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2019/01/05

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  • メンタライゼーションについて(2)

    前回の投稿でメンタライゼーションについて触れましたが,その後考えたことを記しておこうと思います。 まずは,「心的等価モード」についてです。これは,表象と現実が識別されていない状態を指す言葉です。「私はクラス全員に嫌われている。」と思い込んでいる例などが挙げられます。アクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT)における「認知的フュージョン」とかなり似た概念ではないかと思います。同一ではないにせよ,重複するところが少なくありません。 「ふりをするモード(ごっこモード)」というものもあります。心の中で起こっていることの現実感に乏しく,模範的な言葉が続いているような状態です。行動分析の言葉に置き…

  • メンタライゼーションについて

    メンタライゼーションやメンタライジングと言われるアプローチがあります。メンタライジングとは,「自他の行動の背景にある精神状態(感情、願望、意図、信念)などと関連させて理解する心的行為」のことですが,他のアプローチに上乗せして使えるとされています。今日同僚とこのアプローチについて少し話した中で,認知行動療法との関わりが自分の中で少し整理された感覚があったので,備忘録として書いておこうと思います。 普段,認知行動療法に基づくプログラムを実施することが多いのですが,対人関係に難しさを抱えている人の場合,相手の行動を「自分をバカにしている」と受け止め,怒りや抑うつに苛まれるといったことがあります。この…

  • 治療構造の変化がクライエントに及ぼす影響

    前回紹介した「臨床家のための実践的治療構造論」を読み終わりました。精神分析をオリエンテーションに持つ先生の勉強会に参加していた頃,その先生は,出されたケースの構造について細かく確認していましたが,その意味が改めて感じられた読書体験だったように思います。 臨床家のための実践的治療構造論 作者:栗原 和彦 発売日: 2019/10/15 メディア: 単行本(ソフトカバー) まさにこの本を読んでいる最中,治療構造について考えさせられるケースがありました。 一昨年から関わり続けてきたクライエントです。数年に渡って人と関わることを拒み続けてきた人ですが,何とか人と関わる場に出てくるようになりました。最初…

  • 治療構造について考えたこと

    先週から,「臨床家のための実践的治療構造論」(栗原和彦,2019,遠見書房)を読んでいます。 臨床家のための実践的治療構造論 作者:栗原 和彦 発売日: 2019/10/15 メディア: 単行本(ソフトカバー) 精神分析特有の抽象的な記述も少なくないため,読み進めるのに時間を要していますが,私が臨床経験の中で感じてきたことと共通する内容がありました。「はじめに」にある「数多くの変数が飛び交う現場の中で,今自分のいる位置を掴む確実な羅針盤が不可欠」という言葉がそれです。「自分の位置を掴む羅針盤」とは,自分が拠って立つ理論のことが思い浮かびます。この本で言うと,小此木啓吾が提唱した「治療構造論」と…

  • 新たな試み

    ここ数日思うところがあり,新たな試みを開始しました。長年,夜は基本的に晩酌していたのですが,これを減らし,書斎で勉強する時間を作ることにしたのです。読書やオンライン研修会の視聴などもするつもりですが,この時間の軸とするのは,読んだ本の中で印象的だった文章をエクセルファイルに転記する作業です。 本を読み,その時は「まさにそうだな。」と膝を叩くような感動を味わうことがありますが,情けないもので,すぐに忘れてしまいます。できるだけノートや手帳に転記しているのですが,これがあちこちに散逸し,結局まとまりのあるものになっていません。 この点を改善するため,夜の勉強時間を活用し,書き留めたものを1つのファ…

  • ブログを再開します。

    ここしばらく,ブログを更新していませんでしたが,思うところあって再開することとしました。もちろん,実践を振り返る一環として文章を書くことを止めていたわけではなく,この1年くらい他のツールを用いて行っていました。以下は,昨年11月に書いて公開したものです。 =========================== 先週終了したグループについて振り返る中で,話し合いは活性化したものの,プログラムが目指しているところが十分に達成できなかったという感想が出ました。まさにその通りである一方,今回のメンバーについては,プログラムが目指すゴール以前の問題が大きかったため,やむを得ないだろうと思いました。 例え…

