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2018/07/29

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  • 男がつらいよ 絶望の時代の希望の男性学②

    『男がつらいよ絶望の時代の希望の男性学』(田中俊之著著)、誤解された草食系男子やさしい、真面目、細かいことに気がつける系男子とは、要するに草食系男子です。今では誤解が積み重なり、消極的な男子を揶揄する言葉として定石してしまった観があるので、ちょっと回りくどい表現をしていました。本来、草食系男子は褒め言葉です。コラムニストの深澤真紀さんが命名しています。深澤さんが執筆した『平成男子図鑑-リスペクト男子としらふ男子』では、草食系男子だけではなく多様な男子の姿が描かれています。この本の狙いは、現代の若者を肯定的に描き、若い男性の行動率価値観の変化を年長世代に理解してもらうことでした。そして草食系男子についての議論を深めたのが、哲学者の森岡正博さんです。森岡さんは『草食系男子の恋愛学』の中で、草食系に男子だった自...男がつらいよ絶望の時代の希望の男性学②

  • 男がつらいよ 絶望の時代の希望の男性学

    『男がつらいよ絶望の時代の希望の男性学』(田中俊之著著)、男らしさからどう脱却できるか、実践的なアドバイスを記した本でした。現在の若者は、なぜ集団で飲み会をすることを嫌うのか、そこの部分だけ転載します。暴走族の人数が最も多かったのは1982年で、その数は42.510人にのぼります。グループ数が712ですから、1つの暴走族はだいたい60人ぐらいで構成されていました。これだけの集団が、成人の日にかぎらず、毎日のように暴走行為をくり返します。近年、暴走族の数は激減しています。2000年代には2万人台を割り、2010年には1万人台を下回りました。そして、2013年ではついに5干人台になっているのです。なぜここまで暴走族は減ったのでしょうか。まず、暴走や暴力といった行為、あるいは暴走族的なファッションに対してダサい...男がつらいよ絶望の時代の希望の男性学

  • 収骨

    一昨日、昨日と通夜葬儀、10年ぶりに雅楽を入れての5人出仕で、通夜葬儀をお勤めしました。通夜に雅楽を入れることは、あまりないのですが、人出が多いいのは通夜なので、入場退出の折りに楽を入れてもらいました。導師は私です。喪主はよく知った人で、派手なことが好きな方なので楽入りにしました。収骨まで火葬場にいたのは20年ぶりでしたが、収骨の時、火葬場の方が、壺の中に頭骨を入れながら、これは下顎、これは……と全部説明して、壺のなかに顔と頭の部分を再現していました。収骨

  • Z世代の就活に対応できる企業

    『産経新聞』(2022.6.27)正論に、「Z世代の就活に対応できる企業」同志社大学名誉教授三木光範現在、就職活動を行っている大学生や大学院生などは、いわゆるZ世代である。Z世代の一般的な定義は1990年代後半から201O年頃に生まれた若者を指し、現在の中高大学生や若い社会人も含まれる。就職の考え方大きく変化Z世代の特徴は、デジタル機器しか知らない、スマホで何でも済ませる、テレビや新聞を見ずSNSで情報を得る、多様性を受け入れ自分らしさに拘る。他人の評価をかなり気にするなどである。特にSNSで発信する自分の演出が重要となる。またSNSではかなりニッチな趣味・服装・スポーツあるいは生き方などが同じ仲間と空間を超えて繋がるため、学校や地域など近くの友人と話が合わなくてもネットで個性を発揮できる友達が多い場合も...Z世代の就活に対応できる企業

  • 金子みすゞの人生~語りと音楽

    昨日の「金子みすゞの人生~語りと音楽」2022/6/25(土)14:00-15:30(開場13:00)◎会場アミュゼ柏クリスタルホール(柏市柏6-2-22)柏駅から徒歩5分です。出演は、女優城谷小夜子さんの熱演で評判が良かったです。私は、急遽、スポットライトが落ちて、場面が切り替わるところ2箇所で、8秒ほど、音階の違う金属皿3枚を、適当に叩いて鐘の音を出す部分をお手伝いしました。講演が終って、打ち上げの席で、演出家の人が「鐘の音が無常感が出ていた良かった」とのこと。そうなんだと思ったことです。金子みすゞの人生~語りと音楽

