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2018/07/29

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  • 日本の子どもの自尊感情はなぜ低いのか①

    『日本の子どもの自尊感情はなぜ低いのか~児童精神科医の現場報告~』(光文社新書・2009.5月・古荘純一著)、少し古い本ですが借りてきました。本書は小児科医であり大学教授でもある著者が、日本の子どもたちの自尊感情について解説したもの、いろいろな調査結果の詳細な報告や、専門外来で見られる子どもと自尊感情の関係、著者が学校で関わった子どもと自尊感情について、等が記されています。第1章「日本人の子どものセルフ・エスティーム」について記されています。」転載します。セルフ・エスティーム(=自尊感情)は良い面・悪い面を含んだ概念自分のことを自分でとらえるという概念には、「セルフ・エスティーム」という言葉をあてることが一般的です。セルフ・エスティームとは、質問紙法による自尊感情の測定を考案したローゼンバーグによれば、「自己イ...日本の子どもの自尊感情はなぜ低いのか①

  • 日本の子どもの自尊感情はなぜ低いのか②

    『日本の子どもの自尊感情はなぜ低いのか~児童精神科医の現場報告~』(光文社新書・2009.5月・古荘純一著)のつづきです。日本の子どもの自尊感情はなぜ低いのか、「親の自己肯定感の低さ」「少子化の問題」「学校関連」が問題だと、次のようにあります。子どもが自尊感情を保つには、親の影響、とりわけ母親の影響が大きいと考えられています。もちろん本人の先天的な要因も研究されていますし、環境の影響もありますが、子どもたちはおもに、母親もしくは父親が自分をどう見ているかで、自分自身の価値を推し量っていることが多いからです。母親や周囲の大人が、子どもたちに、お前はだめな子だ、などと否定的なメッセージを送続ければ、できないのは自分が悪いからだ、と思いこんで自分を受け入れることができず、自尊感情は低くなります。私は、母親(もしくは父...日本の子どもの自尊感情はなぜ低いのか②

  • ジェンダーと脳――性別を超える脳の多様性

    『ジェンダーと脳――性別を超える脳の多様性』(August31,2021・ダフナ・ジョエル(DaphnaJoel)著)、新刊本コーナーにあった本を借りてきました。本の結論は、大半の脳は、男性的な特徴と女性的な特徴の特有の〈モザイク〉なら成るものであり、典型的な「女脳」や「男脳」、「女らしさ」や「男らしさ」といえるものは存在しないというものです。また、「あえて脳に性別を与えるとすれば、大多数の人は、男脳でも女脳でもない、その間にある”間脳”に分類される」と言い、「脳の性質はその形態がきわめて変化しやすい」とあります。少し転載します。では、なぜ女性と男性は、どれほどまでに違って見えるのだろうか。答えは、私たちが人を女性と男性という二つの社会集団に分けることにある。この分断は私たちがどう行動するか、他者の行動をどう見...ジェンダーと脳――性別を超える脳の多様性

  • 芸術誕生のなぞ

    『産経新聞』(2022.5.28)に「テクノロジーと人類―世界を記号で表現」“芸術誕生のなぞ”に下記の記事が掲載されていました。一部転載します。なぜ人間だけが絵を描けるのか。人に最も近い動物であるチンパンジーは抽象的な模様は描けるが、意味のある絵は決して描けない。京都芸術大の齊藤亜矢教授(芸術認知科学)らが行った「お絵かき」の実験によると、チンパンジーに顔の輪郭だけの下絵と筆を与えても、輪郭をなぞるだけで顔は描けなかった。同じ実験を幼児で行ったところ、2歳前半まではチンパンジーとほぼ同じだが、多くの言葉を話し始める2歳後半になると目や口を下絵に書き込み、顔を描けることが分かった。この時期の幼児は自分が見た物の名前を次々に覚え、その意味を理解していく過程で物の形についての知識も急激に増える。顔は目や鼻、口などの「...芸術誕生のなぞ