  • 現実に直面することの難しさ

    人には誰しも,直面したくない現実があります。もちろん,全てに向き合って生きている人などはおらず,誰もが見ないようにしている面を有していると思います。飲酒や喫煙といった習慣を持っている場合,その害悪を知りつつも,「まだ大丈夫。」と思いながら続けているものです。身近な人が心筋梗塞で亡くなる,健康診断で数値が悪化したといった出来事によって,自分の健康を真剣に考え,行動を変える人もいるでしょうし,人の死や数値の悪化と自分の行動とを関連付けて考えないようにしてしまうことも珍しくありません。 クライアントの中には,現実に向き合うことを避けている結果,問題を維持しているように思われる人が少なくありません。個…

  • クライアントを利用しないということ。

    現在、新型コロナウイルス感染防止のため、クライアントと私と双方がマスクを着用しており,表情などが見えにくい状態での面接をしています。顔の何割かが見えないため、非言語的な情報量は減っています。今後は,オンラインやマスク着用が当たり前となり,非言語的な情報量が3割減(私のイメージですが)くらいの中でどう関わっていくのか模索していく必要があると感じています。最近,「愛着障害としてのアディクション」を読みました。愛着は感情をコントロールする上での土台であり,その土台が脆弱な人が,何らかの物質や行動によって感情をコントロールするようになるのがアディクションであり,アディクション治療の本質は人との関わりを…

  • 高齢者と将来を語ること

    私は,問題の原因を探るよりも,クライアントの価値や,変化を起こすための強みを探るようなアプローチが好きです。いわゆるストレングスベースで,未来志向の立場ですが,一定の年齢以上の方と話していると,「もう年だから,今のままで良い。」という言う人が少なくありません。もちろん,本人も周りも困っていないならば,それでも良いのかもしれませんが,その人個人にとっても,社会にとっても困った事態が起こっています。それでも,現状維持で良い,なぜなら残りの人生が短いから,という立場を堅持するのです。 若いクライアントなら,「今の〇〇のままだとして,10年後はどうなっていそうですか?」と聞くと,もしかすると,10年後…

  • 非言語について

    ここのところ、コロナウイルスの関係で、ワークショップや研修が軒並み中止や延期になっており、Zoomなどを使ったウェブセミナーのような形態のものが増えているようです。今回を機に、オンラインのカウンセリングの需要も高まってくるでしょう。その効果などに関する議論も増えていくものと思われます。 オンラインカウンセリングではありませんが,先日、自分が主宰する会で、初めてオンラインの勉強会を行いました。コロナウイルスの流行とは関係なく企画していたものです。やった感想は、「言葉のやり取りに不便はないものの、非言語の情報量が少なくて、話していない人が何を感じているかが想像しにくい」というものでした。改めて、普…

  • 自分をケアすること。

    随分と間が空きましたが,久し振りに更新します。 ここ数年,講師として招かれることが多く,自分自身の勉強がなかなか進まない焦りを感じていましたが,公認心理師試験を受けることにし,受験勉強を続けています。この他,アディクション関係の本や援助を止めない人にどう援助を届けるのか,という内容の本を読んだりしています。コロナウイルスの影響で,各種学会や勉強会が軒並み中止や延期になっており,どこにも行けないのは大変ですが。 臨床家として学び続けることが重要ですが,一方では,勉強以外の自分の時間をどうするかが,ここ数年の課題でした。映画や音楽,読書など好きなことが多かったのですが,様々なことに対する関心が薄れ…

  • 在り方とやり方

    この土日は,地方でワークショップをやってきました。それほど人数は多くなかったものの,地元のメンバーがすごく意欲的で,参加者の方々も熱心で,色々な質問が出て,刺激的な時間を過ごすことができました。 最後に出た質問で,色々と問題がある人の事例について,問題行動であっても,「もっと悪い結果をもたらす行動を避けるための本人なりの対処行動」としてリフレームする,という自分の説明に対し,「本当はそう思っていないのに,そのように返すことは,自己一致という点からは,いかがなものか。」いうものがありました。それに対し,本当にそう思えないのに言うのは偽りである,いわゆる問題行動に対し,「困ったな」という思いがある…

  • 学会参加記録(2)

