季語は・・・師走尽 師走尽 世はこれすべて 塵芥 【去年の今日】週話§日曜枯寂~2023年大晦日~
季語は・・・神無月尽 蕎麦湯割り 神無月尽き 夜は果つ 【去年の今日】霜話§2023年十一月終了のお知らせ
ああ……一年が、あと一か月で終わってしまう。 ついこの間、換気扇のクリーニングやらカーテンのクリーニングをしたような気がしたのに、もうそのタイミングがやって来ている。 一応ではあるが大掃除もしなくてはならない。少し前から、それまでのように細部までということはせず、安全に手の届く範囲を掃除することに留めるようになった。 人によっては、気候のいい5月に大掃除をしていると聞いたが、やはりそこは年末という区切りにやっておくほうが“気持ち”的には納得できるのだ。 今年も残すところ31日である。 《日常のトピックス一覧》
季語は・・・冬紅葉 宿替えは 朽ちかけけるか 冬紅葉 【去年の今日】弦話§ヤメン・サーディのヴァイオリンを聴く
Good Morning to You! それが“英語”だなどとわかっていたはずもない。 保育園で、朝の最初に園児全員が歌うのが“ハッピー・バースデー”と同じ節の“Good Morning to You!”だった。間違いなく、人生で最初の英語がこれである。 もちろん意味もわからず、単に朝の挨拶のおまじないのような認識で歌っていたのだろう。 “Good Morning dear teacher Good Morning to You!”で終わった後に、日本語で「先生おはようございます!」「みなさんおはようございます!」と元気に挨拶して、プロテスタント系保育園の朝のルーチンが終わるのだ。 そして“Happy Birthday to you!”が元なのだと知ったのはいつのことだっただろうか。 《日常のトピックス一覧》
実家暮らしをしていた頃にピザを食べたか記憶がない。たぶんおそらく、実家の町ではピザを食べていないんじゃないだろうか。そしてそもそも、ピザなる食べ物の存在を知ったのはいつのことだったか。 初めてピザを口にしたのは予備校通いの時ではなく、どうやら無事に大学に入学した後だったことは記憶の端っこに残っている。 その当時、池袋西口に“カプリ”というイタリアンの店があって、同級生と連れ立って食べに行ったのが最初だったのは間違いなさそうだ。予備校時代とは違って、そんな“付き合い”も始まったが、少ない仕送りでどうやってやりくりしていたのか。けっして安い食べ物ではなかったはずだが。 それでもピザは気に入った。好き嫌いは多いほうだが、チーズとトマトの組み合わせが嫌いなはずなどはなく、たちまちに“はまり込んで”しまった。 そうなると食べずにはいられなくなって、それでとうしたのかといったら..
季語は・・・暮早し カレーの香 よぎる鼻腔や 暮早し 【去年の今日】街話§神保巷塵[105]神田天丼家閉店
早いもので播磨屋二代目中村吉右衛門が逝去して4年の月日が経ったが…… ……歌舞伎界の状況は、いよいよ芳しいとはいえず、先行き不透明なことに変わりはなさそうで、新作の類を連発するよりは古典をきちんと演じられるべく、若手の舞台を増やすほうが先決ではないかと案じる老齢の身である。 《つぶやきのトピックス一覧》
マナー評論家という不思議な商売をしている輩がいる。それが正しければ何の問題もないのだが、時としてトンデモ!なマナーが存在しているとか、そうしなくてはならないような言説を振り撒く傍迷惑でしかない人間たちである。 最初に眼を剥いたのは、決裁のために回す書類に押す印鑑を、部下から上司に向かって左に傾けて押す“お辞儀判子”がそれだ。 しかも、平社員ほど傾いて押し、少しずつ角度が高くなっていくという……もうね!馬鹿じゃないの!!ではないか。そんなこと真顔でやっている会社があるとしたら、ろくでもないニッポンそのものではないか? 本当につまらないことに頭を使う人間がいるものだと呆れ返る。宮仕えをしていた会社では当然だがそんなことなどしていなかったし、真っ当な会社に勤めている知り合いもしていないと言っていた。 そんなことを真顔で説いているらしいマナー評論家など存在自体が不要..
季語は・・・小春 天神の 骨董市は 小春かな 【去年の今日】悼話§朝潮太郎さん(ワイはアサシオや)
小雪の次候“朔風払葉(きたかぜこのはをはらう)”である。 今度の日曜日はもう12月になっている。実家暮らしをしていた半世紀前は、もう少しという以上に寒かった。 自転車通学していたので、薄手のダスターコートに軍手をはめて通っていたが、痩せ我慢していたわけでもなく、若かったからかどうか、それでも十分だったのである。 そして今、温暖化のせいで何とも穏やかな晩秋の日々が過ぎていくようで、半世紀の気温差にはちょっと首を傾げそうになってしまう。それでも気温は順調に下がって、いよいよ結露の季節ともなった。 《七十二候のトピックス一覧》
コロナ禍このかた、外食度が激減したのは明らかである。ちょっと出かけた先で軽く昼飯を食べたりはするが、夕方に腰を据えて1杯呑りながら食事を楽しむなど、月に一度もなくなってしまった。 コロナ禍前だったら、例えば歌舞伎座で昼の部を観た後に、どこかに寄ってというのは珍しくもなかったのだが、このところどうしているかというと、終演後にデパ地下に寄って、酒の肴だったり、総菜やら弁当などを買い込んで自宅呑みをする頻度が増えたのである。 まあ、店に入ってあれこれ注文するよりも、何がなし気兼ねがないということも大きく、さらには帰りのことを考えると、思わずデパ地下に足を向けてしまうのだ。 外食度が減ったもう一つの大きな理由は、夫婦して食事量が明らかに減ったという事実で、そうすると未訪問の店に行こうと考えた時、その店で出てくる料理の量がどうなのかと、それが気になって新規開拓もできなくなった。 ..
季語は・・・夜を寒(さむ)み 王将は 詰め切らぬまま 夜を寒み 【去年の今日】週話§日曜枯寂~十一月もはや~
九代目團蔵の舞台を初めて観たのがいつだったのか、はっきり覚えている。2003年5月の歌舞伎座。演目は『極付幡随長兵衛』で、芝居の冒頭の村山座舞台『公平法問諍(きんぴらほうもんあらそい)』という劇中劇が演じられ、その主役である坂田兵庫之介公平を務めたのが團蔵なのだった。 坂田公平を主人公にした荒事の寸劇が芝居の発端ということだが、その坂田公平の存在感が際立っていて、後で市川團蔵という役者だと知ったが、大看板に次ぐ役回りを淡々とこなして、しかも一定の水準をコンスタントに維持している、菊五郎劇団になくてはならない役者だったのである。 ↓髪結新三の弥太五郎源七 髪結新三の弥太五郎源七から、源氏店の蝙蝠の安五郎といった小悪人、そして魚屋宗五郎の父太兵衛の老け役まで、何とも器用に務めていたのだ。ただこのところ舞台姿を見ることができず、去年11月の『マハーバーラタ戦記』も観に行った..
[承前] 元より豆腐好きなものだから、揚げ出し豆腐には目がない。居酒屋の御品書で見つけたら迷わず注文することにしているが、意外なことに出してくれる店は多くはない。 先月、日産スタジアムで行われたラグビー・テストマッチの日本対オールブラックス戦の後“反省会”にと入った蕎麦屋で揚げ出し豆腐があるのを見つけて久々に注文。おいしくいただいた。 揚げ出し豆腐の肝は“蕎麦つゆ”にあると思うが、考えてみれば蕎麦つゆは揚げ出しと共通しているようで、蕎麦屋で揚げ出し豆腐を出すのは理に適っているということだ。 揚げ衣が片栗粉で、揚げ上がりの繊細さもまた、揚げ出し豆腐を少しばかりだが洒落た一品に仕立て上げているような気がしないでもない。 そして、あくまでも個人的な感覚だが、これこそまさに酒の肴でしかなく、ワタシ的にはご飯のおかずにはなってくれないのである。 ..
季語は・・・夜寒 蟲シカト する頃となる 夜寒かな 【去年の今日】週話§土曜枯寂~額の傾き~
11月21日……70年の人生の中、記憶にある限り最悪の転倒をした。70歳とは足元不如意になってしまうのだろうか。 納戸にある工具を取り出して戻ろうとしたところで、置いてある荷物に足を引っかけて前方に倒れ込んだのだ。もし、これが顔面真正面から突っ込みでもしたら、鼻をやられていたのは間違いない。 コルク床に右目上をぶつけ、額が縦に割れて、あっという間に出血が始まった。駆けつけた同居人が、布類で血を拭き取って的確な処置をしつつ、消防庁の#7119に電話して救急相談をした。 近くの大きな病院が「すぐ来るように」と受け入れてくれたので、タクシーを呼んで向かう。 打ったのが額ゆえ、脳神経外科に行かされてCTスキャン検査で異常がないかを確認した後、形成外科で縫合手術を行った。額が11針、唇の右上も切れていて、そこは4針と一時間……想像以上の大手術となったのである。 これが休..
