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梨野礫・エッセイ集 https://nasino.muragon.com/

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

梨野礫・エッセイ集
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2016/06/23

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  • 「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・49

    7 談話の識別 【要約】 ここで“談話の識別”とは、子どもが聞いた談話が、その特徴に応じて、安定した特殊反応をおこさせるようになることである。子ども自身の生産する談話が発達するための基本的な条件の一つは、他者の談話の識別にあることはいうまでもない。 ■音調・音色の識別 ...

  • 「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・48

    4 言語理解の発達 【要約】 発声行動の言語化が子どもの聞く談話の言語的理解を基礎として生じてくることは明白であり、使用に対する理解の時期的先行が1歳6ヶ月から3歳0ヶ月ごろまでではほぼ2~3ヶ月の間隔で、もっとも顕著に現れるといわれている。 最初に、非言語的な側面にお...

  • 「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・47

    《象徴遊びにおける発声行為》 【要約】 象徴遊び(“ふりをすること”“見せかけること”)に発声行為が伴うとき、その象徴的な特性はいっそう明瞭になる。 ピアジェ(Piaget,1945)による観察事例をみる。 ⑴Jという子どもは、1歳6ヶ月に、石鹸も水もその場になく、それ...

  • 「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・46

    ■その他の音声的象徴行動 【要約】 身振りと音声模倣のほかに、重要な二、三の初期の音声的象徴行動がある。これらは、音声模倣と発達的に接続する関係にあり、本格的な言語習得過程の先行条件となるものである。 《半個人的な言語的表示》 それは形式的にだけ言語であり、機能的にはな...

  • 「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・45

    ■言語音声の習得(省略) ■オノパトペ 【要約】 “オノパトペ”は、人間の音声以外の音や声(物音や動物の声など)に対する模写的な音声を意味する。オノパトペはその機能において、音声模倣とはかなり違っており、言語獲得以前の子どもの場合には、とくにそうである。 幼い子どもは、...

  • 「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・44

    《音声模倣と自発的使用》 【要約】 上述の問題は、模倣された音声が子ども自身の自発的で、ある程度その場に適合した(意味的な)談話の形成にどのように寄与していくのかという、言語発達問題の核心につながっている。ここには顕現的な音声模倣とその音声の意味的―自発的な使用との発達的...

  • 「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・43

    《音声模倣と意味》 【要約】 ギョーム(Guillaume,1925)は、音声模倣はその音声が子どもにとって意味ないし意味の縁辺を伴っているときだけ生じるのであり、意味からまったく離れた音声の模倣ということはありえないという。レオポルド(Leopold,1939)も、自己...

  • 「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・42

    《同一視説》 【要約】 “同一視”とは、他者と自己を混同することをいう。精神分析の創始者フロイト(Freud) は、親に対する子どもの同一視が人格の基本要因であることを主張し、その後の人格理論、社会心理学、さらには学習理論をふくむ行動理論に大きな影響を与えている。フロイト...

  • 「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・41

    ■音声模倣の機制 【要約】 語の形成は、喃語活動にふくまれる音声の自然の固定化によって達成されるとは考えられない。幼児は、必要な語を形成するさいに、新しい音声を習得する必要がおこってくる。さらに、多くの異なる音声を組み合わせて作られてくる反応を習得する必要があるが、これは...

  • 「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・40

    《連続発達説》 【要約】 音声模倣の発達が連続的だとする見解は二つに大別することができる。一つは、音声模倣が出生後きわめて早期から認められるとする見解であり、もう一つはほぼルイスの第3段階から生じるとするものである。 前者に属する連続発達説はピアジェ(Piaget,19...

  • 「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・39

    ■音声模倣の発達過程 【要約】 《音声模倣の開始期》 音声模倣は0歳2ヶ月から早くも始まると(Hoyer and Hoyer,1924;Lewis,1951;Stern u.Stern,1907)があるかと思うと、0歳9ヶ月~0歳10ヶ月になってはじめて音声は模倣される...

  • 「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・38

    3 音声模倣 【要約】 言語習得がとりわけ音声模倣に依存していることはいうまでもない。言語発達が学習現象であるといわれるおもな理由の一つは、それが音声模倣を経てはじめて達成されるというところにある。 擬音あるいは擬声(オノマトペ)もまた、一種の模倣音声であるが、言語的で...

  • 自民党「裏金」議員の《処分》

    自民党は、4月4日、派閥の政治資金パーティー裏金事件に関係した安部派、二階派の議員ら39人を処分した。しかし、それで終わりではない、と私は思う。そもそも39人は「選ばれて」議員になっているのだから、選ばれた議員の悪行は、選んだ側にも責任があるのである。では、誰が選んだのか...

