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とし、ひろし
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2018/10/03

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  • 「劇場」

    一番好きな文学作品を聞く質問は、センスや教養を問われているようで、いつも答えに詰まる。自分をセンス良く見せるなら、この質問にベストセラーを答えるのは論外、芸能人が著した作品もすれすれ、文学への知識の浅さを露呈してしまうから避けるべきなのだが、どう考えても自分が一番好きな作品は、又吉直樹の『劇場』で揺るぎない。 何回読み返したかわからない。『劇場』の序盤にこんな一説がある。 「右のポケットが振動し、携帯をひらくと「ごめん!全然暇なんだけど!」という文面だった。それを目にした瞬間、頬肉が溶けてしまうあの感覚。ドブにあごまで浸かっているかのように身体が重たくなった。現実の痛みは常に予想を凌駕する」 …

  • 「説得力と引き換えに涙の経験を」

    人の心を動かすのに同情と共感は強いと信じているが、その裏を返せば、同時に、どちらかが無ければ、多くの場合人を動かすまでには至らないことを認識しているということで、では自分がその原則に則った言動を日々心掛けているかというと、そうではない。主張が長くなると同情や共感が弱まるが、それらの経験はあくまで主張を助けるものだから、経験が複雑だと論旨がつかめなくなる。面倒くさがってこの平衡を掴もうとしないから、未だに俺の主張は中学生レベルなのである。 弁論も然り、主張が経験で支えられたもので、経験の内容、そしてその平衡性が主張の説得力を大きく左右する。先日、インド人の日本語弁論大会を見に行ったが、その多くが…

  • 「3 idiots」

    これは揺るぎない持論だが、行動を起こすには3人がベストだと思う。2人だととにかく日常の話題に気を遣い、逆に4人以上だとどうしても個々の存在感が薄まる。3人でいれば、つまらない奴でもキャラが立たないキャラとしてギリ存在できることに気付いたのである。 物語における友情に3人組が多いのにも意味があるのだろう。3人寄れば文殊の知恵とはよく言ったもので、賢者の石を得る為に罠を奥に進む冒険も、8つの宝石を集める旅も、ズッコケだらけの日常も、3人の個性があってこそ前に進んだ。唯一の欠点、多数決の成立する最小人数ゆえ起こる、少数派意見の弱さがもどかしくページ数を食う点には目を瞑ろう。 今日の記事⇒10/24,…

  • 「日本に帰った両親への寂しさが回想させる自己犠牲」

    お盆には律儀にいそいそと墓参りをし、正月にはいそいそと初詣に出かけ、クリスマスには美味しいケーキをいそいそと買いに行く宗教的浮気性の父のもとに生まれたから、ひとつの宗教に捧げる敬虔な信心深さとは縁遠く育った。自分が小さいとき、父は苔の生えた墓石を毎年懲りずにごしごしこすりながら、神様なんていないかもしれないけれど、気づいたときにお墓を掃除しようという精神が大事なんだよ、と胡散臭い宗教家のようなことをよく言っていた。 自分と弟が高3の秋を迎えたとき、そんな父がジョギングを始めた。そこまで太っていないのにな、と思ったけれど、何も言わなかった。弟が推薦入試をひとつ失敗し、俺も受験が近づいてきてストレ…

  • 「ジャイアンは映画では良い奴」

    「カキーン!」 などと鍵括弧で一行目を埋める小学生お決まりの作文のスタートは今でもあまり好きではない。先生が作文に工夫を求めると、小学生はまず会話文や音で一行目を埋めがちだが、これはこすりにこすられた工夫の模倣であって、楽しかったです、で作文を締めるのと同程度ありふれている表現であることに彼らは気付きやしない。かく言う自分も、ありふれたレールの上を生きる中でこの駅を通過したひとりではあるが、工夫を強いて逆に個性を殺すなら、その教育は間違っていたと今になって思う。 自分がつまらない人間に成長したように、小説でもドラマでも、お決まりの展開は決まって飽きを誘うものだ。しかし唯一、当初敵だった奴が味方…

  • 「私が死んでも誰も悲しまない」

    ドラマでも映画でも、「私が死んでも誰も悲しまない」という台詞は、「そんなことない、私は悲しい」という返答を狙ったものでほぼ間違いないから、その不貞腐れたテンプレートの台詞には真意が込められていない。けれど、その期待通りの返答はいつだって本意だと思う。たとえよく知らない人でも、この世からいなくなるのは寂しいものだからだ。 知り合いが死ぬ夢をよく見る。なんでもアリの夢の中でも、悲しいという感情があることは不思議な訳だが、その悲しみはもう会えないという喪失感と同時に、後悔由来であることが多い。母が死んだ夢を見たとき思い返した後悔は、小6で母と弟とお台場ジョイポリスに行ったとき、恥ずかしさから、プリク…