  • がんの福作用

    当寺の寺報原稿です。Kさんは言葉を編み出す名人です。過日、ある会でのことでした。突然の事故でお子さんを亡くされた方が、その死別によって、色々な人と出会い、また見えなかった世界が見えてきたことなどを涙ながらにお話しされました。その話を聞いていたKさんが、「亡き子に導かれると言うことがありますが、私は産まれなかった子に導かれてきました。子は“かすがい”と言うが、私のところは、子どもがいないことが“かすがい”となっています」と言われました。その内容は次の通りでした。Kさんには、お子さんはおられません。ご自身では、その事実を受け容れているが、姑さんが孫の居ないことからくる淋しさや嘆きをこぼされる。また、友人との会話の中で、子どもの話題が出ると寂しさを感じる。それを夫に話したら、夫も会社で結婚した若い社員に、次々と子ども...がんの福作用

  • 死に際しての苦しみは

    本願寺出版刊月刊誌『DAIJO』2022.6月号に執筆者無記名のコラムに執筆しています。4月号からの連載で、どうも当面、私一人で執筆するようです。フオーカス仏教ライフ死に際しての苦しみは時代や地域をこえて、すべての人がいつか必ず直面する苦しみが「死」であろう。その死を取り巻く苦しみに寄り添っていく宗門のビハーラ活動。死に際しての苦しみはさまざまだ。その一つは、物質的な豊かさを享受し、そこに幸せを感じている人は、その幸せとの別れが苦しみとなる。また私たちの多くは、希望を糧として生活している。死は、希望に向かって生きるという生き方そのものを否定してしまう。この世での希望の実現には生きる時間が必要だからだ。死を視野に入れたとき、希望の実現という生き方から、すでに恵まれていることに気づくという生き方への転換が重要になっ...死に際しての苦しみは

  • 死に際しての苦しみは

    本願寺出版刊月刊誌『DAIJO』2022.6月号に執筆者無記名のコラムに執筆しています。4月号からの連載で、どうも当面、私一人で執筆するようです。フオーカス仏教ライフ死に際しての苦しみは時代や地域をこえて、すべての人がいつか必ず直面する苦しみが「死」であろう。その死を取り巻く苦しみに寄り添っていく宗門のビハーラ活動。死に際しての苦しみはさまざまだ。その一つは、物質的な豊かさを享受し、そこに幸せを感じている人は、その幸せとの別れが苦しみとなる。また私たちの多くは、希望を糧として生活している。死は、希望に向かって生きるという生き方そのものを否定してしまう。この世での希望の実現には生きる時間が必要だからだ。死を視野に入れたとき、希望の実現という生き方から、すでに恵まれていることに気づくという生き方への転換が重要になっ...死に際しての苦しみは

  • コミュニティ グローバル化と社会理論の変容

    『コミュニティグローバル化と社会理論の変容』(28,2006・ジェラード・デラテイ)からの転載です。本書はこれまで、コミュニティという理念の不朽の魅力について考察してきた。近代世界は、自由、個人主義、理性の時代であるが、それだにけではない。そこでは、個人が寄る辺ない不安定化する世界の中に置かれるのであり、くつろしだ気分になれる心地よい世界―つまり、コミュニティや帰属(ソサエティ)、連帯感といったもの-を強く求める時代でもある。コミュニティは長らく社会と緊張関係にあり、最近では、近代国家に対する失望によって、多くの人々が、政治の基盤としてコミュニティの復活に望みを託すようになっている。コミュニティヲベユニティの理念は現状に対ずる批判の所在を示唆するものであり、社会と国家心対ずるオルグ士アイヅを含かと思われる。コミ...コミュニティグローバル化と社会理論の変容

  • 男女共同参画はゴールかツールか

    以前紹介した『人文社会科学とジェンダー』ですが、上野千鶴子東大名誉教授が「男女共同参画はゴールかツールか?」を執筆していたので資料として転載しておきます。学問の世界における男女共同参画はゴールかツールか?問題をこのように立ててみるといくつかの解の可能性があることがわかる。まず第一に女性の人口比に見合わない過少代表性の是正そのものがゴールであるとする立場である。世界経済フォーラムのジェンダーギャップ指数の国際ランキングや、日本政府が数値目標とする「20203018は、政治や経済の分野における女性の参加を指標としている。したがって人口比に応じた女性の参加(50%)が実現されれば目標が達成されたことになり、何のためかは問われない。さらにレジャーヌ・セナックの『条件なき平等』のように、女性差別を「人権」問題ととらえて、...男女共同参画はゴールかツールか