  • 金子みすゞの人生~語りと音楽

    本日、下記のイベントが柏市で開催されます。金子みすゞの人生~語りと音楽2022/6/25(土)14:00-15:30(開場13:00)◎会場アミュゼ柏クリスタルホール(柏市柏6-2-22)柏駅から徒歩5分です。出演は、女優城谷小夜子さん他、プロの音楽家3人による語りと音楽です。昨24日、松戸の天真寺で、2時間ほど出演者がそろって、通し稽古があり参加しました。みすゞさん26年の生涯でしたが、苦難に満ちた人生でした。どぷぞご参加下さい。主催は近隣の浄土真宗寺院で、実行委員会は皆ご門徒です。主催者挨拶は、西方寺の松尾良枝さん、司会進行は同じく西方寺の西村さんです。金子みすゞの人生~語りと音楽

  • 金子みすゞの人生~語りと音楽

    本日、下記のイベントが柏市で開催されます。金子みすゞの人生~語りと音楽2022/6/25(土)14:00-15:30(開場13:00)◎会場アミュゼ柏クリスタルホール(柏市柏6-2-22)柏駅から徒歩5分です。出演は、女優城谷小夜子さん他、プロの音楽家3人による語りと音楽です。昨24日、松戸の天真寺で、2時間ほど出演者がそろって、通し稽古があり参加しました。みすゞさん26年の生涯でしたが、苦難に満ちた人生でした。どぷぞご参加下さい。主催は近隣の浄土真宗寺院で、実行委員会は皆ご門徒です。主催者挨拶は、西方寺の松尾良枝さん、司会進行は同じく西方寺の西村さんです。金子みすゞの人生~語りと音楽

  • 特別賓室

    一昨日、昨日と府中市にある多磨葬祭場・日華斎場での通夜葬儀でした。昨日は、10時開始であったので、混む前にと思い午前6時30分に出発して、8時過ぎには現地に到着しました。千葉県の火葬場は、出勤が出勤する範囲の所は全て公営です。東京はほとんどが株式会社で、カ多磨斎場も株式会社でした。多磨斎場は初めてであったでの、公営とは違う雰囲気がありました。式場の会食室のテーブル・椅子からして上品であり、葬儀式場には加湿器や空気清浄機が作動していました。荼毘にする釜も「特別賓室」「特別室」「最上等室」の三つにグレードが分かれていました。社員が釜入れる前には、葬儀社の社員から「葬家からの心付けです」と金封が儀式のように渡されていました。千葉県の公営斎場も20年前は、金封を渡していたので、なにか昭和の雰囲気に接した感じがしま...特別賓室

  • おしゃべりな脳の研究②

    『おしゃべりな脳の研究――内言・聴声・対話的思考』(チャールズ・ファニーハープ著・柳沢圭子翻訳)からの転載です。スタンフォード大学の著名な発達心理学者、ジョンーフラヴェルは、過去二三〇年にわたり、内的経験について何を理解しているかを子どもに尋ねてきた。(中略)三歳見には自身の意識の流れに対する認識がないという観点から、この研究結果を解釈している。三歳児は、脳内に響く音声について報告できるほど、まだ内観がうまくないというのである。フラブエルは別の研究で、特に内言について尋ねている。ある研究では、四歳から七歳の子どもに、内言が必要になりそうな課題を行う成人を見せた。たとえば、買いものリストに書かなかった品物を思い出そうとするといった課題である。子どもに、「あの人はただ頭の中で考えているだけかな?それとち、頭の...おしゃべりな脳の研究②

