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2018/07/29

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  • 服従の心理②

    『服従の心理』(2008.11・ストランレー・ミルグラム著・山形浩生翻訳)からの転載です。でも読者は、この実験についてもう少し詳細を知る必要がある。二人の人物が、記憶と学習に関する研究に参加すべく、心理学の研究室にやってくる。一人が「先生」役に指名され、一人が「学習者」役となる。実験者は、この研究は罰が学習に与える影響を調べるものだと説明する。学習者は一室に通されて、椅予にすわらされ、両腕は動きすぎないように縛りつけられ、手首に電極がつながれる。そして、対になった単語の一覧を覚えるよう言われる。まちがえたら電撃が与えられ、それかだんだん強くなる。実はこの実験の本当の関心対象は、先生役のほうだ。学習者が縛りつけられるのを見たあとで、先生役は主実験室につれていかれ、大げさな電撃発生器の前にすわらされる。大きな...服従の心理②

  • 善の自己拡散性

    本願寺出版社刊『大乗』(2022.8月号)が届きました。執筆した「フオーカス仏教ライフ」“善の自己拡散性”が掲載されています。執筆原稿です。「善の自己拡散性」という概念がある。中世ヨーロッパの神学者、トマス・アクィナス(1125年頃-1274)が説いている。太陽は自らの光や熱を独占せず、自ずと周囲へと分け与えていく。また、泉は滾々と湧き上がる水を独占することはなく、自ずと河となって溢れ出て、周囲をも潤していく。このように、優れたもの・充実したものは、自らの卓越性や充実を自らのうちのみに独占することなく、周囲へと拡散させていくという。(『トマス・アクィナス――理性と神秘』(山本芳久著)この「自己拡散性」という言葉に接して、阿弥陀仏のご本願を連想された方も多いと思う。ご和讃に無漸無愧のこの身にてまことのこころ...善の自己拡散性

  • ご法話

    昨28日、三月お彼岸以来の法話出講。君津市光明寺でした。5月の永代経法要から法座を再開されたとのことで、いつもは冷暖房がきいた会館での開催でしたが、本堂でのご法話でした。最初、お聞きしたときは「暑いなー」(冷暖房がないので)と思いましたが、風通しも良く、その風を受けて「あ、コロナ感染を意識され、空気が澱まない本堂を選ばれた」と本堂開催の真意を理解しました。一席と聞いていたので「何分話しましょうか」ときくと「小一時間で」とのこと。時間が短ければ短いほど良いと思っているので、小一時間を何分にするか迷いましたが50分で終了しました。話の基本を大雑把に決めての思いつくままの法話でしたが、これはこれで良かったと話し終えてから思いました。いつもは70~80人の方が参拝されているご寺院でしたが、25名ほどの参詣でした。ご法話

  • 「伝わる伝道」に注力 本願寺派

    『中外日報』(2022.7.20日号)に【「伝わる伝道」に注力本願寺派】という記事が出ていました、転載します。「伝わる伝道」に注力本願寺派「研究・実践」ヘチーム本願寺派が「伝わる伝言」の取り組むきっかけとなったのが、真宗教団連合が2017、18年に行った「浄土真宗に関する実態把握調査」だ。教えのキーワードといえる「他力」や「悪人正幾」等の意味が真宗の門信徒でも2、3割にしか理解されていなかった。また本願寺派は、20年5~12月にかけて「新型コロナウイルスの感染拡大に伴うすべての人へのメッセージポスターを毎月公開し、併せて一般の人々にアンケート調査を実施した。その結果、全体の約65%が心に響かなかった、約70%が言葉の意味が分からなかったと回答。世代別に見ると20代を筆頭に今後の寺院護持や仏事を担う20~5...「伝わる伝道」に注力本願寺派