闇バイトに応募することがどういうことか、今だに理解できない若い世代が多いことに愕然とするのだ。 応募の先に待っているのは個人情報を抜き取られることで、そうなると手足を縛られたも同然となり、その先は犯罪に加担するという悲劇が待ち構えていて、素人のことゆえ、手加減を知らず人を殺めて逮捕されることになる。 そういう“こと”をしたら何が待ち構えているのか……2ケタの懲役なら、まだいいほうで、さらに無期懲役から死刑という判決が下される可能性だってあるではないか。 そうしたことを知るのが逮捕されてからであると、テレビが報じているのを見た。それを知った彼らは愕然とするというのだ。遅過ぎる!あまりに遅過ぎる。犯罪という行為がどのような結果を己が身にもたらすのかすら知らずにいるという。 例えば、そうした若い世代が四六時中手にしているスマホを開けて“闇バイト”で検索してみようとしないの..
季語は・・・大根 大根の 白卸しても 聢(しか)と白 【去年の今日】硝話§跳ね上げ眼鏡が欲しい
11月最後の日曜日……暦が変わって、来週は12月だ。 交響曲の終楽章は、そのほとんどがアップテンポで、さらにコーダ(終結部)に差し掛かると、アレグロからプレストへと音楽が怒濤の寄り身を見せる。 宮仕えが御役御免となって9年。年々、12月にコーダへと突入するテンポが速まってきたような気がしてならない……(前年比15%+とか ところで、10月に新規取得した東京都シルバーパスだが、順調に利用させてもらっている。手にする前は見合うほど使うだろうかとシミュレーションしつつ考えていたが、これがけっこう乗るのである。 バス停もそれほど遠いわけではなくて、ちょこっと出かけるにも気兼ねなくひょいと億劫がらず乗れてしまうものだと思った。せっかくのシルバーパスだからせいぜい買うようさせてもらおうと思ったのだ。 せめては少しでも活動範囲を拡げたい。 《日常のトピックス一覧》
季語は・・・短日 短日の 逆光眩(まばゆ) おんな坂 【去年の今日】藪話§病院は近くで
定年退職して“毎日が日曜日”となったら、日がな一日というもの何もしないでという日々が増えるから……しめしめ昼間から酒が呑めるぜ \(^o^)/とほくそ笑んでいた。 そうして定年退職したら、明るいうちから酒を呑む気になってくれない自分がいた。そればかりではなく、あーら不思議……どんどん酒に弱くなっていく自分がいたのだ。 だから、昼間から酒を呑むなど、定年後何回か出かけた海外旅行先で楽しんだのがせいぜいで、それも車を運転しなければならないオーストリア・アルプス端っこ滞在中は夜に呑むしかなかったのである。 人間、そうそういいことずくめなわけではなく、年を経るごとに思っていたことができなくなるのは当然で、結局は“ないものねだり”だったようだ。 まあ、旅先ほどの解放感は自宅には備わっていないということである。 《酒のトピックス一覧》
季語は・・・神の留守 戸締りの 日々怠らず 神の留守 【去年の今日】執話§“物”に対する情のような~日本的?~
小雪の初候“虹蔵不見(にじかくれてみえず)”である。 いよいよ年賀状の枚数が少なくなった。10月に値上げしたばかりの年賀状を百枚足らずほど購入。毎年決まった体裁で写真をはめ込み、簡単な一文を書けばできあがりだが、その作業を始めるのはさすがに12月に入ってからだ。 そして少しずつ、毎年届いた人から年賀状が来なくなる。年賀状仕舞いだと断りの一言を書いてくる人もいるが、一言もなく“何年か来なくなった”と気がついて、こちらからも自然消滅という人も出てきた。 個人的には出し続けておきたい人と“もういいや”という人に分かれてきて問題なのは、その間のグレーゾーンの人たちである。おそらくは生きている間に顔を合わせることもなく、どちらかが年賀状のやり取りを途絶えさせてしまうまで惰性で投函している人たちも少なからずいる。 いっそ“ゼロ”にして年賀状仕舞いしてしまえば気が楽なのだろうけれ..
1977年に発射されたボイジャー1号は、地球から240億kmの宇宙を飛行中だ。そんなボイジャー1号が1990年に撮影した地球の姿がこれ。地球から90億kmからの姿である。 ↓Pale Blue Dot 物にも魂が存在すると考える傾向が強い(?)日本人としては、何もない暗い空間に、ボイジャーがぽつんと、どこへ行くとも知れず飛び続けている様を思うと、つい“寂しいだろうなあ”みたいなあれやこれやを考えてしまう。 そんなボイジャーが太陽系の外から見た地球は、まさに“点”でしかなく、指で弾けば飛んで行ってしまうような存在としか感じられない。 そんな極小の点の中で、おぞましい争いが繰り広げられているということに我々は思い至り、そんな争いがいつになったら果てることかと、為す術なく見ているばかりである。 あるいはボイジャーにしてみたら、そんな地球からいよいよはるか遠く離れ..
季語は・・・時雨雲 夕暮れや 鳥ははぐれて 時雨雲 【去年の今日】別話§終活のおはなし~メメント・モリ~
新宿駅南口のバスターミナルがようやく完成したと思ったら、今度は西口の再開発が始まっていて、もう一年が過ぎていた。 南口再開発の最中の時にも“いつになったら完成するんだ?”と思っていていつしか誰からともなく“新宿サグラダファミリア”と呼ばれるようになっていたのだ。 そうして今、サグラダファミリアは西口に移動して絶賛工事中である。京王線から丸の内線に乗り換えようと、新宿西口広場を歩くと、あちこちで通路の流れがくるくる変わっている。長年歩き続けているおかげで、通路レイアウトが変わっても頭の中に刻み込まれたルートをたどって目的地に行ける。 それにしても、歩行者が行き交うその裏で再開発の大工事が行われているというのもまた今時ということか。 そんな“サグラダファミリア”でも動いているのであればまだいいほうで、閉館から一年が経過した隼町の国立劇場は、二度の入札が不調に終わって、今..
写研という会社がある。写真植字の書体セットと植字機を商っている会社である。 かつて、印刷物には活字が使われていたが、写植は文字盤から拾った文字を印画紙に写して、版下として使用するもので、戦後になって主流になった。その最大手として、モリサワと写研の2社があり、特に写研の書体は、品とセンスがあって、高いシェアを保っていたはずだ。 写研を象徴する書体が“石井中明朝オールドスタイル大がな(MM-A-OKL)”と呼ばれている明朝体である。まさに端正なフォルムと柔らかいかな文字のバランスが絶妙ではないか。その他に“ナール”という丸っこく親しみやすいフォントとか“ゴナ”という、ゴシック体をよりシャープに仕立てた書体など、グラフィックな雑誌媒体がこぞって使っていたのは言うまでもない。 それが一転して斜陽の道を歩むようになったのは、写植オペレーションからDTP(デスクトップ・パブリ..
季語は・・・片時雨 この空や 気まぐれと知る 片時雨 【去年の今日】秋話§吉例顔見世大歌舞伎~中村芝のぶ~
大学ラグビーはたけなわだが、ジャパンラグビーリーグワンのシーズンは、一か月後の12月21日開幕である。 今シーズンもせっせと……10回くらいは秩父宮やら味の素スタジアム、駒沢にも足を運びたいと考えている。最後に駒沢を入れたのは、何と今シーズンはブラックラムズにTJ・ペレナラが加入するというのだ。2019年のラグビーワールドカップや、2021年にはレッドハリケーンズに加入して、眼にも楽しいプレイで楽しませてくれた印象が強い。 海外からの新規加入はもちろん、引き続き加入継続中のプレイヤーも多く、我々にとってもすっかりなじみとなってくれている。 これでリーグ全体の力が底上げされてくれれば言うことはないが、なかなか思うようにリーグとそれに連なる日本チームの力が上がってくれないような気がしているのだが。 まあ、観戦している我々は高みの見物をしながら勝手なことを言っているだけの..
一か月前の東京は最高気温30度超えの真夏日だった。本当にとんでもない。 そして翌日が10度台と気温変化が目まぐるしく、我々高齢者ばかりでなく、年若い人たちも体調を崩さないよう、十分な注意が必要とは面倒くさいものである。 これまでが大丈夫だったからというのは、もはや通用せずと心得てかからなくてはならなくなった。だが、昨今の気象状況は、我々の想像をはるかに超えてしまって、ちょっと用心すればそれでよしというわけにはいかなくなってきた。 古稀を過ぎ、病院通いが常態化した身にしてみれば、いつ何が起きても何の不思議もなく、自分が考える以上に“ガタ”がきているのだと自覚してかかる必要があるだろう。 などと書きながら、やっていることといえば週三日のお休肝日くらいのもので、もう少し何か自覚してやらなくてはならないと、順調に“ガタ”は進行していくことだろう。心すべきことは“自分を恃まな..