  • 「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・37

    《発達的連関についての諸説》 大きく分けると三つの考え方があるようである。 第一は、音声と身振りとの間に連関は認めるが、相互の経験的な因果関係を問題にしない立場である。音声がもともと、人間においては行為を伴い、両者が生得的に密接に結合していることは認めるが、この2種の反...

  • 「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・36

    ■身振りと談話 《音声的伝達の利点》 【要約】 音声による伝達の基本的特徴はつぎのようである。 ⑴聴覚刺激以外の感性刺激は、空間性ないし対象性が比較的大であるが、聴覚刺激はその時系列性ないし線状性のゆえに、事象の記号として、事象とそのものと区別がつけやすい。⑵聞き手が聴覚...

  • 「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・35

    ■身振りによる伝達の限界 身振りで非現実事象を表示することは可能であるが、音声行動と比較すれば大きな制約がある。そのおもな理由としてつぎの三つをあげることができる。 ⑴大部分の身振りは、それが行われる事態に依存して表示の一義性を達成する。 ⑵身振りで高度に抽象的な事象を表...

  • 「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・34

    ■自発的身振りの発達 《身振りと“内的言語感覚”》 【要約】 レベス(Revesz,1956)によれば、音声が“内的言語感覚”の影響を受けるようになるとき、音声言語行動が形成される。これと同様に、身振りもこの要因の関与によって、象徴化を開始するという。それは身振りの形では...

  • 「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・33

    ■絵画的身振り 《絵画的身振りの意味》 【要約】 他者の身体運動を自己の身体運動で模倣しようとする傾向は0歳10ヶ月~1歳0ヶ月ごろからみられる。子どもの絵画的身振りはこのような人間行為の模写にはじまるようである。この場合、模写の媒体となる身体部位は、はじめのうちは一定せ...

  • 「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・32

    ■表情 【要約】 表情は本来、内的・情動的状態の自然的な表出であり徴候であるが、音声言語行動の未発達な時期には、外的事象の表示手段としてもある程度利用される。聾幼児では、音声的手段をほとんどもつことができないために、表情を表示の手段として用いる傾向が強く、急速に発達する。...

  • 吉本芸人Mの《裁判》

    吉本芸人Mが「週刊文春」を名誉毀損罪で訴えた裁判が始まった。この裁判で明らかになることは何か。もちろん、「Mが性的加害を加えたか否か」という事実ではない。「週刊文春」がMの名誉を毀損したか否かという一点である。もし「週刊文春」が裁判で負ければ、Mの性的加害は「なかったかも...

  • 「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・31

    ■提示 【要約】 身振りは、その表示方法の上で2種類に分けることができる。一つは、現前場面に依存せずに、対象ないし事象そのものを模写的にあるいは象徴的に絵画化する仕方であり、もう一つは、現前場面に依存する対象ないし事象を指摘する仕方である。後者の典型的な場合として指示行為...

  • 「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・30

    ■指示 【要約】 対象そのものの絵画化を伴わない象徴的身振りの典型的なものとして、指示行為をあげることができる。単に対象に手を伸ばす動作、あるいは注視と到達行為との協応が開始されるのは0:3~0:5であり、比較的個人差はない。はっきり指示の徴候が認められるの行為は0:10...

  • 「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・29

    5 身振り 【要約】 身振りの発生はおそらく自然的であって、身振りとして学習されたものではないが、のちに慣用される身振りの観察と模倣行動とを通じて学習され、伝達の手段として意図的に用いられる。この発達的変化のなかで最もいちじるしい面は、その象徴化に認められるべきであろう。...

  • 「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・28

    《遊び》 【要約】 遊びは新しい外的環境に対して、すでに獲得している活動を適用することであり、積極的で自主的な活動である。さらに遊びは、発達の過程のなかで漸次その象徴的特性を現し、それを最も高度に示す行為でもある。人間の精神発達を適応の過程としてみるならば、適応は模倣の調...

  • 「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・27

    《延滞模倣・観察学習》 【要約】 人間行動における模倣の実用的価値は、延滞模倣に最もいちじるしくみとめられるが、それはどのような性質のものであろうか。 近年、“代理経験”あるいは“観察学習”として研究されている問題がこれに密接に関連している。これらの用語は、他者の行動を...

  • 「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・26

    【要約】(ピアジェ・模倣の発達段階論) 《第1段階》(0歳0ヶ月~0歳1ヶ月) “反射を通じての模倣準備期”として特徴づけられる。他児の叫喚によって叫喚が生じるという一見模倣的な傾向は、①他児叫喚によって生じた不快が原因であると解釈するか、②他児叫喚から直接生じた反射反応...

  • 「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・25

    ■模倣 《ピアジェの模倣の発達段階論》 【要約】 一口に“模倣”というが、そこには種々の次元、あるいは型の模倣が考えられる。そのおもなものはつぎの五つであろう。 ⑴ 即時模倣(直接模倣)と延滞模倣。前者は与えられた手本を即時模倣する場合であり、後者はその間に時間が経過して...

