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僕は家に帰ってきてからも何もやる気が起きなくて、ただ布団にくるまってぼうっとしていた。そうしていたらなんだか下の階が騒がしくなって、ユノが来たんだと分かった。母はユノのことが大好きだから、久しぶりだってはしゃいでいるのだろう。声は聞こえるけれど、何を話しているかまでは分からない。変なこと言ってなければいいけど…。会いたいけど、会いたくない…。しばらくして規則正しいリズムで階段を上る音が聞こえて、それ...
ころころ変わるチャンミンの表情が見たくて、昔はよく俺がチャンミンの手を引いて色んなところに遊びに行ったんだっけ。久しぶり、なんて言葉じゃ足りないくらい随分昔になってしまったけれど、幼い頃の記憶のまま、チャンミンの手はやっぱり俺より一回りくらい小さくて…愛しいと思うのには充分すぎるくらい。帰り道はお互いに何も話さなかったけれど、それでも握ったチャンミンの手の熱が心地良くて、離れていた約10年間のうちの...
自分勝手に僕を振り回すユノの態度に腹が立つけれど、結局そんなユノの言うことを聞いてしまう自分にも腹が立つ。「はあ…やっぱり待ってる」さっきユノと別れた場所から少し離れた電柱の影に隠れるようにして、僕はユノの様子を伺っていた。ユノは金髪だから、すぐに見つかる。そうじゃなくても、背が高くて格好いいユノはどこに居たって目立つのだけれど。…今ここで僕が出て行ったら、僕たちは一緒に帰るのだろうか。待ってるから...
「チャンミン、良かったよ!お客様からも初々しい感じが逆に良いって好評だった」「はは…」ヒチョルさんからサムズアップをもらい、他のスタッフからもこれからはホールをやればいいのに、なんて言われたけれどちっとも嬉しくない。料理の名前は全部覚えているから料理を運ぶのは問題なかったし、ホールの仕事はうろ覚えだったけれどそこそこ出来ていたと思う。でも、コスプレをしている以上そのキャラに成り切らなくてはいけない...
「チャンミン、お願い!」「むっ、無理ですって!」僕とさっきから押し問答を繰り広げているのは、バイト先の店長のヒチョルさん。僕の父の友人で、コスプレ喫茶を営んでいる。父より何歳か年下で30代半ばのはずなのに、とてもそうには見えない綺麗な人。けれど、ちょっぴり性格が変わっていて、結構な頻度で突拍子のないことをしたり無茶振りをしてくる。春休み中に人手が足りないと言われ手伝いに行ったのがきっかけで、それから...
「おい、何か言えって」「怖くて何も言えねえんじゃん?」「チャンミンくーん、聞こえてますかー?」穏やかな昼下がりに似つかわしくない耳障りな声。中庭で美味しいお弁当を食べて良い気分になっていたのに、教室に戻ろうとしたらいつも何かと僕に絡んでくる3人組に掴まってしまった。殴られたり…はしたことがないけれど、僕の姿を見つけては好き勝手に暴言を吐いて、満足すると去って行く。よくもまあ毎回毎回、飽きないものだ...
恋愛経験なんて無いに等しい僕。恋をしたことがないわけではない、と思う。けれど遠い昔すぎてそのときどんな気持ちだったかなんて思い出せないし…いつも好きになるのはクラスのマドンナ的な存在の女の子だったから、本当にその子のことを好きだったかどうかも今となっては分からない。ただ周りに流されて、好きだと錯覚していただけのような気もする。そう考えれば…僕は本気で人を好きになったことがないのかも知れない。好きにな...
「チャンミン、先にご飯食べる?お腹空いてるだろ?」「はい。チョンさんもお腹空いてますか?」「俺は起きてからパンを食べたから、まだそんなに…スイーツでも食べようかな」ユノさんと一緒にやってきた商業施設は、この間テレビで特集をやっていたし土曜日ということもあって、多くの人で賑わっていた。2人でレストランフロアに向かい、ショーケースを見ながら歩く。今人気のお店を集めただけあって、どれも美味しそうで目移りし...
チョンさんの家に住み込みで働くようになってから、もうすぐ一週間が過ぎようとしている。特に問題もなく仕事を行なえているし、チョンさんとの関係も良好だと思う。前の家政婦さんが一週間で辞めさせられているから、僕も急に解雇されたらどうしようと思っていたけれど…その心配もなさそう。そして今日は僕の初めてのお休み。希望を出せばその日を休みにしてくれるらしいけれど、基本的には土日休み。昨夜ご飯を食べている時、チ...
