※ランキングに参加していません
チャンミンが個人で番組収録に行ったあの日。共演した俳優にご飯に誘われたと言って、チャンミンは寝てしまったからそれ以上話を聞くことはできなかったけれど、多分その男からカトクが来ていて。…絶対、チャンミンのことを狙っている。一緒の仕事なら周りのスタッフや共演者にそれとなく牽制できるのに、個人の仕事となればそうもいかない。あの日以降、チャンミンがその男と会う時間なんて作れないようにするため、俺は以前より...
最近、ユノヒョンの様子がおかしい。僕に接する時の雰囲気が、少しだけ柔らかくなったような気がする。優しくしようと頑張っているような、そんな感じ。笑顔が増えたような気がするし、仕事の休憩中や待っている間、僕の側にいることが多い。身体を重ねるような関係になってからは、お互いになんだかぎこちなくて、昔のように接することは出来なくなっていたから。ただの気のせいかと思ったけれど、それが数日も続けばさすがに戸惑...
今日は僕個人のお仕事で、クイズ番組の収録。有名大学出身の俳優さんやモデルさんが集められて、チームを作り問題に答えてその点数を競うという、よくある内容の番組。チーム対抗戦と言えども和やかなムードで収録も終わり、僕は荷物を取りに一旦控え室に戻った。ユノヒョンはオフで、僕もこの収録が終われば今日はもう自由。ユノヒョンは僕のスケジュールを把握しているはずで、今までの経験上オフの日は大抵ユノヒョンに家に来な...
俺の、この世でたった一人のパートナー。だからこそチャンミンには誰よりも幸せになって欲しい。それが俺の幸せ。例え、その隣で笑うのが俺じゃない他の誰かだったとしても。俺に懐いて後ろをくっ付いて歩いていた高校生の頃のまだあどけない可愛い可愛いチャンミン。何かある度に甘えてくるのをしょうがないなあなんて笑って呆れたふりをしながら。年月を経て純粋な性格はそのままに美しくなっていくチャンミンを誰かに取られてし...
チャンミンにパーカーを貸してから、俺はずっとそわそわしていた。返すときに連絡をすると言っていたから、すぐに気が付けるように携帯をずっとジーンズの尻ポケットに入れていたし、無意識に携帯を触る時間が増えていた。それなのになかなか連絡は来なくて。 チャンミンはきっちりとした性格だから、洗濯をしてまだ乾いてないのかなとか、シャイだから連絡するのを迷ってるだけだとか…自分の都合の良いように考えて誤魔化してきた...
べたべた触らないで。僕のユノヒョンなのに。見つめる先にはユノヒョンと、ユノヒョンを取り囲むように座る女性ダンサーたち。その細い指がユノヒョンの肩や太腿に置かれていて、僕は苛々が募るばかり。ユノヒョンだって僕が嫉妬するのを分かっていて放っておいてるんだから、本当にタチが悪い。ユノヒョンにその気がなくたって、女の子たちは本気になっちゃうのに。新曲のMV撮影。2人とも30代になって、今までより大人の雰囲気の...
今日から家政婦として俺の家に来たシム・チャンミン。男のくせにやたら可愛らしい顔をしてる、というのが第一印象。まるで若い子に人気のアイドルのような、大きな瞳が印象的な顔立ち。事前に彼を家政婦として指名した父から、なんとなくどんな奴かは聞いていた。父も一度だけ家政婦を頼んだことがあるらしく、可愛くて気が利くいい子だったよ、と。それは女に対して使う言葉なのでは、と思ったけれどそっと心の中にしまっておいた...
野菜たっぷりのチゲに、ビビンバとサラダ。チョンさんの好みに合わせて、全体的に辛さは控えめ。それらをリビングのテーブルに並べて、僕が料理をしている間少しだけ仕事をすると言って部屋に篭ったチョンさんを呼びに行く。「チョンさん、ご飯出来ましたよ」控えめにノックをすれば、ああ、という返事のあとチョンさんはすぐに出てきた。「お、いい匂いがする」そう言って目を細めて笑うチョンさんに、少し嬉しくなる。「あれ、チ...
今日は彼女と付き合って1年目の記念日。彼女が以前から行ってみたいと言っていたレストランを、数ヶ月前から頑張って予約した。値段は少し高いけれど、これが恋人同士のお決まりの行事なのだから仕方ない。丁寧に巻かれた髪の毛、瞬きをするたびに音がしそうな睫毛、ほんのり桃色に染まった頰にぷっくりとした赤い唇。恋人としては申し分のない可愛さを持っている彼女だけれど、その全部が作り物であることを、俺は知っていた。彼...