  • 無力感が生まれる

    『民間療法は本当に「効く」のか:補完代替療法に惑わされないためのヘルスリテラシー』(2022/6/10・大野智著)の続きです。選択肢は多ければ多いほどよい?「選択のパラドックス」という言葉を聞いたことはありますか?多くの人が、選択肢が増えることは自由度か増すことを意味し、人はその分幸せになれると恣っているかもしれません。しかし、選択肢が増えることが必ずしも幸せにつながるわけではない、と米国の心理学者バリー・シュワルツ氏は説きます。選択肢が増えることによる悪影響については、次のふたつを指摘しています。・無力感が生まれるーあまりにも多くの選択肢があると、人は選べなくなってしまい無力感を感じる。・満足度が下がるー無力感に打ち勝って決断を下したとしても、選択肢が多いと選択肢が少ない場合と比べて自分が選んだ選択肢へ...無力感が生まれる

  • 民間療法は本当に「効く」のか

    『民間療法は本当に「効く」のか:補完代替療法に惑わされないためのヘルスリテラシー』(2022/6/10・大野智著)、著者について、本の紹介に次の様にあります。補完代替医療や健康食品にくわしく、厚生労働省「『統合医療』情報発信サイト」の作成に取り組むほか、日本緩和医療学会ガイドライン統括委員(補完代替療法分野担当)も務める。著書に『健康・医療情報の見極め方・向き合い方』(大修館書店)などがある。(以上)内容は、主にサプリメントやがん疾患等の民間療法の問題点について記されています。特にサプリメントの広告、有名人を使ったり過大広告、広告の問題点などが記されています。その当り、2点転載します。数字のトリック「しじみ五○○個分のオルニチンが一粒に凝縮」「これ一本で食物繊維がレタス2個分」このように比較対象となるもの...民間療法は本当に「効く」のか

  • Hey! Bouz(ヘイ!ボウズ)

    『月間仏事』(2022.4月号)に、「Hey!Bouz(ヘイ!ボウズ)」というマッチングサービスが紹介されてしました。以下は記事からの転載です。「お坊さんと話してみたいけど、会える手段がわからない」。そんな人と僧侶をインターネット上でつなぐマッチングサービスが誕生した。サービス名は「Hey!Bouz(ヘイ!ボウズ)」。利用者は会員登録をし、「お坊さんとおしゃべり」「お坊さんのお寺に行く」「お経を読んでもらう」から選択。希望の条件やメッセージを入力すると、登録された僧侶の中で、承諾した人の情報が届くという仕組みだ。現在、登録している僧侶は京都を中心に6都府県の約30人。実際にサービスを提供している株式会社ブイ・クルーズ(京都)の阿久津泰紀社長と、サービスに登録している浄土宗龍岸寺の池口龍法住職に、開発のきっ...Hey!Bouz(ヘイ!ボウズ)

  • シルバー川柳ベストセレクション

    『シルバー川柳ベストセレクション』(2021/11/4・公益社団法人全国優良老人ホーム協会)からです。おいー!おまえ!いっしか妻の名を忘れ佐藤優子・女性・宮城県・48歳・第2回無病では話題に困る老人会井上栄一・男性・千葉県・74歳・無職・第7回驚いた(惚)ホれると(惚)ボけるは同じ文字原好英・男性・静岡県・82歳・無職・第7回アルバムに遺影用との付箋あリ鈴木冨士夫・男性・埼玉県・65歳・自営業・第15回温かく迎えてくれるは便座のみ圓崎典子・女性・茨城県・53歳・パート・第17回シルバー川柳ベストセレクション

  • 浄土真宗の「見える化」

    『本願寺新報』(2022.8.1号)、お盆特集号、一面のコラム「赤色白光」、無記名ですが、執筆した号が届きました。お盆は、み教えを伝えてくださったご先祖や、今は亡き方々を追慕する時節だ。都会に住む人や若い世帯は、おイム壇がない家も多く、日頃は先祖とのつながりに触れることのない家庭も多い。▼社会学辞典には、先祖を追慕する機能についで、「親族統合の機能」「先祖の恩徳に感謝し、家・維持への動饑づけ・機能」「個々の子孫を社会的に根拠づけ、実存的位置づけをもたらす自己認識・機能」などとあった。イエを相続するといった考え方が希薄になった現代でも、「先祖があればこそ私かいる」ということは素直にうなずけることだろう。▼ところで近年、「見える化」という言葉をよく耳にする。「見える化」をタイトルにした本も多く出版されている。...浄土真宗の「見える化」

