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  • 垣根涼介「信長の原理」(下)

    ★10月も今日で終わり。今年も受験シーズンがやって来た。まずは、中学校の期末テスト。先日中間テストが終わったと思ったら、もうあと20日。また忙しくなりそうだ。★さて、垣根涼介さんの「信長の原理」(角川文庫)の下巻を読み終えた。歴史小説なので、大まかなストーリーは、NHKの大河ドラマで何度も観た通り。★この作品の面白さは、信長が「パレートの法則」を見抜いていたという点だ。戦国時代の時代小説の形をとりながら、なぜか企業小説(あるいは政治小説)の雰囲気がある。★ある男が、親から継いだ小さな商店を、日本有数の大企業へと成長させていく出世物語とも読み取れる。★今ではパワハラと糾弾されそうなことも数々あるが、カリスマ性を帯びたワンマン経営者が、1代で企業を育てていく、まるで高度経済期の日本企業を見るようだった。★作品...垣根涼介「信長の原理」(下)

  • 倉橋由美子「パルタイ」

    ★選挙のたびに、ある政党の人々が体の前に看板を抱えて、街頭活動をしているのを見る。確実に高齢化が進んでいる。★その風景を思い浮かべながら、倉橋由美子さんの「パルタイ」(新潮文庫)から表題作を読んだ。昭和35年に発表された作品。私は文末に「1987年7月3日」に読んだと記しているから、再読になる。★ある女子大生。彼女は「セツルメント」サークルに所属している。そのメンバーは「学習サークル」を組織して「労働学校」を運営している。★目下の彼女の関心は「パルタイ」に入るかどうか。「パルタイ」に入るべく先輩らしき人物に指導を仰ぎながら「経歴書」を作成している。★昭和30年代の雰囲気が十分に味わえる。「プチブル」という言葉は、当時はまさに侮蔑用語。彼女は「プチブル」と批判され、怒りに燃えている。(今の時代だと「ブルジョ...倉橋由美子「パルタイ」

  • 道尾秀介「ソロモンの犬」

    ★昨夜は、見なくてもよいのに衆院選の選挙速報を夜半まで見ていたので、今日は寝不足。事実は小説より奇なりというけれど、少数与党、与野党伯仲。天の采配(国民の審判)はどこへと向かうのか。★今日は道尾秀介さんの「ソロモンの犬」(文春文庫)を読み終えた。大学生たちの日常。そこで起こった友人の事故死。鍵を握るのは彼が連れていた飼い犬だった。★動物、とりわけ犬の生態を織り込みながらの面白い作品だった。ただ物語は、ときどき横道にそれ、ちょっと冗長な感じがした。☆さて、政局は来夏の参院選挙に向けて早くも動き出しているようだ。石破総理の進退は、公明党の新体制は、立憲民主党は今回の勝利を活かせるのか。☆国民民主党の大躍進には驚いた。何が原因なのだろうか。興味深い。維新は公明党との軋轢があり自公が組んでいる限り、政権入りは難し...道尾秀介「ソロモンの犬」

  • 荻原浩「噂」

    ★午後から天気が悪くなるというので、午前中に選挙に行った。その後は今週も中学3年生の「土日特訓」。★授業の合間に、荻原浩さんの「噂」(新潮文庫)を読み終えた。★東京と神奈川県の県境で起こった連続女性殺人事件。彼女たちに共通したのは、足首から下を切断されていたこと。同じ香水を使っていたこと。★かつては捜査一課に所属しながら今は所轄に籍を置く小暮巡査部長は本庁の女性刑事、名島警部補と組んで事件を追う。★二人がたどり着いたのはあるモニター会。新しい香水を売りたい企業が広告代理店に依頼して開いたもの。そこで語られた「レインマン伝説」。レインマンが現れ、若い女性を殺害、足首を切り取るというもの。今回売り出す香水を使っていた女性だけ被害を免れたという「噂」。★この口コミ戦略が渋谷界隈で遊ぶ少女たちの間に流布し拡散する...荻原浩「噂」

  • 吉田修一「曼殊姫午睡」

    ★明日は衆議院総選挙の投票日。天気はどうかな。8時以降のテレビ番組は選挙特番ばかりになるなぁ。選挙後は政局含み。来年の都議選、参院選まで影響が及びそうだ。★世界ではイスラエルがイランに報復攻撃。ネットではセブイレの「上げ底」批判があふれている。コンビニの覇者にも翳りか。市場が縮小する国内はもはや飽和状態で、海外での成否が企業業績を左右する時代。この国の未来はどうなるのやら。★そんな途方もないことを考えながら、今日は吉田修一さんの「犯罪小説集」(角川文庫)から「曼殊姫午睡」を読み終えた。★主人公は英里子は47歳の「普通の主婦」。それなりに幸せで、でも少し満たされない日々を送っていた。そんな彼女があるニュースを知る。かつて小学校、中学校の同級生だった女性・ゆう子が保険金目的殺人で逮捕されたというのだ。★英里子...吉田修一「曼殊姫午睡」