  • 「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・24

    4 模倣と遊び 【要約】 ここでは、初期表象機能の最も活発で顕著な現れとしての、模倣と遊びについて考察し、それらが言語発達の過程とどのように関連するかを示唆したいと思う。 模倣と遊びとは同じ時期に発生し、平行して発達変化するものでありながら、ある面で対照的な性格をもって...

  • 「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・23

    ■初期の象徴活動 【要約】 象徴機能の特性として、つぎの諸点が注目される。 ⑴ 必ずしも音声的に発現されず、しばしば非音声的行動に現れる。 ⑵ 欲求の充足に動機づけられていない。 ⑶ 対人的・社会的な性質がない。 ⑷ 代表機能の原初形態として発現する。 このような特徴は...

  • 「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・22

    ■代表機能と象徴機能 《“代表機能”と“象徴機能”の定義》 【要約】 バーラインは、“象徴反応”についてつぎのように述べている。“行動主義的観点からすれば、記号と象徴とは二重の側面をもつ。それらは生活体によって作られた反応の産物であるとともに、行動に深刻な影響を与える刺激...

  • 「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・21

    2 象徴機能の発生 【要約】 言語行動を最も外見的にとらえるならば、それは一種の筋の運動である。きわめて複雑にはちがいないが、結局はそうである。しかし言語行動が高次の精神過程にその基礎をもち、それに規定された行動であるという面に注目しないかぎり、言語行動の形骸を追うという...

  • 「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・20

    ■喃語と談話 【要約】 音声言語の種類を異にする社会に生まれた子どもの間で、最初のうちは、発する音声に差がない。この差が生じてくるのはいつごろからであろうか。また、このような発達的変化は連続的に移行するのか、それとも非連続であろうか。 《喃語音声の生得性》 中島・岡本・...

  • 「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・19

    《外的強化と自閉的強化の共存》 【要約】 ごく大まかにいえば、外的強化は対人場面で、内的強化はひとり場面で、主として作用すると考えられる。チャーチは、“幼児は他者に対すると同じ程度に自分に向かって話す。反応する聞き手が存在することを知って驚き、ものをいわなくなることがある...

  • 「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・18

    《自閉的強化説》 【要約】 喃語活動は、子どもがひとりでいるときにも生じる。喃語活動が維持され、活発化する原因を、人から与えられる即応的強化にだけ求めるわけにはいかない。他の原因の一つとして、マウラー(Mowrer,1952,1954,1960)は、“自閉的強化理論”(a...

  • 「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・17

    ■喃語活動の活発化 【要約】 喃語活動は、談話活動の一般的な特性の発達的基礎と考えられるので、つぎの二つの問題を検討しておく必要があると思う。 ⑴ 喃語活動の活発化、あるいは生起頻度の増大 ⑵ 喃語にふくまれる音声の明瞭化、あるいは母国語音韻化 《達成動機説》 ルイス(...

  • 「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・16

    ■喃語の反復性 【要約】 喃語の反復性は、心理学的にはどのように説明されてきただろうか。 《循環反応仮説》 ・ハートレー(Hartley,1810)、オールポート(Allp0rt,1924)、ホルト(Holt,1931)。 “いま発声のための筋が活動していたとする。言語音...

  • 「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・15

    ■喃語の形式 【要約】 《喃語の音声面》 初期にはbaba....のような1音節単位の反復が多く、その後にbaba,baba,....のような反復性の多音節単位の反復が生じ、さらに、その後bama,bama,....のような非反復性の多音節を単位とする反復が生じ、さらに変...

  • 「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・14

    《非叫喚音の発生時期》 【要約】 非叫喚発声ははじめから言語的特性を十分にそなえているわけではない。最も初期の非叫喚発声は呼吸運動によって大きな拘束を受けており、その音声の調音化は漸次的である。呼吸活動のもとで音声が多様化してくるということは、発声が呼吸活動ならびに情動か...

  • 「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・13

    ■非叫喚発声 《非叫喚発声の発達的意義》 【要約】 非叫喚発声は叫喚よりもよく統制された呼吸活動と調音活動のもとで生じる。叫喚よりも変化に富んだ発声である。叫喚が強力な発声であるため母親の注意をひきつけ、その結果として自己の欲求をみたすのに役立つのに対して、非叫喚は弱い発...

  • 「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・12

    2 喃語 【要約】 喃語(babbling)は非叫喚音から成る一連の音声パターンをいう。それが談話と区別される点は、調音化がきわめて不十分であり、かつ意味が不明であり、伝達的意図に動機づけられていないということである。それは“意味のわからない話”である。(喃話という方が適...