    最終日(10月6日)の午後は、盗癖と性的問題行動に関するセッションに参加。難しいケースに果敢に挑んでいることが分かる実践発表でした。フロアから、医療費の点数に関する質問がありましたが、確かに、「よし、自分たちもやろう!」と思っても、病院の経営的な視点からは、簡単に始められないのだろうと思いました。発表されたクリニックの志の高さが素晴らしいです。 このセッションでは、条件反射制御法についても紹介がありました。今まで何度か研修に参加したこともありますが、賛否両論なやり方であり、今は実施していません。ふと思ったのは、今回のような伝統ある学会で、実践例を報告して議論した方が良いのでは、ということです。…

  • 2019年度アルコール・薬物依存関連学会合同学術総会に参加

    標記学会に参加してきました。一番聞きたかったものが自分の登壇時間と重なってしまったのは残念でしたが,スティグマについて考えるシンポジウムは,とても良かったです。普段の業務の中で,依存症を抱えた方のグループをやっているので,実体験と重ね合わせながらの聴講でした。以前にも講演を聞き,著書も購入した小林桜児先生のお話は,とても納得のいく内容で,やはり依存症の本質は,人間関係の問題だということを再認識しました。人が感情をコントロールする能力の容量は決まっており,過去の逆境体験によって,感情をコントロールせざるを得ない体験を積み重ねてきた人は,その容量が低下しており,それが物質使用などに関連している,と…

  • 公認心理師試験に向けて~認知症

    公認心理師受験に向けた勉強を始めましたが,「国会試験の王道は過去問」ということで,ざっと見ているところです。今は,今年行われた第2回試験の問題を取り上げ,詳細に解説している,「公認心理士・臨床心理士の勉強会」というサイトを見ています。 https://www.public-psychologist.systems/ こんなに充実したサイトが無料で見れるなんて,ありがたい時代になったものです。第1回試験を詳細に解説した本が何冊も出ており,1冊の本としてまとまっている良さはあるものの,ネット上に同等の充実した解説があるので,いずれ売れなくなるのでしょう。 過去問を見ている中で,認知症に関する問題が…

  • クライアントの感情への応答について

    昨日は,1年くらい前から依頼されていた研修会を行いました。学会のプログラムの1つで,最終的な参加者は100名を超えました。普段から共に学んでいる仲間が応援に駆けつけてくれ,滞りなく済ませることができました。 相手の発言,例えば「こんな面倒なことはやりたくない。」といった発言に対し,「一方的に押し付けられた感じで不満を感じているのですね。」と感情を返すことを例示しましたが,それに対し,「不満なのですか?」と質問した方が良いのでは,という意見がフロアから出ました。「不満なのですね。」は決めつけているような感じではないかという疑問です。非常に難しいところだと感じました。教科書的に答えると,質問よりも…

  • 公認心理師試験に向けて。

    8月に行われた第2回公認心理師の結果が発表されました。合格率は5割を切ったそうです。仕事や勉強会の仲間も多く受けているので,果たしてどうなったのか気になりますが,こちらから結果を聞けるものではないので,静観中です。 自分自身は,来年の試験に向けた準備を始めました。今思えば,無理をしてでも第1回試験を受けていれば・・・と思わないわけではありませんが,もう過ぎたことです。現任者講習への参加を決めた後,早速問題集を購入し,隙間時間を用いて勉強を進めています。ネットでも色々と情報を検索していますが,過去問に取り組めるサイト(簡単な解説付き)があったりして,便利な時代だと痛感します。とりあえず,試験範囲…

  • 1人で学ぶ時間を持つ

    昨年,自分で学習グループを立ち上げ,様々な対人援助職とともに学んでいます。自分の活動に加え,依頼を受けて行う研修も含めると,今年は20件くらいになります。非常に勉強になるし,呼んでいただけることはありがたいのですが,少しペースダウンすることを考えています。 さすがにスケジュールを詰め込みすぎている感じで,通常業務と合わせると,かなりの忙しさなので,単純に休みたいことが1つ。それに加え,これは全くの感覚的なものですが,充電というか,インプットする時間を持つ必要があると感じています。研修会参加などではない形で,一人でインプットする時間です。ヤーロムの本もまだ途中ですし,MI-3も再読しようと思って…

  • クライアントにとっての外圧と一体化しないこと

    最近,業務の中で,それまでは対象ではなかった方々と関わるようになりました。集団への参加を強く拒み,孤立している方々です。そういった方々に個別に働き掛け,同じ立場の数名で構成するグループへの参加を促しています。最初は完全拒否だった方も,関係性ができるにつれて,少しずつ思いを話してくれるようになります。 とはいえ,そう簡単ではありません。それぞれの事情や考えがあって,ある意味,外圧に屈することなく,一人で生活している方々なので,私がその外圧と一体になるようでは,結果は目に見えています。こういう時は,外圧とその人の間に立って,両者の間にある葛藤を協働作業で解決する,という立ち位置が一番です。「~しろ…