  • おしゃべりな脳の研究①

    『おしゃべりな脳の研究――内言・聴声・対話的思考』(チャールズ・ファニーハープ著・柳沢圭子翻訳)、よく法話で「言葉には人に聴こえる外言と、頭なのかでめぐる内言があり、3歳までは内言がない」という話をします。この本は、その内言に焦点を当てた本です。本の紹介には次のようにあります。あなたの頭の中の声は、どんなスピードで語りますか?脳内の語りをつねに使って思考しているのに、私たちはこんな素朴な問いにさえ答えられない。本書は、内なる声(内言)や聴声(幻聴)の本質を探り、それらと思考や意識との関係を捉えなおす試みだ。読めば、内言や聴声の経験の想像を超える多様さに、まず驚かされる。脳内の「声」は当人の声に似ているか、完全な文章で語るかといった一般的性質はもちろん、スポーツ選手のセルフトーク、ろう者の場合、小説家が登場...おしゃべりな脳の研究①

  • ジェンダーという視点の大切さ

    『高校生と考える新時代の争点21(桐光学園大学訪問授業)』「空気なんて読まない」武田砂鉄(ライター・編集者)の続きです。「ジェンダーと働き方」江原由美子(社会学者)ジェンダーという視点の大切さ一グローバル化によって日本では雇用が減り、男性の雇用が不安定になった結果、共働きが必要不可欠になりました。しかし、女性労働者の待遇は変わらず、いまだに低賃金で働く非正規労働者の割合が高い。働かなければ生きていけないけれど、働いていたら出産や子育てはできない。出産や子育てをしていたら、フルタイムでは働けない。でも、パートでは賃金は安いし昇進しないし、不安定。それでもパートをするしかない。そういった不満から、結婚したくない女性が増え、少子化か進行する。こういった流れから、世間ではジェンダー平等に関する議論が増えて、毎日の...ジェンダーという視点の大切さ

  • 自業自得

    『高校生と考える新時代の争点21(桐光学園大学訪問授業)』「空気なんて読まない」武田砂鉄(ライター・編集者)の続きです。コロナ禍がはしまった二〇二〇年の春、「自粛警察」なんて言葉が流行りました。大阪大学の三浦麻子さんが日木、アメリカ、イタリア、イギリス、中国の各国を対象に、「新型コロナウイルスに感染したひとは自業自得だと思うか」というアンケートをとりました。「自業自得だ」と答えたのはアメリカで」%、イギリス∵四九%、イタリアか二・五一%、中国が四・八%。それに対して、日本では一丁五%と最も高かった。「コロナ感染は自業自得か」社会心理学者三浦麻子さんによる調査。一一〇二〇年と翌年の春に、日木と海外の計五力国でそれぞれ約四百名を対象に調査され心本文のデータは二〇二一年のもの。(以上)以下は、読売新聞オンライン...自業自得

  • 排泄物は尊い

    『いま、きみを励ますことば』(中村邦生著)にあった言葉です。以下転載です。恋人よ。とうとう僕はあなたのうんこになりました。金子光晴「もう一篇の詩」えっ、何だこれは、と思ったのではないだろうか。昭和詩史を代表する詩人が、六〇歳近いときに精魂をこめて書いた詩だといえば、唖然とするかもしれない。金子光晴(195-1975)は、二八歳のときに出版しか『こがね虫』で詩人として注目され、虚無的な思索、反ファシズムの立場からの現実批判と諷刺、愛のけ甘美と残酷を歌う軽妙なユーモアなど、生涯にわたって多彩に詩境を展開させた。(中略)「もう一篇の詩」は、1952年に刊行した詩集『人間の悲劇』にある詩。引用はその冒頭の部分。僕は恋人であるあなたに、すっかり消化されて、お尻から押し出され、狭い糞ツボの中で他のうんこといっしょに、...排泄物は尊い