季語は・・・酉の市 三の酉 までありますと おとりさま 【去年の今日】週話§日曜枯寂~習作一生~
明治座で歌舞伎を観るのは、2011年5月以来だから何と13年ぶり。昼の部を観る。演目は菅原伝授手習鑑『車引』から『一本刀土俵入』が1時間半、そして『藤娘』まで。11時開演、14時20分終演と気楽なスケジュール。 さて『車引』から……座った席は2階右寄りで義太夫の床は見えない、そうであるからか、義太夫の声が届いてくれないというアコースティックに戸惑う。橋之助の梅王丸は声、所作ともピントが合わず。鶴松の桜丸はていねいな舞台で抜擢に応えた。存在感を示したのは彦三郎の松王丸で、彼の持ち味と役がマッチしていた。 続くメインの『一本刀土俵入り』は、勘九郎の駒形茂兵衛、七之助のお蔦という兄弟の顔合わせ。2020年に明治座で上演するはずがコロナ禍で中止……そのリベンジとも言える。 前半、朴訥そのものの茂兵衛の描写がいかにも勘九郎らしい。七之助のお蔦との絡みの情感も濃く、つい去年9..
一か月ほど前、ご近所に住んでいることが判明した大学同期(別学部)の同い年と一時間半ほどコーヒーを飲みながら歓談した。 やっていた仕事も少しばかり近しい業態であること、それと趣味も似通っていたようで、あっという間に時間が経ってしまったのだ。 何より年齢が同じということは、共通体験がほとんど重なっていたりして、おもしろいほど話は弾んだ。最初の話題は、1980年代半ばにワープロが会社に導入され……たと思ったら、世紀が変わる頃にはパソコンに取って代わられた……でニヤリとした後は、クラシック音楽とオーディオの話へと伸び、それが一転シャンソンへと移っていったのである。 もちろん、同い年だからといってここまで話題がシンクロするケースが多いとは限らない。ここまで合うことなどはほとんど稀でしかない。 さてそろそろということろで最後に出てきた話題が、庄司薫の芥川賞受賞作である『赤頭巾ち..
季語は・・・冬初め 杉玉に 神が宿りて 冬初め 【去年の今日】週話§土曜枯寂~ニュージーランド国歌~
加害者とは言いながら、元締めにいいように使われているのが、昨今の…… ……闇バイトによる強盗事案だが、応募して個人情報を吸い取られ、動きが取れなくなっての所業を見ていると、なぜ個人情報を要求された時点で断れなかったのかと、その先に何があるのか、想像力を巡らせれば、どれほど危険なバイトであるのかわかるのにと思いつつ、加害者でありながら被害者となる裏表の可能性がある“予備軍”の存在に向けて、より一層の注意喚起を促したい。 《つぶやきのトピックス一覧》
新しいテレビがやって来て一か月半である。初期設定以外にもあれやこれや微調整することがあって、落ち着くまでに2週間くらいかかってしまった。 そしてもちろん、2007年に買った初代液晶テレビから画質も格段に向上していて、ひょっとしたら実際の被写体以上に盛られているのではという疑いも抱いたりする。 さらに新しいテレビは4K放送も受信できるとある。通常の2K放送以上の画質がウリなのだと言うので、どれどれと覗きに行ってみた……個人の感想だが“たいしたことないじゃん”と思った。 色々調べてみたら、4Kで配信されているプログラムは限られていて、特に民放においてはコストの問題で、ほとんど2Kからの流用でしかないのだ。 とすると、わざわざ4Kだと声を大にして謳うほどのことではないのではないか。 技術の進歩で格段に画質が向上しても、その性能を活かすコンテンツがなければ、まさに“宝..
季語は・・・落葉 放課後の落ち葉は 木端微塵かな 【去年の今日】楽話§登山道の整備
立冬の末候“金盞香(きんせんかさく)”である。 立冬も末候となった。秋の階段も真ん中あたりにいるだろうか。そういえば武満徹のオーケストラ曲に『ノヴェンバー・ステップス(十一月の階梯)』なるものがあって、西洋のオーケストラに和楽器の尺八と琵琶のソロが加わる作品なのだ。 ずいぶん前に一度だけテレビで演奏しているのを見たことがあったが、もちろんまったく覚えてはいない。 琵琶(左)と尺八(右)の楽譜は、五線譜に書かれてはいるが、図形楽譜の体裁で書かれているので、奏者の即興性が重視される。初演以来、何百回と独奏を受け持った琵琶の鶴田錦史と尺八の横山勝也以降は、彼らの口伝によってどう演奏するかが伝えられていったと聞く。 そんな『ノヴェンバー・ステップス』は、武満徹の作品の中でも群を抜いて演奏される機会が多かったのである。 《七十二候のトピックス一覧》
日本だけのことなのかどうかは調べていないのでわからないが、とりわけ目に立つのが政治家であったり芸能人であったりする。 自分自身が営々と築き上げてきた“地盤”を第三者に譲るのがそんなに嫌なのかどうか、とにかく息子や娘に後を継がせようとして、それに子どもが従うというのも、ゐとをかし。 問題なのは能力もないのに祭り上げられ、めでたく世襲議員が誕生するが、そこで政府の要職を任された世襲バカとしか思えない存在が、委員会答弁でしどろもどろが収まることなく、官僚が後ろからメモを渡したり、プロンプターよろしく助けても、まったく要領を得ずに立ち往生というシーンを目撃した……これはもう害悪そのものではないか。 当該選挙区の有権者は、そうしたみっともない事実を知っているのか、知っているのであれば、次はその人間に投票することはしないと思わないのかと思う。 そうした政治的(だけではないぞ)無..
季語は・・・時雨忌 時雨忌や 飛行機雲に 風の色 【去年の今日】独話§ドイツとラグビー~例えば~
ようやくご飯茶碗を買い替えた。それまで使っていたのは茶碗というよりも丼(どんぶり)みたいなもので、それゆえついつい盛りすぎてしまって食べ過ぎぎわくが継続していたのだ。 そうして先月、ようやく手ごろな茶碗を見つけて購入。あっさりしたデザインの萬古焼で直径14cmほどと、左手にちょうどよく収まってくれる。そしてもちろん、ご飯の量も見た目ほどほどとなり、少しずつ身体に優しいことが反映されていくだろう。 《日常のトピックス一覧》
季語は・・・秋愁ひ アルコホル いや休肝日 秋愁ひ 【去年の今日】稼話§朝のルーチン
ビッグイシュー491号は11月15日から発売されています。お買い求めできる場所はこちらを参照。毎月1日、15日発売。一部450円。230円が販売員の収入に。日本と恐竜が表紙。 特集 恐竜関心大国 日本と恐竜 世界中の子どもたちに人気がある恐竜。加えて日本は大人も恐竜好きが多い恐竜関心大国です。いま、鳥類は恐竜の子孫であるなど、大人たちが知っていた恐竜についての常識は大きく変わりました。 かつて、アジアとつながる大陸の縁の海岸線の一部だった日本。その大地を闊歩していた恐竜たち。恐竜研究のパイオニアである真鍋真さん(古生物学者・国立科学博物館副館長)は「1980年代以降、日本各地から恐竜の化石が出始め、日本での恐竜についての研究は加速度的に進んでいる」と言います。そして、日本の地層の重要性と、それを世界に向けて発信することをいつも意識してきました。 現在、学名が..
尾瀬はすっかり無人の冬に入っている。山小屋の稼働シーズンは6か月ほどで、その間にせっせと登山客を受け入れるのだ。山小屋の今は冬囲いの中。 尾瀬ヶ原と尾瀬沼には、合わせて16軒の山小屋があって、それぞれ雰囲気のある様子で客を迎えている。そんな山小屋のうち宿泊利用したことがあるのは5軒……尾瀬ヶ原では弥四郎小屋、尾瀬小屋、龍宮小屋に。尾瀬沼は長蔵小屋。それから裏燧は御池のロッジだった。 そしてアルバイトをしたのは尾瀬小屋と長蔵小屋で、それぞれ2年ずつ働いた。だから、従業員として&宿泊客として双方から山小屋を体験できたのである。 山小屋での仕事については何度か書いたことがあるので、それを読んでもらうことにして、いちいちは書かない。 宿泊客としての山小屋は、歩いてしか行くことができない場所に、よくこれだけの設備を建てて維持しているものだと感心するばかり。生鮮食料品は、歩荷(..
季語は・・・時雨月 宿出れば 角打ちまでの 時雨月 【去年の今日】秋話§吉例顔見世大歌舞伎~仁左衛門の松浦~
外面が悪いわけではないが、第三者との間には比較的距離を置いて接していると思っている。 自分自身が持つある部分の意志が強固ではないと感じていて、それゆえ特に強い“磁力”を持ち合わせる第三者から、悪しき影響を受けたくないと考えてのことなのだ。 考えてみれば、七十年の人生の中で、確固とした意志を発揮して物事を動かしたという記憶は少ない。もちろん、ないわけではないけれど、自分の意志らしきものが強烈に発揮されたことを数えるほうが難しい。 最も長く所属した宮仕えの場においても、盲信とか狂信みたいなところとは縁がなく“ほどほど”の世界に身を置いていた。 それこそ、そういう風に処していかないと、自分の精神的な身がもたないと考えていた節がある。 エントリータイトルに“希薄な帰属意識”と書いたが、他の人たちがどのように第三者に対して身の処し方をしているものか……知ってみたいものだ..
