『ゆきてかへらぬ』 監督:根岸吉太郎 出演:広瀬すず/木戸大聖/岡田将生 明治・大正・昭和をまたぐ時代に生きた、詩人・中原中也(木戸大聖)、文芸評論家・小林秀雄(岡田将生)、女優・長谷川泰子(広瀬すず)の不可思議な三角関係を描いた映画。まだ無名だった頃に知り合った三人は互いに惹かれて行く。 天才詩人ならではの激情的な性格の中原に愛想をつかす長谷川。そんな長谷川の激情的な性格に愛想をつかす小林。長谷川泰子が精神を病むシーンでは、広瀬すずちゃんが甲高い大声でわめく。基本的に静けさを感じる映画なので、館内で騒ぐなよぉ!って引くくらい叫んでいた。そんな広瀬すずちゃんの演技にドキドキワクワクする映画。 …
ピエール・ルメートル「傷だらけのカミーユ」(文春文庫)2016年 身長145cm、パリ警視庁・カミーユ・ヴェルーヴェン刑事3部作の3作目。1作目で精神的にズタズタになってしまったカミーユ。2作目で無理やり捜査に引っ張り出されて気を取り直したカミーユ。3作目でタイトルからして傷だらけのローラ、じゃなくてカミーユって何じゃそりゃ。またしてもダメな邦題だねぇ。 今回はいきなり強盗事件発生、通りすがりの女性が哀れにもその場を通りかかったばかりに、邪魔するなと死ぬ寸前まで痛めつけられるという暴力描写、たまたまその女性を知っていたカミーユはすぐさま捜査に向かう。初っ端からすごいスピード感をもって物語が走り…
『ドライブ・イン・マンハッタン』 監督:クリスティ・ホール 出演:ダコタ・ジョンソン/ショーン・ペン 空港から乗ったタクシーの中での会話がすべて、と言う感じの、面白いのかどうなのかちょっと不安になりそうな舞台設定。だから銃撃戦もカーチェイスもUFOも登場しない。ドライバー(ショーン・ペン)と乗客(ダコタ・ジョンソン)しか出てこないと言っても過言ではない。あとは交通整理の警官などのチョイ役が少し出てくるだけ。ギャラコストパフォーマンス高そう。 大阪のおばちゃんじゃないから、タクシーに乗った途端にしゃべり出したりしないので、話し出すまでの静寂もまた、「あぁ気まずいな」とか観客が勝手に緊張するシーン…
「横浜美術館リニューアルオープン記念展 おかえり、ヨコハマ」@横浜美術館 2021年から大規模改修工事で休館していた横浜美術館が全館オープン。記念の所蔵作品展に行ってきた。改修後の館内には昨年の横トリで入ったので、物珍しさはそれほどない。 今回は以前と展示室の導線が違っているが、矢印で進行方向が示されているので、矢印に沿って進めばあっちかなこっちかなと悩むことも無く会場を一回りできる。 所蔵品展なので見たことのある作品が多いが、たまに新作もあり、たまに未見作品もある。いままでダリの大きな三連作があった場所に、淺井祐介《八百万の森へ》という大きな作品が展示されている。9枚のパネルを並べ替えること…
「生誕120周年 サルバドール・ダリ -天才の秘密-」@横須賀美術館 諸橋近代美術館で昨年開催された展覧会。諸橋には行けなかったけれど、横須賀に巡回して来たので行ってきた。今回はほぼ諸橋の所蔵品だが、時折、他の美術館の所蔵作品も混じっている。マグリットやデ・キリコなどの作品も含めて約120点を展示。4月6日まで開催。2月16日(日)は市制記念日とかで観覧無料らしいぞ。 この美術館は山本理顕設計で2007年に開館、私はようやく3回目の訪問。諸橋ほどではないが、ちょっと行きづらい場所にある。景色がいいので開場時間までは美術館の周りを散歩しながら海を見る。晴れた日の方がいい。美術館の裏山に上ると、三…
ピエール・ルメートル「悲しみのイレーヌ」(文春文庫)2015年 パリ警視庁、身長145cmのカミーユ・ヴェルーヴェン警部、3部作の第1作。でも日本では第2作「その女アレックス」が先に出版されてたようで、私はそんな事情を知らなかったにもかかわらず、多くの読者と同じく第2作を先に読んでしまった。古書店に第2作だけ置いてあったからである。まぬけである。 そのせいで、イレーヌに何が起こるのかを知っていたので、それがいつ来るかいつ来るかと思いながら読むことになる。それはそれで読むのがつらい。そうでなくても「悲しみのイレーヌ」という邦題はダメだ。イレーヌという人が悲しむ物語だと想像できてしまうから。それに…
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