  • 死拒絶

    『死の拒絶』アーネスト・ベッカー著、この本は1974年のピューリッツアー章を受賞した本です。1973年に書かれた本で、日本では1989年に邦訳出版されています。この本は「人間行動の背景には死への意識が大きな原動力としてある」ことを説いた異色の内容です。人は逃れられない実存的恐怖に直面して2つの次元で身を守ろうとする。まずは、現実世界には秩序と意義があり、私たちは無意味な生を送っているのではないという確証となる『文化的世界観』を築く。次に、その特殊な文化的世界観に合致した価値観で生きることで得られる『自尊心』を築くのだという。以下、転載します。人間を動かす動員のうちでも主要な1つに、死の恐怖があるということである。ダーウイン以後、死の問題が進化論の問題として前面に出てくると、多くの思想家はそれが人間にとって...死拒絶

  • うつ状態からの解放

    『NVC人と人との関係にいのちを吹き込む法』(2018・マーシャル・B・ローゼンバー著)からの転載です。自分の感情と、必要としていることに耳を傾け、共感することができれば、自分をうつ状態から解放することができる。内的な葛藤はしばしば、うつ状態につながる。その葛藤を解決するためにNVCを用いることができる。アーネスト・ペッカーは(精神医学の革命)で、うつ状態は「認知的に選択肢が阻まれた状態」がもたらすと述べている。心のなかで批判的な対話が続いているとき、わたしたちは自分か必要としていることから疎外された状態にあり、それを満たすための行動がとれない。つまりうつ状態は自分が必要としていることと切り離された状態であることをあらわしている。NVCを学んでいたある女性は、深刻なうつ状態に苦しんでいた。彼女はいちばん症...うつ状態からの解放

  • 同調圧力

    『高校生と考える新時代の争点21(桐光学園大学訪問授業)』、桐光学園大学で高校生のため著名なご講師を招き講義を行った講師陣21名による講義録です。メモ代わりに一部転載しておきます。空気なんて読まない武田砂鉄(ライター・編集者)いま小学校の道徳の授業では「かぼちゃのつる」という物語を読むと聞きました。かぼちゃが自由につるを伸ばしていると、犬やミツバチがやってきて「そんなところでつるを伸ばすと迷惑になるよ」と忠告する。かぼちゃはそれを聞かずに伸ばし続け、道路に出てしまってトラックにひかれて、つるがちぎれてしまう。そんな物語を読んで「忠告は聞きましょう」「ひとの迷惑になることはやめましょう」と学ぶそうです。みなさんも植物を育てたことがあるでしょう。太陽に向かって伸びていくのは自然の摂理です。かぼちゃが陽の当たる...同調圧力

  • ドイツ人はなぜ「自己肯定感」が高いのか

    『ドイツ人はなぜ「自己肯定感」が高いのか』(小学館・キューリング恵美子著)、結婚を機に、ドイツへ移住した著者が、ドイツと日本の文化・習慣・考え方の違いに触れている。・誰もが自分の意見を自信を持って伝えられる・他人に振り回されず、相手に「忖度」しない・時間内に必ず仕事を終え、残業はしない・上司や同僚に気がねなく、長期休暇を満喫する・職場でも街中でも、多くの女性がノーメイク・服装やヘアスタイルの流行を追わない・サウナは混浴が基本で、裸を見られても平気・ビールは注がない、気遣いの「おもてなし」はしないそうしたドイツ人の生き方の背景にあるのが、「ありのままの自分」を大切にする「自己肯定感」の高さだという。日本よりずっと所得が高いにもかかわらず、無駄なことや見栄のためにはお金を使わず、物を大切にするというドイツ人の...ドイツ人はなぜ「自己肯定感」が高いのか

  • 「自己決定権」という罠⑤

    『「自己決定権」という罠:ナチスから新型コロナ感染症まで』(2020・小松美彦・今野哲男著)の続きです。▼自己決定権批判の根拠―「わがまま」を保証してどうしようというのか三番目の根拠は、一番目の批判の練り直しになりますが、いったん自己決定権を盾にしてしまうと、さまざまなことに関して、自分のことは自分で決めればよいのだから、他人には口を出してはしくないという壁ができてしまい、結果として自己決定権が他者同士のコミュニケーションを遮断・排除する道具として機能する危倶があるのではないかということです。自己決定権には、そういった自閉的な傾向を促進する力があると思うのです。そうすると、自己決定権は自分勝手とどう違うのだというごとになります。私たちはまわりの人たちの影響のなかで生きていかざるをえないのに、そこに権利とい...「自己決定権」という罠⑤