結局、残念ながら審美眼のようなものは我が身の中に育ってくれなかった。 世間的にな評価として“これは優れている”と言われるあれやこれやを鑑賞してきたはずなのに、眼の前にあるものの優劣評価が、ほんの少ししか為すことができないのだ。 まあ、それが凄いと感じられるのは“超”と言われるような弩級のパフォーマンスを体験した時くらいなものだし、逆のほうでは、やはり“超”がつくようなトンデモなパフォーマンスでないとひどいとは感じられない。 そして問題なのは、その間に膨大に存在している“どうってことのない”とか“普通の”パフォーマンスなのである。 それらが単に普通で、どうってことのないものなのか、それとも聴く耳がある人間であったら、キラリと光る何かがあると感じ取れるものなのか、そして残念ながら、自分にはそうした感性を持ち合わせていないのだ。どうやらこのまま人生の終わりを迎えそうだ。 ..
季語は・・・今朝の冬 珈琲は カップに冷めて 今朝の冬 【去年の今日】懇話§部下と呑むこと
Chat GPTだっけ、ずいぶんと性能が向上しているようだ。去年あたり対話を試みた時は、ずいぶん頓珍漢だったり明らかな間違いなどの反応が多くて、対話しながら何度も“それは違う。こうこうだよ”と正しい方向に導こうとしても、なかなか軌道修正しようとしないことに匙を投げたことがあった。 そんなこともあって最近は遊ばなくなったが、少しは向上してきたようで、例えば大学のレポートなんかをAIに書かせることが問題になっていたりする。というわけで、つい今しがたChat GPTに“京王線”にまつわる、楽しそうな文章を書いてくれとお願いしたら書いてくれたのが下の文章である。 ******************************************************************** 京王線に乗ると、なんだか小さな冒険が始まるような気がする。新宿からのスタートは、都心の..
たまにだが、気のおけない酒好きの知り合いと居酒屋などで酒を酌み交わすことがある。 コロナ禍このかた頻度が激減したのは残念だが、時には誘いあって、お互いの分野についてとか、興味のある話題を口の端にのぼらせて2時間ほど談笑するのだ。 ところが問題はその後……どういった話題が話されたのか、大まかなところはともかく、何をどうと話されたのか具体的な内容についてはほとんど覚えていなかったりすることが多かった。 それほど酒が入っていない時点から“何を話したんだっけ?”みたいなことばかりで、酒が入ってくれば、どんどん記憶が消去されてしまうのである。 もちろん、忘れるばかりではなく、妙に克明に会話の内容を覚えていたりして、それなりの緊張感で場に臨んでいることはわかるが、覚えているのはせいぜい3割、4割といったところか。 まあ、覚えているか忘れてしまったどうかはともかく、..
季語は・・・湯冷め 紫金山 待てど暮らせど 湯冷めかな 【去年の今日】週話§日曜枯寂~僧帽筋由来~
立冬の次候“地始凍(ちはじめてこおる)”である。 今年も残すところ一か月半になってしまった。年齢を重ねるに従って、時の速度は転がるようにスピードを増して、六十代の定年退職を過ぎた頃から、加速度的に速くなってきてしまった。 もはや、一度速くなった流れをスピードダウンさせることなどできるはずもなく、ただひたすら流れの中に身を任せるしかない。 人生の黄昏は近づき、遠くないうちに沈みゆく光芒が幾筋も細く長く伸びていくことだろう。 《七十二候のトピックス一覧》
ラジオ体操をしている……月曜から土曜までの午後、ほんの10分間なのだがせめてもの罪滅ぼしとして、少しでも身体を動かしてやるのだ。まあ、動かさないよりは“まし”程度のものだが。 ラジオ体操を覚えて、あっという間に60年を超えていた。覚えたのは小学校の朝礼の時だったと思う。どのようにというプロセスでなどとは覚えてなどいないが、気がついたら全部の動作を覚えていた。しばらくは第一だけで、第二体操を覚えるまでには少し間があった記憶だ。 それにしてもと思うのは第一から第二まで、すべての動作を間違えることなく記憶していることで、しかも再開したのは数年前……ブランクが何十年もあったとは思えない“三つ子の魂百まで”である。 そしてありがたいのは、第一の前と第二の前に、それぞれ短いストレッチのようなものも挟んでくれて目先を変えてくれるのだ。 今は、男性と女性の講師が一日おきに、ピアノ伴..
季語は・・・冬に入る 冬に入る 祖母の竈は ガス台に 【去年の今日】週話§土曜枯寂~グレゴリオ聖歌は~
個人的には電子マネーの利用度は少ないほうだと思う。たぶん交通系パスモと、普段使いのスーパーマーケットの2つで、ほぼ100%を占めているのだ。 時にコンビニでパスモを出して支払いをするのは、単純な話でレジ滞在時間を短くしたいというだけである。 だが、世間の流れは速く、特に若い世代はスマホに仕込んだ電子マネーを自由自在に使っているように見える……そうはいっても今だに現金主流と思われるのが日本社会ではないか。 7年前、オランダのアムステルダムを訪れた時、現金レスが劇的に進行している事実を目の当たりにした。何軒かの店では現金での支払いができずで、クレジットカードか電子マネーのどちらかでしか決済ができなかったのだ。 旅行者としては、オランダで使えるような電子マネーなどは持っておらず、そうした店ではクレジットカードで支払いを済ませたが、なるほどと思ったのは、アムステルダムのよう..
時折だが、音楽を聴いていて具体的な映像が頭の中に浮かび上がってくることがあるのは自分だけだろうか。 カミーユ・サン=サーンスは19世紀から20世紀にかけて活躍したフランスの作曲家だが、彼の作品に交響曲第3番『オルガン付き』という傑作があってしばしばコンサートで演奏されている。そして、パイプオルガンが前面に出て演奏される“ここ”にやって来ると、いつも同じ映像が見えるのである。 それは、ヨーロッパの大聖堂の柱が建ち並んで見上げているところなのだ。オルガンの分厚い強奏に、弦の合奏がせり上がっていく……それがこれだ。 ↓ミュンヘンのフラウエン教会(ウィキペディア) つまりは、こんな映像が頭の中に存在しているのである。音楽と映像とは、あまり関連性がないのだと論じる人は少なくない。だが、人間の深層心理は時として勝手に頭の中で映像を創造してしまうのである。 そし..
季語は・・・秋灯 秋灯や 季寄せフォントの 小さきこと 【去年の今日】創話§交響曲とその“楽章”
ニュースを見れば、相も変わらず“振り込め詐欺”による被害が多発を続けていて、いつ果てるとも思えない。そして手口は手を変え品を変え、特に高齢者をターゲットに詐欺グループが虎視眈々と狙いを定めているのだ。 そんな犯罪は日本くらいなものかと思ったら、ちょっと前に見たフランスのニュースでも、銀行カードにまつわる詐欺が多発していて被害が発生していることを知った……ということは、あちこちの国で珍しくもなく起きているということか。 時に、どんな手口で騙されているのか眺めていると“ちょっとちょっと!”と突っ込みを入れたくなる迂闊さにしばしば出くわす。責めたくはないが、なぜ受けただけの電話を信じて大金を渡してしまうのだろう。 そんな電話がかかってきたら、その後に息子からだったら息子、銀行からであれば銀行、そして警察からだというなら警察に“こんな電話がかかってきたのだが……”と確認するべきな..
季語は・・・冬紅葉 サイレンが 急ぐ坂道 冬紅葉 【去年の今日】爛話§ルイージ&コンセルトヘボウ~凄い~
グンマー!の某小都市の名物として、なぜか“ソースかつ丼”なるものがある。他にもソースかつ丼を名物として売りにしているところは少なくなく、ちょっと眺めまわしてみたら、どうやら競艇、競輪、競馬などギャンブル場があるところに存在しているようだ。 そんな中でグンマー!のソースかつ丼は、なかなかの存在感を出している。 ご覧のような、御姿の何と神々しいことか(言い過ぎ! 香ばしい衣はソースたれをくぐらせても、ヘチャっとかせずに揚げたカリカリ感が残っている不思議。疑いもなく――他を食べたことはないが――本邦ナンバー1のソースかつ丼と言っても過言ではない。 さらにそのソースかつ丼の存在価値を上げているのが、別盛にしたキャベツの千切りである。これこそがあるべきソースかつ丼の姿ではないか。多くのソースかつ丼のキャベツは、カツとご飯の間に挟まって、見るも無残な姿を現しているが、こ..
季語は・・・秋思 秋思なり はせをの句集 繙(ひもと)くか 【去年の今日】芝話§歌舞伎座の昼と夜
[承前] さて小学生時代、放課後のお楽しみは駄菓子屋に行くことだった。ランドセルを放り出し、家から路地を出れば目の前に駄菓子屋があったのだ。 その当時、どこの町内にも駄菓子屋の一軒はあって、子どもの溜まり場なのだった。 当時は着色料だの保存料だのがはびこりまくっていて、そんな存在など知るはずもなく勝手放題に駄菓子を口にしていて、それでも成長していたのだ。そこでひとしきり時間を過ごせば、渋々家に戻って宿題に手を付けるのである。 そんな実家近くの駄菓子屋だが、夏になるとかき氷屋に変貌する。店の一角に手回しのかき氷機を置いて、赤、緑、白のシロップをかけて1杯10円だ。 他の駄菓子屋では、冬場になると火鉢の上に鉄板を置き、水で溶いただけの小麦粉に醤油を垂らしたタネを1杯10円で売り“もんじ焼”と称してガキ共の佳きおやつとして他愛なく焼いて食べていた……そんな生地にあれ..