  • 松本清張「紐」

    ★寒暖の差が大きい。昼間が短くなった。少しずつ季節が動いているようだ。★今日は、松本清張さんの「黒い画集」(新潮文庫)から「紐」を読み終えた。さすがミステリーの大御所。何重にも張り巡らされたどんでん返しに感服した。★多摩川の河川敷で見つかった男性の死体。両手両足が手ぬぐいで縛られ首には紐が巻かれていた。男はもともと岡山の田舎で神主をしていたが、田舎暮らしに飽き足らず、実家や知り合いから大金を集め、一発当てようと東京に出て来ていた。★警察は始め、危ない仕事に関わった男がその筋に殺されたのではと疑ったが、これといった証拠が出てこない。男の妻や姉夫婦にも疑いをかけるが、完ぺきなアリバイがあった。★捜査は行き詰まりお蔵入り。そのころ警察とは別に保険会社が調査に乗り出していた。男には多額の保険金が掛けられていたのだ...松本清張「紐」

  • 髙村薫「巡り逢う人びと」

    ★この世にはツイている人とそうでない人がいる。中には自業自得で落ちぶれる人もいれば、知らず知らずに転落の因をつくっている人もいる。また、真面目にコツコツと生きているのに報われない人もいる。★髙村薫さんの「地を這う虫」(文春文庫)から「巡り逢う人びと」を読んだ。★元刑事。警察が嫌になって退職したものの、35歳という中途半端な男にコレといった職はなく。結局おさまったのがサラ金の取り立て業務。それも、時には反社を使う会社だ。★刑事の肩書がなくなると、その筋の見方も変わる。雇い主だから表では立てながら、腹では落ちぶれた男を嘲笑している。彼はそんなことを重々知りながら、なおプライドをもってその職責を果たそうとしている。★ある取り立て事案。借金のカタに土地や工場を奪うのは同郷の同級生。自らのすべてを奪っていく彼に同級...髙村薫「巡り逢う人びと」

  • 吉本隆明「共同幻想論」から

    ★1960年代の空気に触れたくて、昨日の高橋和巳に続き、今日は吉本隆明さんの「共同幻想論」(河出書房新社)から「序」を読んだ。★この時代の人の特徴か、理屈っぽくて言葉が難しい。当時の社会状況や作者の内面を慮らなければ、何を言っているのかわからない。「基礎知識なき者、読むべからず」的な雰囲気がある。実に不親切だが、それがまた魅力でもある。★「序」では「文学とは何か」「言語にとって美とは何か」から「共同幻想」「対幻想」という見方に至る経緯が述べられている。★「社会主義リアリズム」とか、当時としては大きなテーマだったんだろうね。★当時の論客たちとの格闘技のような論戦は時代の象徴か(私はそのあたりを読んでいないが、感情むき出し、罵倒飛び交う論戦は昔の「朝まで生テレビ」のようで面白そうだ)。反エリート、在野精神が若...吉本隆明「共同幻想論」から

  • 高橋和巳「わが解体」

    ★今年も高校入試まであと4か月。恒例に「土日特訓」が始まった。公立高校入試の受験時間(40分×5教科=200分)に合わせて、総復習と試験に向けた体力づくりを目指しています。★さて、最近は同時並行して読んでいる本が多すぎて、なかなか読み終わらない。その多くは推理モノであったりいわゆる通俗小説(エンタメ小説)なので、使われている文言は比較的簡単で、ストーリーにさえ入っていければ、ドラマを観るように読み進めることができる。★しかし、こうした類の本ばかり読んでいると、時々欲求不満が高まってくる。もっとゴツゴツとした文章が読みたくなる。★ということで、本棚からポール・ニザン「アデン・アラビア」、柴田翔「されどわれらが日々ー」、高橋和巳「わが解体」を選んで読み始めることにした。まずは、高橋和巳さんの「わが解体」(河出...高橋和巳「わが解体」

  • 森村誠一「高燥の墳墓」

    ★近隣の中学校の中間テストが終わった。「ホッ」と一息つきながら、一月後の期末テストのことを思う。月日の流れは速いものだ。★さて今日は森村誠一さんの「鬼子母の末裔」(光文社文庫)から「高燥の墳墓」を読んだ。★2人の男が山に登り、悪天候の中で遭難する。1人はケガをしたため、自力で下山できそうにない。このままでは共倒れになる。もう1人の男は「救助を求める」と友を置き去りにする。★それから数年、下山した男は若くして大手企業が新しくつくった山岳ホテルの支配人におさまっていた。独特の愛社精神を持つその男は、仕事に打ち込み、経営陣からは評価されていた。一方、自分と同じように滅私奉公を要求する従業員からは疎ましく思われていた。★そんな折、その男が山に登った切り下山しない。好天候の中、登山の腕も達者な彼が遭難するとは考えに...森村誠一「高燥の墳墓」