  • グローバリゼーション ――移動から現代を読みとく

    図書館から借りてきた『グローバリゼーション――移動から現代を読みとく』(ちくま新書・9,2021・伊豫谷登士翁著)に「第10章人の移動とコミュニティという場。」という章があり、そこから少し転載しておきます。これからの寺院は「コミュニティ」の場として、どのような可能性があるのか。そのような問題意識を持っているからです。かつてはこうした共同体=コミュニティというのは、個人を束糾する前近代的な軛として批判され、否定すべき対象とされることもありました。それが現代においては、人々の集団のあり方として関心を集めているのです。著しい格差の拡大をもたらした市場経済や、漂流する個人化した社会。コミュニティは、これら現代が抱えるさまざまな問題ご対処する有力な処方戔として取り上げられ、時代のフロンティアとして再登場してきました。近代...グローバリゼーション――移動から現代を読みとく

  • 喜びを分かちあいたい

    『あなたは人生に感謝できますか?』(佐々木正美著)に、アリン・ワロンの『子どもの精神的発達』(ワロン)が紹介されていました。下記の話は、その本の中にはなかったので、『あなたは人生に感謝できますか?』から転載してきます。赤ちゃんはお母さんと喜びを分かちあいたいワロンは赤ちゃんの発達を、順を追って説明しています。赤ちゃんは牛後二三ヵ月になると、お母さんにできるだけそばにいてほしいという要求をします。お母さんが用事があって離れていくと、泣いたり怒ったりして要求をする。「そばにいて」と。二三力月ですから、首がすわる前です。三、四ヵ月になると、赤ちゃんの感情はさらに発達・分化していきます。お母さんに対して、そばにいるだけではなくて、自分が望むこと、喜ぶことをあれこれしてほしいという要求がはじまります。「自分を喜ばせてほし...喜びを分かちあいたい

  • 自由の苦しみ

    以前、釈氏が講演の中にフランスの社会学者デユルケームの言葉が紹介されていました。その言葉は「スタンダードがなくなって、あらゆる場面で自分で選択しなければならない自由の苦しみに現代人はさいなまされいくであろう」です。原文はどうなっているのか、おそらくい『自殺論』に出てくる言葉だと思いますが、まずは『道徳教育論(講談社学術文庫)』(デユルケーム)を借りてきました。この本は、道徳の重要性や役割を書いたものです。先の言葉を連想させる部分の一部転載しておきます。ある活動形態のためにこの均衡が破られるならば、その活動は限界を越えて独走することになり、個人にとっては、必ず苫痛の原因となる。あらゆる束縛や規則から解放された欲求は、ちはやいかなる特定の限定された目的にも結びついておらず、そのような欲求をもつものにとって、絶え間な...自由の苦しみ

  • 弱いロボット

    『生きのびるための「失敗」入門』(雨宮処凛著)から一つ転載します。そんな〈弱いロボット〉を作っているのは、眼橋技術科学人学情報・知能工学系教授の岡田美智男さん。ここで〈弱いロボット〉を少し紹介すると、最初にできたのは不気味で可愛いくか~〉。スライムを思わせる丸っこい身体(顔?)の真ん中に大きな目がひとつ。鼻も口も手足もない。話しかけると「か~、む、む、む」と反応するが、喋ることはできない。そんなひとつ囗のスライムみたいな形なのに、赤ちゃんのような、幼児のような存在感。もうひとつ、有名なのは〈ゴミ箱ロボット〉。その名の通り、ゴミ箱の形をしたロボットだが、そんなロボットは自らゴミを集めることはできない。ただヨタヨタと歩き、ゴミに近づくだけである。近くで見ている人が、見かねてゴミを拾ってゴミ箱に入れてあげる。そうする...弱いロボット

  • 『LGBTQ運動の歴史』②

    『LGBTQ運動の歴史』(マーシュー・トッド著)以下抜粋です。変化は起ころうとしていた。一九五八年三月七日にはタイムズ紙に「同性愛犯罪法改正協会」が設立され、オールパニー財団がこれを支援して、同性愛者の安心で幸福な生活推進に向けて活動した。一九六〇年代には社会的、政治的に大きな変化の波が起こった。イギリスでは。一九六二年に、ヘテロセクシュアルの労働党議員レオーアブセが、ウルフェンデン報告の勧告実行の法制化を推し進めた。また抗議運動のモデルとなったのが、ベトナム戦争反対運動だった。人種差別に反対するブラック・パワー運動は、一九六五年のセルフからモンゴメリーへの行進といった市民による不従順行動を生んだ。メキシコ人やプエルトリコ人は警察の横暴と闘った。そしてインド文化(これはビートルズも取り入れた)の影響を露され、騒...『LGBTQ運動の歴史』②