実家暮らしをしていた子ども時代、親が気まぐれに近所にある寿司屋に連れて行ってくれた。もう60年も前の話である。 流通不便な時代だったことと、ちょうど太平洋と日本海の真ん中あたりという立地ゆえか、寿司ネタが豊富というわけにはいかず、食べていたのはほとんどといっていいほどマグロの握りとか鉄火巻だった。 ちなみに町の商店街の魚屋に並んでいる刺身の類も、ほとんどすべて冷凍で店頭に並んでいるマグロなどがガチガチに凍っていて、家に買って帰ってからの解凍に手間がかかったのだ。 あと記憶にあるのはイカ、タコ、海老あたりで、イカやタコは子どもには硬くて敬遠していたの。 考えてみれば、60年前の関東平野どん詰まりの寿司屋のネタなどその程度でしかなかったのである。 そんなわけで、長じて東京に出てきたある日、手軽な寿司屋のランチを食べたら、その中に甘海老があって、それを食べた瞬間に“..
季語は・・・九州場所 潮の香の 九州場所や 幟旗 【去年の今日】費話§自動車の買い替え
立冬の初候“山茶始開(つばきはじめてひらく)”である。 秋分から一か月半、冬が立ってしまった。 ほどなく、寝ている間の外気温が一けた台に下がる。そうすると結露の季節なのだ。 2009年にリフォームしたキッチンのシロッコファンの性能がよく、いちばん弱い風力だと音もなく静かに回ってくれるので、夜の間に回して結露防止に役立てている。 効果的な結露防止だが、一冬の間に2回か3回くらい、室温と外気温の差が大きくて、ファンを回しても、結露が出てしまうことがある。そんな寒さが厳しい冬も間もなくだ。 だが、地球温暖化のゆえかどうか、10年前に比べれば穏やかな寒さの日のほうが多くなったような気がするのだが。 《七十二候のトピックス一覧》
先月、9月に発売されていた“燻(いぶし)”が、一か月遅れくらいでようやくスーパーマーケットの棚にあるのを見つけていそいそと買った。相変わらず新製品を手にするのが遅い。 ドイツのフランケン地方バンベルクという小都市に“シュレンケルラ”という銘柄の燻製ビール“ラオホビア(Rauchbier)”が、今でも醸造されている。ブナの木などのチップを燃やして、その煙で麦芽を燻して燻蒸香をつける。ドイツを旅行していた時でも呑む機会がなく、一度しか呑んだことはないがこれがなかなかの曲者で、慣れない人はその癖に驚いて吐き出してしまうほどなのだ。口の悪い人など“くさやビール”と言うくらいである。 ……というイメージを抱きつつ、晩酌に開けてみた……うーん、やっぱり冒険してはいなかったか。燻製ビールの独特な香りと味を顕著に感じるところまではいかず“お印”程度としか感じられなかった(個人の感想です..
季語は・・・小夜時雨 着信の 主は不明や 小夜時雨 【去年の今日】過話§備忘録的な何か~2023年11月6日付~
1893年11月6日、チャイコフスキー逝去。 交響曲6曲、ピアノ協奏曲にヴァイオリン協奏曲、そして“三大バレエ”といった傑作を創り上げたチャイコフスキーの命日である。 彼の作品の実演を初めて聴いたのは、小学生の時の群馬交響楽団移動音楽教室で『くるみ割り人形』から何曲かだった。その時は、ただ単に楽しい音楽ばかりだとしか感じなかったが、長じて他の作品に接したところで、オーケストレーションの見事さに舌を巻くようになった。 主題が流れていく裏で、様々な色付けが為されていく様子は、まさに耳の愉悦そのものである。表に出てくるメロディーだけでも美しいのに、そうしたメロディーを彩る副旋律が見事で洒落ているところ……もはや脱帽である。 そんなチャイコフスキーは、ある集まりの席で周囲の人が止めるのも聞かずに生水を飲んだことからコレラにかかって死に至ったという話だが、53歳とはいかにも早..
一枚のチラシが目に留まった。とある野外イベントを告知するもので、…… ……芋煮会が行われるとあり、その芋煮が“味噌と豚肉で”という。確か、太平洋側の宮城とか福島あたりの芋煮ではないかと思ったが、そうらしい。そして同時に、日本海側の山形との“芋煮の争い”を思い出した。 山形の芋煮は牛肉使って砂糖と醤油で味付けをする。だから、双方まったく相容れず、山形にしてみれば「セツコ、それ豚汁や!」と、壮絶な正統争いが繰り広げられ、お互いまっこう否定之圖なのである。 まあ“うまけりゃ、どっちでもいいじゃん”と高みの見物なのは気楽な我々第三者で、蔵王山を境に譲れない戦いが延々と行われているのだ(苦笑 《ブログのトピックス一覧》
季語は・・・虫の闇 誰(た)そあるか 音はひつそりと 虫の闇 【去年の今日】週話§日曜枯寂~石持ち疑惑の件~
野党の支持者には“心が狭い”人が多く存在していて、少しであっても…… ……自分の意に添わなかったら、あーでもないこーでもないと文句をつけてしまって、結局は野党が育たないままの状態が続いてしまうが、そのあたり見習うべきは政権を維持している“どこか”の党で、その中の人たちは、多少自分の意とは異なっても、政権という旨みのゆえにしがみついているという事実にも気がつかなければならない。 追記:自民党になれ!などという意味ではない。為念! 《つぶやきのトピックス一覧》
[承前] 自分にまつわる“世界”のあれやこれやが縮小傾向にあることは事実として受け留めている。 それこそ、この先に不要不急なものを買うことは極力しない。必要だと増えていくのは老い先のためのグッズということだろうか。それは積極的な買い物というよりは受け身的な性質が強そうだ。 それが“老い先”を考えるということなのだろう……ほどなく2、3年のうちに車を手放すことにしている。もうこの10年ほどは、遠距離ドライブとは言っても、せいぜい尾瀬までの往復ぐらいで、年間1000kmがやっとである。 だから手放しても、それほど後悔することもないだろうし、そういう意味で車がなくなったからといって気落ちして老け込むということもないはずだ。 そうはいっても、何かのアクションで老け込んでしまうことも十分に考えられるから、そうなった時でも意味なく気落ちすることがないようにと今から心してお..
季語は・・・秋惜しむ 秋惜しむ フォーク並びの 給料日 【去年の今日】週話§土曜枯寂~1杯のコーヒーから~
2024年10月の東京の天気がどうであったのか、振り返っておこうと思う。 このリンクの日付をクリックすることで、各々の日のアメダスが確認でき、より詳細な気象状況をチェックできる。 ご覧のとおりで、10月らしくない雨がちの日々で、しかも真夏日や夏日が中旬から下旬にかけてもなお記録されて、なかなか半袖などの夏物衣類と冬物の入れ替えができず、下旬まで半袖を着ていたりもしたのだった。 そういえば、今年の尾瀬の紅葉状況はあまり芳しいものではなく、不安定な天気と相まって、訪れた人たちをやきもきさせたりがっかりさせたようだ。 《天気のトピックス一覧》
武蔵野市民文化会館小ホール……月曜日のアレクサンダー・コブリンに続いて、土曜日はターリヒ弦楽四重奏団のスメタナとドヴォルザークを聴いてきた。 開演前、おもむろに招聘元が登場して「第2ヴァイオリンの荷物がロストになってまだ届いていないので“普段着”で演奏します」とお断りのアナウンスがあって客席が笑いに包まれた。そんな少しリラックスした空気の中を4人が登場したが、全員が黒シャツ&黒ズボン姿だったので違和感なし……第2ヴァイオリンの靴がスニーカーと見えたくらいだが。 スメタナ:弦楽四重奏曲第2番 d-moll ドヴォルザーク(J.カバット編):ジプシーの歌 Op.55 第1曲:我が歌ひびけ 第2曲:きけよトライアングル 第3曲:森はしずかに 第4曲:わが母の教えたまいし歌 第5曲:弦を整えて 第6曲:軽い着物 第7曲:鷹は自由に ドヴォルザーク:モラ..