  • 「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・11

    《育児者の役割・意味形成》 【要約】 現実に対する子どもの認知は、成人(多くは母親)との接触を通じて形成されていく。それは成人の側からの積極的な働きを契機としている。成人が子どもの行為を子どもにとって興味のあるものにするための手段として、成人はいろいろな働きかけを子どもに...

  • 「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・10

    《発声行動の手段化とその要因》 【要約】 子どもはいつごろから外界刺激の特性に対応するような行為をするようになるのか。また、このことはどのように確証されるのか。 “(新生児は)手足をランダムに屈伸し、特殊な、つまり特性記述可能な行為をしない。「有意味だ」といえる運動が発...

  • 「させていただく」な!

    国会中継や記者会見などで、議員がやたらと「○○させていただく」という文言を使うことが鼻につく。議員は選挙民に選ばれて「議員にさせていただいて」いるのだから当然かも知れないが、「説明させていただく」だとか「使わせていただく」だとか、「調べさせていただく」だとか、自分の行為ま...

  • 「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・9

    ■初期音声における意味 《叫喚の発達》 【要約】 言語学者サーピアは、初期叫喚の“意味”に関連して「・・本能的な叫喚はどんな厳密な意味でも伝達(communicationn)とはならない。」(Sapia,1921)と述べている。初期の本能的叫喚はたしかにサーピアのいうよう...

  • 「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・8

    《音素型の測定と記述》 【要約】 初期音声発達の解明に大きな貢献をしてきたのがアーウィンである。アーウィンを中心とする研究者の業績をアーウィン自身(Irwin,1952)がまとめたところによると、0歳2ヶ月~2歳6ヶ月の間では次のような発達傾向が認められる。 ⑴音素の種類...

  • 「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・7

    【要約】 予期吸啜反応はいっそう直接的な、一部の子音生産の下準備となりうる。予期的に吸啜反応をしているときに呼気が生じると、これが唇音[p][b]、鼻唇音[m]、鼻歯音[n]を作り出す。歯舌音[t]の生じる可能性もある。このように吸啜反応は、唇、歯、鼻腔、舌の関係する広範...

  • 「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・6

    《摂食運動と調音活動》 言語音声(母音・子音)を出すためには、呼吸活動と声帯の開閉との間の協応だけでなく、口腔の姿勢や運動を伴うことが必要であり、特定の言語音声を発するための特定の姿勢や運動は、“調音”(articulation)とよばれる。調音をつかさどる器官は呼吸器官...

  • 「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・5

    ■その後の音声の変化 《叫喚音声の変化》 【要約】 単調だった初期叫喚は、まもなく変化を示しはじめる。それは発声の持続時間・リズム・強さ・高さ・音色などの上にあらわれる。ビューラー(Buher,C,1930)によると、少なくとも0歳3ヶ月にはこれがはっきりしてくる。おおま...

  • 「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・4

    《叫喚と非叫喚との識別》 【要約】 0歳1ヶ月ごろになると、叫喚よりおだやかで静かな音声がときおり生じはじめる。これは“cooing”とか“whining”とかいわれる非叫喚音である。それまでは声量の調節ということはできなかった子どもが、0歳1ヶ月以後調節することができは...

  • 吉本芸人Mの「笑い」

    フランスの劇作家マルセル・パニョルは「笑いについて」(岩波新書)の中で、「笑い」には3種類ある、と述べている。その1は、強者が弱者を見下して馬鹿にする笑い、その2は弱者が強者を皮肉る笑い、その3は人間同士が楽しみや喜びを分かち合う連帯の笑い、である。日本でも「嘲笑」「哄笑...

  • 「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・3

    《新生児の叫喚》 【要約】 新生児(生後1ヶ月間)が叫喚に費やす時間は全生活時間の5~6%といわれている。これは、睡眠時間の70%と摂食時間の15%を考えるとき、おきていて吸乳していないときには、叫喚していることが非常に多いことを物語っている。 叫喚がどんな原因で生じる...

  • 「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・2

    1 乳児初期の発声 【要約】 ‘うぶ声’にはじまる人間の発声は日々急速に変容して、まもなく明白な技能的統制が生じてくる。これと平行して、音声に‘意味’も感じられるようになる。これらの変化は明らかに人間の高次神経機構の整備によるものである。しかし、このような初期の段階におい...

  • 「幼児の言語発達」(村田孝次著・培風館・1968年)抄読・1

    【序】 私は今、自閉症児の「言語発達」について考えている。「言語発達」の遅れは、自閉症児の行動特徴(症状)の一つに挙げられているが、助詞、助動詞、人称代名詞の誤用、紋切型で抑揚のない語調(口調)などが指摘されているだけで、その実相や原因はそれほど究明されていないように思わ...

