季語は・・・師走尽 師走尽 世はこれすべて 塵芥 【去年の今日】週話§日曜枯寂~2023年大晦日~
季語は・・・卯月尽 彩りは とうに移りて 卯月尽 【去年の今日】週話§土曜有閑~日本人の握手~
穀雨の末候“牡丹華(ぼたんはなさく)”である。 穀雨も末候となり、世間は初夏である。ゴールデンウィークがスタートしたので、高齢者は混雑の中に身を置くことはせず、地元でひっそりと過ごすことにしている。 特に出かける用事はないがカレンダー並びを見ると、有給休暇が取れれば、昨日から5月7日まで9連休の“大型”休みとなって、人出はさらに激しいだろうから、自宅周辺で過ごすが吉であろう。 ゴールデンウィークに出かけずとも、我々のような身は、いくらでも平日に出かけられるのだから、わざわざ混雑を助長しにいくことはなく、いくぶんか混雑緩和に寄与していると思えばいいのだ。 空気もほどよく乾燥して、本当に過ごしやすくありがたい季節である。 《七十二候のトピックス一覧》
今月は東京・春・音楽祭で、大ホールのマイスタジンガーと小ホールで行われたピアノ演奏会を聴いてきた。 ↓カーテンコール時は撮影がOKだったので一枚 上野公園の入口に建つ東京文化会館は前川國男の設計で1961年に柿落としが行われたので、今年で満62年……前川の“モダニズム”建築は、今なお色褪せることはないことに驚かされる。 大ホールはもちろんだが、特筆したいのは小ホールの空間である。座席表を見ると、ほぼ正方形の中にステージと半円形の客席がレイアウトされていてあたかも岩穴の中にいるような気分にさせられるが、後ろを振り向くと木が格子状に並んでいて、それがまた対照を生み出しているようだ。 こちらのリンクで“おお!”と感嘆したのは、ステージから客席を見た写真で、何と端然たる光景なのだろうとを思った。 耐震補強やリニューアル工事を経て、東京文化会館はここに至った..
季語は・・・惜春 惜春や 明日廃業の 純喫茶 【去年の今日】反話§気がきく人きかない人
明日で4月が終わる。2023年も4か月が経ってしまう。既に三分の一が終わるということなのだ。とっくに樹々の緑は生えそろい、本当に佳き季節だ。 季節の動きが速い。人間の営みの速度より先へ先へとフライングするかのように進んでいくと感じる。 夏の到来も早いだろう。到来が早いからといって、秋が早く来るとは考えられない。地球温暖化が進む昨今、夏という季節は春と秋とへはみ出して、およそ5か月は夏になるという塩梅ではなかろうか。 そして暑いのが大の苦手というのが我が同居人である。とにかく、暑いのが大嫌いで、暑い状況に身を置くなら、半時もすれば不機嫌になり、凶暴さを増してくる。 同居人の好きな季節は羽毛布団で暑くなく気持ちよく眠ることができる……11月頃から4月上旬というあたりになるだろうか。 《日常のトピックス一覧》
季語は・・・春の夢 半覚醒 気がついており 春の夢 【去年の今日】別話§終活のおはなし~不定期連載~
月に2、3回くらい、車で5分ほどのところにある食パン専門店で食パンを1斤――正しくは半斤か――買っている。焼き立てなので、買って帰ってもふんわりとした食感が同居人好みなのだ。 焼き立てすぐはだめだが、リクエストに応じてスライスしてくれる。最初は左右の耳をカットして中を6枚切りにしてもらっていた。 何年かは、6枚切り1枚を朝食として食べていたが、去年あたりだったか、少し重いと感じるようになって、7枚切りでお願いするようになったら、これがちょうどいい。 通常、食パンのカットは、4、6、8と偶数で切っているようだが、当然のことながら奇数枚数でも切ることはできて、自分が食べやすい厚さで切ってもらえばいいだけのことである。 出来合いのパン屋で売られているのはそんな枚数設定なっていて、自分的には8枚切りでは物足りないが、6枚切りでは多い。そしてその中間でカットされているケーキは..
実は夜の部を“もう一丁!”してしまっていたのだ。高齢者である仁左衛門のことゆえ、何があってもおかしくなく……現実に5日から三日間休演をしちゃったし。念の為、前半後半のチケットを保険として用意していたのだ。 ↓前回より舞台近くに席を 千秋楽前日で雨の平日にもかかわらず、ほぼ満席のお運び。やはり、観たいものは観ておきたいというお客さんの熱気が感じられた。 おそらく玉三郎&仁左衛門のお富与三郎はこれが最後であろうと思われるが一回目に観たとおり、まさに水の如く“あるがまま”のお富さんと与三郎が自然体でそこに在ったのである。 芝居するべき多くの要素が、さり気ない動きの一つ一つに込められていて、こういう境地まで達することができるのかという感慨を覚えたのだ。 ところで、ふと三世瀬川如皐の手になる台本に、ちょっと首を傾げる場面があって、それは源氏店幕切れ近く、和泉..
季語は・・・若葉 浴室の 窓そよめかせ 若葉風 【去年の今日】環話§室温15度では肌寒い
2005年4月27日、トゥールーズでエアバスA380が初飛行。 エアバスA380に乗ったのは確か3回か4回。2010年から2013年頃くらいで、成田からの行きには一度も乗らず……ミュンヘン直行便はA380の運行ではなく、フランクフルトからの帰国便に乗ったのである。 実物を初めて見たのは2008年の成田で、日本で最初に就航したシンガポール航空機だった。 ↓2008年、成田での初対面 総2階建てのぼってりした様子は、さすがにでかいと驚かされたし、これが本当に飛ぶのかいなとも思ったのだ。 それから何年かして、ルフトハンザが日本便運航を始めて、フランクフルトから成田への帰国便に乗ることになった。写真で見ればわかるように、搭乗するためのフィンガーは上に1基、下に2基。機体の大きさもさることながら、そうした周辺のあれやこれやも半端ないものがある ↓フランクフルト..
昔々、少年漫画週刊誌に短編SFが連載されていたことがある。小学生にもわかりやすく書かれていて、漫画の合間の佳き読み物になってくれていた。 そんなSF小説の中に“色のない世界”をテーマにした一作があって、これはなかなかによくできていた作品だったと思う。 ある日、我々の世界から色が消滅して、何もかも真っ白になってしまったというストーリーだが、その中で強調されていたのが食べ物に関する記述で、何もかもが白いがゆえに“食べ物の味が感じられない”とあって、子ども心に「そりゃそうかもしれない」と納得したのだ。 それこそ、真っ白い海苔、真っ白い(当たり前だ)ご飯、真っ白いマグロの鉄火巻ってどうよ?ではないか、そして醤油も白いときたもんだ。そして……真っ白いほうれん草のお浸しだったり、真っ白いさくらんぼやブルーベリーなどなど、ちょっと想像をするのが難しくなっていった記憶がある。 現実..
季語は・・・ふらここ(ブランコ) ふらここや 独りで乗ると 言い張る子 【去年の今日】飽話§食べ歩きの旅は・・・・・・
身長は171cmあるのに、足のサイズは24cmなのだ。 靴を探す時にはけっこう難儀する。スニーカーの多くは25cmからしかなく、辛うじて24.5cmからというのがあって、今は24.5cmをもっぱら履いている。 靴下はもっと悲惨で、24cmというのは完全に空白状態にあり、25~27cmからしか店には並んでいない。よほど探して回らないと24cmは見つからない。 それほど足のサイズが24cmに満たない人は少ないものなのだろうか。そんなはずはないだろうと思うので、そのサイズを設定しないのは、メーカーがネグっているからとしか考えられない。 そういえばと思い出したのは、海外旅行中に靴を探してみた時のことで、ドイツあたりだと「24cm?何それ?」でけんもほろろ状態だったのが、あーら不思議……イタリアはヴェローナの靴屋に入ったら、24cmサイズがいくらでも選び放題で置かれていること..
久しく回らない寿司屋の暖簾をくぐっていない。数年前、こんな田舎に……という稀な寿司屋が閉店してこのかたである。 本当にいいネタが使われて、しかも値段はリーズナブルというものだった。おまかせもあったが、もっぱらお好みでマグロや穴子をつまみにビールと日本酒をいただいて、最後に握り数貫と巻物をもらっておしまい。好き勝手で楽しませてもらった。 それが、世間で言うところの“高級”と思われる、とても恐ろしくて暖簾をくぐることなどできない店はというと、これほとんどすべてが、お決まりのコースで供されているようだ。 作る店の側にしてみれば、お決まりの寿司を出すのは“楽”なことかもしれない。だが、客のことを考えているかといえば、店の都合であるとしか思えないと考えるのは僻目であろうか。 そういえばフレンチやイタリアンなどでも、コースで出されるよりは、アラカルトをいただきたいと思うのだが、..