季語は・・・秋深む 男坂は 園児の列や 秋深む 【去年の今日】創話§文章とストーリーとは・・・・・・
我が家付近の今日の日没は16時47分。暮れだすとあっという間に暮れていく時期である。 ずいぶんと暗くなるのが早くなったなあと感じるのは9月中旬くらいからでその頃から日没が17時台に入るのだ。そうして9月下旬には、17時を過ぎればどんどん暗くなり、慌ててカーテンを閉めにかかっていく。 夏の陽が長い間は、窓からの外光だけで気持ちよく風呂に入っていた。だが考えてみれば、8月も盆を過ぎればそんな楽しいこともできなくなってしまう……それができるのは、夏至を挟んでせいぜい3か月くらいのものか。それに、晴れている日だったらともかく、曇りや雨の日は照明が必要なわけだが。 指折り数えたら、次に自然光で入浴できるのは半年先だと判明したのだ。 《日常のトピックス一覧》
季語は・・・色変えぬ松 色変えぬ松や 道喜の門ぽつり 【去年の今日】道話§かわいそうな自動車たち
霜降の末候“楓蔦黄(もみじつたきばむ)”である。 晩秋となった。木々の葉は色づき、そして落葉し……地球温暖化で少しばかり短くなったと感じる秋の風景が広がった。 10月に入っても30度超え、あるいは30度をうかがう、夏としか思えないような日が続いたりして、いっそのこと10月まで“夏認定”しましょうかとすら思ってしまう。 とはいえ、朝の外気温は20度を下回るようになって、もう一枚上に羽織って早起きとなる。 《七十二候のトピックス一覧》
最近の尾瀬の山小屋は10月中旬の終わり頃に小屋閉めをするようになっているが、大学時代にアルバイトしていた時は、文化の日を目安に小屋閉めしていた。 一度だけ、小屋閉めの手伝いに入ったことがある。10月の終わりから4日ほどで、山小屋に着いた時には既に窓の冬囲いは済んでいて、もっぱら小屋内部の片づけが主で、なるほど4月のゴールデンウィーク前まで深い雪に閉ざされる準備はこうするのかと思ったのだ。 最終日の夜は小屋主以下、手伝った人たちとお疲れ大宴会が行われ、翌朝は群馬県側の戸倉に下りる我々と、檜枝岐に戻る小屋主とが別れ別れに、尾瀬ヶ原を歩いていく……半年のシーズンの終わりである。 冬枯れの尾瀬ヶ原を横断し、山ノ鼻から鳩待峠まで戻っても戸倉へのバスはなく、戸倉までの3時間ほどを淡々と歩いて下るのだった。 《尾瀬のトピックス一覧》
季語は・・・十一月 どん詰まる 十一月に 狼狽(うろた)えて 【去年の今日】霜話§2023年11月の予定あれこれ
ビッグイシュー490号は11月1日から発売されています。お買い求めできる場所はこちらを参照。毎月1日、15日発売。一部450円。230円が販売員の収入に。内田也哉子が表紙。 特集 変えよう! 避難所生活 いま奥能登では1月の地震に続き、遅れている復旧の中、9月には再び豪雨災害が。20を超える河川氾濫などが被災住民を打ちのめし、ようやく入居できた仮設住宅でも被害が発生しました。 日本は世界有数の「災害大国」。2011年の東日本大震災以降、マグニチュード6以上の地震の約2割は日本で起きています。 災害に見舞われたら真っ先に行く場所は避難所ですが、現状の避難所はおよそ居心地のよい場所とは言えません。 「日本の避難所の状態は、世界標準からかけ離れている」と言う榛沢(はんざわ)和彦さん(新潟大学医歯学総合研究科特任教授)に、避難所のトイレ(T)・キッチン(K)・ベッド..
月初めにつき、東京の一か月間の日の出&日没時刻を。 11月1日の日の出は6時2分で日没は16時49分、月末の日の出は6時30分で日没は16時31分。毎年のことながら、日没は月末から12月月初が一番早く、12月上旬から少しずつ遅くなっていく。春は近づいたということだが……。 さて今月も歌舞伎座通いはなし。その代わりに、日本橋浜町の明治座で勘九郎、七之助などなどの“明治座十一月花形歌舞伎”が行われるので、昼の部を観に行ってくる。 菅原伝授手習鑑『車引』から『一本刀土俵入』で、最後に米吉の『藤娘』とあまり肩の凝らない演目なので楽しみ。 それにしても、本来だったら11月の歌舞伎座は顔見世興行のはずなのだが、なぜか顔見世ではなく“舞台機構設備の工事を実施”するため十一月歌舞伎座特別公演『ようこそ歌舞伎座へ』という不思議な公演となったが、あまりそそられずパスをし..
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季語は・・・師走尽 師走尽 世はこれすべて 塵芥 【去年の今日】週話§日曜枯寂~2023年大晦日~
冬至の末候“雪下出麦(ゆきわたりてむぎいずる)”である。 一年最後の候である。閏年だと大晦日だが、通常年は元旦が冬至の末候だ。 毎年書いていることだが、冬至以前から日没時刻が少しずつ遅くなって、一年が終わる頃には明るい夕方になりつつあって、それは春の兆候として喜ばしいと、冬の寒さが厳しくなるのと裏腹に感じるのである。 冬至以降の候名を見れば、時節よりも先の春を予感させるような名前が並んでいることに、今さらながら気がつくのだった。 《七十二候のトピックス一覧》
古稀となった2024年が終わる。そして新たな年がやって来て、我々の営みはなおも続いていく。いよいよ世界は混沌の度合いが顕著に色濃くなってきたと感じる。人生の終わり近くにこのような世界情勢になっていくことには、大きな懸念を抱いてしまうのだ。 卑小なところでは、2019年にウェブリブログから移転継続していたSSブログが来年の3月末で終了。拙ブログは、明けて1月1日からSeesaaブログへと転居する。 オワコンであることは否定できないブログという存在だが、流行り廃りとは関係なく、表現手段として使っている人は少なくなく、そもそもオワコンとかいう言葉を使われること自体が迷惑なのだ。それこそブログをやってすらいない人間から言われたくなどはない。 だがしかし、かくして我がブログは流浪の旅を繰り返していくことだろう。 それではみなさん、よいお年をお迎えください。 《年末年始の..
季語は・・・行く年 行く年や 饂飩半玉 気ぜわしく 【去年の今日】週話§土曜枯寂~とうとう来てしまった~
コンサートや歌舞伎、スポーツ観戦で通路側の座席に座ることがあって…… ↓ご覧のとおり(バイロイト音楽祭HPより) ……それで観察していると、そのほとんどで内側の席の人たちのほうが、なぜか来るのが遅く、我々が席に座っていたら彼らを通すのに立たねばならないか、もしくは立ったまま待っていることになるが、平土間で間に通路のないバイロイト祝祭劇場は、そうして遅れて中のほうに入っていく客のために全員が立ったままで待つことになるのである。 《つぶやきのトピックス一覧》
観客は8,169人で1万人に達せず。年末で行きにくかったか、渋い客の入り。と思っていたら、北関東は熊谷で行われたワイルドナイツ対スピアーズの試合は1万人超えをしていたので、動員力不足があったかもしれない。 という客入り状況はこれくらいにしておいて、後半は手に汗握る試合展開となった。結果は33対32と1点差でブラックラムズが辛うじて逃げ切り勝ち。前節のホンダヒート戦で終了間際に逆転負けを喫したショックを引きずることがなく、今シーズンの1勝目となった。 特に推しチームの対戦ではないのに秩父宮まで足を運んだのは、リーグワンに“戻って”きたTJ・ペレナラのプレイを見たかったからである。2021年ワンシーズンだけレッドハリケーンズでプレイしたが、その時は一度も彼を見ることができず、テレビでプレイぶりを見て、是非に見ておかなくてはと思ったのである。 前節はあま..
季語は・・・数へ日 数へ日や 夫の寝言 聞く夜明け 【去年の今日】療話§診察券の束なりき
どん詰まりに来た……あと2日で2024年が終わる(ほとんどコピペ 今年は自分の身体を見直す年になってしまったということだろうか。特に、足の血管の問題をメインとした、循環器系の問題を棚卸しして改善の道筋をつけることができそうだ。歯医者に半年以上通って、かなりメンテナンスができたのではと思っている。 70歳という年齢での見直しは、いささか遅まきながらではあるが、やらないよりはやっておけば、少しでも日々の生活が快適になってくれるはずなのはまあ、間違いないと思いたい。 というわけで、来年の目標は“一病息災”である。 《日常のトピックス一覧》
季語は・・・大根(だいこ)焚き 行列や 最後尾ここ 大根焚き 【去年の今日】懐話§昭和三十年代~貸本屋~
どん詰まりに来た……あと3日で2024年が終わる。 何度目の大晦日、そして何度目の元旦だろうか。もちろん今さら数えるつもりなどはない。 70年生きたということは2万6千日近くをこの世で過ごしたことになり、そのすべてが記憶の中にあるわけでもなく、間違いなく9割以上は忘却の彼方に消えて行ってしまったのだろう。 それが人生だなどと、したり顔でいうつもりもないし、思い出にすがりついて時間を戻そうなどとも思わない。すべては時の流れの中に沈められて、いずこかへと去っていくのである。 でもまあ、少しは人生でいいことがあったよなとは思っているのだけれど。 《日常のトピックス一覧》
季語は・・・年歩む 老い先は いずこ?の日々や 年歩む 【去年の今日】連話§ワタシの酒肴[177]メンチカツ
内緒の話だが―内緒になどなっていないが―一浪して予備校通いで下宿暮らしを始めた時に酒を呑み始めた。19歳だったから完全にフライングである。 下宿の三畳間には暖房の設備など何もないまま冬がやって来た。夜、受験勉強を終えて、口にしたのは安いウィスキー。それをお湯で薄めに割りホットウィスキーで身体を温めて布団に潜り込んだのだった。 そのあたりが酒の呑みはじめだったのだが、だからといって毎日毎日呑んでいたわけではない。そもそもそこまで自由に使える仕送りなどもらってはいなかったから、ごくたまに意を決してビールを買うとかそんな程度である。 だから、酔っ払ったという記憶がないのは、大した量を呑んでいなかったということと、酒の何たるかがわかっていなかったことは間違いない。 その後、大学に入っても酒量が増えるどころか、下宿で酒を呑むことはほとんどなかった。いわば大学時代は酒の空白期だ..