  • 権威への服従

    一週間前に「六次の隔たり」について紹介しました。アメリカの社会心理学者スタンレー・ミルグラムが提唱した概念です。こうした興味深い概念は、原書から引用することが重要です。県立図書館にスタンレー・ミルグラムが記述した論文の翻訳がありました。コラム原稿で使うかどうかは定かでないのですが、メモとしてアップしておきます本の題名は『リーディングスネットワーク論―家族・コミュニティ・社会関係資本』(2006/8/1・野沢愼司翻訳)の所蔵の「小さな世界問題―スタンレー・ミルグラム・野沢愼司・大岡栄美訳」です。スタンレー・ミルグラムは世界的な著名な社会心理学者ですが1984年51歳の若さで逝去されています。一躍有名にした論文は学生時代に実施した「権威への服従」です。心理学を少しでもかじったことのある人は、読んだことのある、...権威への服従

  • 孤独なボウリング―米国コミュニティの崩壊と再生②

    『孤独なボウリング―米国コミュニティの崩壊と再生』の続きです。テレビがもたらした娯楽の変質テレビの急激な普及は「自動車以上に日々の過ごし方を変化させた」。1965年からの30年間でアメリカ人の余暇時間は週当たり平均6時間増加したが、そのほとんどはテレビ視聴に吸収された。かつて野球場や映画館などで集団で楽しむものだった娯楽は、家庭で個別に楽しむもの(テレビ視聴)に変化したとある。家族関係の希薄化―しかし家庭での人間関係はテレビによって希薄になった。テレビの複数台所有の増加等の影響もあって、テレビは家族と一緒にでなく1人で見るものとなった。テレビ視聴時間は夫婦の会話時間の3~4倍に達し、また8~18歳の子供では、テレビ視聴の5%しか親は同伴しておらず、3分の1以上は完全に1人での視聴となっている。テレビのメデ...孤独なボウリング―米国コミュニティの崩壊と再生②

  • 孤独なボウリング―米国コミュニティの崩壊と再生

    2000年に刊行された『孤独なボウリング―米国コミュニティの崩壊と再生』において、社会的な資本には、「物的資本」「人的資本」そして「社会関係資本」の3つがあり、1970年代以降の約30年の間に、アメリカ人の自発的結社への参加が減少し、アメリカ全体の社会関係資本が衰退していることに警鐘を鳴らしている。タイトルにも使われている「ボウリング」は、パットナムの議論は象徴的な表現で、アメリカでは1980年から1993年の間にボウリングを楽しむ人は10%増加したが、クラブに所属してボウリングをする人は40%減少した。1人でボウリングする人の増加は、。「ボウリングチームは消えゆく社会関係資本」を示す象徴的事例として表現している。パットナムは、社会関係資本の内容を、異質な者同士を結びつけるブリッジング(橋渡し型)と、同質...孤独なボウリング―米国コミュニティの崩壊と再生

  • 「死刑になりたくて、他人を殺しました」 無差別殺傷犯の論理

    『「死刑になりたくて、他人を殺しました」無差別殺傷犯の論理』(2022/5/19・インベカヲリ著)、図書館の新刊コーナーにあった本です。死刑に何らかの形で関わりのある人9人から取材した内容をまたとたものです。第1章加害者家族を救う人、阿部恭子(NPO法人WorldOpenHeart理事長)に次のようにあります。たとえば二〇〇八年、秋葉原の交差点に2トントラックで突っ込み、通行人をダガーナイフで殺傷し、七人を殺害、十人に重軽傷を負わせた「秋葉原無差別殺傷事件」が起きた。その犯人である加藤智大の家族は、事件後に父は職場を追われて自宅に引きこもり状態となり、両親は離婚。母は精神を患い精神科へ入院、弟は自ら命を絶っている。こうしたことは、世間の圧力が強い日本特有のことらしい。たとえばアメリカでは、親は親、子は子と...「死刑になりたくて、他人を殺しました」無差別殺傷犯の論理