  • あるグループの振り返り

    今は夏季休暇中です。少し前に,担当しているうち,2つのグループが相次いで終了し,今は谷間の時期です。一区切りの時期を迎えているところで,こういう時は,自分の実践を振り返ることが重要です。今はグループがメインなので,「グループにおける動機づけ面接」や「AGPA 集団精神療法ガイドライン」を斜め読みしながら,最近のグループの展開を思い出したりしています。ここでは,全12回,CBTベースのプログラムを振り返ってみたいと思います。 元々,メンバーは,自分から望んで参加するのではなく,必要と判断されてグループに参加するという文脈なので,開始当初は,動機づけが高い状態ではありません。「何で自分が参加しなき…

  • SV関係について思うこと。

    現在,ある困難なケースについて,定期的なSVを行っています。これまでの経験を基に話し合い,助言していたところですが,果たして,適切なSVになっているのだろうか。そんな疑問が大きくなっていました。バイジーは,私が助言している内容を盲目的に信じ,それ一本で突き進んでいるように見え,そのことに怖さを感じていたのです。色々と考えた挙句,このケースについて,私自身が受けているSVの場に出してみました。幸いなことに,私がバイジーに助言している内容自体に対しては,特に指摘はありませんでしたが,色々と気づかされることがありました。そして,そこで出た内容を踏まえて依頼者との話し合いに臨みました。私がバイザーとし…

  • 事例から学ぶ。

    昨日,企画していた事例検討会を無事開催することができました。2つの事例を取り上げ,非常に濃密な時間になったと思います。もちろん,事例の内容に触れることはできませんが,気付いたことなどをまとめておきたいと思います。 事例を出した人が良かったと思えることが大切だと思っていますが,それは,クライアントが「この人と話して良かった。」と思えることが重要であることとパラレルだということを思いました。クライアントと向き合う支援者として,問題の解決を目指すことは当然ですが,そう簡単ではありません。クライアントの側からすると,「この人に相談しても,何の解決にもならない。」ということにもなりかねません。もちろん,…

  • 今、事例検討会の企画を進めています。昔から業務で経験してきた事例検討会や、現在参加している事例検討グループ、ワークショップにおけるグループスーパービジョン経験、個別SVを受けたり提供したりした体験を踏まえ、多職種による事例検討会を立ち上げたところです。 私が事例検討で大切と思うのは、事例提出者が「出して良かった。」と思えるような内容にすることです。いわゆる「ダメ出し」に終始するようなものは、やりたくありません。事例説明→事例を正確に理解するための質疑応答→参加者からのフィードバック(事例の良いところや感想)→より良くするためのポイント(1つ)についての検討→事例提出者の感想という流れを考えてい…

  • コンテンツとプロセス

    先日、グループワークをモニターする機会がありました。スーパーバイザーも一緒です。セッションでは、各メンバーが自らの行動を振り返り、その行動に何を求めていたのかを話し合っていました。終了後の振り返りの中で、スーパーバイザーは、グループ全体として、ある特定のメンバーに対して説明し、納得してもらおうとするような力動が生じていたことを指摘しました。恥ずかしながら、モニター中は意識していなかったところで、グループの力動を見ることの難しさを感じました。一方、セッションにおける話し合いは活発で、自らの行動を様々な角度から理解しようとする試みが行われていたこと、認知行動療法の視点では、機能分析が行われていたこ…

  • やりたいこととやるべきこと。

    多くの人は、やるべきこととやりたいことの間で生きています。やりたいことばかりに偏ると、様々な生活上の支障が生じてきますし、やるべきことばかりに偏ると、つまらない人生になってしまいます。現実原則に従いつつ、快楽原則を満たすのが、健康な在り方です。 あるケースで、やるべきことに縛られる生き方に無理が来たようで、逆に振れてしまい、やりたいことしかやらないという極端なスタンスに立ってしまい、社会生活が困難になってしまったクライアントがいました。人の意向に沿い、自分を押し殺さざるを得ない生活から離脱し、完全に自分優先になってしまったのです。こういったケースの場合、やりたいことをやり続けるためには、やるべ…

