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梨野礫・エッセイ集 https://nasino.muragon.com/

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

梨野礫・エッセイ集
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2016/06/23

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  • 「国語学言論」(時枝誠記著・岩波書店・1941年)精読・50

    二 意味の理解と語源 言語の意味という中には、主体が事物を把握する仕方と、把握された対象とが含まれている。言語の意味をこのように解することは、私の根本的な言語の本質観に基づいている。 「言」(パロル)は我々の脳裏に蓄積された「言語」(ラング)の具体的な実現であり、非限定...

  • 「国語学言論」(時枝誠記著・岩波書店・1941年)精読・49

    第四章 意味論 一 意味の本質 意味は音声と同様に、一般には言語の構成要素の一つと考えられている。意味を理解することは、音声形式によって、それに対応する表象・概念を喚起することだと考えられているが、音声によって喚起されるものは、心的表象、概念、具体的事物であって、それは言...

  • 「国語学言論」(時枝誠記著・岩波書店・1941年)精読・48

    (六)格の転換 国語の文の構造は、詞が辞によって総括され、それがさらに順次に詞辞の結合したものに包摂されるという入子型構造の形式によって統一されるものである。従って、文の成分を分析し、あるいはこれを統一した文として理解するためには、文における格が、つねに他の格に転換すると...

  • 「国語学言論」(時枝誠記著・岩波書店・1941年)精読・47

    (三)修飾格と客語および補語格 修飾格は、連体修飾格(形容詞的修飾格)と連用修飾格(副詞的修飾格)に二分されるのが普通である。修飾格の位置に立つものが修飾語である。修飾語は、文に包摂されたものが分立して表現されたものだから、主語、客語、補語等と本質的に区別されるべきもので...

  • 「国語学言論」(時枝誠記著・岩波書店・1941年)精読・46

    (二)主語格と対象語格 述語格から分立する主語、客語、補語等は、述語との論理的規定に基づき、述語に対する主体、あるいはその客体、目的物等の主体的弁別に基づいて現れてくる。国語の形容詞及び動詞のあるものについては、次のような特殊な現象を認めることができる。 ●甲 色が赤い。...

  • 「国語学原論」(時枝誠記著・岩波書店・1941年)精読・45

    ニ 文における格 (一) 述語格と主語格 附、客語補語賓語等の格 これまで文の成立に関する形式について述べてきたが、文にはそのような形式によって統一され、完結される内容の存在が必要である。判断するためには、判断される事実とその表現がなければならない。感情の表現には、感情の...

  • 「国語学原論」(時枝誠記著・岩波書店・1941年)精読・44

    ハ 文の完結性 文の本質は詞と辞の結合であるが、それは文成立の一半であって、さらに一つの重要な条件は、思想の表現が完結されているということである。 「花・は」「雨降る・べく」「美しけれ・ども」は詞と辞が結合しているが、これを文とは考えない。なぜなら、思想が完結されず、下...

  • 「国語学原論」(時枝誠記著・岩波書店・1941年)精読・43

    四 文の成立条件 イ 文に関する学説の検討(略) ロ 文の統一性 文は、一つの統一体を構成する条件を必要とする。以下、文の意識を構成する諸条件について私見を述べる。 まず私は、言語は話者の思想的内容を音声あるいは文字に表現する心的過程の一形式であると考える。さらに厳密に...

  • 「国語学原論」(時枝誠記著・岩波書店・1941年)精読・42

    三 単語の排列形式と入子型構造形式 国語における語の排列形式を全面的に考察し、思想表現の構造を明らかにしたい。それは、国語における文の概念を明らかにするために必要な階梯である。 文の分解によって認定される具体的なものは、つねに詞辞の結合であること、この詞辞の結合は、音声...

  • 「国語学原論」(時枝誠記著・岩波書店・1941年)精読・41

    山田孝雄氏は助動詞を複語尾として辞の概念より切り離し、動詞が語尾を分出したものと考えられた。接尾語(接尾辞)は、単語の内部の遊離した部分であって、これが附属して新しい概念を有する単語を構成するものと考えられた。この見解においては、複語尾は動詞に附属して新しい単語を構成する...

  • 「国語学原論」(時枝誠記著・岩波書店・1941年)精読・40

    以上、辞の中で活用のある動辞(助動詞)と詞との転換について述べたが、次に活用のない静辞(助詞)の詞との転換について述べる。 「はかり」は元来詞として体言的に用いられる語である。 ● いづくを(はかり)と我も尋ねむ。 ● 三月(ばかり)も空うららかなる日。 ● 雨が降っ...

  • 「国語学原論」(時枝誠記著・岩波書店・1941年)精読・39

    次に、辞より詞に転換する場合について述べる。 詞の総合的表現においては、しばしば主観と客観との対応が総合的に表現されているが、詞辞の転換においても同じようなことがいえる。ここでは、主体と客体との総合的表現が認められるのである。「花が咲かない」の「ない」に対応するものは「...

  • 「国語学原論」(時枝誠記著・岩波書店・1941年)精読・38

    ヘ 詞辞の転換及び辞と接尾語との本質的相違 詞と辞とは語の性質上本質的に相違すものだが、「あり」に詞としての用法と、辞としての用法があるということは、どのようなことを意味するのだろうか。 最初から「あり」に二つの用法があったと解すべきか、または一方の用法が他の用法に転換...

  • 「国語学原論」(時枝誠記著・岩波書店・1941年)精読・37

    ホ 辞より除外すべき受身可能使役敬譲の助動詞 辞すなわち助動詞は、過程的構造についていえば、概念過程を持たない語であり、その表現性からいえば、詞が客体的なものの表現であるのに対して、辞は主体的なものの直接的表現であるといえる。詞は第三者のことについて述べることができるが、...