季語は・・・余花 余花落花 烏諍(いさか)う 日の盛り 【去年の今日】酔話§チェーン系の居酒屋考
穀雨の次候“霜止出苗(しもやんでなえいずる)”である。 気持ちのいい気候である。表に出て行くのがまったく苦にならない、一年のうちでもそんな時季にあたっている。 4月のはじめ、桜の盛りが終わるのと入れ替わりに吹き出した若い新緑も、あっという間に緑の濃さを増してきた。 若い芽が出てきた頃は、桜にかまけてしまっていて、そんな隙にほんの数日ほどで木々に新緑が出そろった時には、自然の営みのスピードに舌を巻いたのだ。 老境の身には、そんな様子が何とも慌ただしいと感じられ……「そんなに急ぐことはないだろう」と呟くしかなかったのである。 それにしても今年の緑のスピードは速いと感じる。例年であれば、もう少しじわじわと2週間くらいかけて樹々の緑が出揃うのだが、それはもう温暖化のゆえということだろうか。 《七十二候のトピックス一覧》
その場所を旅行するのは一回限りというのであれば、外から著名建造物の類ばかり見て回るのは、ある意味しかたないと言えるかもしれない。 だが、同じ場所に複数回通っても、相変わらずそんな観光旅行でお茶を濁すのであれば、それはやめておいたほうがいいだろうし、よく飽きないものだとも思う。 もちろん、それなりに由来については調べての上だとは思うけれど、表からだけ見物してはいおしまいというのは、天麩羅やフライの衣だけ食べているような気がしないでもない。 よもや、美術館の建物の外観だけを見てそれでよしとする人はさすがにいないとは思うが、旅行記みたいなブログの中に、オペラハウスのガイドツアーに行ってきた様子を書いている人がいて……いや、それだったら、やっぱりオペラやバレエの公演を観てほしいのだ。 我々が何度も何度も繰り返して同じところばかりに行くのは、そこで行われているオペラやコンサー..
季語は・・・春の風邪 長寝の朝 老いの微熱や 春の風邪 【去年の今日】週話§日曜有閑~他人様に金は貸さない~
そろそろパソコンの買い替え時期が近づいている。前回は2018年のことで、その一つ前のパソコンが2年ほどでお釈迦さまになってしまい、データ救出に苦労しつつ、買い替えを余儀なくされたのだ。 これまでのローテーションであれば、5年をめどに買い替えていて、だからそろそろなのである。 もうとっくに、電源を入れてからパソコンが使えるようになるまで10分以上を要していて、その遅さにはほとほと閉口している。そして、買い替えするには“資金”が必要になるし、買い換えたら買い替えたで、新しいパソコンの設定あれこれ、データ移行などが実に煩わしい。 かつては、淡々と作業をこなしていたが、寄る年波には勝てず、そうした作業が面倒と感じてしまった。いずれは買い替えるのだからとは思いつつも、その時が来たら渋々ながらでもやるしかないのは決まっているのだが……。 というわけで、パソコンの5年使用はまだま..
ちょっと不思議(変)なゲームを観たような……ジャパンラグビーリーグワン最終節、えどりく(江戸川陸上競技場)14時キックオフで行われたスピアーズ対サンゴリアスの一戦。観客は5,651人、芝生席も盛況の入りだった。 前半はまだよかった……堅調というか、もう少し点が入ってもよかったかという印象だったが、後半は蛇口がぶっ壊れたかのようなトライ大放出大会となってしまったのである。しかも、両チームそれぞれ2人ずつシンビンを出すという賑やかさ。 シーズン順位も決定した、いわゆる“消化試合”であるはずだったのだが、それが最後は壮絶な打ち合いになろうとは……である。 まあ、観ている側からすればちょっと笑ってしまうような試合展開だったがそれ以上に試合時間の長さが半端ないものだった。休憩を挟んで、ノーサイドの笛が鳴ったのは16時5分。通常であれば2時間超えすることはなく..
季語は・・・日永 ぐびぐびり ビール寿ぐ 日永かな 【去年の今日】週話§土曜有閑~ビール純粋令五百六周年!~
2016年の五百周年の記念年以来、この日が来るたびにビール純粋令を寿いでいるが、それも8年目となった。 ドイツ・ミュンヘンあたりを旅行している日々は、至福の時を過ごしていたが、ワタシ的にはこれすべてビールのおかげである。 食べ物の持ち込みが自由なミュンヘンのビアガルテンに日本そのままのつまみである、枝豆や葱チャーシュー、そして締めの巻き寿司を持ち込んだのは2008年のことだった、以来数回ほどミュンヘン中央駅近くのビアガルテンであるアウグスティナーケラーで“寿司パーティー”を行った。 ↓日独混在之圖 まあ、大げさに言えば“本懐を遂げた”だろうか。そして彼の国の人たちが日本人のように何かをつまみつまみ呑むなどとはせず、ひたすらちびりちびりとジョッキを傾けていたのだ。 ↓ビール純粋令が発布されたインゴルシュタットの記念マグ 旅行することで、常に..
季語は・・・陽炎(かげろう) 陽炎や 裏浅草の 人力車 【去年の今日】復話§尾瀬のシーズン始まる
かつて、大学ラグビーと社会人ラグビーが日本選手権を戦っていた時、日本のラグビーシーズンは1月で終わっていたのである。 今のリーグワンのシーズンは12月に始まり、4月までリーグ戦が争われて、5月にプレーオフの準決勝と決勝が行われるから、およそ半年近いシーズンとなった。 それゆえ日本選手権も消滅し、大学ラグビーとの接点もなくなってしまったのだ。もっとも、日本選手権の運営形態も変化して、社会人1位と大学1位が選手権を争ったのは1996年まで。 1997年からは、社会人3位までと大学2位までの5チームでトーナメントを行うようになったが、さらに運営形態はだらだらと紆余曲折が続いたのだ。 リーグワンが軌道にのってくれれば、この状態がそれなりに続いてくれるとは思うが、まだまだ試行錯誤も続きそうではある。 そして、リーグワンは今週の第16節でリーグ戦が終了し、5月半ばに上位4..
季語は・・・春風 春風や 金剛杖の 減り具合 【去年の今日】面話§地続きのヨーロッパ
一般的に“天下り”とは、公務員が出世レースから外れたことで、関連外郭団体や民間企業に職を得てというものである。 もちろん好ましいものなどではなく、体のいい食い扶持探しなのは言うまでもないことだが、つい最近もそうした天下りをゴリ押しするような事例が発生した……国交省の元次官が、航空会社に対して人事を押し付けたのだ。 こうした事例は珍しいことではないかもしれないが、明らかにお上意識に基づく権力の濫用ではないだろうか。 そうして結果的に、民間企業や関連団体が官僚の手に落ちることになるのである。 自分について振り返ってみるなら、定年退職後は65歳まで会社に嘱託として残って、別セクションで仕事をすることもできたが、高校同期の人間からの頼まれ仕事を引き受けることに決めた。ところがその彼が急死してしまい、先々続けることを断念したのだ。 その時、先々の生活がどうなるかと考えた..
温泉法なる法律があって、水温25度以下の冷泉を鉱泉と呼ぶようになっていたが、もう最近は湧き出ているものであれば、これすべて温泉と呼んでいるようだ。 とすると、鉱泉は火力を使い一定の湯温まで沸かさなくてはならず、それはそれで燃料代が必要となり、温泉と比べたら割高ではないかと感じるのだがいかがなものか。 かつては、温泉と鉱泉の表示がきちんと分けられていたので、選ぶにしても自分なりの基準で選べたが、今はそのあたりの線引きが曖昧なのである。 二十代前半の一時期、山奥にある鄙びた温泉に行くことを楽しんでいたが、その時も鉱泉の沸かし湯などは選ばず、温泉であることを確認して出かけていた。もっとも、山奥の山小屋同然の旅館に湯を沸かすような費用がかさむ設備など置けるはずもないが。 中には湯温が40度を少し切るような温湯に出くわすこともあったが、その手の温泉は、長時間じっくり入っている..
季語は・・・長閑(のどか) 長閑(のど)けきや 欠伸伝染りて 蔵の町 【去年の今日】呆話§夢見ること多く
穀雨の初候“葭始生(あしはじめてしょうず)”である。 季節は進む、どんどん進む。もう春分から一か月が経ってしまう。 ほどほどの気温とほどほどの湿度が気持ちいい。前に書いたとおりで、腕を出すにはまだ心もとなく、半袖でもいい気温なのだが、ちょっとひんやりとして、肌のほうがまだ慣れてくれない。 とはいえ、我が家では衣類の入れ替えで半袖物を取り出していて、いつでも半袖を着ることができるように準備は怠りないのである。 まあ、もう着てもいい気温には十分上がってきてはいるのだが。 《七十二候のトピックス一覧》
味にうるさいとか、グルメだとか……そんなのは微塵もない。そして、食い意地が張っているわけでもない。 若い頃はそれなりの量を食べていたが、たぶん四十代の終わり頃から食欲は順調に落ちていって、五十代には“それなり”の量に落ち着いてくれた。 酒量に関しては五十代に入ってもまあまあいけていたと記憶しているが、酒に関しては、定年まであと数年という頃から意識して減らしていった。もちろん、呑めば呑めたところを、意識して休肝日を設定して絶対量を減らしていったのだ。 五十代に入った頃、思い立って週一日からスタートし、2009年には週二日に増やした。それでしばらく推移していたが定年退職の一年後、2016年11月から週三日を始めたとあった。 かつて一日1リットルのビールを呑んでいたのが、缶ビール350ml1本と日本酒だったら二合……つまり一週間にビール1400mlに日本酒八合まで落とした..
季語は・・・春深し 痒々の眼とは縁なく 春深し 【去年の今日】肌話§Tシャツという生き方
体内から水分が失われるのは、真夏だけでなく冬にも起こるのだという……そんなお話。 今からもう四半世紀前の1998年、長い休暇が取れ、初めて冬のベルリンを訪れた。ウンター・デン・リンデンの歌劇場やベルリン・フィルハーモニーなどなどで行われたオペラやコンサートを楽しんだ。 12月初めとはいえ、ヨーロッパの冬の寒さはなかなかに厳しく。四十代半ばで、まだまだ体力があったとはいえ、どんよりとした空の下でのベルリン滞在は難儀なところがすくなかった。 そんなある日のことである。街歩きをしていた時、ふいに喉がひりつくような感触があって、何事?と思った。何か体調不良でも起きたのかと考えたが風邪とかではなさそうだし……頭を巡らしていたら“ひょっとして?”と考えたのは、寒さで身体から熱が奪われ、同時に水分も出て行っってしまったということである。 どうやら診立ては正しかったようで、水分を補..