  • スーパービジョン経験から考えたこと。

    久し振りに記事を書こうと思います。 最近は、SVを提供する機会が増えています。その中で感じることは、カウンセラーとクライアントの協同作業として経過を見ることの大切さです。うまくいかないケースは誰もが経験しますが、随分と自責的に捉えてしまうカウンセラーがいます。自分の関わりを謙虚に見つめ直すことは、もちろん必要ですが、カウンセリングが進展しない、グループが活性化しないのは、カウンセラーだけの責任ではありません。むしろ、自分だけがその責を引き受けてしまうということは、クライアントとの協同作業であるという視点ではなく、カウンセラー中心になっているということを意味しているようにも思えるのです。本来、カ…

  • 新たな発見を導くこと

    年末年始は,「Motivational Interviewing in Groups」の中の翻訳されていない章を読むことに費やしました。MIの学習歴は長くなっているので,完全に未知の内容はありませんが,ハッとさせられたのは,クライアントが維持トークを話している時,彼らは既に知っていることを話しているに過ぎない,という内容の一節でした。そこに新たな発見はないということです。 こう考えると,クライアントの発言がチェンジトークであったとしても,新たな発見を伴わない内容であれば,行動変容に繋がらないということが言えるかもしれません。最近のMIの研究の中で,チェンジトークと結果との関連が見られなかったと…

  • グループワークにおけるリーダーとコリーダー

    先日,職場の同僚との会話の中で,グループワークのリーダーとコリーダーの在り方について考える機会がありました。 その同僚とは,少し前まで自分がリーダー,向こうがコリーダーという分担で数か月協働しました。現在,同僚は他の人と組んでグループをやっているのですが,コリーダーである自分が出過ぎてしまっているのではないか,と折に触れて話します。リーダーは懐が深い人なので,コリーダーの動きに腹を立てたりするようなことはなく,むしろコリーダーの知識や経験に助けられていると言っていますが,コリーダーを務めている同僚は,自分の動きに疑問を抱いているようです。以下は,その同僚と話し合った内容です。 リーダーとコリー…

  • 「学ぶこと」についての雑感

    しばらく更新していませんでした。この間,岡山で行われた第18回認知療法・認知行動療法学会に参加し,あるシンポジウムのシンポジストを務めました。思ったよりも盛況で,フロアには斯界のビッグネームの姿もあり,びっくりしました。いくつか聴いた講演からも色々と刺激を受けることができ,有意義な遠征となりました。 最近は,「Motivational Interviewing in Groups」を読んでいます。もちろん,昨年出た翻訳本も持っていますが,残念ながら,訳出されていない章もあります。その中にある,まさに自分の臨床と直接関係する部分を訳しながら精読しているところです。動機づけ面接は,ここ数年で広がっ…

  • 認知行動療法と精神分析

    週末は2つの勉強会に参加しました。1つはケースカンファレンス,もう1つはCRAについて。ケースカンファレンスは,精神分析をオリエンテーションとする人が多いグループで,CRAは行動療法ベースのプログラムです。当然,参加者に重複はありません。 自分自身は,基本的にはCBT,それも認知療法というよりも行動分析学が大好きです。しかし,最近は精神分析も少し学んでいます。精神分析系の人はCBTを表層的と評しますし,CBTの人は精神分析には根拠もエビデンスもないと言います。その人の好みで良いと思いますが,両方をつまんでいる者としては,どちらからも学ぶことはあります。というよりも,理解の枠組みや説明の仕方が違…

  • 発達という視点の重要性~発達障害は特殊な現象ではない~

    数年前は、発達障害を有する方と関わることがメインでした。この頃の経験は、自分のなかで一つの核になっています。神田橋先生の「発達障害者は発達します」という名言に励まされ、彼らのちょっとした変化を信じて関わり続けましたし、滝川一廣先生の発達論を拠り所とし、彼らの特性をいわゆる定型発達とのスペクトラム上のものとして捉える視点を大切にしてきました。発達障害を特別なものとして捉えるのではなく、人間の精神発達の中で一定数起こり得るものとして捉えます。また、感覚や運動の発達の順序や流れを学んだことも大きく、心と身体がいかに結び付いているのかを痛感しました。平衡感覚と不安が関連しているという知見には、目から鱗…