  • 人口減少社会と寺院: ソーシャル・キャピタルの視座から

    『人口減少社会と寺院:ソーシャル・キャピタルの視座から』(2016/3/10・櫻井義秀編集),川又俊則編集)、これまた購入して読みましたが、あまり得るものはありませんでした。櫻井義秀執筆「人口減少社会と宗教」からの転載です。それに対して、日本では国家や政治家、公務員への信頼度はかなり低いと言わざるをえないが、他面、行政的サービスや政府の経済政策に頼る意識は強い。日本の福祉は宗教団体による社会事業ではなく、行政による社会福祉である。その結果、日本人が宗教に求めるものは世俗的な給付よりも心理的な安寧や瘋し、高度な精神的充足感に変わってきた。宗教は宗教そのものの価値から評価されていると考えれば、日本における世俗化は、宗教の社会的役割加減少したことに加えて、日本人の宗教性そのものに変化が生じている可能性があるとい...人口減少社会と寺院:ソーシャル・キャピタルの視座から

  • 「都市の正義」が地方を壊す 地方創生の隘路を抜けて

    『「都市の正義」が地方を壊す地方創生の隘路(あいろ)を抜けて』(山下祐介著)、これも購入して読みましたが、「過疎地の寺院活動」と云う点では、得るものがなかったです。少子化や人口の東京一極集中が止まらない原因は何か、それを克服するためには何が必要か、について書かれた本ですが、国が行っている地方創生の内容と欠点が説かれ、「都市の正義」が問題だという論点です。都会の正義とは何か、少し転載します。三本の矢という支援-―-―専門家派遣など政府が行っている人材支援についてもふれておきたい。政府は、地方創生事業を推進するにあたって、その支援として「三本の矢」を用意している。すなわち、「情報支援の矢」(地域経済分析システム・ESASとDMOへの情報支援)、「人材支援の矢」(地域創生リーダー、コンシェルジュ、人材支援制度)...「都市の正義」が地方を壊す地方創生の隘路を抜けて

  • ソーシャル・キャピタル入門―孤立から絆へ

    『ソーシャル・キャピタル入門―孤立から絆へ』(稲葉陽二著)読書後の感想です。ソーシャル・キャピタルとは、人々の間の協調的な行動を促す「信頼」「互酬性の規範」「ネットラーク(絆)」をソーシャルキャピタルといい、日本語で社会関係資本という。過疎地の寺院における財産といえば、「絆」のみを言った状態です。その絆が、その地域に有用性をもたらすのか。そうした疑問を持って読みました。結論は、得るものは無かったという事ですが、それは本が不完全だという事ではありません。折角読んだので、少し転載しておきます。パットナムは1993年に刊行した『哲学する民主主義』で、社会関係資本の定義を「協訓的行動を容易にすることにより社会の効率を改善しうる信頼・規範・ネットワークなどの社会的仕組みの特徴」とした。この定義が、「特徴」と述べるだ...ソーシャル・キャピタル入門―孤立から絆へ

  • 六次の隔たり

    少し古い本ですが『ソーシャル・キャピタル入門―孤立から絆へ』(稲葉陽二著)を購入しました。9月に受けている関西地区での研修会で、「過疎地に於ける寺院活動」をテーマに話してくれと言われ、本を読みあさっています。まえがきに「六次の隔たり」のことが記載されていました。アメリカの社会心理学者スタンレー・ミルグラムが提唱した概念です。ネットから紹介してみます。現在は知り合い5人を介せば、どんな有名人でも会うことができる。-GoodLifeJournal(goodlife-journal.com)六次の隔たりとは「世界中の人間の中からAさんとBさんという2人を取り出したとき、2人を媒介する知人を何人つなげばこの2人がつながるか?」という問いと、それに対する答え「どこに住んでいるのかに関わらず、無作為に選ばれた個人Aさ...六次の隔たり

  • 8度の水温

    私が住職をつとめる西方寺の法話会は、毎月3日です。仲間の2人が、1日.2日と法話会を開催しているので、1~3日と、ご講師を選りすぐって招聘しています。それで毎月1日は、ご講師を囲んでの食事会、2日は、時にはご講師からテーマを決めて講義をして頂いたり、おおからは柏市になるスーパー銭湯で、湯に浸かり、マーサージをして頂いてから飲み会です。そのスーパー銭湯が廃館になったので、どうしたものかと思っていたら、2022年(令和4年)4月27日に、おおたかの森駅より徒歩3分の日帰り温泉がオープンしました。それで一昨日、仲間と偵察を兼ねて利用しました。平日なのに若者で一杯で繁昌している様子。浴槽も、露天岩風呂・源泉不感炭酸泉、・あつ湯風呂・腰湯・ちびっ子温泉等数か所など、色々ありました。サウナも3ヶ所、水風呂も3ヶ所あり...8度の水温