  • 「国語学原論」(時枝誠記著・岩波書店・1941年)精読・36

    「あり」に辞としての用法があるという考え方によって、「なし」にも、辞としての用法がある。「なし」は元来、形容詞であって、詞に属すべきものだが、それが次第に肯定判断に対立する否定判断を表すようになってくる。本来、否定判断は「ず」あるいは「あらず」を用いるのが普通である。 ●...

  • 「知的障害」とは何か

    「知的障害」とは何か。「物覚え」(記憶力)や「物わかり」(弁別力・類推力など)が同年齢の集団に比べて劣っており、学習や生活に支障が生じている状態のことであろう。私は35年間、教職についていたが、そのうち15年間余りは「知的障害児」と呼ばれる子どもたちにかかわっていた。彼ら...

  • 「国語学原論」(時枝誠記著・岩波書店・1941年)精読・35

    「あり」に存在詞としての意味と、判断辞としての意味が存在することは、「て」「に」と結合する場合にも現れてくる。「て」と「あり」の結合。この結合が口語に「た」となった時、 ● 昨日見(た)。 ● あなたに送っ(た)本。 上のような「た」は、明らかに辞としての用法だが、 ●...

  • 「国語学原論」(時枝誠記著・岩波書店・1941年)精読・34

    再び形容詞連用形接続の「あり」について考えて見ると、そこには詞としての「あり」と、辞としての「あり」の二通りがあると思われるが、「暖いです」「暖うございます」の「です」「ございます」は明らかに辞としての用法だが、次のような場合はどのように考えればよいだろうか。 ● 殿下は...

  • 「国語学原論」(時枝誠記著・岩波書店・1941年)精読・33

    次に、形容詞の連用形に結合した「あり」がある。 ●この冬は暖かり(く・あり)き この例においては、すでに零記号の陳述が加わった「暖かく」に「あり」が結合したもので、その形式は「学生で」に「あり」が結合したものと同じである。 *山田孝雄氏はこの「あり」を形容存在詞と命名し...

  • 「国語学原論」(時枝誠記著・岩波書店・1941年)精読・32

    ニ 辞と認めるべき「あり」および「なし」の一用法 現行文法書の助詞および助動詞は、私のいう辞に合致するものだが、なお幾分の出入りを認めなければならない。 その一は、一般に動詞として詞に属すると考えられている「あり」およびその一群の語である。 ● ここに梅の木がある。 ●...

  • 「国語学原論」(時枝誠記著・岩波書店・1941年)精読・31

    ハ 詞辞の下位分類 詞と辞の二大別の原理は、詞辞の下位分類においても厳重に守られなければならない。詞の中には絶対に辞の概念を含めてはならないのである。詞と辞の意味的関係は、「雨が」という連語を取りあげて見ると、「雨」および「が」という各々の単語は《「雨」(が)》という図が...

  • 「国語学原論」(時枝誠記著・岩波書店・1941年)精読・30

    ロ 詞辞の意味的連関 詞は概念過程を経て成立したものであるから、主体に対立する客体界を表現し、辞は主体それ自身の直接的表現である。これを図に表せば次のようになる。 C(詞) A(主体)→B(辞)↗ ↘ ...

  • 「国語学原論」(時枝誠記著・岩波書店・1941年)精読・29

    《二 単語における詞・辞の分類とその分類基礎》 イ 詞・辞の過程的構造形式 単語は、その過程的形式の中に重要な差異を認めることができる。 一 概念過程を含む形式 二 概念過程を含まない形式 一は、表現の素材を、いったん客体化し、概念化してこれを音声によって表現する。「山...

  • 「国語学原論」(時枝誠記著・岩波書店・1941年)精読・28

    《第三章 文法論》 《一 言語における単位的なもの ・・・単語と文・・・》 言語研究で、単語が言語の単位であるとしばしばいわれるが、単位とはどのような事実をいうのかを考えてみる必要がある。しかし、単位とは何であるかに答えることは容易ではない。一般に使用される単位の概念には...

  • 「国語学原論」(時枝誠記著・岩波書店・1941年)精読・27

    《三 文字の記載法と語の変遷》 文字は言語表現の一段階であり、思想伝達の媒介に過ぎない。また文字は、異なった社会にも隔たった時代にも媒介の機能を持つので、言語の変遷に及ぼす力は大きい。 例えば、ミモノ→見物→ケンブツ、モノサワガシ→物騒→ブッソウのように漢字的記載を媒介...

  • 「国語学言論」(時枝誠記著・岩波書店・1941年)精読・26

    《二 国語の文字記載法(用字法)の体系》 用字法の体系とは、主体的用字意識の体系に他ならない。 言語主体が文字によって何を表そうとしたか、どのような用意があったか等の主体的な表現技術及び意図を探ることになる。 国語の文字を分類すると次の二つに分けられる。 一 言語にお...

  • 「国語学原論」(時枝誠記著・岩波書店・1941年)精読・25

    《第二章 文字論》 《一 文字の本質とその分類》 文字の本質は言語過程の一段階である。それは二つの側面からいうことができる。その一は、文字は、「書く」「読む」という心理的生理的過程によって成立する。音声が発音行為によって成立するのと同じで、文字は書記行為であるといえる。文...

  • 「国語学原論」(時枝誠記著・岩波書店・1941年)精読・24

    《五 音声の過程的構造と音声の分類》 自然的音声の分類基礎がもっぱらその物理的条件にあるということは、音響の本質がそこにあるからである。これに反して、言語の音声は、それが成立するためには、主体的な発音行為を必要とする。主体的意識としての聴覚的音声表象は、発音行為の一段階と...

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