  • 子どもの精神的発達

    児童精神科医の佐々木正美先生の本を借りてきました。『あなたは人生に感謝できますか?』、H・エリクソンを紹介した本です。その中に2名の方を紹介されていました。アンリ・ワロン(1879~19621)フランスの精神科医です。ワロンは、子どもが親との情緒的なやりとりを通じて、こころやコミュニケーションを発達させていくことを発見しました。喜びの分かちあいがコミュニケーションのはじまりだと指摘しています。そしてまた、子どもが親とのやりとりから、自己と他者の関係性を知ることも、ワロンは発見しています。すぐれた研究者です。日本語の翻訳書に「子どもの精神的発達」などがあります。マーガレット・マーラー(1897~1985)ハンガリー出身の精神分析家です。オーストリアで精神分析学を学び、エリクソンと同じように、アメリカに渡って研究活...子どもの精神的発達

  • 日本人に問われていること

    『産経新聞』(2022.5.16)「正論」に防衛大学の神谷万丈教授が『ウクライナ人の「決意に学べ』を執筆されていました。後半部分を転載します。国際社会は中央政府を欠いたアナキーの状況にある。国内社会では強者による不当な「力による現状変更」は、政府により元に戻されることが期待できる。だが国際社会ではそうではない。強者が力で変更した現状は、特にその力の行使が限定的で人的犠牲が少なかった場合には、国際社会から追認されてしまうことが多い。ウクライナでいえば、今回の戦争が始まる前のクリミアの状況はそれに近いものだった。そして、もしウクライナ人が独立よりも命が助かることを優先してロシアに降参していたら、傀儡政権が樹立され、その状況はしぶしぶではあっても世界から事実上受け入れられてしまっていたことだろう。それを阻んだのがウク...日本人に問われていること

  • LGBT条例 不幸せな結末

    『産経新聞』(2022.5.15日)に麗澤大の八木俊次教授が「LGBT条例不幸せな結末」の題で執筆されていた。頭の部分と後半部分を転載します。昨年5月、自民党で検討されていた「LGBT理解増進法案」に対し異論が続出し、国会提出が見送られたことは記憶に新しい。わかりやすく説明すれば、身体は男性でも、自分で女性であると認識(性自認)するならば、周りの者は、その人が銭湯で女湯に入ることを認めなければ「差別」と非難されてしまうというのが「法案」の論理たった。この種の問題は、一般の人たちを「差別」と糾弾するのではなく、より慎重に議論することが重要であり、「法案」が潰れるのはやむを得ないことだった。しかし今、この「法案」の焼き直しのような「性の多様性に係る理解増進に関する条例(仮称)」の制定が、埼玉県議会で進められている。...LGBT条例不幸せな結末

  • 『LGBTQ運動の歴史』①

    『LGBTQ運動の歴史』(マーシュー・トッド著)以下抜粋です。今日、同性愛行為を違法とみなしている国々の多くは、アフリカのキリスト教国かイスラム教国だ。国家が同性愛嫌悪の制裁を行い、それが地球規模に拡大したのはイギリスのバガリー法[男性を対象とし、同性問の性行為を禁じた。最高刑は死刑だった]がきっかけだった。この法は一五二三年にイギリス国会で成立し、大英帝国の拡大とともにその領土に広まった。一八六一年にはゲイ間の性行為が処刑から投獄へと減刑された。一八八五年には、英国会議員のヘンリー・ラブシェールが刑法改正法の制定を推し進め、男性同士の性行為はいかなるものも、二年の投獄を科せられるようになった。第二次世界大戦(兵士がゲイと判明すると除隊となり投獄された)終戦三年後の一九四八年には、アメリカの性科学者アルフレ・ド...『LGBTQ運動の歴史』①