  • 「性加害」の《本質》

    吉本芸人Mの「性加害」という問題が取り沙汰されて2か月が経とうとしているが、その《本質》が忘れられたまま、不毛な対立・抗争が続けられている。「性加害」の《本質》とは何か。それを明らかにするためには、まず「性」とは何かについて考えることが必要だ。「性」とは「男と女」という区...

  • 「障害乳幼児の発達研究」(J.ヘルムート編・岩本憲監訳・黎明書房・昭和50年)抄読・7

    Ⅶ 幼児ー母親の相互交渉の型と刺激の特性《映写観察を使用したセット場面での行動的相互交渉の評価》 A 背景 ・(幼児ー母親の相互交渉を「映写観察」〈その記録を分析〉することにより)、刺激パタン、刺激の数や多様性、回数・強さで示される刺激の量、刺激時間の評価が容易にできるよう...

  • 「障害乳幼児の発達研究」(J.ヘルムート編・岩本憲監訳・黎明書房・昭和50年)抄読・6

    Ⅵ 母親の行動と幼児ー母親の相互交渉《録音面接の際の母親の叙述とそのときの幼児ー母親相互交渉についての観察者による逸話記録に基づいた研究》 A はじめに ・録音面接時の母親の叙述は、面接時の観察者による幼児ー母親相互交渉の描写と比較された。それによって、一致を示した相互交渉...

  • 「障害乳幼児の発達研究」(J.ヘルムート編・岩本憲監訳・黎明書房・昭和50年)抄読・5

    Ⅳ 方法 A 被験者 1.選択 ・母親と幼児被験者は、Illnois大学病院の小児科部門から得られた。被験者は、次のような基準に基づいて対象にされた。 ⅰ. 年齢:30カ月未満 ⅱ. 異常行動:異常行動のリストにあげられた1つ以上の異常状態。 《幼児の異常行動》(リスト) ...

  • 「障害乳幼児の発達研究」(J.ヘルムート編・岩本憲監訳・黎明書房・昭和50年)抄読・4

    Ⅲ 親子関係に関する批判と「障害乳幼児の発達研究」(J.ヘルムート編・岩本憲監訳・黎明書房・昭和50年)抄読・3幼児ー母親相互交渉の研究 A はじめに ・環境は、児童期の精神的、社会的、情緒的発達に影響するという概括的な仮定は、発達に及ぼす大切な環境要因は、親のパーソナリテ...

  • 「浅草資産家一家の事件」で思うこと

    4歳の女児(次女)を殺害したという疑いで両親が逮捕された。資産家一家の事件で、女児には10歳の兄(長男)と8歳の姉(長女)がいる。私がまっさきに思ったことは、両親が逮捕されていなくなった家で、この10歳と8歳の兄妹は、今後どのように暮らしていくのだろうか、という一点である...

  • 「吉本興業」と「週刊文春」の不毛な《対立・抗争》・2

    昨年末「週刊文春」が吉本芸人Mの言動に言及してから2か月が経とうとしている。私はこれまで吉本芸人Mの「芸」など興味がないので見聞していないし、「週刊文春」の記事なども読んでいないので、どのようなことが取り沙汰されているか、詳細は知らないが、連日、ネットを開くと、連日、吉本...

  • 「障害乳幼児の発達研究」(J.ヘルムート編・岩本憲監訳・黎明書房・昭和50年)抄読・3

    「障害乳幼児の発達研究」(J.ヘルムート編・岩本憲監訳・黎明書房・昭和50年)に収録されている論文「正常幼児と異常行動をもつ幼児の母ー子相互関係行動の比較」(ナーマンH.グリーンベルグ)を精読する。 Ⅰ はじめに ・この報告は、異常行動をもたない幼児と母親(M-CI)および...

  • 「障害乳幼児の発達研究」(J・ヘルムート編・岩本憲監訳・黎明書房・昭和50年)抄読・2

    【Ⅱ 社会的ディプリペーション環境下の養育から生まれてくる異常行動】 ・赤毛ザルの社会的発達に影響するパラメーターを調査するために、Wisconsinの研究室の実験者は、母ザルと仲間ザルの中で養育される環境を、体系的な代償と、この環境における社会的要素をとりのけることによっ...

  • 「障害乳幼児の発達研究」(J・ヘルムート編・岩本憲監訳・黎明書房・昭和50年)抄読・1

    「障害乳幼児の発達研究」(J・ヘルムート編・岩本憲監訳・黎明書房・昭和50年)を抄読する。今から39年前に発行された本だが、その内容は(私にとって)斬新である。と言うのも、それ以後、科学技術の進歩はめざましかったが、その方向は分子生物学の分野に偏りがちであり、人間のありかた...

