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2019/02/07

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  • keep in my mind…

    「初めて抱いてくれた時のこと覚えていますか?」 女は男の顔を覗き込みながら訊いた。 「七年、八年も前のことだぞ。 覚えていない。」 少し膨れながら女は言った。 「男の人って忘れちゃうものなんですね」と… 行きつけのwine barの扉を開く。 「いらっしゃいませ」 sommeliere のいつもの笑顔がそこにあった。 「何になさいますか?」 という彼女の問いに、注文するより先に訊きたいと思っていたことを切り出した。 「女性って何年も前の… その… 好きだった男性とのことを覚えているもの?」 「えっ?!」 彼女は少し驚いたあと、少し考えて答えた。 「そうですね… どんな会話をしたとか、彼の香りだ…

  • The same selection

    私は小さなワインバーを営んでいて、あのひとは時々みえるお客様。 どういう経緯でかは覚えていないけれど、オフの日に一緒に食事をする約束をした。 お店の予約はあのひとがしてくれて、互いに一本ワインを持ち寄ることになった。 自宅のワインセラーを覗きながら、どのワインにするか迷っていた。 今まであのひとと話した記憶を辿っていた。 あのひとはスパークリングワインが好き。 あの人は空を見るのが好きで、星空がとても好き。 「やっぱりシャンパーニュにしよぅ!!」 シャンパーニュ地方ではシャンパーニュに溶け込む無数の泡を星に見立てて、星を飲むという表現をするという。 「星空を閉じ込めたシャンパーニュかぁ… 綺麗…

  • like a fate

    休日、ホテルのラウンジでお茶をしながら読書、それが彼女にとっての贅沢な過ごし方。 人を見ているのが好きで、おしゃべりが苦手。 彼女...和織はそんな女性だった。 和織はカフェインが飲めない。 少々カフェインのアレルギーがある。 フレッシュミントのハーブティーを飲みながら、読みかけの本を開いた。 人の気配に本から視線を外し、ゆっくり顔を上げた。 和織の前に老紳士が立っていた。 「神様はあなたに会いに来てくれましたか?」 老紳士は柔らかな笑顔を和織に向けた。 宗教の勧誘か?! と驚いていると、老紳士は和織の首に掛かるロザリオを指さした。 和織はカソリック、クリスチャンだった。 首に掛けたロザリオを…

  • If we hadn't met … ♥ prologue ♥

    今朝の私はどうかしていた。 イライラがMAXで一人で深酒していた。 いつ店を出たのか、それからどうしたのか、何も覚えていなかった。 覚えていたのは誰かと会話をしていたこと。 誰かとは男性だった。 私が目覚めた時にはその男性はいなくて。 私はホテルのダブルベッドの上に一人で居た。 私は何も着てはいなかった。 何故なのかは容易に想像がついた。 そういえば男性は携帯の番号を交換しようと言っていた気がする。 アドレスを開くと見慣れない名前を見つけた。 「岳」 番号を交換する時、「名前は?」と訊かれたことを思い出した。 「あなたは?」と返すと、男性は「ガク」と答えた。 「山岳のガク?」という私の問いに、…

  • like a fate ❤be reunited with❤

    一泊の旅行の準備をして来てください、とメールが入る。 LAXを発つ前に送られたメールだった。 「断られることを想定してないのね...。 迷ってもしょうがないし、神様の話は長そうだし、一泊してみるか。」 和織は一泊する準備を整え、空港へと向かった。 到着ロビーに着くと、Flight Infomationで到着時間を確認した。 「Delayかぁ...」 和織は鞄から本を取り出し、到着ロビーにある椅子に腰かけた。 半分程読み進んだところで声を掛けられた。 「お元気でしたか?」 見上げると老紳士が、柔らかな笑みで立っていた。 「着いたら電話してくださればよかったのに。 すぐに私が判りましたか?」 「す…

  • different views

    「どうして連絡くれないの?」 「どうして電話に出てくれないの?」 「そんなに私が嫌なの?」 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 「私の何が嫌なの?」 「キチガイか....」 黒田はスマートフォンを見ながら吐き捨てるように言った。 どうして女はこうも連絡を欲しがる? 仕事やなんだかんだで、そう気遣ってられないし、かまってなんてやれない... 所謂、既読無視。 黒田は彼女に返信をしようとしなかった。 黒田は馴染みのワインバーの扉を開けた。 「いらっしゃいませ。」 「和織さん、接待帰りなんだ。 ちょっとだけつまんで飲みたい。」 和織はカウンター越しから黒田に顔を近づけ言った。 「黒田さん、ものすごく顔が険し…

  • If I had one wish…

    少しづつ暖かくなっていく。 散歩でもしようかと、栞は薄手のカーティガンを手に取った。 オオイヌノフグリやタンポポが道端を飾っている。 花たちが、寒かった冬がようやく終わることを告げていた。 公園の一角に大きな白木蓮の樹があった。 百合のような花を咲かせるこの花木が、栞はあまり好きではなかった。 白木蓮を見ると思い出してしまう歌。 つい口ずさんでしまう歌。 「逢いたくて逢いたくて この胸のささやきが あなたを探している あなたを呼んでいる…」 ”木蓮の涙より” 木蓮は紅紫色の花だが、この歌には白木蓮が似合うと栞は思った。 「ねぇ、私はもうあなたより歳上なのよ…」 栞にはもう二度と逢えない、逢いた…