  • 「自己決定権」という罠④

    『「自己決定権」という罠:ナチスから新型コロナ感染症まで』(2020・小松美彦・今野哲男著)の続きです。▼自己決定権批判の根拠-ナチス・ドイツの亡霊次に、安楽死と自己決定権との関係を歴史的に見てみると、自己決定権がベースになって歴史上最大の災厄が起きているということを見逃せません。最大の災厄とは、ナチス・ドイッによって、最終的に国家規模の安楽死の実施にまでいってしまった優生政策という悪夢のことに他なりません。優生政策とは、単純にいえば、自国民や自民族を優秀な国民・民族に鍛え上げていこうという目的のもとに、劣るとされる人たちの子どもが生まれないようにし、優れているとされる人々の子孫だけを残していこうとするものです。ナチスの優生政策は、当時の統計医学や遺伝学や社会進化論などの知見にもとづいて、一九三〇年代から...「自己決定権」という罠④

  • 「自己決定権」という罠④

    『「自己決定権」という罠:ナチスから新型コロナ感染症まで』(2020・小松美彦・今野哲男著)の続きです。私はなぜ自己決定権を認めないのか▼自己決定権批判の根拠-個人に閉塞した問題はない。序章でざっと見てきたように、当初アメリカの医療や女性運動の煬に発した自己決定権という考え方は、この三〇年はどの間に、まるで日常用語のような拡がりを見せ、今では日本でも多くの人が、当然のように受け入れるようになっています。しかし、私は以下に述べる四つの意味で、この考え方には根本的な問題があると思っています。第一の理由は、人が生きていくすべての場面において、個人が何かを決めるということが個人の問題にとどまることなど、決してないということです。たとえば、日本ではまだ制度化されていませんが、先ほど一言したように、オランダやベルギー...「自己決定権」という罠④

  • 「自己決定権」という罠③

    『「自己決定権」という罠:ナチスから新型コロナ感染症まで』(2020・小松美彦・今野哲男著)の続きです。著者の子どものころの体験の続きです。中学生のときに経験した、個人的で忘れることのできない、悔しい体験が関係していると思われます。新学期のクラス替えがあり、新しい担任がみえたときのことです。いろいろと話があった後で、先生ダグラスの決まりをつくろうと提起しました。まだクラス委員が決まる前のことだったため、「とりあえず」番前の席に座っている君、「司会」という感じで、テキパキと事を運び、さて話し合いを始めるという段になって、自分が入ると強制になってしまうと述べて、先生は教室を出ていきました。そのときは仕方なく話し合って、みんなで決まりをつくったのですが、後日、何が原因だったかは忘れてしまいましたが、その教員に呼...「自己決定権」という罠③

  • 「自己決定権」という罠②

    『「自己決定権」という罠:ナチスから新型コロナ感染症まで』(2020・小松美彦・今野哲男著)の続きです。著者の子どものころの体験が記されています。2点転載します。これは、小学校の入学式での体験なのですが、講堂で全体の式典が終わり、各自の教室に戻って緊張して待っていると、野川一郎という担任の先生がやってきて、挨拶のなかで、「どうか皆さん、よいお友だちをたくさんつくってください」と述べたことがありました。誰にでも覚えのある、ありふれた経験だろうと思いますが、私は、そのときに感じた妙な違和感のことが、今でも忘れられません。そのときの私は、よい友だちという言い方に、子どもながら何か功利的なニュアンスを感じてしまったのです。「よい」という言葉には、自分の役に立つ特定の人間を指すというニュアンスが抜けがたくあるし、そ...「自己決定権」という罠②