  • 「愛着障害」(岡田尊司・光文社新書・2011年)要約・16

    《おわりに 愛着を軽視してきた合理主義社会の破綻》 ・この数十年、社会環境が、愛着を守るよりも、それを軽視し、損なう方向に変化してきた。 ・効率的な社会において、人間の根幹である愛着というベースが切り崩されることによって、社会の絆が崩壊するだけでなく、個々の人間も生きていく...

  • 「愛着障害」(岡田尊司・光文社新書・2011年)要約・15

    2 いかに克服していくか ⑴安全基地となる存在 ・愛着の原点は、親との関係で育まれる。愛着障害は、そのプロセスで躓いている。それを修復するには、親との関係を改善していくことが、もっとも望ましい。 ・しかし、親の方も不安定な愛着の問題を抱えていることも多く、子どもに対する否定...

  • 「愛着障害」(岡田尊司・光文社新書・2011年)要約・14

    《第6章 愛着障害の克服》 1 なぜ従来型の治療は効果がないのか 【難しいケースほど、心理療法や認知行動療法が効かない理由】 ・「心理療法」「認知行動療法」で効果が得られにくいのは、「愛着障害」という観点が 導入されていないからである。 ・愛着障害や不安定型愛着に対する治療...

  • 「愛着障害」(岡田尊司・光文社新書・2011年)要約・13

    《第5章 愛着スタイルと対人関係、仕事、愛情》 1 安定型愛着スタイル 【安定型の特徴】 ・安定型の第一の特徴は、対人関係における絆の安定性である。自分が愛着し信頼している人が、自分をいつまでも愛し続けてくれることを確信している。自分が困ったときや助けを求めているときには、...

  • 「愛着障害」(岡田尊司・光文社新書・2011年)要約・12

    《第4章 愛着スタイルを見分ける》 【愛着スタイルが対人関係から健康まで左右する】 ・それぞれの愛着スタイルは、「作業モデル」と呼ばれる行動のプログラムをもっている。それは、幼いころからこれまでの人生のなかで作り上げられてきた、行動や反応の鋳型であり判断基準である。 ・この...

  • 「愛着障害」(岡田尊司・光文社新書・2011年)要約・11

    【自分を活かすのが苦手】 ・不安定愛着型の子どもは、自分の可能性を試すことについて、過度の不安を感じたり、投げやりで無気力になったり、最初から諦めていたりしがちである。その結果、自分の可能性の芽を摘んでしまうことも多い。 ・愛着障害の人は、自分の潜在的な能力を活かせていない...

  • 「愛着障害」(岡田尊司・光文社新書・2011年)要約・10

    【発達の問題を生じやすい】 ・子どもは愛着という安全基地があることで、安心して探索活動を行い、認知的、行動的、社会的発達を遂げていく。愛着は、あらゆる発達の土台でもあるのだ。愛着障害があると。発達の問題を生じやすい。 ・安定した愛着の子どもは、自分一人では手に負え合い問題に...

  • 「愛着障害」(岡田尊司・光文社新書・2011年)要約・9

    《第3章 愛着障害の特性と病理》 【愛着障害に共通する傾向】 ・愛着障害には回避型と不安型のような正反対とも言える傾向をもったタイプが含まれるが、その根底には、大きな共通点がある。 ・愛着障害は、素晴らしい能力とパワーをもっている。 【親と確執を抱えるか、過度に従順になりや...

  • 「愛着障害」(岡田尊司・光文社新書・2011年)要約・8

    【親の愛着スタイルが子どもに伝達される】 ・「親の不在」「養育者の交替」といった問題のないふつうの家庭に育った子どもでも、三分の一が不安定型の愛着パターンを示し、大人のおよそ三分の一にも、不安定型愛着スタイルが認められるのはなぜか。それは、親の愛着スタイルが子どもに伝達され...

  • 「愛着障害」(岡田尊司・光文社新書・2011年)要約・7

    《第2章 愛着障害が生まれる要因と背景》 【増加する愛着障害】 ・子どもの数が減り、一人ひとりの子供が、手厚く大切に育てられているはずの現代において、愛着の問題を抱えた子どもだけでなく、大人までも増えているという現実がある。 (虐待、育児放棄、境界性パーソナリティ障害、依存...

  • 「愛着障害」(岡田尊司・光文社新書・2011年)要約・6

    【良い子だったオバマ】 ・オバマ大統領は、「良い子」や「優等生」を演じきった。「従属的コントロール」を駆使した典型である。 ・クリントン大統領は、母親に対してはとても従順であったが、それ以外の女性に対しては支配的で、うまく利用したり搾取しようとした。「操作的コントロール」の...

  • 「愛着障害」(岡田尊司・光文社新書・2011年)要約・5

    【ストレスと愛着行動の活性化】 ・何か特別な事態が生じて、ストレスや不安が高まったときには、「愛着行動」が活発になる。それが健全な状態であり、自分を守るために重要なことである。 ・愛着行動には、さまざまなヴァリエーションがある。(幼い子ども→直接行動、フランクル→愛する人を...