  • インド宗教興亡史②

    『インド宗教興亡史』(ちくま新書・2022/6/9・保坂俊司著)のつづきです。二度目の悟りと梵天勧請伝統的な出家修行者としての修行の完成者、つまりバラモン教徒としての修行完成者の状態に留まっていたゴータマ・シッダールタだったが、この自己中心の悟り状態つまりバラモン教的、修行者的な境地を脱し、自らの悟りを言語化し、他者に伝えるという困難な行動へと歩みを進めることになる。これが第二の悟り体験、つまり仏教的な悟りの完成である。バラモン教徒の修行者としてのショダールタから、新たに仏教の開祖としての修行完成者になるストーリーの主役は、バラモン教の主神であるブラフマン(梵天)だった。ブラフマンは、「尊い方よ。尊師は教えをお説きください。幸ある方よ、教えをお説きください。この世には生まれの良く、汚れの少ない人々がおりま...インド宗教興亡史②

  • インド宗教興亡史①

    『インド宗教興亡史』(ちくま新書・2022/6/9・保坂俊司著)を借りてきました。その中に釈尊は2度悟ったとあります。その2度目の覚りは、お悟り後の梵天勧請のことです。その部分を転載しています。ゴータマ・シッダールタ一度目の悟り「梵天勧請」は、ブッッダの悟りの瞬間を経典にしたもので、経典の成立はやや時代が下がるとされるが、仏教の根本思想を象徴する教えとして広く普及してきた。仏教が世界展開存共栄の道を実現できた思想構造は、この教えにある。その原典『梵天勧請経』(パーリ語)に則って、簡単に紹介しよう。実は、この経典には、ブッダの思想が完成する過程が明確にあらわされており、さらに、後の仏教の思想的展開の原型も象徴的に表れていて、極めて興味深い内容である。六年に及ぶ苦行を放棄し、自らの道に歩み出たゴータマ・シッダ...インド宗教興亡史①

  • 不可能性の時代

    『不可能性の時代』(岩波新書・2008・大澤真幸著)、少し古い本ですが、他の本で紹介されていたので借りてきました。現代の「閉塞感」現代社会を診断するときに、よく「閉塞感」という言葉が使われることがある。不思議なもので、「現代は閉塞感に覆われている」というとき、何だかよく分からないけれど、なんとなく当たっているような気がする。確かに私たちの社会には「閉塞感」がある。ではこの「閉塞感」とは、一体どういうもので、なぜ生まれてきたのか。すぐにわかることは、この「閉塞感」は単なる表面的な現象ではないということである。たとえば「日本経済がこれ以上成長しない」とか「働きたいけれど職がない」というような個別的な問題ではない。もっと根深く、もっと社会の原理的な問題なのである。大澤真幸がオウムサリン事件から3・11までの間に...不可能性の時代

  • 大きな物語の終焉④

    「大きな物語の終焉」の続きですが、『社会倫理学講義』(有斐閣アルマ・稲葉振一郎著)からの転載です。私は「生きる意味」「人生の意味」とでもいうものについて話をしているのだ。価値に関する実在論をとるということは、人の生きる意味というものが客観的な事実としてあるのだ、というに等しい。ただそれが、はたしてどのような種類の、それこそどのような意味における「意味」なのか。これは自明ではない。かつて,この問題は「大きな物語」という言葉づかいで語られた。私たちは結昧近代倫理学の話をしてきたわけだが,近代人の心をとらえた歴史観というものがあり,それは少なからぬ人々に歴史のなかでの自分の人生の意味を与えてくれるものに見えた。いわゆる進歩史観というやつである。啓蒙史観といってもかまわないだろう。人類の歴史は,より多くの知識,そ...大きな物語の終焉④

