかりで、それを知らないでいる(正答が多かったのも知っていたからではなく、考えて答えてたまたま合っていただけです)ということを、恥ずかしく思いました。 世界はよくなっているというのが主要…
2019年5月
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