  • 「愛着障害」(岡田尊司・光文社新書・2011年)要約・4

    【親を求めるがゆえに】 ・愛着を脅かす、もう一つの深刻な状況は、守ってくれるはずの親から虐待を受け、安全が脅かされるという場合である。この場合、子どもは親を求めつつ、同時に恐れるというアンビバレントな状況におかれる。しかも、親がいつ暴力や言葉による虐待を加えてくるかわからな...

  • 「愛着障害」(岡田尊司・光文社新書・2011年)要約・3

    【愛着の絆と愛着行動】 ・いったん、愛着の絆がしっかりと形成されると、それは容易に消されることはない。愛着におけるもう一つの重要な特性は、この半永久的な持続性である。(「母をたずねて三千里」のマルコ少年) ・愛着の絆で結ばれた存在を求め、そのそばにいようとする行動を、愛着理...

  • 「愛着障害」(岡田尊司・光文社新書・2011年)要約・2

    《第1章 愛着障害と愛着スタイル》 【あなたの行動を支配する愛着スタイル】 ・愛着スタイルは、その人の根底で、対人関係だけでなく、感情や認知、行動に幅広く影響していることがわかってきた。パーソナリティを形造る重要なベースとなっているのである。 ・安定した愛着スタイルのもち主...

  • 「愛着障害」(岡田尊司・光文社新書・2011年)要約・1

    《はじめに 本当の問題は「発達」よりも「愛着」にあった》 ・人間が幸福に生きていくうえで、もっとも大切なもの・・それは安定した愛着である。愛着とは、人と人との絆を結ぶ能力であり、人格のもっとも土台の部分を形造っている。 ・昨今。「発達障害」ということばが盛んに言われ、それが...

  • 松本人志と市川猿之助

    巷間では松本人志に関する取沙汰が喧しい昨今だが、市川猿之助に関してはさっぱり音沙汰がない。両者にはいくつかの共通点が見られる。まず芸人として有名人であり、その道の「稼ぎ頭」であったようだ。二人とも出版社から同様の案件(性加害疑惑)で告発されたが、事実関係は「闇の中」である...

  • 昭和万葉集・100・《結び》

    《結び》 千年後まで遺したい昭和歌謡100曲を選び終えた。「万葉集」に収められた歌は約4500首だから、「私家版 昭和万謡集」は遠く及ばない。「昭和歌謡百人一曲」といった」ところであろうか。今後は引き続き「私家版・昭和拾遺集」を編んでみたい。 (2024.1.27)

  • 昭和万葉集・100・「忠義ざくら」

    100「忠義ざくら」(詞・南條歌美 曲・細川潤一 歌・三門順子) 《寸感》 大衆演劇「鹿島順一劇団」の舞踊ショーで、今は亡き三代目・鹿島順一が初々しく踊った「忠義ざくら」が忘れられない。以下は 年前に綴った駄文である。 (2024.1.27)

  • 昭和万葉集・99・「落城の賦」

    99「落城の賦」(詞・宮崎耿平 曲・古賀政男 歌・森繁久弥) 《寸感》 島原の乱をテーマにした歌である。島原の乱とは《江戸時代初期、松倉勝家領の肥前国島原と同国唐津寺沢堅高領の肥後国天草の領民が連帯し、少年益田(天草)四郎時貞を盟主に蜂起し、島原の原城にたてこもって幕府・...

  • 昭和万葉集・98・「木浦の涙」

    98「木浦の涙」(詞・文一石 曲・孫牧人 歌・李蘭影) 《寸感》 日本統治時代の1935年に発売され、朝鮮全土で一躍大ヒットし、湖南地方の南端に位置する港町・木浦を全国的に知らしめた。そして木浦出身で当時10代後半だった新人歌手の李蘭影は一気にスター歌手へと上りつめた。(...

  • 昭和万葉集・97・「海ほおずきの歌」

    97「海ほおずきの歌」(詞・田中一郎 曲・山本雅之 歌・近藤圭子) 《寸感》 『昭和の童謡アラカルト』(長田暁二)によれば、作詞者は水戸一高出身のキングレコード常務。大洗から芸者として水戸に出てきた女性たちを、海ほおずきに重ねて書いた。大洗の「磯節」をモチーフに、その子供...

