like a fate ❤be reunited with❤
一泊の旅行の準備をして来てください、とメールが入る。 LAXを発つ前に送られたメールだった。 「断られることを想定してないのね...。 迷ってもしょうがないし、神様の話は長そうだし、一泊してみるか。」 和織は一泊する準備を整え、空港へと向かった。 到着ロビーに着くと、Flight Infomationで到着時間を確認した。 「Delayかぁ...」 和織は鞄から本を取り出し、到着ロビーにある椅子に腰かけた。 半分程読み進んだところで声を掛けられた。 「お元気でしたか?」 見上げると老紳士が、柔らかな笑みで立っていた。 「着いたら電話してくださればよかったのに。 すぐに私が判りましたか?」 「す…
「どうして連絡くれないの?」 「どうして電話に出てくれないの?」 「そんなに私が嫌なの?」 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 「私の何が嫌なの?」 「キチガイか....」 黒田はスマートフォンを見ながら吐き捨てるように言った。 どうして女はこうも連絡を欲しがる? 仕事やなんだかんだで、そう気遣ってられないし、かまってなんてやれない... 所謂、既読無視。 黒田は彼女に返信をしようとしなかった。 黒田は馴染みのワインバーの扉を開けた。 「いらっしゃいませ。」 「和織さん、接待帰りなんだ。 ちょっとだけつまんで飲みたい。」 和織はカウンター越しから黒田に顔を近づけ言った。 「黒田さん、ものすごく顔が険し…
少しづつ暖かくなっていく。 散歩でもしようかと、栞は薄手のカーティガンを手に取った。 オオイヌノフグリやタンポポが道端を飾っている。 花たちが、寒かった冬がようやく終わることを告げていた。 公園の一角に大きな白木蓮の樹があった。 百合のような花を咲かせるこの花木が、栞はあまり好きではなかった。 白木蓮を見ると思い出してしまう歌。 つい口ずさんでしまう歌。 「逢いたくて逢いたくて この胸のささやきが あなたを探している あなたを呼んでいる…」 ”木蓮の涙より” 木蓮は紅紫色の花だが、この歌には白木蓮が似合うと栞は思った。 「ねぇ、私はもうあなたより歳上なのよ…」 栞にはもう二度と逢えない、逢いた…
オフィスはいつも乾燥していた。 PCが何台も稼働しているし、空調はCPUの為に動きっぱなしだからだ。 「大丈夫か?」 背後から上司の塚田が声を掛けた。 ずっと咳が止まらない里香を心配していた。 「アレルギーで喉が炎症を起こしているだけです。 ご心配くださって、ありがとうございます。」 里香は軽く会釈してお礼を言った。 里香は給湯室に向かい、my cupにお湯を注いだ。 白湯を飲むと喉が温められて少し楽になる。 里香は中国人の友人に白湯を飲むといいと教えられてから、白湯をよく飲むようになった。 白湯を飲むようになってからは冷え性が改善されたが、アレルギーが治るという効果はなかった。 デスクに戻り…
「離婚したいと妻に言われたんです。」 男性客はとても疲れている様子だった。 この男は、ちょっと変わった性癖を持っていた。 それを妻には話せず、ずっと結婚生活を続けてきた。 ある日、男は自分の性癖を満たしてくれる女性と出会ってしまった。 SNSで同じ性癖を持つ集まりを見つけたのだ。 そして肉体関係を持った... 「奥様にどうして知られたんですか?」 和織が尋ねた。 「出掛ける後ろ姿が、とても楽しそうに見えて、 変化が直ぐに分かったと言っていました。」 朝から何か楽しそうで、出掛ける足取りがいやに軽やかに見えた時、その男性の妻は女が出来たのだ、今日は女と会う日なのだと 直観したのだそうだ。 女の勘…
like a fate ❤personal history❤
❤︎ continuation from last time... 老紳士はアメリカに住んでいて、仕事で日本に来ていた。 明日帰るからと、連絡先の名刺を差し出された。 和織は少し戸惑いながら、名刺を受け取った。 「あなたの連絡先は教えてもらえないのですか?」 和織はメモを取り出し、自分の携帯の番号とメールアドレスを書き込んだ。 後日、老紳士からメールが届いた。 件名に「わたしの履歴書」と書かれていた。 「お見合いみたい。」 そう和織は思って笑った。 メールを開くと、長い彼の履歴が綴られていた。 琵琶湖の近くに生まれた彼は、とってもわんぱくで母親と神父様を困らせる子供だったこと。 そして東京の大…
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