目が覚めると隣で寝ていたはずのチャンミンがいなくなっていた。…もう部屋に戻っちゃったのかな?枕元に置いた携帯を見ればいつもアラームをセットしている時間の30分くらい前。もう1度寝れるくらい時間に余裕があるけど頭もすっきりしているし、たまには早く起きようかな、なんて起き上がってベッドに腰掛ける。「あ、ヒョン起きました?」、パタパタと足音が聞こえたと思ったら「おはようございます」とチャンミンが部屋に入っ...
俺が貸したTシャツは細いチャンミンには少し大きいのか、俺が着たときより横幅がぶかぶかしているような気がする。ウエストがちょっと緩いなんて言ってハーフパンツのヒモをぎゅうっと引っ張って結んでいるチャンミン。この感じ…これがいわゆる彼シャツとかそういう感じのアレ…なのか?俺、チャンミンの彼氏じゃないけど。そもそもお互い男だし。でも、シャワーを浴びて来たからかほんのり上気してる頰とか、細くてすらっと伸びた...
なんとかあいつを仕留めて部屋に戻れば、クッションを抱きしめながらベッドの上に座っているチャンミン。「やりました?」「うん」「手、洗いました?」首を横に振ればチャンミンが目を細めたから、俺は微妙な気持ちになってキッチンで手を洗った。「ねえユノヒョン」トコトコと隣にチャンミンがやってきて、タオルで手を拭いている俺の隣に立った。「今日泊っちゃだめですか」「はっ?」思わず手を止めてチャンミンを見る。「だっ...
隣のチャンミンの部屋からバタバタと音が聞こえたと思ったら、突然壁を叩かれるから思わず肩がびくりと震えた。壁が叩かれた回数は2回。つまり、チャンミンが俺の部屋に行ってもいいか聞いているということで。普段俺がチャンミンの部屋に行くことが圧倒的に多いから、チャンミンが俺の部屋に来ることは滅多にない。そもそもさっき2人でご飯を食べ終えて俺は部屋に戻ってきたし、それからわざわざ部屋に来るような用事があるのも...
「…俺、何かしちゃったかな」俯くチャンミンを覗き込むように見ると、小さく首を横に振ったから少し安心した。でもこのままじゃ、きっとチャンミンは理由を話してはくれない。「さっきのスタッフの話、あれは…」さっき行ったときに俺の会計をしてくれた若い男性スタッフ。彼は昨日チャンミンが入り口を気にしていたと言っていて、もしそれが本当なら…。チャンミンが目線だけ上に寄越して首を傾げる。「昨日俺が行かなかったこと、...
- - - - -気が付けば拍手1万回行ってました(´⊙ω⊙`)いつもいつもありがとうございます…!!...
_ _ _ _ _(^ω^)...
いみn- - - - - 連絡しようと思ってたら相手から同じタイミングで連絡が来て「今ちょうど連絡しようとしてたの!」ってなるアレ的なやつです...
ご飯を食べ終わったらテレビを見るのが日課。大体いつも同じ時間になるから、決まった番組を見ることが多い。この時間はドラマ。最近新しく始まったやつで、キャストも結構豪華で面白い。チャンミンも好きで、続きが気になると先週2人で盛り上がったのだった。「チャンミン、ドラマ始まるよー」隣に座るチャンミンに声をかけたのに返事はなくて。「…チャンミン?」前髪で隠れた顔を覗き込むようにすれば、今にも眠ってしまいそう...
コンビニまで戻ってきたものの、もう一度店内に入るのも気が引けて外に置いてあるベンチに座ってチャンミンを待つことにした。雑誌コーナーの目の前に設置されているベンチ。振り向けばガラスを隔てた棚の向こう側にレジが見えた。帰宅ラッシュの時間帯でスタッフが慌ただしく動いているようだけど、チャンミンの姿は確認できない。この時間に出勤しているということは仕事が終わるのは昨日と一緒くらいだろうし、それならそれまで...
- - - - -あとこれだけどうしても更新したかったやつ…!...
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サークルの奴らに誘われて、久しぶりの外食。楽しかったけれど、もし俺が普通に帰っていたらチャンミンが作る今日のご飯は何だったんだろう、なんてちょっぴり考えて。帰り道コンビニに寄ってアイスを買う。この間CMで宣伝していてチャンミンが美味しいそうって言っていた新商品のやつと、俺はいつも食べてる苺のやつ。あ、チャンミンに今から行っていいか連絡するの忘れた。まあいいや、と思ってアパートの階段を昇りチャンミンの...
『今日友達とご飯行ってくる』大学からの帰り道、ユノヒョンから来たカトク。つまり夜ご飯は作らなくていいよ、ということなのだろう。今日は僕1人か…。それならとスーパーに寄って食べたいものを買って、アパートに着くころには良い感じにお腹が空いていた。「ん、完璧」たっぷりの野菜と味玉も入れた大盛りのラーメン。激辛で、僕ほど辛いものが得意ではないユノヒョンといる時は絶対食べないやつ。わくわくしながら一口食べる...