宮仕えを始めた時、会社から支給される給与は手渡しだった。給料日になると印鑑を持って経理部に出向いて、給与明細と現金の入った給料袋を手にするのである。 個人的には、その時からいちいちの手渡しを面倒だと感じていて、しばしば担当者に銀行振込にならないかと聞いたのだが、その答えは「反対する人がけっこういるんですよね……そうしたいのはやまやまですが」というもの。 社員全員の給料袋に間違えることなく現金を詰めて封をする……そんな気の遠くなるような手間など、時間の無駄ではないかと思ったけれど、これはもう時節を待つしかないと思っていたら、数年後だったかの結婚した頃あたりから銀行振込が“半ば強制的に”始まった。 抵抗する間もあらばこそ「はい、来月から振込にします」とアナウンスされて、有無を言わさずの一斉改革だったのだ。 その後も、夏と冬のボーナスはなぜか小切手支給で、当日に銀行の人た..
季語は・・・春風 春風や 七人待ちの 処方箋 【去年の今日】覚話§地理感覚~京都と滋賀~
大柄な歌舞伎役者として『助六』の意休や『夏祭浪花鑑』の釣舟三婦、菅原伝授手習鑑『賀の祝』の白太夫といったあたりを持ち役にしていた。 テレビ番組で素顔で登場している様子を見ると、柄の大きさとは裏腹に繊細な表情を見せていて、なかなかに複雑な人柄と見受けた。襲名披露の口上に並んだ時は、必ず与太話を披露して客席を沸かせていたことも懐かしい思い出だったが、四月大歌舞伎『与話情浮名横櫛』で和泉屋多左衛門を務める予定が初日から休演となり、そのまま逝去したことは悔やまれる。享年八十二 合掌 《追悼のトピックス一覧》
去年、40周年を迎えたと思ったら、あっという間に41周年がやって来た。 同居人とは既にもう、血縁だった人間以上……はるかに長く同居している。継続は力かどうかはわからないが、それぞれが何を考えているのかは、それなりに把握できるような気がしている。 昔々、漫画だったかで見た夫婦の会話に「おい」と「はい」で理解している様子が描かれていたが、それに近いところまでは来ているということか。 経年によるものか、不注意だとかちょっとした物忘れとか、直近のミスが起きやすくなってしまっている。自分なりに注意して、改善できているものもあるけれど、この先も徐々にそうした状況が増えていくかもしれない。 ともあれ、あまり大事なく穏やかに生が全うできればありがたいことだ。 《私事のトピックス一覧》
季語は・・・飛花落花 クラークが 指さす先は 飛花落花 【去年の今日】週話§日曜有閑~卒業確定・・・・・・~
雨そぼ降る第15節は、2019年ラグビワールドカップ日本大会以来の日産スタジアム(横浜国際総合競技場)で行われたイーグルス対サンゴリアスを観た。この日の観客は、雨にもかかわらず15,034人。 入場したところで、イーグルスの法被が配られていたので思わずいただく。先着1万名とのこと。 ちょっと肌寒かったので、ジャンパーの上から羽織れば、ちょうど佳き哉。 さてもストレスフルなゲームに疲れた。先に結果を書いておくと、9対11でサンゴリアスの勝ち。イーグルスはペナルティゴール3本のノートライ。サンゴリアスは前後半1本ずつのペナルティゴールに、72分にタタフが右隅へ飛び込んでようやくのトライ1本。双方が決定機を作ることができないまま見ていて疲れるゲームだった。 雨の中のゲームでボールが手につかずノックオンばかりは増えるばかり……前半7分にはイー..
仁左衛門の体調不良で5日から7日まで休演となった夜の部に行ってきた。仁左衛門の与三郎、玉三郎のお富で『与話情浮名横櫛』……鉄板である。 木更津海岸見染の場~赤間別荘の場~源氏店の場まで、和泉屋多左衛門を務める左團次が体調不良で一か月休演となり、権十郎に代わった。 そこにある舞台の作為のなさは驚くべきことである。大げさな身振りの演技などどこにもなく。空気の如く、水の如くの舞台がそこにあったのである。 とりわけ、源氏店の場の仁左衛門と玉三郎が対峙する様が際立っていて、お富を執拗に責める与三郎と、受け留めるお富の沈黙。歳月を積み重ねた中で培われた空気感が見事に表出されていたのだ。 何もしない……不作為の演技とはこういうものなのか。どのあたりからかは覚えていないが“芝居を観ている”という行為から離れ“事実を観ている”かのような錯覚を覚えた。 主役二人に絡む、脇..
季語は・・・ゆく春 ゆく春や 捕手のサインは スライダー 【去年の今日】週話§土曜有閑~外食そそくさ~
喫茶店でモーニングを食べる機会はそれほどない。頻繁に食べていたのは、就職して新人研修をしていた時くらいだっただろうか。 アパートで朝飯を作って食べる余裕などあるはずもなく、アパート最寄駅で立ち食い蕎麦をすするか、会社の最寄駅地下にあった喫茶店でモーニングを食べていた。 地下鉄の改札口を出て階段を上がってすぐのところに、ごくごく普通の喫茶店があって、ごくごくどうってことのないモーニングを出していたのだ。 やや厚切りのトーストに茹で卵、申しわけの小皿サラダが、それにコーヒーである。大学までで“食べ盛り”は卒業してしまっていたから、その程度で十分満たされた。 そんなモーニングが1コインでお釣りが来る値段だったのは、ペイペイで薄給の身にはありがたく、頻繁に利用していたが、入社して3か月もしたら、勤務時間が昼頃からのスタートとなり、我がモーニングの習慣はあっけなく終わりを迎え..
季語は・・・春望 春望や “鉄”が数人 無人駅 【去年の今日】過話§虹始見~七十二候~清明
ビッグイシュー453号は4月15日から発売されています。お買い求めできる場所はこちらを参照。毎月1日、15日発売。一部450円。230円が販売員の収入に。エディ・レッドメインが表紙。 表紙&スペシャルインタビュー エディ・レッドメイン リレーインタビュー 大島新(映画監督) 特集 わたしの隣人、人権はどこに さまざまな国から生きのびるため日本に逃れ、私たちの隣で暮らす外国の人たちは今、どのように生活しているのだろうか。 政治的に不安定な母国へ帰国できないなどの事情を抱えているが、日本政府から滞在許可がおりないため、入管施設に“収容されている人”は124人(2021年末)、一時的に身柄の拘束を解かれた“仮放免者”は5910人(2021)となっている。仮放免中は就労できず、健康保険がないので病気になれば医療費は全額自己負担。生活保護も受けられない。さらに、..
清明の末候“虹始見(にじはじめてあらわるる)”である。 もう……新緑の季節となった。個人的に白い緑と呼んでいる、淡い色の若い葉が木々の枝から噴き出し、周囲の空気を一変させるのだ。 若い葉の誕生は、同時に初夏の始まりでもある。何度も何度も書いていて、いい加減に聞き飽きたとは思うが……“一年で一番好きな季節”がこの時季なのである。 冬の厚い上着から解放され、身軽に外出できるようになり、外の気温もほどほどの心地よさが一か月ちょっと続いていくれるだろうか。 それも6月になれば湿気湿気のシーズンに入って、気温は夏に向かって上昇を続けていくのだ。 毎年、この一か月ちょっとを愛おしく、そして惜しみ惜しみながら過ごしていくのである。 《七十二候のトピックス一覧》
2年目のジャパンラグビーリーグワンも今週と来週でリーグ戦が終了する。そして、順位が決定した後の5月中旬にリーグ戦1位から4位まででプレーオフトーナメントが行われる。 今シーズンはせっせと観戦に通った。味の素スタジアムに始まり、秩父宮、そして江戸陸と、今節で10回(D2の1回を含む)を数え、最終16節も行くのでなかなかの回数ではないか。そしてプレーオフも準決勝のどちらか1試合と決勝も観る予定だ。 正直に言えば、スタジアムでの観戦は雰囲気を感じに行っているようなところが大きく、ゲームのディテールまでを見通せるほどの眼を持っているわけではない。当然、密集で何が起きているかも何もわからない。 それゆえ、詳しいところはスポーツチャンネルの再放送を。時間があれば、キックオフからノーサイドまで、あるいはダイジェストも放送してくれるので、改めて見直してゲームの詳しいところを見ておく。 ..
季語は・・・花の闇 ひつそりと 佳人訪(おとず)る 花の闇 【去年の今日】騙話§アマゾンPrimeの詐欺商法
単なる素人の妄想話である。 ↓江戸陸で行われたスピアーズ戦に登場した関取翔猿 幕下、三段目レベルで体重100~120kgくらいの力士にラグビーを教え込んだら、超最強のチームが出来上がるのではないかと思うのだ。まずもって、当たりに強く、スクラムに必要な押しも鍛えられていて、フォワードとしては申し分ないではないか。 さらに走力だって、100mを11秒台、12秒台で走れる力士もいたりした。かつての旭道山などがそうで、そんな彼らをバックスにすれば、軽々とタックルをかわしてトライするに違いない。 力士はただの“デブ”ではなく、運動神経に優れているのは言うまでもないことで、侮るなかれ!なのである。 もちろん現役の力士にラグビーをというのはできない相談だが、志半ばで引退を余儀なくされた二十代前半の若い、三段目そこそこの力士を勧誘して鍛えれば物になるのではないか。 ..