こんな映画があったことを覚えている、あるいは実際に観たことがある人は七十代以上ということだ。 東宝映画『ミスター・ジャイアンツ 勝利の旗』というタイトルで1964年に封切りされた。何と!映画に登場するのは当時巨人でプレイしていた選手たちと川上監督、さらに西鉄ライオンズの中西太まで出演していた。そこに東宝の俳優が加わっていたのである。 1963年、三冠王を狙っていた長嶋茂雄を主役に、ペナントレースの様子を描いたドキュメンタリー・ドラマとでも言えばいいのか……何とも不思議な映画を観たような記憶が微かに残っている。 もちろん芝居素人ゆえ、演技云々については眼を瞑っていたとは思うが、それでも生々しいと思ったのは、三冠王に向かって突き進んでいた長嶋に阪神の投手バッキーがデッドボールを投げて、指の裂傷を負ったというところの映像で、長嶋茂雄渾身の演技ではなかっただろうか。 ..
季語は・・・年惜しむ 入院 二泊三日なり 年惜しむ 【去年の今日】現話§漢字の使用はほどほどにしています
冬至の次候“麋角解(さわしかのつのおちる)”である。 あと5日で2024年も終わり。自分にとってはいい年であったのだろうか……11月から12月にかけて、小さからぬ怪我をしたし、二泊三日でカテーテル手術もした。まあ、自分の身体の状態を顧みたということになるだろうか。 たぶん、自分が考える以上に様々な状況に振り回されたのかもしれない。 2025年……そして、これも我々のような考え方を持つ人間たちにとっては、さらに期待が萎み続けていく年になるのは間違いない。そして最低でも4年は臥薪嘗胆の日々を送るはずである。 いや、別に復讐がしたいわけではない。ごく普通の常識が普通に通用することを実現してほしいだけで、それ以上は何も望むことなどないのだ。 《七十二候のトピックス一覧》
一か月に一度くらいだろか、我が団地にも救急車が入ってくることがある。世帯の高齢化が進んでいることが大きいか。 以前は入って来てもサイレンを鳴らしっぱなしだったのが、最近は入り口で止めて入ってくるようになった。 見えるところに停まって、救急隊員が向かっていく様子が我が家からも見下ろせて、ストレッチャーを出したりとルーチンの仕事をてきぱきと進めていくのだ。 ところが、それからが長いことがあって、要請したお宅に入って30分以上も出てこないことがある。容態を調べているのか、あるいは一番考えられるのは受け入れてくれる救急病院を探しているのかということだろうか。そしてようやく救急車が出て行き、緊張感も去っていった。 ある時、頻繁に救急車が入ってきたことがあった。しかも呼んだのは同じお宅と思われたのだ。数回もそんなことがあった後は、パタリと来なくなったのだが、あれは何だったのだろ..
季語は・・・日向ぼこ 老い独り 優先席の 日向ぼこ 【去年の今日】槍話§十二月大歌舞伎~爪王~
六十代半ば頃から処方薬を毎日服用する生活が続くようになった。 つまり高齢化とはそういうことなのだと改めて実感しているところだが、夫だけでなく、同居人も同様に毎日薬を服用している老夫婦なのだ。 もっぱら、高血圧改善とか血管を拡げるとかの循環器系で、通院している内科は“ヤブ”に近いのだけれど、ありがたくも院内処方して薬を出してくれるので、いちいち処方薬局に赴かなくてもいい。 そんな薬の日々が、この先延々と続いていくのだろうかと思う。若い頃は、そんな日々がやってくるなどとは想像すらしていなかったが、いざ自分がそんな境遇になると“そういうことだったのか”と実感させられる。 世間でも高齢者の医療問題は切実なわけで、先々誰もが当事者になっていく運命にあるのだから、財政面も含めたいい知恵を出しあっていくしかない。医者に通わずに済むなら、それに越したことはないのはもちろんの..
ドイツ語で無賃乗車をする人は“Schwarzfahrer(黒い乗客)”と呼ぶ。 ドイツやオーストリアの鉄道には改札口がなく、人は駅に入ったらそのまま電車に乗ることができるのだ。そして当然ながら、無賃乗車をする輩も少なくはないはずである。 そんな交通機関には“車内検札官”が巡回していて、移動中の車内で身分証明書を提示しながら、切符の有無を確認するのだ。 そんな車内検札官に一度だけ遭遇したことがあった。10年前、ベルリン滞在していた時である。地下鉄に乗っていたら、本当に普通の姿の検札官が、乗客に切符を提示するよう求めたのだった。 我々夫婦は3日間チケットを持っていて、検札官が登場した瞬間に“来た”と即座に反応しチケット提示したのである。そうしてチェックしつつ、一人の男性のチケットを見て「これはだめ」みたいなことを言って、次の駅で連れ降ろしていったのだ。 そ..
季語は・・・クリスマス クリスマスや ワインの栓を 抜き損ね 【去年の今日】週話§日曜枯寂~あと一週間~
この一年、ETCを利用して高速道路を運転していない。最後に乗ったのは去年の5月に尾瀬行で往復した時である。 ここ3年ほど、コロナ禍の自己防衛という名目で、歌舞伎座の往復にも車を走らせた。2020年8月に四部制で興行を再開してから2022年あたりまでは、毎月東銀座までマメマメしく往復していたのだ。 その頃は、毎月のようにETCの高速利用料がクレジットカードの請求明細に記載されていたが、もうめっきりである。つまり、運転するのはほとんど市内をうろうろとしかしておらず、当然ながら走行距離も伸びようがない。 今年も、尾瀬に行くのは秋にしようかと考えていて、それ以外に高速道路を走る予定もさしあたって見当たらない。 年齢を経るごとに車の運転度が減っていくのは、しかたがないといえばそれまでだが、乗らなければ乗らないで、勘がにぶっていくことになるのも、あまりいいことではない……もっと..
季語は・・・葛切り 葛切りや ほろほろ逃げる 箸づかひ 【去年の今日】滅話§OG(オウンゴール)は悲しからずや
上野の東京文化会館への足が遠のいている。年に一度か二度の東京・春・音楽祭に重い腰を上げるのがやっとになってしまった。 とにかく、我が家から山手線の東側まで出向くのがきついと感じる。じゃあ歌舞伎座はどうなのだと問われたら、まあ昼の部などは気楽に行けるし、小田急線を使えば、地下鉄を乗り継いで意外と簡単に行ける。歌舞伎座に行くのは、心理的に気楽だったりもする。 だが上野は、終演が21時としたら、家に帰り着くのが22時半を過ぎてしまうのだ……これはきつい。特にこの10年ほど夜に弱くなったので、22時とは、完全に真夜中なのだ。 そうしてクラシックの演奏会から遠のいているのも事実で、マチネーであれば、まあまあ気兼ねなく行けはするのだが。 そうして、足が遠のいたコンサートホールはいくつもある。まず横浜がアウト。神奈川県民やみなとみらいなど、もう20年以上出かけていない。さらに彩の..
スイスを旅行したのは実に少ない。というか数回程度のことだったし、ほとんどオーストリアから車を走らせての日帰り旅行だった。スイスで宿泊したのは、帰国前日にチューリヒ近郊で一泊しただけである。 だからスイスは、アルプスの有名どころなどに行ったことはない。マッターホルンもアイガーも、モンブランも見たことはないのだ。 車で走ったのはボーデン湖の南岸だったり、オーストリア西端の国境を越えて、チューリヒ近郊のヴィンタートゥアまでアウトバーンを走らせて、オスカー・ラインハルト美術館を4度ほど訪ねてみたり、それに加えると、やはりスイス東部の町ザンクト・ガレンの修道院に付属している世界遺産の図書館を見に行ったくらいで、文化面メインだが自然のほうは見ないままのスイス旅行となってしまった。 ああ、そういえばドイツ側のフリードリヒスハーフェンから“国際航路”のフェリーに乗ってスイ..