大学から帰ってきて、サークルで今度踊るダンスの確認をしていたら、隣の部屋からドン、と1回壁を叩く音。チャンミンだ。壁を1回叩けば、部屋に来ないか。2回叩けば、部屋に行ってもいいか。わざわざ携帯で連絡を取るのも面倒だから、俺とチャンミンで決めた合図。返事の代わりに俺も1回壁を叩く。スウェットのままサンダルを履いて隣の部屋に向かえばすでに鍵を開けてくれていた。「お邪魔しまーす」入った瞬間ふんわりと漂う...
(注意)・連載というよりシリーズ・会話多め(かも)・小ネタ詰め込んでるだけ(設定)・アパートの部屋が隣同士・大学が同じ学科が違う⬇︎ ⬇︎ ⬇︎僕の住んでいるアパートのお隣さん。チョン・ユンホ。学科と学年こそ違えど偶然にも同じ大学に通うこのお隣さんを起こすのが僕の日課。部屋を出て鍵もちゃんとかけて、向かうは隣の部屋。ドアの前に立ち、チャイムを1回鳴らす。…10秒待っても応答なし。もう1回チャイムを鳴らす。今度...
花笑みのふたり。after storyの少し前です。遅くなりましたが4月6日、シムの日のお話です。ユノさんから6日は予定を入れないで、と言われたのはつい最近。ちょうど土曜日だから仕事も休みで、インドア派の僕にはこれと言った予定もなかった。お昼前に迎えに行くと言ったユノさんに頷いて、どこに行くのかは分からないけれどとりあえずそれなりに身なりを整えて待っていたのだけれど。玄関の扉を開けるなり視界に入ったのはユノさん...
チャンミンに早く会いたい。昨日のチャンミンの様子が気になって、仕事中もチャンミンのことばかり考えてしまう。昨日のあの態度…本当に俺とテミンに気を遣っただけならいいのだけれど、それにしたってなんだか余所余所しくて…。チャンミンに避けられたようで、ショックだったんだ。以前より俺に対して砕けた話し方をするようになってきて、やっと最近距離が縮まったのかな、なんて思っていたのに。何か、チャンミンの気に触ること...
私にコメントを下さった方々、ビギイベ当日に時間が合えば会いに行ってやろうかな、と思っている方々へのご連絡です!⬇︎ ⬇︎ ⬇︎私のお誘いにコメントくださった方々、本当にありがとうございます…!ブログを開設してからまだ2ヶ月半ほどで、こういう風にお会いしませんか?とお誘いするのも初めてのことで緊張しております(>_...
ユノさんが来ない。入店音が聞こえるたびに入り口を気にして、何度も時計だって見てみるけれど、ユノさんは一向に姿を現さない。珍しいなんてものじゃない。ユノさんがこのコンビニに来るようになってから一ヶ月以上経つけれど、こんなこと初めてで。仕事が忙しくて来れないとか。それとも、体調を崩していて来れないとか…。色々理由を考えては見るけれど、結局ユノさんと僕はただのお客様と店員という関係なわけで、連絡先も知ら...
「休みの日にすみませんでした」「いや、いいよ。テミンも休みだったのにごめんな」申し訳なさそうに頭を下げるテミンに、何か食べに行くか?と聞けば勢いよく顔を上げる。その瞳が輝いていて、本当にこいつは素直だな、と苦笑い。「駅前のとんかつ屋さんがいいです!」「よし、じゃあ行こう」きゃっきゃとはしゃぐテミン。時刻は22時を少し過ぎたところ。今日は仕事が休みだったから、買い物に出掛けて夕ご飯をチャンミンのいるコ...
「ニヤニヤしないでください、気持ち悪い」今日、秘書のテミンから何回も言われている言葉。でも俺は今最高に気分が良いから、そんなことを言われたくらいでは傷付かない。変わらず表情を緩めたままの俺に、テミンはため息をついて書類出してきます、と社長室を後にした。デスクの上に並べたいちごオレとホイップがたっぷり乗ったいちごプリンを見るたび、目尻が下がって口元が緩んでしまうのを抑えることが出来ない。チャンミンが...
「ユノ、チャンミン、お疲れ様。明日も宜しくな」「ああ」背後から聞こえるユノヒョンの声にどきりとする。僕が初めてユノヒョンの誘いを断ってから、僕たちの関係は更にぎこちないものになってしまった。仕事中はそれとなく会話はするけれど、終われば会話などなくそのままそれぞれの家に帰る。今日だってそう。ユノヒョンはさっさとコートを着てスタジオを出て行ってしまった。その後ろ姿を見送って、僕はやっと張り詰めた緊張の...
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