初めて会った日の花が綻ぶような笑顔を、これからもずっと隣で見ていたい、なんて。そう言ったら君はまた、同じように笑ってくれるのだろうか。「チャンミン、髪伸びたね」切らないの?そう問えば、俺の恋人は顔だけこちらに向けて首を横に振る。それから、ユノヒョンが…ともごもごと何か言っているけど聞き取れない。ソファの前、チャンミンに後ろから抱きつくように腕を回して座る。背丈はチャンミンの方が若干高いのに、骨格が...
「チャンミン、今日も頼む」店内を覗いて、僕を見つけると爽やかに笑うユノさん。「ベースは何色が良いですか?春だから明るいイメージで、黄色とか」「最近お客さん用のソファーをラベンダー色にしたんだ。それに合うかな?」きっと合いますよ。僕がそう言うと、じゃあそれで、と言ってお店の隅に置いてある椅子に腰掛けるユノさん。小さな椅子だからユノさんがその長い脚を持て余して、折りたたむように控えめに脚を組んでいる。...
「何してんだろ…」イートインスペースの椅子を下ろしながら、ため息を吐く。雷に対する恐怖心で動けなくなった僕を、ユノさんが落ち着かせてくれた。背中を撫でられた時はびっくりしたけど、手のひらから伝わる熱もあやすように叩くリズムも妙に心地良くて、身を預けてされるがままになってしまった。しかもユノさんのシャツの胸元をずっと掴んでいたとか…恥ずかしすぎる。結果的に彼に抱き着くような形になってしまったのは、完全...
『シム、悪いんだけど今日22時からでもいい?』僕の勤務先であるコンビニの店長ことシウォニヒョンからの電話。え?と聞き返せば、いつも深夜のシフトに入ってくれているテヨンが体調を崩して今日は休みたいとのこと。深夜は基本的に一人で店頭に立つから、どうしても代わりに入ってくれる人が必要になる。別に構わないけど。そう答えれば、助かるよ、とシウォニヒョンがほっとしたように息を吐いた。深夜に欠員が出た時は店長のシ...
「チャ、チャンミン?」思わず声が上擦る。チャンミンとこんなに近い距離で、肌も触れ合うのも初めて。密着したチャンミンの身体からふわっと甘い匂いがして、それだけでくらくらする。体育座りのように座り直した俺の足の間にすっぽり収まるようにして抱きついているチャンミンに、変な気を起こしそうになる。けれどもその身体が小さく震えていることに気が付いて、遠くへ飛びそうになった意識をなんとか引き戻す。「チャンミンも...
「まじか…」室内にいても聞こえる地面を打ち付ける激しい雨音。今朝見た天気予報で夜から朝にかけて雷雨に注意しろと言っていたけれど、雨が降り始める頃には家に居たし、あとはベッドに入って寝るだけだった。それなのに明日の朝早くに取引先に送らなければならない書類があったことを思い出し、準備をしようとソファに座って資料を広げていたのだけれど。肝心のそれを入れる封筒を切らしてしまっていた。秘書のテミンに頼めば良...
大学がある駅からユノさんの家の最寄駅、その更に二駅離れたところに僕のアパートがある。こっち側は初めて来た、と言うユノさんの声はいつもより少し弾んでいるような気がする。僕が先に進んで、その後ろをきょろきょろ辺りを見渡しながら付いてくるユノさんがまるで小さい子供のようで面白い。ー僕の家でいいですよね?パーカーを返したいし僕の家に来ないか提案したのに、なぜか固まってしまったユノさんをなかば無理やり引きず...
チャンミンに名前を呼んで欲しい。その思いは日に日に思いは募るものの、どうしたらいいのかわからないまま数日が過ぎた。ネームプレートがあるし客が店員の名前を知るのは割りと簡単だろうけれど、店員が客の名前を知る機会はなかなかないと思う。よほど仲良くならない限りは。俺とチャンミンは顔を合わせれば挨拶をするけれど、あとは一言二言交わすだけで、お世辞にも仲が良いというような関係ではない。チャンミンのことはもっ...
チャンミンがいるコンビニに通うようになってから、半月が経とうとしている。もちろんチャンミンにだって休みはあるから、見かけない日は内心がっかりしながら弁当を選んでさっと帰る。それでもチャンミンのおかげで、毎日が楽しいと思えるようになった。名前も知れたし、チャンミンも俺のことを覚えてくれて会えば挨拶をしてくれる。それだけで仕事の疲れも吹き飛んで幸せな気持ちになれるし、今の関係で充分満足している。そう、...