この10年ほど“ビール離れ”などと世間で喧伝されている。個人的にはビール離れとは無関係に“最初はビール”と律義に守っていて……だから、本当の実態が把握できないでいる。 ただ、特に若い世代があれやこれや、ビールというよりも酒離れだったり、自動車離れだったりと、彼らの嗜好がどこを向いているのか見えないところがあって、もどかしい思いをしているのだ。 おそらくは“古い世代”の発想であろうが、酒であれ自動車であれ、ある意味前向きなリアルな存在として認識しているのだが、若い世代は、そうしたリアルよりも、ヴァーチャル・リアリティ的な何かに惹かれるということなのだろうか。 もしもそういうことであれば、状況はなかなかに難しいフェーズへと入ってきているようだ……もちろん、あくまでも想像でしかないのだが。 目に見えるもの、耳で聞こえるもの、舌で味わえるものといった五感の類に大きな変化が起..
季語は・・・熊谷草 戦(いくさ)忌む 熊谷草に 風の過ぎ 【去年の今日】騙話§アマゾンPrimeの詐欺商法
[承前] メーカーの菓子類がまだまだ普及していなかった昭和三十年代、量り売りの菓子屋があちこちにあって繁盛していた。 長方形の菓子箱を20ほども並べていて、箱の中身はといえば、ビスケットやクッキーといった洋物はもちろん、豆菓子や煎餅といった和物まで豊富な品揃えで客を呼んでいたのだ。 客は食べたいお菓子を100gか200g単位で買っていて、実家では買った2、3種類ほどの菓子類は台所の菓子箱に入れられていた。 メーカーの菓子を買うことはほとんどなく、近所の店で焼いている煎餅の店や和菓子屋、あとは駄菓子屋といったあたりで買っていたが、そうした選択肢の中にケーキなどの洋菓子はなかった。物心ついた頃でも洋菓子専門店はなく、和菓子屋が作ったケーキを店の隅で売っていたのがせいぜいである。 量り売りの菓子屋に行く時は、いつも素朴に“心ときめく”のだった。 ..
歌舞伎座が新開場して丸10年の4月は、鳳凰祭四月大歌舞伎と銘打たれての興行。昼の部は若手花形中心の『新・陰陽師』が、夜の部は仁左衛門&玉三郎で『与話情浮名横櫛』と松緑、左近親子で『連獅子』を出してきた。 一昨日観たのは昼の部。10年前、柿落とし公演の一環で9月に上演されたがその時とはまったく違う舞台になっていたので、戸惑ってしまった。市川猿之助脚本・演出とあって、いかにも彼らしい台本だと思ったのは、他の歌舞伎からのパロディーがあったり、あちこちで楽屋オチで笑わせたりしていたが、あれこれ詰め込み過ぎも感じられ、全編を通すと薄い印象は否めない。 一番の問題は“主役”の二人、隼人の安倍晴明、染五郎の源博雅が活躍する場面がほとんどなく、誰が主役なのかまったく見えてこなかったのである。 ……ついでに隼人、染五郎の二人がまったく前面に出てきてくれず、気を吐いていたのは、福之助..
季語は・・・行く春 行く春や ワードローブの 悩ましさ 【去年の今日】騙話§アマゾンPrimeの詐欺商法
18年前だから2005年の今日、本当にしょぼいエントリーでブログがスタートした。それから18年も続けられるとは思ってもいなかった。さしたる目的もなく始めたからということか。 何か統一したテーマでも大上段に掲げて始めたりしたら、長続きするものではなかっただろう……犬猫は買っていないし、グルメを展開するほど食い意地が張っているわけでもない。 結局、世の中に散らばっているあれやこれやに対して、自分の思うところを開陳するというスタイルに落ち着いた。 そんな総花的なブログは、当然ながら“読者”が多いわけでもなく、頭数で存在しているようなものでしかない。 ただ、間もなくブログ歴20年を迎えることで、1万5千に及ぶ五十代以降のエントリーによって、自分を俯瞰することができるのではなかろうか。 ビッグローブのウェブリブログでスタートした我がブログは、ビッグローブがブログから撤退..
先月下旬のこと。電車の隣りに立っていたのは、ちょっとちゃらい、昨今の“ヤング(死語)”二人だった。 折しもWBCたけなわだった時で、会話はその話に進んで、一人が「おれ、明日の決勝見ようかな」と話したところ、もう一人が「あれ、お前って野球のルールを知ってるの?」と返すと「いや、全然知らない」と答えたのだ。 それを聞いて、さすがに驚いた。もちろん、野球のルールを知らない人間などはいくらでもいるだろうが、それにしても二十代半ばくらいの元気そうな“ヤング”が知らないとはと思ったのである。 確かに、そもそも興味がなかったらルールを知らないのは当然かもしれないが、小学生の頃には一通りおおまかなルールを把握していた人間にしたら、ちょっと腑に落ちないことだった。 まあ、我々のような世代は、スポーツといえば野球か大相撲で、昭和の半ば頃はテレビ局がこぞって二つのスポーツの中継をしていた..
季語は・・・春眠 春眠や 半覚醒は カオスなり 【去年の今日】暮話§浪人が決まった頃
1988年4月11日、美空ひばりの東京ドーム「不死鳥コンサート」開催。 1988年3月17日にオープンした東京ドームで、柿落としライブコンサートを行ったのが美空ひばりだった。 1985年頃から体調を崩し、徐々に悪化していった中の言わば“決死的”なコンサートが強行されたが、実際はとてもステージに立てるような状態などではなかったのだ。 そして一年余後、1989年6月24日に逝去。享年五十二である。 1989年、昭和天皇の死で昭和が終わった。1989年2月には手塚治虫が逝去、昭和に活躍した不世出の歌手と漫画家が相次いで逝ってしまった。 追記:美空ひばりのコンサート以前にも、ミック・ジャガーやBOØWYなどなどが、3月中にコンサートを行っている。 《歴史のトピックス一覧》
マイスタージンガーから一日置いた土曜日は、小ホールでキット・アームストロングのピアノを聴いた。鍵盤音楽年代記(1520-2023)IVと題された5回シリーズの4回目である。プログラムは以下のとおり。 数年前に旅先で彼が弾くピアノを聴いて感心し、彼の演奏でドビュッシーが聴ければと思ってたら、映像Ⅰだけではあったが、それが実現した。 ショパンの夜想曲3曲に続いて待望のドビュッシー『映像Ⅰ』が始まった。1曲目『水の反映』のゆらゆらと立ち上ってくる音の心地よさ。この1曲だけで聴きに来てよかったと思わせられた。そして『ラモー讃』の詩情、最後『動き』の即興的と堪能したが、せっかくなら『映像Ⅱ』まで演奏してほしく、後に続くリストは不要と思えたのだが……相変わらずリストは苦手だ。 休憩後は、フォーレの夜想曲からリスト、シェーンベルク、オーンスタイン『飛行機に乗って自殺』ま..
季語は・・・惜春 惜春や 雨のち晴れの 独り旅 【去年の今日】週話§日曜有閑~赤城山~
清明の次候“鴻鴈北(こうがんかえる)”である。 桜が散りゆけば、尾瀬のシーズンが間もなく始まる。今冬は積雪がそれほど多くなかったので、尾瀬沼が落ちるのも、尾瀬ヶ原の湿原が顔を覗かせるのも早いだろう。尾瀬沼はゴールデンウィークが終わる頃には沼の上を歩けなくなるかもしれない……ひょっとしたらもっと早いことも考えられる。 雪が少なかった年は、花が少ないと言われている。数mに及ぶ豪雪が湿原を豊かに潤して、多くの花を咲かせてくれることのようだ。 というわけで、今年の尾瀬の花の様子は如何に! できれば、5月の終わりか、6月はじめに一度は入りたいと思っているが。 《七十二候のトピックス一覧》
4月6日、東京・春・音楽祭『ニュルンベルクのマイスタージンガー』初日に行ってきた。10年前の4月7日も同じく『マイスタジンガー』を聴いているので、10年ぶりである。出演者は下のとおり。指揮は前回はセバスティアン・ヴァイグレ、今回はマレク・ヤノフスキである。 合唱指揮のエベルハルト・フリードリヒは、ベルリン国立歌劇場の合唱監督から現在はハンブルク国立歌劇場の合唱監督でバイロイト音楽祭の合唱監督でもある。そして今年も、ウィーン国立歌劇場のコンサートマスターだったライナー・キュッヒルがゲスト・コンマスとして来てくれた。 さて前奏曲……これが鬼脚の速さ。個人的にはそこそこの“タメ”があってほしいと思いつつ第一幕へ。 いくぶんかテンポは落ち着いたが、相変わらず快調に音楽は進んでいって、速いところとタメがないのは終始変わらず。 歌手の中では10年前にもベックメッサーを歌..