  • カール・ロジャーズと来談者中心療法再考。

    今日と明日の出張のお供は、「全訂 ロジャーズ」にしました。来談者中心療法やカール・ロジャーズについての論述集です。数年前に読んだものの再読です。先週末は、友田不二男の小冊子「非指示的療法」を読むなど、カウンセリングの基本に立ち戻りたいという気分があるようです。 「話を聴くだけで変わるなら苦労はしない。」来談者中心療法に対する懐疑的な声の代表でしょう。私もそう思い、離れた時期がありました。認知行動療法は、来談者中心療法に感じた物足りなさを補ってくれましたが、いきなり技法を適用するようなやり方は成功せず、やはり、まずはクライアントに寄り添い、話を聴くことが土台であることを感じるようになり、来談者中…

  • 発達障害を抱えた方から学んだこと

    今は,発達障害の方を対象とした仕事をしていませんが,数年前までは,まさに発達障害を抱えた方がメインのクライアントでした。悪戦苦闘しましたが,今の自分にとっては,非常に大きな経験となっています。 当時の現場で発達障害を抱えた方を対象とすることが決まった時,スタッフが皆で勉強し,何とか受け入れ態勢を作ったものです。私個人としては,発達障害に関する勉強は数年続けていたこともあって,ある程度の心構えは持っていたので,それほど慌てることはなかったのですが,実際に始まってみるとどうなるのだろうと,期待よりも不安があったことを覚えています。 発達の凸凹に対応した支援をすることで自尊感情を回復するという方向性…

  • うまく行かない面接

    せっかくの休日なのに体調不良で自宅に引きこもり。神田橋條治先生の本などを読んでいます。神田橋先生は賛否両論ある治療者ですが、自分は好きです。あんな感じで、治療の本質を捉えられるようになりたいものです。 それはともかく、先ほどアップした記事の最後に「うまく行かない面接」についても考えてみたいと書きましたが、早速考えてみました。 自分自身のうまく行かなかった面接は星の数ほどありますが、とりあえずパッと思い出すのは、動機づけ面接のSVを受けるために行ったものです。禁煙だったり、片付けだったり、普段とは異なるジャンルの面接で失敗が起こりやすいことを感じています。話題は異なれど基本は同じなので、ひとえに…

  • 話を聴くこと~変化をサポートするために~

    最近、特に考えることは、「この人は、○○と言っているが、そう言うことによって、何が言いたいのだろう。」、「この人は、○○について話さないが、それは何を意味しているのだろう。」ということです。普段、言葉のやり取りから相手を理解することを仕事としていますが、直接的には語られないことに本質があるのではないかと思うことが増えています。 「私に構わないでください!」というクライアントの言葉を字面通りに理解する支援者はいないでしょう。この言葉の背景にある思いは、誰も自分を理解してくれないといった絶望感である可能性が考えられ、支援者として「何を言っても分かってもらえないような感じがしている。」のような応答が…

  • 感情に目を向けること。

    最近,ある外国人の方と定期的に話しています。もちろん,業務として一定の目的を持った面接です。日本人以外の人と関わる経験はほとんどなかったので,文化が人の育ちや心に及ぼす影響についても考えさせられます。その点は,いずれ書きたいと思いますが,それとは別に,以前から気になっていたし,昨日も気になったことがありました。 彼の生い立ちや現在取り上げている問題について色々と質問していくと,答えは返って来るのですが,そこに感情が伴っていません。祖国で暮らしていた頃のエピソードも話してくれます。聞いている私からすると,随分と寂しかったのではないだろうかと思われるのですが,彼は事実を淡々と述べます。「その時,ど…

  • 支援者としての在り方

    初めまして。キャリア約20年の対人援助職です。正体が分からぬよう領域や職種は伏せていますが,文脈から分かってくるものと思います。このブログを開設した意図は,自分の実践に加え,ここのところ,講師として呼んでいただくことが増え,様々な事例について話し合う中で考えたことをまとめておきたいということです。 世の中には,様々な方法があります。私自身も,来談者中心療法からスタートし,認知行動療法,動機づけ面接などを学びました。最近では,今まで避けていた精神分析も少し勉強しています。介入に用いるのは,自分の技量では難しいと思いつつ,分析的な視点は,ケース理解の幅と深みを与えてくれるように感じています。そして…

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