  • 大きな物語の終焉③

    『文学部の逆襲―人文知が紡ぎ出す人類の「大きな物語」』(ちくま新書2021.10・波頭亮著)の続きです。大きな物語物語という言葉がついた「GrandNarrative:大きな物語」という哲学の用語である。ある時代の人々が共有するあるべき世の中の姿を含意した物語のことで、20世紀後半のフランスの哲学者シャンHフランソワーリオター上が『ポストモダンの条件』という著作の中で提示した。ここで言う「大きな物語」とは、あるべき世の中の姿とは社会を構築する上での基本思想となる価値観とその社会を運営していくための仕組みや法・制度といった社会運営の方法論から構成されており、世の中は「大きな物語」によって組み立てられ営まれて歴史は進んでいく。時代によって法律や権力機関といった世の中の仕組みも、豊かさの意味や望ましい人生のスタ...大きな物語の終焉③

  • 大きな物語の終焉②

    「大きな物語の終焉」の続きです。『文学部の逆襲―人文知が紡ぎ出す人類の「大きな物語」』(ちくま新書2021.10・波頭亮著)、からの転載です。「文学部の逆襲」とは、近年の人文系学部の惨状(特に2015年の人文系学部の統合問題)について、文学のもつ可能性を持論という形で展開したものです。次のようにあります。具体的に言うと、2015年に文部科学省から「国立大学法人等の組織及び業務全般の見直しについて」という通知が出された。その通知の主旨は、人文系の学部を縮小・廃止して、社会的要請の高い分野(即ち、情報系や工学部系学部)に転換せよというものである。有り体に言うと、哲学や文学や歴史学をやっていてもGDPの成長や企業競争力の強化に役立だないので、人文系への資源投入(ヒトとカネ)を止めてITや工学といった経済に直接貢...大きな物語の終焉②

  • 大きな物語の終焉①

    「大きな物語の終焉」、この言葉は、20世紀後半のフランスの哲学者シャンHフランソワーリオター上が『ポストモダンの条件』という著作の中で提示した言葉です。本を借りてきましたが、直接「大きな物語の終焉」とダイレクトに翻訳された言葉は見当たりませんでした。それらしきところを転載しておきます。科学はみすからのステータスを正当化する言説を必要とし、その言説は哲学という名で呼ばれてきた。このメタ言説がはっきりとした仕方でなんらかの大きな物語--《精神》の弁証法、意味の解釈学、理性的人間あるいは労働者としての主体の解放、富の発展に依拠しているとすれば、みすからの正当化のためにそうした物語に準拠する科学を、われわれは(モダン》と呼ぶことにする。だから、例えば、真理の価値をもつ物語に準拠する科学を、われわれは「モダン」と呼...大きな物語の終焉①

  • 不条理を乗り越える: 希望の哲学③

    『不条理を乗り越える:希望の哲学』(平凡社新書・小川仁志著著)に紹介されている本を中心に転載します。近年だと、南アフリカの哲学者デイヴィヨド・ベネターが、『生まれてこないほうが良かった-存在してしまうことの害悪』(すずさわ書店、2017年)と卜うタイトルの木を出して、この議論が一般にも知られるようになった。べネターの主張の骨子は、生まれてくると必ず苦痛を経験するなら、人間は生まれてこない方が良い、とするものだ。べネターは、生まれてくることの苦痛と快楽を緻密に比較し、あくまで論理として、そのような結論を導いているのだが、それは実際のデータにも合致しているという。彼自身か指摘するところによると、たとえば、毎日、約2万人が餓死し、毎年、事故によって350万人が死に、2000年には81万5000人か世界中で自殺し...不条理を乗り越える:希望の哲学③