  • Love in the air

    オフィスはいつも乾燥していた。 PCが何台も稼働しているし、空調はCPUの為に動きっぱなしだからだ。 「大丈夫か?」 背後から上司の塚田が声を掛けた。 ずっと咳が止まらない里香を心配していた。 「アレルギーで喉が炎症を起こしているだけです。 ご心配くださって、ありがとうございます。」 里香は軽く会釈してお礼を言った。 里香は給湯室に向かい、my cupにお湯を注いだ。 白湯を飲むと喉が温められて少し楽になる。 里香は中国人の友人に白湯を飲むといいと教えられてから、白湯をよく飲むようになった。 白湯を飲むようになってからは冷え性が改善されたが、アレルギーが治るという効果はなかった。 デスクに戻り…

  • The judge

    「離婚したいと妻に言われたんです。」 男性客はとても疲れている様子だった。 この男は、ちょっと変わった性癖を持っていた。 それを妻には話せず、ずっと結婚生活を続けてきた。 ある日、男は自分の性癖を満たしてくれる女性と出会ってしまった。 SNSで同じ性癖を持つ集まりを見つけたのだ。 そして肉体関係を持った... 「奥様にどうして知られたんですか?」 和織が尋ねた。 「出掛ける後ろ姿が、とても楽しそうに見えて、 変化が直ぐに分かったと言っていました。」 朝から何か楽しそうで、出掛ける足取りがいやに軽やかに見えた時、その男性の妻は女が出来たのだ、今日は女と会う日なのだと 直観したのだそうだ。 女の勘…

  • like a fate ❤personal history❤

    ❤︎ continuation from last time... 老紳士はアメリカに住んでいて、仕事で日本に来ていた。 明日帰るからと、連絡先の名刺を差し出された。 和織は少し戸惑いながら、名刺を受け取った。 「あなたの連絡先は教えてもらえないのですか?」 和織はメモを取り出し、自分の携帯の番号とメールアドレスを書き込んだ。 後日、老紳士からメールが届いた。 件名に「わたしの履歴書」と書かれていた。 「お見合いみたい。」 そう和織は思って笑った。 メールを開くと、長い彼の履歴が綴られていた。 琵琶湖の近くに生まれた彼は、とってもわんぱくで母親と神父様を困らせる子供だったこと。 そして東京の大…

  • Unnecessary

    「和織さん、今晩和。」 「いらっしゃい裕ちゃん。 こんな遅い時間に来るなんて珍しいねぇ!!」 裕はこの店の常連で、和織はこの店のソムリエールだ。 「和織さん... 私、今さっき男を捨ててきた。」 「ぇええええ。」 「ちょっと酔い醒ます?」 和織は冷たい水をグラスに注ぎ、裕へと差し出した。 「彼に女がいたの。それも三人...」 「三人も必要だったのね。」 和織は苦笑いするしかなかった。 「私の彼ね、20代から30代女性向けのファッションブランドのバイヤーなの。 月の半分以上は中国に行ってる。帰国しても出張多くて。」 裕は落ち着こうとグラスの水を口にした。 「今日ね、久しぶりのデートだったんだけど…

  • petrichor

    郵便局にパンフレットなどの送付の為に外出する。 外に出てみると雨が降っていた。 オフィスはブラインドが降りていたので、雨が降り出していることに気が付かなかった。 「傘を取りに戻らなきゃ...」 エレベーターに逆戻り。 溜息をついているとエレベーターのドアが開いた。 「どうした?」 降りてきた上司に声を掛けられる。 「雨が降っていたので傘を取りに戻るところです。」 彼は外をちらっと見て言った。 「小雨だな... 郵便局まで行くんだよな?!」 「そうです。」 彼は笑顔で言った。 「ご一緒しませんか?」 と... 促されるまま、彼の隣を歩いていた。彼の傘に入りながら。 上司といっても他部署で、少しだ…

  • volatile girl-in love

    「来週は逢える?」 「来週逢おうね。」 だけど... 彼からの具体的な日取りの連絡はない。 「今週は逢えないの?」 「ごめんね。バタバタと予定が入ってしまって、今週逢うのは無理なんだ...。」 それって言ってくれてもいいことなのでは? 彼はいつもそうだ。 人は言葉で嘘をつき、行動で嘘がつけない。 逢いたいなんて思っていないんじゃないかと不安になる。 「こんばんわ~」 ひとりぼっちの夜が嫌で、いつも行くワインバーのドアを開けた。 「いらっしゃいませ」 いつものように優しい笑顔を向けてくれるソムリエール。 「彼が忙しくて逢えなくなっちゃったの...」 「彼氏さんはお仕事忙しいのね」 「なんだか私、…

  • The same selection

    私は小さなワインバーで働いていて、あのひとは時々みえるお客様。 どういう経緯でかは覚えていないけれど、オフの日に一緒に食事をする約束をした。 お店の予約はあのひとがしてくれて、互いに一本ワインを持ち寄ることになった。 自宅のワインセラーを覗きながら、どのワインにするか迷っていた。 迷って困ってではなく、迷って楽しい♪ 今まであのひとと話した記憶を、必死で辿っていた。 あのひとがいつも飲むワインはどんなだった? どんなワインが好きだって言ってた? 確か...もうすぐ誕生日だったんじゃなかった...?! 誕生日なら泡がいい。 待ち合わせ前にワインショップに寄ることにした。 誕生日なのだからシャンパ…

  • In wine there is truth...

    静かな通りに ひっそりと その waine bar はあります そこには女性ソムリエがいて 戀する老若男女が集っています そしてその女性ソムリエもまた いつも戀しています 樽から瓶詰されたワイン一本一本は 誰の元に向かうか決まっています 人とワインの出逢いという運命 運命に導かれ 今、あなたのグラスに注がれる ワインの中には 真実の人生と戀が溶け込んでいます

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