「ユノさん…!」驚いて声を掛ければ、ユノさんは振り返って「ああ、チャンミン」と目を細めて笑った。厚手のチェックのシャツに細身のデニム。ユノさんのスタイルの良さがシンプルな格好でより際立っている。横を通り過ぎて行く学生たちもちらちらユノさんを見ている。隣に並ぶ僕のなんと不釣り合いなことか。「あの、誰かと待ち合わせですか?」そう尋ねれば、ユノさんはキョトンとしたあと可笑しそうにくすくすと笑った。「いや...
ユノさんに駅まで送ってもらったあの日、ユノさんのアパートからの最寄駅が、僕の最寄駅の二つ隣だったと判明して。それぞれが通う大学も近い距離にあるから、そんなに遠くはないところに住んでいるとは思っていたけれど、まさかこんなに近くに住んでいたなんて。むしろ同じ路線を使っているのによく今まで会わなかったものだと、お互いに顔を見合わせて笑った。急に距離が縮まったようでなんだか嬉しくて、バイトに行くというユノ...
結局俺が家を出る時間までにチャンミンのシャツは乾かなくて。パーカーを借りてていいよと俺が言っても、申し訳ないからと言ってなかなか縦に首を振ってくれない。俺としてはまた会う口実ができるから借りてくれた方が嬉しいのだけれど、チャンミンは困ったように眉を下げている。「あの、本当に…シャワーも借してもらったしゼリーもいただいちゃったので。これ以上迷惑は掛けれないです」「全然迷惑なんかじゃないよ」むしろ幸せ...
俺がシャワーを浴びて戻ってくるとチャンミンは起きていた。なぜここにいるのか訳が分からないという風に携帯を持ったまま固まっているから、その様子さえ可愛くて笑ってしまう。昨夜のことを覚えてないというから説明すれば申し訳なさそうに謝ってそそくさと帰ろうとするチャンミン。頭をおさえてフラついたから、慌ててその細い身体を抱き止める。始発ももうある時間だけれど、どうしてもチャンミンを帰したくなくて。そんな風に...
「あ、あのユノさん」「ん?喉乾いただろ、水飲む?」携帯を握りしめたままユノさんを見つめれば、笑ってコップに水を持って来てくれた。「あの、僕なんでユノさんの家に…?」「覚えてないの?チャンミンが水を零したから着替えさせようと思ったら、途中で寝ちゃったからそのまま連れてきたんだ」あっけらかんとそう話すユノさん。体から血の気が引くのを感じる。「すみません…!」「あはは、軽かったし大丈夫だよ。お店からここま...
「うわ、さいあく…」寝返りを打った瞬間頭の痛みで目が覚めた。そうだ、昨日キュヒョンたちと飲みに行って、ミノと話が盛り上がって飲み過ぎちゃったんだ。…でもどうやって帰って来たんだっけ?こうして部屋にいるならどうにかして帰って来たのかな?寝起きで回らない頭で考えようとするけど思い出せない。今日は土曜で学校も休みだし、課題を終わらせるためにバイトも休みにしてある。とりあえず頭が痛いからしばらく寝ていようと...
女の子たちは先に中に入って待っているらしく、入店してユノさんがスタッフに声を掛けると個室に案内される。ブラウンを基調とした広い室内で、長いテーブルが2つと、それを囲むようにソファが配置してある。向かって一番奥の方に、女の子たちが3人並んで座っていた。人を見た目で判断するのは良くないけれど、綺麗に巻かれた髪の毛に人形のようにばっちりメイクをした、見るからに僕とは無縁のタイプの女の子たち。ユノさんの登場...
キュヒョンに連れられてやってきたところは、僕も何回か行ったことがある居酒屋の系列店だった。まあお酒飲むのは好きだし少し飲み食いしたら帰ろう。そう思いながらも人見知りな僕は知らない人と飲むということに多少なりとも緊張していた。ぼんやりと目の前を通り過ぎる人たちを見ていると不意にキュヒョンが「あっ」と声を上げる。視線を向けると遠目からでもスタイルの良さが分かる男が2人、こちらに向かって来るのが見える。...
キュヒョンが失恋をしたらしい。近くの大学に通う子で、いつも電車で一緒だったらしい。僕は路線が違うからその子を見たことがないけれど、毎日キュヒョンからいかにその子が可愛いかをウンザリするほど聞かされていた。友達と話すときの笑顔が可愛いだとか、いつもさらさらのストレートヘアなのにたまに髪の毛がハネているのが可愛いだとか、うんたらかんたら。「電車でもたまにチラチラこっち見てるし、俺のこと好きなのかなって...
「ブログリーダー」を活用して、ニカさんをフォローしませんか?
指定した記事をブログ村の中で非表示にしたり、削除したりできます。非表示の場合は、再度表示に戻せます。
画像が取得されていないときは、ブログ側にOGP(メタタグ)の設置が必要になる場合があります。