季語は・・・櫻かくし 薄っすらと 櫻かくしの 朝は明け 【去年の今日】週話§土曜有閑~週休二日~
我が家にオノサトトシノブ制作のシルクスクリーンが1点ある。結婚祝いとして、父親の朋友のみなさんが贈ってくれたものだ。 『Prints C』と題されているシルクスクリーンは、円を中心にして直線と曲線が複雑に組み合わされた、色合いはきれいだけれど、不思議な雰囲気を持つ作品である。 オノサトトシノブは実家のあった町に住んで、抽象画と版画を制作していたが、彼の存在を知ったのは、確か中学生の頃だったと思うが、教師だったか「我が町にはオノサトトシノブという世界的画家がいる……丸ばっかり描いているのだが」と教えてくれたのだ。 もちろんインターネットだなどとは遠い未来の話で、調べようもないままに長じてしまったら、ひょんなことからオノサトトシノブの実物を手にすることになった。そして眼にすれば“なるほど”と納得させられたのである。 佳き贈り物をしてくれた朋友のみなさんには感謝し..
季語は・・・朝寝 定年の 日やいくらでも 朝寝かな 【去年の今日】鼠話§マウス使いの件
地理感覚……つまりどこをどう行くと目的地にたどり着けるかという能力は人並みか、それ以上だと思っている。自分自身で座標軸を決めて、その中で自分なりの地図を描き、それに従って道を進んでいくのだ。 そうするにあたって、東西南北という方角に頼るようなことはない。むしろ方角感覚は狂いがちで、特に海外旅行先では東西南北の方向がいい加減になることしばしばである。 長いこと通っていたオーストリア・アルプスの端っこの村に行くと、完全に方角が逆転していて、自分の中では西だと認識している方向は実は東なのだが、本人の中ではずうっと西なのだ。そして朝食を食べに行くと“西”の窓から朝日が入ってくることに、あまり不自然を感じなかったりしていたが、どうやらおかしいと感じ出してから、方角軸を修正しようとしても、最初に認識した方角感覚が抜けることはなかった。 東西南北という方角軸よりも、自分の中で記憶を基に..
季語は・・・竹の秋 竹の秋 特急列車 通過待ち 【去年の今日】蕃話§トマトの味
自宅での通夜、告別式が激減しているからかどうか、めっきり葬式の花輪を見かけることはなくなったようだ。といっても、地方に行けばまだまだ花輪は盛んに供えられているのかどうか。 41年前、母親の通夜と告別式は自宅で行ったのだが、その時は花輪がいくつかあったとは微かな記憶であるが、その時も“まだこんな習慣が残っていたのか”とも思ったのだ。 そんな花輪の中の花芯に果物の缶詰が詰められていたのを見つけて目を剥いたのである。さすがに自分の価値観の範囲外であると……個人の感想ではあるけれど。 いや、それはそれで合理的な何かがあるはずだと考える向きもあろうが、自分の葬式には、もちろん花輪など要らないし、ましてや缶詰の入った花輪の類など絶対に断ってほしいと思っているのである。 そういえば、店の新規開店などで贈られる祝花輪もとんと見かけなくなっていることにも気がついた。葬式花輪にせよ祝花..
比較的だが、痛い目に遭わないで済んでいるほうだと思っている。それでもごく時折であっても、危ない思いをしないことはなかった。 大学生の時、大学近くの書店をうろうろしていて、階段を下りようとしたらあと数段のところで、つまづいたか踏み外したかして、階段を落ちてしまったのだ。 誰もが表現するとおりで、落ちていく様子がスローモーションのように思えてしまうのである。そして、ほんの2秒かそれくらいの間に、その後の自分がどうなるものかをはっきりとイメージしていくのである。 そうして着地……頭を打つことも、変な手のつき方もすることなく、どこで床に接したのか、今となっては記憶になく、ただどこかしらは床にぶつかったので痛みは生じたはずなのは間違いないが、まったくの無傷で終わった。 以来50年近くが経つけれど、この時のような墜落事故もなければ、つまづいて転んだとかもない。運動神経については..
季語は・・・山笑ふ 山笑ふ 赤城榛名の 裾長し 【去年の今日】才話§図画工作~ダメダメ~
4月3日……音楽之友社の月刊誌『レコード芸術』の休刊が発表された。 1952年に創刊された月刊レコード芸術は、同じ4月3日に逝去が報道された坂本龍一(3月28日没)と同じ年に誕生したのである。 頻繁にCDを買うのであれば必須だとは思うが、買っていた時でも年間20枚かそんな程度でしかなく、新しく発売された録音に拘るわけでもないので、情報を仕入れる必要もなかった。年に一冊も買っていたわけではない。 レコード芸術を買うのは新譜情報ではなく、国内外の演奏会評などを読みたかったからというのが大きな理由だった。 公称発行部数は10万部……正確な統計がないので、あくまでも推定でしかないが、日本のクラシック愛好者数は、総人口の1%と聞いた。そうすると、およそ100万人から200万人の間というところか。そのうちの1割がレコ芸を買っているとは思えない。数万人がせいぜいだ..
ただ単に好きだというだけで、音楽の構造がどうであるかなど、まったくと言っていいほど理解などできてはいない。本当に“聴いているだけ”なのである。 そうはいっても少しは足搔いたりもしていて、読めもしないスコアを買い集めては、つらつら眺めているのだ。楽典の初歩の初歩も理解しているかどうかも怪しく、調性がそれぞれの楽曲にどういう意味を与えているのかもわからず……そんな徒手空拳でスコアを眺めてどうすると思われるかもしれないが、これがまあ“見ている”だけにしても、最低限の音楽の流れくらいは何とか掴めているような気にはなるのだ。 まあ、要するに各楽器がどのように音楽を受け渡していくのか、音楽の流れがどうのこうのというのは、そういう意味なのである。 だから、若い頃にスコアを眺めながら聴き込んだ交響曲の何曲かは、今でも実演を聴く時の助けになってくれていて、聴いていて“流れ”がすんなりと頭の..
季語は・・・大根の花 大根の 花の白さや 日の盛り 【去年の今日】纏話§長文は書けない
清明の初候“玄鳥至(つばめきたる)”である。 ツバメが来訪してきたのをこの眼でしみじみと実感させられたのは、今から45年前、宮仕えがスタートし、3週間ほどの社内教習に続いて、外部研修と称し、各人がてんでんばらばらに“丁稚奉公”させられた時のことだった。 研修が始まって3日目くらいだっただろうか、職場の階段踊り場の窓の外を一羽のツバメが軽やかに飛び去っていったのを眼にしたのだ。 その様子があまりにも鮮やかだったので、半世紀近くが経った今でも、こうして記憶に残っているのである。 先々の会社生活など、漠然ともいえないレベルでしか考えられず……まして37年後に定年退職して高齢者と呼ばれる境遇になるなど、二十代前半の弱輩に想像などできるはずもなく、将来設計だなどと漠然とすら描けるものでもなかった。 23歳って……若かったんだよなあ。 《七十二候のトピックス一覧》
ちょっと思い出したことがあったので、まとめておこうと思ったのだが…… 蚊 ……という昆虫についての話である。 彼らの数ミリ足らずの身体の中に、とんでもない機能が備わっていることに思い至るのだ。 ↓ウィキペディアより 蚊の機能を並べてみると、まず自在に飛べる。目標とする場所にちゃんと留まれる。それが暗い夜であっても、血を吸うために我々人間の皮膚まで正確に着地し、皮膚に針を刺して吸血するのである。 飛行機能、位置認知機能、暗視機能、吸血機能と、そんな優れた機能が数ミリ足らずの蚊の身体に装備されているのだ。そんな創造物を、人間が再現できるはずなどないだろう。 それだけの機能を盛り込んだロボットでも作ろうとしたら、その大きさは、とんでもないサイズになってしまうのではないか。 そうした機能の中でも、吸血機能が飛び抜けて優れていると思っているが、それ..
季語は・・・風光る 風光る はしゃぐ仔犬や 富士見坂 【去年の今日】奇話§ローエングリン~東京・春・音楽祭~
2023年3月の東京の天気がどうであったのか、振り返っておこうと思う。 このリンクの日付をクリックすることで、各々の日のアメダスが確認でき、より詳細な気象状況をチェックできる。 春の訪れの早い年である。2月最後の日に我が家近くの辛夷(コブシ)が白い花を咲かせた。一本だけがフライング気味に、他の辛夷より一週間近く早く開花して、お先にさっさと散ってはさっさと緑の葉を噴き出していくのだ。 天気模様はといえば、いかにも春らしく、晴れ、雨、曇りが猫の目のようにくるくる変わっていく一か月だった。 東京都心の桜が開花したのは観測史上最速の3月14日。それより2日遅れで我が家付近の桜も咲き出した。 何とも慌ただしく春が動いた……そんな今年の3月模様である。 《天気のトピックス一覧》
メディアがしばしば使いがちの、あまりにも手垢にまみれきった表現に…… 過去の出来事が風化していきやしないか ……という物言いがあって、それはおそらく世間の風潮を憂いている表現だと思うのだけれど、それだけ聞いていると、いかにも他人事のような言い方としか感じられない。 風化させるべきでないのだと考えるのであれば、風化させないように、我々メディアも力を入れていこうと考えるとか、そうした表現で後押しをしていかなくてはと思うのである。 過去の出来事を忘れないためには、個々人だけでなく、メディアからの積極的な発信も行われるべきだと考えるのだが、それは違うとでも言いたいのだろうか。というか、それでは単に世間に対して無責任に丸投げしているとしか思えない。双方が風化させない努力をしていくべきなのだ。 とかく“人の噂も七十五日”とやらで、自分たちの記憶の中から追いやってしまいたい..