  • インクルーシブ

    『生きのこるための「失敗」入門』(雨宮処凛著)を読んでいたら「インクルーシブ」という言葉があった。Goo辞典には「インクルーシブの意味―[形動]包含しているさま。すべてを含んでいるさま。包括的。」とある。ネットで調べるとインクルーシブふくおか(chips.jp)より以下転載。「仲間はずれにしない」、「みんないっしょに」という意味です。英語で「エクスクルージョン(exclusion)」=「排除」の反対語が「インクルージョン(inclusion)」。つまり、「排除しない」ってことだよ。私たちは、「障がいのある子どもたちが、健常な子どもたちと共に学び、共に生活して行くことが当たり前」という社会になってほしいと願って活動しています。大人になっても、みんながお互いに認め合って、障がいのある人が地域の中で生活し、仕事をした...インクルーシブ

  • パーソナリティ障害とは②

    『パーソナリティ障害とは』(講談社現代新書・2012年11月16日・牛島定信著)の続きです。パーソナリティ障害を、①スキゾイド、②サイクロイド、③妄想性、④反社会性、⑤境界性、⑥自己愛性、⑦回避性、⑧強迫性、⑨演技性と分けて、①は周囲との関わりを避ける人達で、自我が未統合でるので、人と接触して自我がバラバラになることを避けている。チームプレーが不得意。②は社交性が特徴だが、それは一体化願望からくるもので、できないとキレてしまう。③は対人接触に異常な程の疑惑・猜疑・不信があり、人と仲良くすることが難しい。④は規範意識の欠落に由来する反社会行動である。⑤は見捨てられることを不安とする。⑥は自分を特別な存在と思い込んでいることから、誇大的自己、賞賛されたい欲求、他者に対する共感性の欠如がある。⑦は低い自己評価から引き...パーソナリティ障害とは②

  • パーソナリティ障害とは①

    少し古い本ですが『パーソナリティ障害とは』(講談社現代新書・2012年11月16日・牛島定信著)を借りてきました。前書きに次のようにあります。精神医学で、パーソナリティ障害といえば、境界性パーソナリティ障害を思い描くのが一般的である。それほどに、境界性パーソナリティ障害は精神科医の頭のなかを占領している。手首を切る若い女性が臨床現場で姿をみせるようになったのは、一九七〇年代になってからである。病棟で一人が手首を切ると、伝染病のごとくに、近くの女性が切りはじめる状況を前にして、精神科医は慄然としたものであった。まもなくすると、手首自傷症候群(リストカッティッグーシンドローム)なる状態が欧米諸国にあることが日本にも伝わった。新しい病態の出現だと心を引き締めていると、アメリカ精神医学会は新しい疾患分類であるDsMlm...パーソナリティ障害とは①

  • 婿入婚

    『新社会学辞典』からの用語です。婿入婚/嫁入婚日本の伝統的な婚姻は,成立儀礼のあり方および当初の婚舎の所在を基準にして、婿入婚と嫁人婚の2類型に大別される。婿人婚とは、婚姻成立儀礼を妻方で行い、そのまま婚舎を一定期間妻方においたあと、引き移りの儀礼を行って婚舎を夫方に移す形態をいう。その間妻は実家にとどまり夫は訪婚の形をとるので、一時的妻訪い婚ともよばれる。訪婚期間は数力月から二十数年にも及ぶことがあるが、婚舎を夫方に移す時期は、夫の両親が子女の身のふり方を決めて隠居屋に退く条件が整ったとき(このことは引き移りと同時に妻が主婦の地位を占めることを意味する)など、一般に夫方の家の事情によって決まる。その他、岐阜県白川村などにみられた終生訪婚を続けるものや、年期婿のように婚舎を妻方におく一定期間は夫もそこに同居する...婿入婚

  • 冥婚

    『新社会学辞典』を閲覧していたら、次の用語があった。冥婚生者ではない者を配偶者にする婚姻の一形態で、死者同士の場合もある。よく知られてい事例は、アフリカのスーダン地方に住む遊牧民ヌア―の幽霊婚である。正式の子孫(男子)をもたずに死んだ男のためにその親族は正式に花嫁を娶ってやり、死者の兄弟とどと暮らして生まれた子どもを後継者とする。それによって財産の相続がなされ,死者たる夫=父は父系系譜に連なり、リネージも創設できることになる。台湾でも未婚のまま死んで正家では祀られない子女のために「鬼人連婚」をして、配偶者となった男性に位婢を祀ってもらえるようにする婚姻儀礼がある。韓国でも、あの世の幸せを願う親が、未婚で死んだ娘に花婿(死者)を見つけ結婚させる慣習がある。いずれも単に個々の霊の慰撫だけではなく,社会的・法的な婚姻...冥婚