  • 「自己決定権」という罠①

    『「自己決定権」という罠:ナチスから新型コロナ感染症まで』(2020・小松美彦・今野哲男著)を借りてきました。複数回にわたって転載します。旧版の『「自己決定権」という罠』に相模原障害者殺傷事件のその後と、コロナ問題の章を加筆した増補版です。本書のなかで、「自己決定」と「自己決定権」が明確に区別されている。その記述を先ずは転載します。▼自己決定と自己決定権自己決定というのは、起こっている事柄それ自体のことです。あるいは生の具体的な局面で私たちが絶えず行なっている個々の判断や選択や行為そのもののことです。その意味では、人間が自己決定なしに通常の社会生活を送ることは、とてもできないといってよいと思います。他方、自己決定権とは、自己決定することを、社会や国家が、個人の権利として認めるということです。「する」、ある...「自己決定権」という罠①

  • 絶望感

    『読売新聞』(2022.6.7朝刊)に「社会から孤立を防ぐ方策を―付属池田小事件21年」という記事で、公認心理師の長谷川博一さんの紹介記事が掲載されていました。大阪大府立池が小学校(大阪府池田市)の児童殺傷事件から8日で21年となる。宅間守元死刑囚と死刑執行直前まで接見を重ねた公認心理師の長谷川博一さん(63)は、社会から孤立し、絶望する元死刑囚の姿を覚えている。(長野袙気)元死刑囚は2003年8月、大阪地裁で死刑判決を言い渡された後、弁護団の控訴を自ら取り下げ、判決が確定した。長谷川さんは「罪に向き合ってほしい」と考え、同9月から死刑執行前月の04年8月まで15回、拘置所の接見室で元死刑囚の言葉に耳を傾けた。判決などによると、元死刑囚は幼い頃から父親の暴力を受けて育った。高校中退後、職を転々とし、結婚と...絶望感

  • 「自己決定権」という罠①

    『「自己決定権」という罠:ナチスから新型コロナ感染症まで』(2020・小松美彦・今野哲男著)旧版の『「自己決定権」という罠』に相模原障害者殺傷事件のその後と、コロナ問題の章を加筆した増補版です。本書のなかで、「自己決定」と「自己決定権」が明確に区別されている。その記述を先ずは転載します。▼自己決定と自己決定権自己決定というのは、起こっている事柄それ自体のことです。あるいは生の具体的な局面で私たちが絶えず行なっている個々の判断や選択や行為そのもののことです。その意味では、人間が自己決定なしに通常の社会生活を送ることは、とてもできないといってよいと思います。他方、自己決定権とは、自己決定することを、社会や国家が、個人の権利として認めるということです。「する」、あるいは「せざるをえない」のが自己決定であるのに対...「自己決定権」という罠①

  • 自尊感情とは

    「自己肯定感」を冠した書籍や雑誌が多く見受けられる。また同様に「自尊感情」という言葉にも触れることが多い。1970年代から、米国で自尊感情の重要さを説いているデニス・ローレンス氏は、『教室で自尊感情を高まる』(デニス・ローレンス)に、自尊感情を、「自己についての感覚つまり自己像と、望んでいる自己つまり理想自己の一致度」と定義しています。訳者(小林芳郎)あとがきに次のようにあります。本書の著者であるローレンス氏は,自尊感情は「個人の自分の精神的、身体的な特徴についての意識である自己像と、個人が自分か持つべきだとする理想的な特徴についての意識である理想自己の不一一致に関する個人の評価」だと言います。そして,個人が成長を遂げていく日常の生活では「この両者の不一致は避けられないもので,正常な現象だとみなされてよい...自尊感情とは

  • 小林一茶「死ぬのが恐い」往生際

    『文芸春秋』(2022.6月号)に“小林一茶「死ぬのが恐い」往生際”(大谷弘至)が掲載されていたと、法話会の折に世話人がコピーを届けてくれました。8頁ある読み物ですが、最後の2頁を転載します。妻の菊も亡くなってしまいます。三十七歳の若さでした。人並みの幸せもつかの間、妻子に相次いで先立たれてしまったのです。老いた一茶が一人残されました。菊の死の翌年、一茶は飯山藩士の娘ゆきと再婚します。ゆきは三十八歳でした。しかし、武家と農家という身分の違いがあったためか、夫婦活はうまくいかず、わずか三ヶ月で離婚。その心労からか、一茶は同年に脳梗塞を再発ご言語障害が残ってしまいます。それでも一茶の俳句への情熱は尽きず、竹駕籠に乗って信濃の弟子宅をめぐり続けました。一八二六年(文政九)には、柏原で乳母をしていた、「やを」と再...小林一茶「死ぬのが恐い」往生際