季語は・・・亀鳴く 亀鳴くや 炊き出し列に 朧月 【去年の今日】豚話§上とんかつなるもの
今年は、4月1日が土曜日で4月2日が日曜日……宮仕えを始めた1978年と曜日並びが同じである。 そして入社式が行われたのは4月3日で、4月1日には入社していなかったのだ。古巣の会社は、入社した時点で既に週休二日になってたので、土日は休み、週明けの月曜日に入社式が行われた。 ↓入社案内の葉書・・・・・・4月3日が入社式 入社辞令をもらったのは当然ながら入社式の時で、ものすごく厳密に考えると、実は4月1日と2日は社員ではなかったのだろうかという疑問が生じてしまう。 これはもう、入社したその時から考えていることだが、実際には2日遅れたからといって、給料が少なくなったとか、もちろんながらそうした不利益の類はまったくなかった。 ただ、あれこれ考えをめぐらすと、1日と2日が“空白の二日”であるような気がしてならない。 つまるところ、要するに4月3日という中途半端..
月初めにつき、東京の一か月間の日の出&日没時刻を。 4月1日の日の出は5時28分で日没は18時5分、月末の日の出は4時50分で日没は18時29分。昼はどんどん長く、そして気候の塩梅も佳き季節である。月末には窓からの太陽光だけで風呂に入れるかもしれない。 今月のお楽しみも盛りだくさんで、大詰めも大詰めのジャパンラグビーリーグワンを2試合。 歌舞伎座新開場十周年となる鳳凰祭四月大歌舞伎は二部制に戻り、昼夜とも観る。昼の部は『新・陰陽師』が再演され、夜の部は、仁左衛門の与三郎と玉三郎のお富で『与話情浮名横櫛』が出る。二人の顔合わせはこれが見納めとなるだろう。 クラシックは、東京・春・音楽祭のワーグナー・シリーズ『ニュルンベルクのマイスタージンガー』を東京文化会館で観る……観るといっても演奏会形式なのだが。 東京・春・音楽祭はもう一つ、キット・アームス..
季語は・・・田返し 田返しの 限界集落 総出かな 【去年の今日】週話§土曜有閑~動画は横位置で~~
我が家で、長袖から半袖へ衣類の入れ替えをするのは、おおよそゴールデンウィークを目安にしている。その頃になると、もう気温は十分に高くなっているから、入れ替えても何の問題もない。 3月中でも、気温が25度近くなることは珍しくないけれど、それはたまたまでしかなく、だから“暑い”といっても、そこで早計に入れ替えたりはせずなのだ。 4月に入って中旬あたりで入れ替えようかとも思うのだが、入れ替えに踏み切れないのは、長袖を冬の間着続けていて、そこから半袖へと肌を出すのを体感的にためらってしまうのである。 4月中旬の日常に半袖を着ても、それほど問題はないとは思うのだけれど、長袖に慣れた身には、腕が寒いと感じてしまう。それなりの気温になってはいるが、いざ半袖を着る初日は、なんとも頼りない体感なのだ。 《日常のトピックス一覧》
季語は・・・花の雨 洗車済みし 車怨めし 花の雨 【去年の今日】卯話§2022年4月の予定あれこれ
ビッグイシュー452号は4月1日から発売されています。お買い求めできる場所はこちらを参照。毎月1日、15日発売。一部450円。230円が販売員の収入に。カズオ・イシグロが表紙。 表紙&スペシャルインタビュー カズオ・イシグロ リレーインタビュー 坂本美雨(ミュージシャン) 特集 非戦のリアル 昨年2月24日、ロシアによるウクライナ侵攻から始まった戦争。この時代にまさかこんな戦争が起きるのか!と衝撃を受けた人は多かったでしょう。 しかし戦争は1年を経た現在も継続し、ウクライナの市民はもとより、穀倉ウクライナからの小麦などが途絶えて貧困国を襲うなど多くの命が失われ続けています。 東ティモールやアフガニスタンなど各国で武装解除や停戦に貢献してきた伊勢﨑賢治さん(東京外国語大学大学院教授)は「何よりも戦争は始まる前に止めることが大前提。外交なくして戦争回避は..
まさに、東京に出てきて半世紀50年が過ぎた。 3月中には既に実家から、出て引っ越しは完了していたが、区切りとしてはやはり4月1日にしておきたい。 もちろん様々な出来事が身の回りに起きはしたけれど、50年を俯瞰したら、まあまあおおむね平穏で過ぎてくれていたのではないだろうか。もちろん、あれこれ言いたいことは多々ありはするのだ。 それでも――だいぶガタはきたけれど――こうして人並みの日々を送れることが、どれほどありがたいことか。 考えてみれば“人生設計”らしい計画の類を描いたことなどなく、たまたま入ってしまった学科の専攻もどこ吹く風、入った会社も専攻とは無関係……同居人のおかげかどうか、大雑把なコンテの計画図だけで、どうにかここまでは落ち延びた。 はてさて、あと何年持ちこたえられるものか……5年?10年??20年??? 《東京のトピックス一覧》
イトーヨーカドーが14店舗を閉店すると発表したのは、3月上旬のこと……様々な要因が重なっての大量閉店で、何が大きなきっかけとなったのかまではわからない。 表面上、目に見えるところでは、コンビニの大量出店が影響していないとも限らない。セブンアンドアイの系列にはコンビニチェーンのセブンイレブンもあって“共喰い”状態が起きているということか。 歩いて10分のスーパーに出向くよりは、歩いて数分のコンビニで買い物を済ませてしまうのは人情だろう。コンビニで扱っていない商品は、不要不急なわけではないから、スーパーには週に一度でも行けばいいのだろう。 ちなみに、我が家はスーパーマーケットが一番に近く、一番に近いコンビニへは徒歩数分を要するので、優先第一位がスーパーマーケットなのである。 《日常のトピックス一覧》
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季語は・・・師走尽 師走尽 世はこれすべて 塵芥 【去年の今日】週話§日曜枯寂~2023年大晦日~
冬至の末候“雪下出麦(ゆきわたりてむぎいずる)”である。 一年最後の候である。閏年だと大晦日だが、通常年は元旦が冬至の末候だ。 毎年書いていることだが、冬至以前から日没時刻が少しずつ遅くなって、一年が終わる頃には明るい夕方になりつつあって、それは春の兆候として喜ばしいと、冬の寒さが厳しくなるのと裏腹に感じるのである。 冬至以降の候名を見れば、時節よりも先の春を予感させるような名前が並んでいることに、今さらながら気がつくのだった。 《七十二候のトピックス一覧》
古稀となった2024年が終わる。そして新たな年がやって来て、我々の営みはなおも続いていく。いよいよ世界は混沌の度合いが顕著に色濃くなってきたと感じる。人生の終わり近くにこのような世界情勢になっていくことには、大きな懸念を抱いてしまうのだ。 卑小なところでは、2019年にウェブリブログから移転継続していたSSブログが来年の3月末で終了。拙ブログは、明けて1月1日からSeesaaブログへと転居する。 オワコンであることは否定できないブログという存在だが、流行り廃りとは関係なく、表現手段として使っている人は少なくなく、そもそもオワコンとかいう言葉を使われること自体が迷惑なのだ。それこそブログをやってすらいない人間から言われたくなどはない。 だがしかし、かくして我がブログは流浪の旅を繰り返していくことだろう。 それではみなさん、よいお年をお迎えください。 《年末年始の..
季語は・・・行く年 行く年や 饂飩半玉 気ぜわしく 【去年の今日】週話§土曜枯寂~とうとう来てしまった~
コンサートや歌舞伎、スポーツ観戦で通路側の座席に座ることがあって…… ↓ご覧のとおり(バイロイト音楽祭HPより) ……それで観察していると、そのほとんどで内側の席の人たちのほうが、なぜか来るのが遅く、我々が席に座っていたら彼らを通すのに立たねばならないか、もしくは立ったまま待っていることになるが、平土間で間に通路のないバイロイト祝祭劇場は、そうして遅れて中のほうに入っていく客のために全員が立ったままで待つことになるのである。 《つぶやきのトピックス一覧》
観客は8,169人で1万人に達せず。年末で行きにくかったか、渋い客の入り。と思っていたら、北関東は熊谷で行われたワイルドナイツ対スピアーズの試合は1万人超えをしていたので、動員力不足があったかもしれない。 という客入り状況はこれくらいにしておいて、後半は手に汗握る試合展開となった。結果は33対32と1点差でブラックラムズが辛うじて逃げ切り勝ち。前節のホンダヒート戦で終了間際に逆転負けを喫したショックを引きずることがなく、今シーズンの1勝目となった。 特に推しチームの対戦ではないのに秩父宮まで足を運んだのは、リーグワンに“戻って”きたTJ・ペレナラのプレイを見たかったからである。2021年ワンシーズンだけレッドハリケーンズでプレイしたが、その時は一度も彼を見ることができず、テレビでプレイぶりを見て、是非に見ておかなくてはと思ったのである。 前節はあま..