  • 不条理を乗り越える: 希望の哲学②

    『不条理を乗り越える:希望の哲学』(平凡社新書・小川仁志著著)に紹介されている本を中心に転載します。1万年語り継がれる物語繰り返すが、今回のパンデミョクが行き過ぎた資本主義のもたらした結果であることは、多くの識者の指摘するところである。それと同時に、広い意味で自然環境をないがしろにしてきた結果であることも指摘されてきた。もちろん、現代社会において資本主義の過剰な追求は、必然的に環境破壊をもたらすものではある。しかしここでは、まずは環境破壊に向けて話を進めてしく。環境破壊については、ここ数年「人新世」という切り口で語られることか多くなってきたように思う。一般にこの語は、ノーベル賞化学者のパウル・クルッツェンが、2000年頃から使い始めた言葉とされている。地質学の用語で、これまで1万年以上続いてきた完新世が終...不条理を乗り越える:希望の哲学②

  • 不条理を乗り越える: 希望の哲学①

    『不条理を乗り越える:希望の哲学』(平凡社新書・小川仁志著著)、本書の興味深い点は、いろいろな本を紹介している点です。特に日本に生きる我々が陥りがちな「自己肯定感」の欠如について、著者は次のように述べます。「その背景には、社会が高い基準を設定しがちなのに加え、それに合わせなければならない、という日本独自の悪しき集団心理が横たわっているといっていいだろう。」とある。紹介してある本を中心に、メモ代わりに転載しておきます。そのうち何点かは、図書館にリクエストしました。『パンデミック後の世界10の教訓』(日木経済新聞出版、2021年)、著者はアメリカのジャーナリスト、ファリード・ザカリア。ザカリアの『パンデミック後の世界-10の教訓』は、今回のパンデミックがある程度収束してきた頃に、いち早く今後の見取り図を示した...不条理を乗り越える:希望の哲学①

  • 一人でいる能力

    「DAIJO」(大乗)2022.7月号に、下記の「DAIJOフオーカス仏教ライフー一人でいる能力」を執筆しました。現代は、承認の欲望が増幅した時代だといわれる。例えば高度成長時代であれば、一生懸命働くことが、会社や家庭が承認の役割を担ってくれるので承認不安はおきない。しかし、現代のように価値観の多様化が進むと、人は自分に対する自信に揺らぎが起こる。社会心理学者のシーナ・アイエンガーが行った有名なジャムの実験の話がある。スーパーマーケットの店頭にジャムの試食ブースをつくり、ある週末には14種類のジャムを並べ、別の週末には6種類のジャムを並べて、買い物客の反応を探った。その結果によると、14種類のジャムを並べたときには買い物客の約60%が試食したが、6種類のジャムを並べたときには約40%しか試食しなかった。と...一人でいる能力

  • 「若者」とは誰か: アイデンティティの30年

    『「若者」とは誰か:アイデンティティの30年』(河出ブックス61・浅野智彦著)、2013/08出版で少し古い本ですが借りてきました。教育は若者の「自分探しの旅」を支援(1996年中教審)し、彼らのアイデンティティ(自己同一性)の確立をめざす。しかし著者は、アイデンティティ(自己同一性)そのものに疑問を呈している。そして、状況に応じて変化する「多元的自己」の拡大こそ若者の有り様であり、多元的自己であっても、より生きやすい生き方や社会のために生かすことこそ重要だという。本から転載しておきます。若者のアイデンティティがこの30年ほどの問にどのように変化してきたのかをたどってみようというのがこの本の目的である。エリクソン型アイデンティティの困難では具体的にアイデンティティの達成過程は、若者の生活環境にどのように埋...「若者」とは誰か:アイデンティティの30年

  • 死別の社会学

    『死別の社会学』(青弓社刊)2015年5月発行深井敦・有末賢著著書紹介「死別」への社会学のアプローチ方法を整理したうえで、「配偶者との死別と再婚」「介護と看取」「いじめ自死」といった具体的な事例を、インタビューや各種データに基づいて読み解く。個人と社会が死別という経験とどう向き合ってきたのかを浮き彫りにする。著者に記名されているお二人は、共に慶應義塾大学法学部教授です。この本は、二〇〇五年六月二十九日に慶應義塾大学おいて「死と死別の社会学」研究会に始まり、会のメンバーの研究をまとめたものです。東京ビハーラにおいても、しばしばがん患者家族のお話を伺うことがあります。その目的の第一は、死別を体験した家族ご本人が、他人に語るということいを機縁にして、悲しみや苦しみの体験が、自分にとってどの様な意味があったのか、...死別の社会学

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