  • 「期待は成果か嘘を求める」

    野球を見るのも、父とキャッチボールをするのも大好きだったから、小学4年生のとき、地元の少年野球のチームに入れてもらった。でも凡才が入るには小学4年生は遅すぎて、同学年の友達はみんなAチームという上手で、試合をするグループに入っていたのに、自分と弟は、ほとんどが小学1年生から3年生で構成されるBチームに入らざるを得なかった。Aチームの友達と対等だったのは、プロ野球チップスのカード交換の時だけだったと思う。 大体日曜日は休みなのだが、試合があると日曜日もあって、試合に出ないBチームもその応援に行かなくてはならなかった。日曜日の弁当を母に頼むときは試合のとき。母もそれはわかっていたけれど、俺も弟も、…

  • 「なぜ」

    なぜ、が苦手だ。自分にとっていつもなぜ、は歯痒いものだからだ。世間一般でマイナー言語のヒンディー語を学ぶのはなぜ。毎日10人くらいしか見ていないブログを続けるのはなぜ。なれるわけがないのに、そんな夢を見るのはなぜ。なぜ。なぜ。確かな決意があって始めたことも、正面からなぜ、を突きつけられると上手く言えなかったりして、そして自分の中にある表向きの理由と裏向きの理由に向き合わせられたりして、途端に先が見えなくなってしまう。 今日の記事は、「宗教」というなぜ、にあふれるカテゴリーに関してだが、日本人にはわからない部分が多すぎて、大体知ったかぶりをするか、無知を隠して無視するカテゴリーだ。なぜ、を突きつ…

  • 「約束は針、契約は金」

    守らなければならないもの。例えば、校則。例えば、規則。例えば、法則。例えば、約束。そく、の漢字が違う約束だけは他と違って、結ばれる間が対等な気がして、だからこそ指切りげんまんができるのだと思う。校則を守らないヤンキーも、ダチとの約束は守ったりする。悪を粋がる社会悪でも感じる、不思議な罪悪感が約束にはあるからだ。 悲しいことに、大人になるにつれて約束は契約に名前が変わり、針千本は違約金に形を変えることが多くなる。罪悪感は機能しなくなり、考えつくされた思惑と自己中心的な考えだけが、守らなければならなかったものを破ろうとする。 今日の記事⇒10/4, 2018 Dainik jagran「Amrap…

  • 「目指すはポケモンの世界」

    兄弟は不平等で、兄は大体損な側だ。嫌なことは先を強いられ、楽しいことは後を強いられる。注射は兄が先、ムシキングは兄が後。知らない人への挨拶は兄が先、電車で席が空いても兄は後。兄がファイアーレッドになるのは弟がリーフグリーンを選ぶからである。 でも誇り高き兄は、これに異を唱えることが殆ど出来やしない。覆せないことを騒ぐと格好が悪い。兄は弟に実寸より数センチでも大きな背中を見せようとするもので、かくして兄には一生茨の道が続くことになる。 今日の記事⇒10/2, 2018 Dainik jagran「果物屋を営む人生を楽しむマムター」 (引用・またもガバガバ翻訳) 「息子たちだけが家族の責務を担い得…

  • 「ガーンディーさんへの手紙」

    20歳以降、誕生日は嬉しくなくなると聞きます。普通の人は、歳を取るにつれて、体は衰え、自分が何歳なのか意識する機会も減り、なにより、祝ってくれる人も少なくなるからだと思います。羨ましいのは、今も、インド国民全員、今日があなたの150回目の誕生日だということを覚えていて、今も、インド国民全員があなたを祝ってくれるということです。加えてあなたの体は不滅になって久しい。もう老いないのです。150回目の誕生日は、生前の誕生日よりずっとずっとうれしいと良いなと思います。 今日は各紙、あなたについての話題でもちきりです。こんな記事を見ました。 今日の記事⇒10/2, 2018 Dainik jagran …

  • 「隣だと心配性、離れると愛」

    この世に生きとし生ける母親の殆どが備える「心配性」という特性を自分の母親もまた備えているが、「心配性」は「反抗期」とすこぶる相性が悪く、高校以降、家で毎日階上から行われる鍵と携帯の確認は形骸化しつつあった。結局機嫌が悪くて返事をしないときに限ってどちらかを忘れる自分への怒りは、なぜか反抗期に油を注ぐのである。 日本出発前、この「心配性」な母親は、慣れないインターネットでインドの大気がとにかく汚いと知るや否や、しめて百枚を超える大量のマスクを息子のスーツケースに押し込もうとした。「薄学」と「心配性」は相性が良い。インド人は日本人と違って普段からマスクはしないんだよ、という意見は、肺がんになるかも…

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