季語は・・・数へ日 数へ日や 夫の寝言 聞く夜明け 【去年の今日】療話§診察券の束なりき
どん詰まりに来た……あと2日で2024年が終わる(ほとんどコピペ 今年は自分の身体を見直す年になってしまったということだろうか。特に、足の血管の問題をメインとした、循環器系の問題を棚卸しして改善の道筋をつけることができそうだ。歯医者に半年以上通って、かなりメンテナンスができたのではと思っている。 70歳という年齢での見直しは、いささか遅まきながらではあるが、やらないよりはやっておけば、少しでも日々の生活が快適になってくれるはずなのはまあ、間違いないと思いたい。 というわけで、来年の目標は“一病息災”である。 《日常のトピックス一覧》
季語は・・・大根(だいこ)焚き 行列や 最後尾ここ 大根焚き 【去年の今日】懐話§昭和三十年代~貸本屋~
どん詰まりに来た……あと3日で2024年が終わる。 何度目の大晦日、そして何度目の元旦だろうか。もちろん今さら数えるつもりなどはない。 70年生きたということは2万6千日近くをこの世で過ごしたことになり、そのすべてが記憶の中にあるわけでもなく、間違いなく9割以上は忘却の彼方に消えて行ってしまったのだろう。 それが人生だなどと、したり顔でいうつもりもないし、思い出にすがりついて時間を戻そうなどとも思わない。すべては時の流れの中に沈められて、いずこかへと去っていくのである。 でもまあ、少しは人生でいいことがあったよなとは思っているのだけれど。 《日常のトピックス一覧》
季語は・・・年歩む 老い先は いずこ?の日々や 年歩む 【去年の今日】連話§ワタシの酒肴[177]メンチカツ
内緒の話だが―内緒になどなっていないが―一浪して予備校通いで下宿暮らしを始めた時に酒を呑み始めた。19歳だったから完全にフライングである。 下宿の三畳間には暖房の設備など何もないまま冬がやって来た。夜、受験勉強を終えて、口にしたのは安いウィスキー。それをお湯で薄めに割りホットウィスキーで身体を温めて布団に潜り込んだのだった。 そのあたりが酒の呑みはじめだったのだが、だからといって毎日毎日呑んでいたわけではない。そもそもそこまで自由に使える仕送りなどもらってはいなかったから、ごくたまに意を決してビールを買うとかそんな程度である。 だから、酔っ払ったという記憶がないのは、大した量を呑んでいなかったということと、酒の何たるかがわかっていなかったことは間違いない。 その後、大学に入っても酒量が増えるどころか、下宿で酒を呑むことはほとんどなかった。いわば大学時代は酒の空白期だ..
こんな映画があったことを覚えている、あるいは実際に観たことがある人は七十代以上ということだ。 東宝映画『ミスター・ジャイアンツ 勝利の旗』というタイトルで1964年に封切りされた。何と!映画に登場するのは当時巨人でプレイしていた選手たちと川上監督、さらに西鉄ライオンズの中西太まで出演していた。そこに東宝の俳優が加わっていたのである。 1963年、三冠王を狙っていた長嶋茂雄を主役に、ペナントレースの様子を描いたドキュメンタリー・ドラマとでも言えばいいのか……何とも不思議な映画を観たような記憶が微かに残っている。 もちろん芝居素人ゆえ、演技云々については眼を瞑っていたとは思うが、それでも生々しいと思ったのは、三冠王に向かって突き進んでいた長嶋に阪神の投手バッキーがデッドボールを投げて、指の裂傷を負ったというところの映像で、長嶋茂雄渾身の演技ではなかっただろうか。 ..
季語は・・・年惜しむ 入院 二泊三日なり 年惜しむ 【去年の今日】現話§漢字の使用はほどほどにしています
冬至の次候“麋角解(さわしかのつのおちる)”である。 あと5日で2024年も終わり。自分にとってはいい年であったのだろうか……11月から12月にかけて、小さからぬ怪我をしたし、二泊三日でカテーテル手術もした。まあ、自分の身体の状態を顧みたということになるだろうか。 たぶん、自分が考える以上に様々な状況に振り回されたのかもしれない。 2025年……そして、これも我々のような考え方を持つ人間たちにとっては、さらに期待が萎み続けていく年になるのは間違いない。そして最低でも4年は臥薪嘗胆の日々を送るはずである。 いや、別に復讐がしたいわけではない。ごく普通の常識が普通に通用することを実現してほしいだけで、それ以上は何も望むことなどないのだ。 《七十二候のトピックス一覧》
一か月に一度くらいだろか、我が団地にも救急車が入ってくることがある。世帯の高齢化が進んでいることが大きいか。 以前は入って来てもサイレンを鳴らしっぱなしだったのが、最近は入り口で止めて入ってくるようになった。 見えるところに停まって、救急隊員が向かっていく様子が我が家からも見下ろせて、ストレッチャーを出したりとルーチンの仕事をてきぱきと進めていくのだ。 ところが、それからが長いことがあって、要請したお宅に入って30分以上も出てこないことがある。容態を調べているのか、あるいは一番考えられるのは受け入れてくれる救急病院を探しているのかということだろうか。そしてようやく救急車が出て行き、緊張感も去っていった。 ある時、頻繁に救急車が入ってきたことがあった。しかも呼んだのは同じお宅と思われたのだ。数回もそんなことがあった後は、パタリと来なくなったのだが、あれは何だったのだろ..
季語は・・・日向ぼこ 老い独り 優先席の 日向ぼこ 【去年の今日】槍話§十二月大歌舞伎~爪王~
六十代半ば頃から処方薬を毎日服用する生活が続くようになった。 つまり高齢化とはそういうことなのだと改めて実感しているところだが、夫だけでなく、同居人も同様に毎日薬を服用している老夫婦なのだ。 もっぱら、高血圧改善とか血管を拡げるとかの循環器系で、通院している内科は“ヤブ”に近いのだけれど、ありがたくも院内処方して薬を出してくれるので、いちいち処方薬局に赴かなくてもいい。 そんな薬の日々が、この先延々と続いていくのだろうかと思う。若い頃は、そんな日々がやってくるなどとは想像すらしていなかったが、いざ自分がそんな境遇になると“そういうことだったのか”と実感させられる。 世間でも高齢者の医療問題は切実なわけで、先々誰もが当事者になっていく運命にあるのだから、財政面も含めたいい知恵を出しあっていくしかない。医者に通わずに済むなら、それに越したことはないのはもちろんの..
ドイツ語で無賃乗車をする人は“Schwarzfahrer(黒い乗客)”と呼ぶ。 ドイツやオーストリアの鉄道には改札口がなく、人は駅に入ったらそのまま電車に乗ることができるのだ。そして当然ながら、無賃乗車をする輩も少なくはないはずである。 そんな交通機関には“車内検札官”が巡回していて、移動中の車内で身分証明書を提示しながら、切符の有無を確認するのだ。 そんな車内検札官に一度だけ遭遇したことがあった。10年前、ベルリン滞在していた時である。地下鉄に乗っていたら、本当に普通の姿の検札官が、乗客に切符を提示するよう求めたのだった。 我々夫婦は3日間チケットを持っていて、検札官が登場した瞬間に“来た”と即座に反応しチケット提示したのである。そうしてチェックしつつ、一人の男性のチケットを見て「これはだめ」みたいなことを言って、次の駅で連れ降ろしていったのだ。 そ..
季語は・・・クリスマス クリスマスや ワインの栓を 抜き損ね 【去年の今日】週話§日曜枯寂~あと一週間~
従甥(従妹の長男)が結婚するとLINEを通じて知らせてくれた。結婚式に出席してほしいと頼まれたのだが、式場の場所が超遠い。さすがに歳を考えて、申し訳ないが欠席とさせてもらった。 今日は、その代わりにとお祝いがてらの食事に招いたのだ。さて、何を食べさせようかというところで思考が停止した。かたやアラ七十の老夫婦、こなた三十になったばかりの“ヤング”である。 そうして、ギリギリの妥協点として考えついたのが“しゃぶしゃぶ”だ。そして、同じコースを注文したので、我々の肉は食べ切れないに違いなく、ならば助けてもらえれば彼らの胃袋も満たされるのではとも考えたのだ。さらに追加したって一向にかまわないのだ。 今回、そんな会食をするにあたり、改めて七十と三十という40年の差の大きさを思い知ることになったような気がする……さて、その顛末やいかに。 《私事のトピックス一覧》
季語は・・・ソーダ水 待ち人はやうやう ソーダ水の午后 【去年の今日】合話§スポーツ観戦中は
世の習いとはいえ、後継者がいない個人商店は消滅してしまう。どれほどの評判の店であっても、これは宿命であるとしか言いようがない。 世間にチェーン系の店がはびこる大きな理由の一つがこれではないだろうかと思っている。 地方都市におけるシャッター商店街の惨状もまた、郊外の大規模ショッピングセンターの隆盛もあるが、少子化による後継者不足も理由ということであろう。 それがたとえ都心部にある神保町古書店街もまた例外ではなく、伝統ある古書店が閉まっていく様を目にしてきたのだ。 だから気がつくと、神保町のメインストリートである靖国通りに目立つのは閉店した古書店の後に店開きをする一攫千金を狙ったとしか思えないラーメンの店だったりする。 半世紀ほど神保町ウォッチをしてきた中で、古書店以外の個人商店の閉店もまた何軒も何軒も見てきて、それらがどれほど優れた仕事をしていても、うまい食事を..
この一年、ETCを利用して高速道路を運転していない。最後に乗ったのは去年の5月に尾瀬行で往復した時である。 ここ3年ほど、コロナ禍の自己防衛という名目で、歌舞伎座の往復にも車を走らせた。2020年8月に四部制で興行を再開してから2022年あたりまでは、毎月東銀座までマメマメしく往復していたのだ。 その頃は、毎月のようにETCの高速利用料がクレジットカードの請求明細に記載されていたが、もうめっきりである。つまり、運転するのはほとんど市内をうろうろとしかしておらず、当然ながら走行距離も伸びようがない。 今年も、尾瀬に行くのは秋にしようかと考えていて、それ以外に高速道路を走る予定もさしあたって見当たらない。 年齢を経るごとに車の運転度が減っていくのは、しかたがないといえばそれまでだが、乗らなければ乗らないで、勘がにぶっていくことになるのも、あまりいいことではない……もっと..