  • 炎上社会を考える④

    『炎上社会を考える-自粛警察からキャンセルカルチャーまでか』(中公新書ラクレ新書・2022/1/7・伊藤昌亮著著)の続きです。オリンピック直前の辞任・解任騒動二〇二一年七月、東京オリンピック・パラリンピックの開会式の楽曲の作曲担当者だったミュージシャンの小山田十五が辞任するという騒動があった。一九九四年一月号の雑誌『ロッキング・オン・ジャパン』、および九五年八月発行の『クイック・ジャパン』などのインタビュー記事で、十代のころにいじめに関与していたこと、とりわけ障害のある生徒へのいじめに加担していたことを語っていた件が問題視され、それを受けてのものだった。この件は一部ではかねてより問題視されていたものだったが、小山田が作曲担当者の一人であることを大会組織委員会が七月一四日に発表すると、批判の声があらためてSNSに...炎上社会を考える④

  • 炎上社会を考える③

    『炎上社会を考える-自粛警察からキャンセルカルチャーまでか』(中公新書ラクレ新書・2022/1/7・伊藤昌亮著著)の続きです。次は「バイトテロ」です。バイトテロ騒動をめぐる炎上とくに二〇一〇年代以降、SNSの普及とともに炎上騒動が相次ぎ、頻繁に世を騒かせるようになったが、そうした動かの端緒となったのは、いわゆる「バカッター」による一連の「バイトテロ騒動」たった。若者たちがアルバイト先などで悪ふざけをしている様子をスマートフォンで撮影し、SNS、とりわけツイッターに投稿したところ、それが広く流出してしまい、激しいバッシングを受けるに至るというものだ。二〇一一年ごろからこうした事例が増えていき、一三年にはピークを迎える。とりわけその夏ごろはコンビニエンスストア、ハンバーガー店、そば店、ステーキ店、ピザ店、スーパーマ...炎上社会を考える③

  • 炎上社会を考える②

    『炎上社会を考える-自粛警察からキャンセルカルチャーまでか』(中公新書ラクレ新書・2022/1/7・伊藤昌亮著著)の続きです。第1章「自粛警察と新自由主義」からの転載です。同調圧力と生き残り圧力の間でこうして2000年代前半の日本では、規制改革、行政改革、経済制度改革、さらに司法制度改革など、新白由主義的な諸改革が急速に進められていった。一方でインターネットが普及し、情報化とグローバル化の大波が押し寄せてくるなか、それらの動きが相乗し、変革の波が社会の隅々にまで及んでいく。その過程でわれわれの日常は、それまであまり馴染みのなかった多くの語彙に取り巻かれることになった。リスク、セキュリティ、自己責任、ガバナンス、コンプライアンス、市民裁判、内部告発、厳罰化、などなどだ。これらの語彙はいずれも、市煬主義のもとでの自...炎上社会を考える②

  • 炎上社会を考える①

    『炎上社会を考える-自粛警察からキャンセルカルチャーまでか』(中公新書ラクレ新書・2022/1/7・伊藤昌亮著著)、興味深く読みました。本書の執筆について、著者は下記のように記しています。社会学者のD・メイヤJとS・タロウはかつて、デモなどの社会運動が特異なものではなくなり、日常茶飯事として絶え間なく繰り返されるようになった社会を「社会運動社会」と呼んだ。そうした見方に倣えば、今日の社会は「炎上社会」と呼ぶことができるだろう。だとすれば必要なことは、炎上という現象について考えることよりも、むしろ炎上社会という現象について考えることなのではないだろうか。そうした問題意識のもとで書かれたのが本書だ。つまり本書の意図は、炎上という現象の構造を分析することではなく(そのための研究にはすでに優れたものがさまざまにある)、...炎上社会を考える①