  • 「異」と「違」のちがい②

    「異」と「違」のちがいについて、辞書を開いてみました。まずは『広辞苑』異―①ことなること。わかった点があること。別なこと②不通とはちがって怪しいこと。妙なこと。またすぐれていること。③正統でないこと。違―(「い」には掲載されておらず、「ちがい」)ちがうこと。同じでないこと。また、その程度。『学研漢和大辞典』異―①ことなること。もう一つ別の。また同じでないさま。②自分とはちがったさま。③ことなること。怪しい。白川静の字源字典『字統』異―象形鬼頭のものが、その両手を掲げている形。その形は、ものを翼戴(よくたい)する形に似ている。周(しゅう)初の金文〔大盂鼎〕(だいうてい)に「天、異臨(よくりん)して子(いつく)しむ」、また後期の【號叔旅鐘】(かんしゅうりょしょう)に祖霊の来臨することを述べて、「嚴(げん)とし...「異」と「違」のちがい②

  • 「異」と「違」のちがい①

    『本願寺新報』(2022.6.1号)に連載されている相愛大学准教授井上陽氏のコラムに「異」と「違」の相違について執筆されていた。その部分を転載します。少し前だが4月1日の京都新聞に、人類学者の磯野真穗さんの〈「異」ではなく「違」へ〉というコラムが掲載された。この中で同じく人類学者の山口昌男さんの『文化と両義性』(岩波現代文庫)の中で、「異」と「違」には微妙な違いがあり、「違」は自分にとって内側の何かを、「異」は外側の何かを指す、と述べられることを引き合いに出し、「異」と認識される何かは排除の対象となるが、「違」とされるそれは排除の対象にはならないとし、新型コロナウイルスを「違」と捉え、排除せず向き合う社会を目指そう、と述べている。山口さんが言うように、「腰に″違″和感」というように、「違」はそれを自ら改善...「異」と「違」のちがい①

  • 引き算の美学

    昨日の「藤井翔太のことば」に、作家の塩田武士氏のコメントがあり、そのなかに「藤井さんが注目されるのは、引き算の美学が核心を言い表すからだろう。無駄をそぎ落とした一手を選び抜く棋士ならでわのセンス」という言葉がありました。「引き算の美学」とは、西洋の足し算の美学に相対する言葉で、わび・さびを重んじる茶道などで使われる言葉です。仏教でいう「少欲知足(欲を少なくして足ることを知る)」という教えも、同様でしょう。浄土真宗の悪人正機も、「引き算の美学」の系列でしょう。引き算の美学

  • 敗者への敬意

    『産経新聞』(2022.5.30)に「藤井翔太のことば」が掲載されていました。副題に「にじむ敗者への敬意共感」とあります。「盤上の物語の価値は不変」この言葉は藤井翔太が初タイトルである棋聖を獲得した直後の記者会見で発せられた。令和2年7月16日、大阪市福島区の関西将棋会館。「将棋はAI(人工知能)との共存期を迎えている、棋士の可能性は」との問いに対してだった。「将棋界の盤上の物語の価値は不変だし、自分としてもそういう価値を伝えていけたらと思う」17歳11ヵ月、第91期ヒューリック杯棋聖戦五番勝負を制した史上最年少のタイトルホルダーはしばらく考えた後、そう語った。初タイトルに沸く周囲の熱気とは対照的な、静かな口調たった。(中略)藤井が注目れてさきたころから関心を持ち、ほぼすべての対局中継を見てきた作家、藤川智美(...敗者への敬意

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