季語は・・・葛切り 葛切りや ほろほろ逃げる 箸づかひ 【去年の今日】滅話§OG(オウンゴール)は悲しからずや
上野の東京文化会館への足が遠のいている。年に一度か二度の東京・春・音楽祭に重い腰を上げるのがやっとになってしまった。 とにかく、我が家から山手線の東側まで出向くのがきついと感じる。じゃあ歌舞伎座はどうなのだと問われたら、まあ昼の部などは気楽に行けるし、小田急線を使えば、地下鉄を乗り継いで意外と簡単に行ける。歌舞伎座に行くのは、心理的に気楽だったりもする。 だが上野は、終演が21時としたら、家に帰り着くのが22時半を過ぎてしまうのだ……これはきつい。特にこの10年ほど夜に弱くなったので、22時とは、完全に真夜中なのだ。 そうしてクラシックの演奏会から遠のいているのも事実で、マチネーであれば、まあまあ気兼ねなく行けはするのだが。 そうして、足が遠のいたコンサートホールはいくつもある。まず横浜がアウト。神奈川県民やみなとみらいなど、もう20年以上出かけていない。さらに彩の..
スイスを旅行したのは実に少ない。というか数回程度のことだったし、ほとんどオーストリアから車を走らせての日帰り旅行だった。スイスで宿泊したのは、帰国前日にチューリヒ近郊で一泊しただけである。 だからスイスは、アルプスの有名どころなどに行ったことはない。マッターホルンもアイガーも、モンブランも見たことはないのだ。 車で走ったのはボーデン湖の南岸だったり、オーストリア西端の国境を越えて、チューリヒ近郊のヴィンタートゥアまでアウトバーンを走らせて、オスカー・ラインハルト美術館を4度ほど訪ねてみたり、それに加えると、やはりスイス東部の町ザンクト・ガレンの修道院に付属している世界遺産の図書館を見に行ったくらいで、文化面メインだが自然のほうは見ないままのスイス旅行となってしまった。 ああ、そういえばドイツ側のフリードリヒスハーフェンから“国際航路”のフェリーに乗ってスイ..
季語は・・・虎が雨 虎が雨 意地張るへぼや 千日手 【去年の今日】石話§六月大歌舞伎昼の部~壱太郎のおとく~
夏至の次候“菖蒲華(あやめはなさく)”である。 尾瀬は水芭蕉の季節が過ぎて、百花斉放に入っていく。湿原には様々の花が咲いて木道を歩く人たちの目を楽しませてくれるのだ。代表的なのは、言うまでもなくニッコウキスゲだが、紫のヒオウギアヤメもまた目に立つ存在なのだ。 今年は雪が少なく、雪融け水も豊富とは言えなかったから、この先の花の季節のためには、梅雨の雨ができるだけ多く降ってほしいと望むのだが。 そういえば、アルバイトをしていた半世紀前の木道は、今のようにがっちり組み上げられていたわけではなく、丸太を半割りにして置いていただけなので、ちょっと大雨が降ると、浮き上がってしまったり、流されてしまったりして、元に戻すのが大変なのだった。 《七十二候のトピックス一覧》
結婚して暮らし始めた多摩丘陵のマンションは交通が不便だった。最寄駅からは緩い坂道を上がって15分ちょっと。さらにスーパーマーケットをはじめとした商店街までは歩いて10分。当時は共稼ぎだったので、買い物には本当に難儀した。 2年我慢した……よくもまあ2年も我慢したものだと思うが、そこで運転免許を取ろうと決心したのだ。自動車の運転にさほど興味があったわけではなかったが、背に腹は代えられぬ。 そして1984年10月、無事に運転免許を手にして車を購入した。厳密に言うと免許を取るより早い10月上旬、フライング気味にホンダのディーラーに赴いて、かねてより“これ!”と決めていた赤のワンダーシビックの納車をお願いした。 免許を手にして10日後くらいだから11月に入っていたと思うが、我が家に赤いシビックがやって来た。ルイ・アームストロングが歌う『ワンダフルワールド』のコマーシャルを..
季語は・・・青時雨 ざわざわと 乳房榎や 青時雨 【去年の今日】週話§日曜枯寂~貧乏暮らしのこと~
たまに過去エントリーを俯瞰していると、どうもあちこちダブりが散見…… ……してきていることに、やはり自分の中でネタ切れを起こしつつあるかとちょっとがっかりしつつ本文を見れば、エントリーのタイトルは同じようであっても、中身については違う切り口だったりしていることに安心しながらも、もう少し心してかからなくてはと反省するのだった。 《つぶやきのトピックス一覧》
萬屋の襲名興行昼の部を観てきた。獅童と菊之助の『上州土産百両首』から『義経千本桜~所作事時鳥花有里~』があって、最後に時蔵襲名披露狂言の『妹背山婦女庭訓~三笠山御殿~』まで。萬屋と播磨屋勢揃いである。 まずは獅童と菊之助の百両首。1時間半と長い芝居だったが、雰囲気を感じさせる舞台。獅童と菊之助はそれぞれの持ち味を出していたが、菊之助にはもう少し喜劇風味を盛ってほしい。 義経千本桜の“時鳥花有里”は、2回ほど観ていたようだが、舞台が華やかという印象しかなく、今回も同じだった。 そして、梅枝改め時蔵の襲名披露狂言『妹背山婦女庭訓~三笠山御殿~』である。やや面長で古風な顔立ちの時蔵は、将来の立女形として期待されているのは間違いなく、襲名披露狂言でもその実力を如何なく発揮してくれたと思う。劇中で行われた襲名披露口上は、仁左衛門の豆腐買おむらを芯に、右に新時蔵、左に新梅枝と..
季語は・・・夏館 銅版画 掛け替え並べ 夏館 【去年の今日】週話§土曜枯寂~6月最終土曜日~
1948年6月24日、ベルリン封鎖始まる。 第二次世界大戦後、ドイツは米英仏ソの4か国に分割統治された。さらにベ ルリンも4か国に分割されてしまった。 そしてベルリンの一括統治を目論むソ連は、米英仏3か国が統治する西ベルリン地区を封鎖して“兵糧攻め”を試みたのである。それに対して3か国は“空の架け橋(Berliner Luftbrücke)”作戦で物資の空輸を開始したのだ。 輸送作戦は功を奏し、封鎖は翌年4月に解除され、東西ベルリンの行き来が自由にできるようになった。ベルリン封鎖は失敗に終わったのである。 その後、1961年8月にソ連は“ベルリンの壁”を構築し、西ベルリンを陸の孤島化させ、ソ連からの揺さぶりは執拗に続いたのだった。 そんな孤島化が終わったのは1989年11月の事である。 《歴史のトピックス一覧》
試合前までの、イングランド23人のキャップ総数は848、対する日本は259。初キャップはイングランド1、日本8。そしてこの日の観客は44,029人……5万はいくのではと思っていたのだが。 ↓ゴールのサイドバー中央にカメラが設置されていた 結果は17対52……イングランドの快勝である。経験と実力差はいかんともしがたく、ヘッドコーチであるエディ・ジョーンズ掲げる“超速ラグビー”など影も形もなかった。 さて、このメンバーでしばらくテストマッチを続けていこうというつもりであるのか、若手の育成とベテランの活用というバランスをどうコントロールしていこうとしているのか、何を言っても“エディ・ジャパン”の初戦なので、様子を掴みかねていたのだ。 先々を考えれば、若手にチャンスと経験を与えなくてはどうにもならないことは明白なのだが、この日のゲームを観る限りでは、..
季語は・・・夏嶺 夏嶺や 大休憩の 水温し 【去年の今日】稽話§ゲネプロに潜り込んだ件
元より大食いというわけではなかった。男性としては、まあまあ普通の食欲は持ち合わせていた……そんなレベルだった。 食欲がいさかか希薄になってきたと感じるようになったのは、五十代半ばを過ぎた頃ではなかったか。晩ご飯の時、大きめのご飯茶碗で食べていたが、それは250gくらいあったと思うが、最近はというと、その三分の二の180g程度で満足できてしまう。 神保町界隈に君臨していた“いもや”のとんかつ定食を食べさせてくれる店のとんかつは200g近くあったような気はするが、今はもはや120gくらいでアップアップしているのだ。 言うまでもないことだが、古稀になろうとする人間の基礎代謝は順調に少なくなっていっているわけだから、この期に及んで大喰らいをすること自体が自殺行為である。 晩酌で、酒を呑みながら食べるつまみも少しく減っていて、気がつけば皿も小さくなっていたりした。 《私..
季語は・・・夏至 夏至の日や 「おつかれさま」と LINE来る 【去年の今日】歌話§赤い鳥とハイファイセット
国が国民に対して“サービス”をしなくなったと感じる。政府そのものが、あっちこっちで劣化していて、政治家だけでなく官僚たちもそうした発想を持っていないような気がする。 税金を払っているのは国民である。それは国からいくばくかのサービスを受け取るためなのに、そのリターンがほとんどないと感じるのだ。 前々任者が政治をいい加減な地位へと貶め、権力を自分たちに都合よく運用した結果が、今や政権党が内部崩壊を起こして機能しなくなっていることではないか。 そして政治は“ズル”をしてもいいのだと勝手に解釈し、方向性を完全に見失ったのが今である。何を為すべきかわからぬまま“見てるだけ”しかできなくなって、気がつけば我々が立たされているすぐ目の前は崖っ縁である。 我々は、自民党という泥船になど乗りたくもない。 《日常のトピックス一覧》