  • ウニコット用語辞典③

    『ウニコット用語辞典』からの引用です私は一人でいる独りでいる(いられる)能力(thecapacitytobealone)とは、情緒的成熟と密接に関連した、安心して孤独を楽しんでいられる力のこと。ウィニコットによって分析されるまでは、独りでいることに対する恐怖や、独りになりたい願望については論じられていても、ひきこもり状態とは異なる、独りでいられることの陽性の側面についてはほとんど言及されてこなかった。独りでいられる能力とは、母親と父親との三者関係、幼児と母親との二者関係よりもっと早い時期である一者関係にまでさかのぼる。多くの子どもは、子ども時代を脱するより前に孤独を楽しめるようになり、さらには孤独をかけがえのない財産として大切にすることさえある。母親を自己に内在化することで、やがて幼児はしばらくは独りでいること...ウニコット用語辞典③

  • ウニコット用語辞典②

    『ウニコット用語辞典』からの引用です。「移行対象」についてです。移行対象(transitionalobject)とは、過渡対象とも呼ばれる、乳幼児が特別の愛着を寄せるようになる毛布、タオル、ぬいぐるみ等を指す。その主たる機能は、母親との分離などのストレスフルな状況で、母親やその乳房の象徴的代理として、子に安心を与え、情緒を静穏化するところにある。乳幼児は、移行対象を触ったり口にくわえたりすることによって安心感を得るが、ウィニコットによれば、こうした対象は、乳幼児が「自分は万能ではない」という現実を受け入れていく過程を橋渡しし、母子未分化な状態から分化した状態への移行を促すものである。この意味で、移行対象は幼児の精神発達上重要な働きをしている。一般的に絶対的依存期から相対的依存期の過渡期である移行期(6ヶ月~1歳...ウニコット用語辞典②

  • ウニコット用語辞典①

    娘がお産のため帰郷して、1月28日に出産、そして同じ市内に住むこととなった。私は、出産以来、幼児の成長を興味深く観察している。その観察の手引書は『ウニコット用語辞典』だ。400ページあるので、いろいろと参考になる。ウィニコツト(1896-1971)は、40年間で6万例の幼児を見て、幼児の成長に関することを著書と200を超える論文を執筆し発表された方です。「ほどよい母親」「移行対象」「一人でいられる能力」などの概念が有名です。ほどよい母親(goodenoughmother)とは、適度の心身の世話によって、快適な環境と、対象としての恒常性を与える母親およびその機能のことで、ほどよい母親になれない例として、強迫的に自己に没頭して幼児に関心を向けられない母親、また幼児に過度に没頭しすぎて同一化し、そのあと急に撤退する母...ウニコット用語辞典①

  • 第四の消費 つながりを生み出す社会へ③

    『第四の消費つながりを生み出す社会へ』(朝日新書・2012/4/13・三浦展著)の続きです。人生の意味を求める消費物、空間をつくっては壊してきた第二、第三の消費はまさに「浪費」使いすぎる消費、使い捨てる消費は浪費使った後に疲れきって余力がないのは消耗第四の消費は、自分を完全なものにする、自分を回復させる、あるいは充実した時間を過ごすためのもの。適度な適切な消費。時間や人生の消耗ではなく、時間と人生の充実⇒人生の成就楽しさからつながる嬉しさへ本の消費社会」を4つの段階に分けて概観し、最新の消費社会の状況(第四の段階)と将来について考察。目からウロコが落ちるような指摘が多く、とても面白く読了した。本書によると、何を買ったかという物に力点が置かれた第三の消費社会までとは違い、第四の消費社会においては人に力点があり、物...第四の消費つながりを生み出す社会へ③

  • 時代にはその時代の物語がある

    本願寺出版社が発行している「大乗」(2002.5月号)掲載の「フオーカス仏教ライフ」に「時代にはその時代の物語がある」を執筆しました。執筆者無記名の記事ですが、執筆者無記名の記事は、それなりに虚栄心をくすぐるものがあります。こうした記事を書くときに、いつも書いている雑学がその真価を発揮します。以下転載です。時代にはその時代の物語がある。戦後、高度成長とともに、商品やサービスを買うことが、豊かな生活の源であり、家族の豊かさも必要なものをそろえていくという「希望の達成」が物語の中心にあった。2006年に話題となった映画『ALWAYS-三丁目の夕日』は、1958年という高度経済成長始動期の東京を舞台としていた。映画のキャッチコピーは、「人びとが未来を信じていた時代」とあった。この時代、私たは未来に希望を見出し暮らして...時代にはその時代の物語がある

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