「まぁ、でもお父さんもお母さんも かなりのお歳なんじゃない? 幾ら貯金があると言っても、自分たちの暮らしだけでも楽ではないはずだよ。柊子が家にいることを許してくれて 生活費も負担してくれているのだった
「その大島って子はすっかり先生気取りでいい気になって。新システム稼働してからは朝から晩までみんなして大島さん大島さんよ。一般社員ばかりじゃなく、情シスの講習を直接受けたはずの係長まで『大島くん、これど
「バカ」とか「クソ」という言葉をたまに使う分にはいい。けれど何度も何度も繰り返し聞いているとだんだん胸が悪くなる。その不快さは昔インターネット上のアングラ掲示板で毒のある書き込みを目にしたときに感じた
僕は聞きながら「ちょっと待ってくれ」と心の中で幾度も呟いた。僕が聞いているかぎり彼女は入社後3年ほどで辞めたと聞いており、その短い期間に彼女が職場全体のルールを作るような権限を持ったとは思えない。お
「まぁ入社直後からいろいろあったんだけどね。私と幾つも歳のちがわない、バブル期入社の上司は自分の指示の仕方がよくないのを棚に上げて私が指示通りのことを出来ていないってブツブツ言い続けるし、同じくバブル
「『親の言うなり』って、たとえばどんなことで言いなりになったの?」「全部。ぜんぶよ。何もかも。」吐き捨てるように言ってから、彼女は思い出したように紅茶のカップを持ち上げた。けれどもせっかく持ち上げたカ
僕は一度だけ会ったことのある彼女の両親がどんな風だっただろうと思い出してみた。おぼろげな記憶ではあったけれど、父親は浅黒く日焼けして大きな声で話す気さくな人で、どことなく体育会系の趣があった。母親は柊
「私ね、子供の頃から自分のしたいことを何一つやらせてもらえなかったの。」彼女の表情や口調から爽やかさがいつの間にか消えていた。僕のほうに向き直り、彼女は語り始めた。「私がピアノを習いたいと言ったときも
城砦 アラフィフ引きこもりの言い分 1 の続きhttps://hirota-yoshiyuki.amebaownd.com/posts/6075016柊子が卒業後、大手電機メーカーに就職したことを僕は
「あの人たちが私の人生を台無しにしたの。なにもかも、ぜんぶあの人たちのせいよ。」柊子(とうこ)は、彼女の両親のことを「あの人たち」と言った。 「だからあの人たちは罪を償うべきなのよ。私に対して」 朝か
王妃シャックリーヌの婚礼 ~クシャミ帝国衰亡史 第一部~ 王妃シャックリーヌは、クシャミ帝国700年の歴史上最も権勢をふるったと言われるゲップ帝の正妃である。 ゲップ帝が即位した14世紀当時のクシャミ
中学1年生のときクラス別の合唱コンクールで、「大地讃頌」という曲を3年生が歌うのを初めて聴いた。厳かで気品にあふれ、雄大な山並を思わせる曲想を僕はすぐ好きになった。けれども1年生の僕は楽譜を見たことが
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