季語は・・・虎が雨 虎が雨 意地張るへぼや 千日手 【去年の今日】石話§六月大歌舞伎昼の部~壱太郎のおとく~
夏至の次候“菖蒲華(あやめはなさく)”である。 尾瀬は水芭蕉の季節が過ぎて、百花斉放に入っていく。湿原には様々の花が咲いて木道を歩く人たちの目を楽しませてくれるのだ。代表的なのは、言うまでもなくニッコウキスゲだが、紫のヒオウギアヤメもまた目に立つ存在なのだ。 今年は雪が少なく、雪融け水も豊富とは言えなかったから、この先の花の季節のためには、梅雨の雨ができるだけ多く降ってほしいと望むのだが。 そういえば、アルバイトをしていた半世紀前の木道は、今のようにがっちり組み上げられていたわけではなく、丸太を半割りにして置いていただけなので、ちょっと大雨が降ると、浮き上がってしまったり、流されてしまったりして、元に戻すのが大変なのだった。 《七十二候のトピックス一覧》
結婚して暮らし始めた多摩丘陵のマンションは交通が不便だった。最寄駅からは緩い坂道を上がって15分ちょっと。さらにスーパーマーケットをはじめとした商店街までは歩いて10分。当時は共稼ぎだったので、買い物には本当に難儀した。 2年我慢した……よくもまあ2年も我慢したものだと思うが、そこで運転免許を取ろうと決心したのだ。自動車の運転にさほど興味があったわけではなかったが、背に腹は代えられぬ。 そして1984年10月、無事に運転免許を手にして車を購入した。厳密に言うと免許を取るより早い10月上旬、フライング気味にホンダのディーラーに赴いて、かねてより“これ!”と決めていた赤のワンダーシビックの納車をお願いした。 免許を手にして10日後くらいだから11月に入っていたと思うが、我が家に赤いシビックがやって来た。ルイ・アームストロングが歌う『ワンダフルワールド』のコマーシャルを..
季語は・・・青時雨 ざわざわと 乳房榎や 青時雨 【去年の今日】週話§日曜枯寂~貧乏暮らしのこと~
たまに過去エントリーを俯瞰していると、どうもあちこちダブりが散見…… ……してきていることに、やはり自分の中でネタ切れを起こしつつあるかとちょっとがっかりしつつ本文を見れば、エントリーのタイトルは同じようであっても、中身については違う切り口だったりしていることに安心しながらも、もう少し心してかからなくてはと反省するのだった。 《つぶやきのトピックス一覧》
萬屋の襲名興行昼の部を観てきた。獅童と菊之助の『上州土産百両首』から『義経千本桜~所作事時鳥花有里~』があって、最後に時蔵襲名披露狂言の『妹背山婦女庭訓~三笠山御殿~』まで。萬屋と播磨屋勢揃いである。 まずは獅童と菊之助の百両首。1時間半と長い芝居だったが、雰囲気を感じさせる舞台。獅童と菊之助はそれぞれの持ち味を出していたが、菊之助にはもう少し喜劇風味を盛ってほしい。 義経千本桜の“時鳥花有里”は、2回ほど観ていたようだが、舞台が華やかという印象しかなく、今回も同じだった。 そして、梅枝改め時蔵の襲名披露狂言『妹背山婦女庭訓~三笠山御殿~』である。やや面長で古風な顔立ちの時蔵は、将来の立女形として期待されているのは間違いなく、襲名披露狂言でもその実力を如何なく発揮してくれたと思う。劇中で行われた襲名披露口上は、仁左衛門の豆腐買おむらを芯に、右に新時蔵、左に新梅枝と..
季語は・・・夏館 銅版画 掛け替え並べ 夏館 【去年の今日】週話§土曜枯寂~6月最終土曜日~
1948年6月24日、ベルリン封鎖始まる。 第二次世界大戦後、ドイツは米英仏ソの4か国に分割統治された。さらにベ ルリンも4か国に分割されてしまった。 そしてベルリンの一括統治を目論むソ連は、米英仏3か国が統治する西ベルリン地区を封鎖して“兵糧攻め”を試みたのである。それに対して3か国は“空の架け橋(Berliner Luftbrücke)”作戦で物資の空輸を開始したのだ。 輸送作戦は功を奏し、封鎖は翌年4月に解除され、東西ベルリンの行き来が自由にできるようになった。ベルリン封鎖は失敗に終わったのである。 その後、1961年8月にソ連は“ベルリンの壁”を構築し、西ベルリンを陸の孤島化させ、ソ連からの揺さぶりは執拗に続いたのだった。 そんな孤島化が終わったのは1989年11月の事である。 《歴史のトピックス一覧》
試合前までの、イングランド23人のキャップ総数は848、対する日本は259。初キャップはイングランド1、日本8。そしてこの日の観客は44,029人……5万はいくのではと思っていたのだが。 ↓ゴールのサイドバー中央にカメラが設置されていた 結果は17対52……イングランドの快勝である。経験と実力差はいかんともしがたく、ヘッドコーチであるエディ・ジョーンズ掲げる“超速ラグビー”など影も形もなかった。 さて、このメンバーでしばらくテストマッチを続けていこうというつもりであるのか、若手の育成とベテランの活用というバランスをどうコントロールしていこうとしているのか、何を言っても“エディ・ジャパン”の初戦なので、様子を掴みかねていたのだ。 先々を考えれば、若手にチャンスと経験を与えなくてはどうにもならないことは明白なのだが、この日のゲームを観る限りでは、..
季語は・・・夏嶺 夏嶺や 大休憩の 水温し 【去年の今日】稽話§ゲネプロに潜り込んだ件
元より大食いというわけではなかった。男性としては、まあまあ普通の食欲は持ち合わせていた……そんなレベルだった。 食欲がいさかか希薄になってきたと感じるようになったのは、五十代半ばを過ぎた頃ではなかったか。晩ご飯の時、大きめのご飯茶碗で食べていたが、それは250gくらいあったと思うが、最近はというと、その三分の二の180g程度で満足できてしまう。 神保町界隈に君臨していた“いもや”のとんかつ定食を食べさせてくれる店のとんかつは200g近くあったような気はするが、今はもはや120gくらいでアップアップしているのだ。 言うまでもないことだが、古稀になろうとする人間の基礎代謝は順調に少なくなっていっているわけだから、この期に及んで大喰らいをすること自体が自殺行為である。 晩酌で、酒を呑みながら食べるつまみも少しく減っていて、気がつけば皿も小さくなっていたりした。 《私..
季語は・・・夏至 夏至の日や 「おつかれさま」と LINE来る 【去年の今日】歌話§赤い鳥とハイファイセット
国が国民に対して“サービス”をしなくなったと感じる。政府そのものが、あっちこっちで劣化していて、政治家だけでなく官僚たちもそうした発想を持っていないような気がする。 税金を払っているのは国民である。それは国からいくばくかのサービスを受け取るためなのに、そのリターンがほとんどないと感じるのだ。 前々任者が政治をいい加減な地位へと貶め、権力を自分たちに都合よく運用した結果が、今や政権党が内部崩壊を起こして機能しなくなっていることではないか。 そして政治は“ズル”をしてもいいのだと勝手に解釈し、方向性を完全に見失ったのが今である。何を為すべきかわからぬまま“見てるだけ”しかできなくなって、気がつけば我々が立たされているすぐ目の前は崖っ縁である。 我々は、自民党という泥船になど乗りたくもない。 《日常のトピックス一覧》
季語は・・・夏暖簾 ひんやりと 麻の肌目や 夏暖簾 【去年の今日】美話§おいしい物はそれぞれの消費地へ
夏至の初候“乃東枯(なつかれくさかる)”である。 夏至ですね。今日の日の出は4時24分、日没は19時3分。 いよいよ暑さの夏の本番がやってくる。我が家の場合、睡眠大事を大基本にしているゆえにエアコンを使うメインは夜から朝にかけての就寝中なのだ。 夫婦して暑がりだからかどうか、ともかくも寝ている時に暑苦しいのは勘弁してほしく、そんなエアコン運営になっている。もちろん暑い日中にも適宜稼働させてやるのは言うまでもない。 そして心配なのは電気料金の支払いである。電気・ガス料金補助は5月で終了。だからこの夏の電気料金請求がいかほどになるか、戦々恐々としているのである。 本当に、今の政府は“何もしない”としか思えない。あれほどの円安をそのまま「注視している」というのみで、単に“見ている”だけなのだ。一か月前にドイツ人の知り合いと会って話をしたのだが、それほど政治あれこれに..
[承前] 所用あって、京王線の特急通過駅に通っている。駅前には駅にへばりつくように商店街が展開していて、昔ながらの肉屋に行けば、コロッケやハムカツといった総菜揚げ物が並んでいて、思わず「ください!」と言ってしまう。 そんな店が並んでいるのを見ると、新しく開発された地域に住んでいる身にとっては羨ましいと感じるのだ。 環境良好であることで大きな不満もなく40年以上住み続けているが、そんな下世話な商業施設の存在については羨望を覚えるのである。 当然ながら、チェーン系でない居酒屋の類も点々とあって、こんな場所に住んでしまったら、帰宅前にあちこちと寄り道するのは言うまでもなかろう。 とはいえ、そんなごちゃごちゃ感を鬱陶しいとも思う自分がいて、なかなか微妙な感情を抱いているのだ。 そんな駅前商店街だが、目下高架工事がたけなわとなっていて、ところどころシャッターが閉め..