  • 今西佑行「ヒロシマのうた」

    ★近隣の中学校の中間テストまであと3日。この三連休はテスト対策に追われる。★さて今日は、やはりこの作品でしょう。今西祐行さんの「ヒロシマのうた」を久しぶりに読み返した。中学生の頃、集団読書で使ったテキストが残っていた。★広島に原爆が投下され、その救護に向かった兵隊たち。広島の街、練兵場周辺は地獄のようなありさまだった。惨劇の描写は想像するだけで震えそうだ。★ある水兵は救護所の近くで母子を見つける。母親は衰弱し、目も見えない様子。腕にしっかり抱いた赤んぼうは母親の乳を吸っては泣いていた。やがて母親は亡くなり、このまま放置すればやがて赤んぼうも死んでしまう。その水兵は、母親の腕から赤んぼうを引き取り、預かってもらえる人を探す。★とはいえ、誰もが自分のことで精一杯。運よくリヤカーを引く夫婦に託すことができたのだ...今西佑行「ヒロシマのうた」

  • 「時給1500円」というけれど

    ★最低賃金が1000円を超え、この先1500円まで増やすことを公約に掲げる政党もある。★時給1500円とはパートやアルバイトの方には一見うれしい話だけれど、時給の増加分は当然、商品価格に反映され、結局は物価が上がることになる。所得は増えるというけれど、物価が更に上がれば実質賃金は下がることになる。★さらに大きな企業なら人件費の高騰分を何とか工面できるだろうが、小規模零細企業では死活問題となる。★高度成長、右肩上がりの経済なら、国民こぞって豊かになるだろうが、もはやそんなことは幻だ。★「政治家は現場の苦労を知らないですね」と近所で個人営業されているパン屋さんさんとしばしの立ち話。結局は小さな商店や零細企業は滅びゆく運命なのだろうか。心寒い話だ。★個人商店がそれなりに工夫をしながら暮らしていけた昭和30年代が...「時給1500円」というけれど

  • 中川李枝子「くじらぐも」

    ★中学校の中間テストまであと5日。何かと忙しくなってきた。★衆議院も解散し、総選挙が始まる。少々騒がしくなりそうだ。今回は「バンザイ」もそろわない、気の抜けたような解散だった。選挙後は与野党伯仲あるいは政権交代。早々に内閣総辞職や政界再編など波乱含み。来夏の参議院選挙まで余波は残りそうだ。★大人の世界のドロドロとした空気に辟易としたので、光村図書「小学1年生国語」から中川李枝子さんの「くじらぐも」を読んだ。★4時間目。1年2組の子どもたちが体育の授業をしている。そのとき、空にクジラの形をした雲が現れた。子どもたちが体操を始めると「くじらぐも」も「のびたりちぢんだり」。その様子を想像するだけで笑顔がこみあげてくる。★柿本幸造さんの挿絵も素敵だ。こどもたちも「くじらぐも」も楽しそうだ。みんなの笑顔が素晴らしい...中川李枝子「くじらぐも」

  • 今日いち-2024年10月8日

    ★ドラマ「深夜食堂」を観て、豚汁が食べたくなったのでつくった。★昆布のだしに炒めた豚バラと野菜。根菜は時短のためスーパーの水煮。今日は塾生のリクエストでさつまいもを入れる。甘みが出て美味しい。今日いち-2024年10月8日

  • 戸川猪佐武「小説吉田学校」

    ★自民党の総裁選が終わり、各党新リーダーでの総選挙にいよいよ突入する。自民党の総裁選は候補者が多すぎて、それぞれの政策の違いがよくわからなかった。その結果、ドロドロとした人間関係だけが浮き彫りになった気がする。★ソフト化した石破総理には早くも批判が。総裁選には勝ったものの無派閥を頼りにする政権基盤は弱く、実質は森山幹事長の政権ではとの声も聞かれる。★誰になろうと、アメリカ政府と財務省の機嫌を損ねれば、短期政権に終わるかも。★政治といえば、戸川猪佐武さんの「小説吉田学校」(角川文庫)が面白い。全8部の長編ながら、戦後から昭和50年代までの自民党が克明に描かれている。官僚出身の吉田派VS党人出身の鳩山派の戦い。昭和30年代から40年代にかけては池田、佐藤の政権。続いて三角大福中の時代。田中、三木、福田、大平、...戸川猪佐武「小説吉田学校」

  • 柚月裕子「あしたの君へ」から

    ★今日から10月。話題と言えば新内閣の発足と値上げラッシュばかり。★知らない番号から電話があり、受話器を取ると「厚生労働省云々」とのこと。詐欺電話に違いない。以前は「電話等がすぐに使えなくなる」といった電話が何回かかかってきた。手を変え品を変え、ご苦労なことだ。★郵便料金が値上がりし、紙請求書を廃止する業者が目立つようになってきた。エコというのは大義名分で、ホンネはコスト削減だ。電子マネーも増え、アナログからデジタルへの過渡期なのだろうが、何か複雑になり混乱する。★詐欺が横行する背景には、そんな情勢の変化があるのかも。★さて今日は、柚月裕子さんの「あしたの君へ」(文春文庫)から「第1話背負う者」を読んだ。★家庭裁判所の調査員が主人公。日頃馴染みのない職種だけれど、大学の同級生にも調査官になった人が一人いた...柚月裕子「あしたの君へ」から

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