  • 昭和万葉集・96・「かえりの港」

    96「かえりの港」(詞・豊田一雄 曲・豊田一雄 歌・藤島恒夫) 《寸感》 島へ寄らずにこのまま行こうか、それとも島に帰って愛しい人に逢おうかか。船の上でしばし逡巡する。・・・逢ったところでどうなるものか。やはり、このまま行こう。帰る港はもうないのだ。 (2024.1.23)

  • 昭和万葉集・95・「奥飛騨慕情」

    95「奥飛騨慕情」(詞・竜鉄也 曲・竜鉄也 歌・竜鉄也) 《寸感》 風の噂をたよりに、奥飛騨にやって来た。平湯、栃尾、福地、新穂高などなど、湯の宿を巡り歩いたが、君には逢えない。「未練残した盃に」雷鳥の声だけが悲しく鳴り響いている。 (2024.1.22)

  • 昭和万葉集・94・「夕日は落ちて」

    94「夕日は落ちて」(詞・久保田宵二 曲・江口夜詩 歌・松平晃、豆千代) 《寸感》 故郷を捨てて、愛馬とともに大陸にやって来た。七つの丘を越え、湖のほとりに辿りついたが、荒野を彷徨うばかりで、日が暮れる。花が開き、鳥がさえずる春となったが、寂しさは変わらない。恋しい人を思...

  • 昭和万葉集・93・「春よ来い」

    93「春よ来い」(詞・相馬御風 曲・弘田龍太郎 歌・朝田 椛) 《寸感》 朝田椛ちゃん(3歳)、詞の中から「みいちゃん」が抜け出したような風情で、のびのびと歌っている。その歌声を聴いていると、もう春がそこまで来ているようで、希望が湧いてくる。 (2024.1.20)

  • 昭和万葉集・92・「子連れ狼」

    92「子連れ狼」(詞・小池一雄 曲・吉田正 歌・橋幸夫、若草児童合唱団) 《寸感》妻を亡くした介錯人・拝一刀が浪人となって柳生一族に復讐をはたそうとする物語。一刀には3歳の男児・大五郎がいる。雨の中、刺客を業とする父の帰りを、東屋で待っている。「帰りゃあいいが、帰らんときゃ...

  • 昭和万葉集・91・「おばこ船頭さん」

    91「おばこ船頭さん」(詞・吉川静夫 曲・吉田正 歌・野村雪子) 《寸感》 娘船頭さんは,今、二十歳、まもなく嫁入りだ。でも、それは親がきめたこと、私には愛しい人がいる。さればこそ「月の夜船のかげで泣き」「うす紅つけて」忍び逢うのだった。 (2024.1.18)

  • 昭和万葉集・90・「夕焼け雲」

    90「夕焼け雲」(詞・横井弘 曲・一代のぼる 歌・千昌夫) 《寸感》 二人が育った,懐かしいあの村に、「帰らない」と決めていた。でも、「帰りたい」という想いがつのる。「我慢、我慢・・・」と抑えているうちに、いつしか月日がたち、本当に帰れなくなってしまった。夕焼け雲だけが、...

  • 昭和万葉集・89・「愛ちゃんはお嫁に」

    89「愛ちゃんはお嫁に」(詞・原俊雄 曲・村沢良介 歌・鈴木三重子) 《寸感》「愛ちゃんは太郎の嫁になる」「愛ちゃんはおいらに嘘つた,嘘とは知らずに見ていた甘い夢」でも、しかたないさ、あきらめよう。そして「愛ちゃんは太郎と幸せに」と、おいらは祈るのだった。嗚呼・・・・・。 ...

  • 昭和万葉集・88・「長崎の鐘」

    88「長崎の鐘」(詞・サトウハチロー 曲・古関裕而 歌・藤山一郎) 《寸感》 原爆に斃れた人々へのレクイエムである。この詞は、自らも被爆、妻を亡くしながらも被爆者たちの治療に当たった永井隆博士の著書「長崎の鐘」をモチーフに作られた。後日、この曲に感動した永井博士は,以下の...

  • 昭和万葉集・87・「おぼろ月十三夜」

    87「おぼろ月十三夜」(詞・時雨音羽 曲・佐々木俊一 歌・榎本美佐江) 《寸感》 榎本美佐江は、小笠原美津子の「十三夜」もカバーしているが、「おぼろ月十三夜」の方が情感豊かではないか。月の光の下で逢瀬を重ねる男女のやるせなさが、彼女の歌声によって艶やかに浮かび上がる。時雨...

  • 昭和万葉集・86・「ガード下の靴磨き」

    86「ガード下の靴磨き」(詞・宮川哲夫 曲・利根一郎 歌・宮城まり子) 《寸感》 「東京シューシャインボーイ」とは対照的に、「ガード下の靴磨き」は哀愁を帯びている。「おいら貧しい靴磨き 夜になっても帰れない」、墨に汚れたポケットには小さなお札だけ、「風の寒さやひもじさにゃ...

  • 昭和万葉集・85・「東京シューシャインボーイ」

    85「東京シューシャインボーイ」(詞・井田誠一 曲・佐野鋤 歌・暁テル子) 《寸簡》 戦後、東京のあちこちの繁華街では「靴磨き」という商売が繁盛、仕事にあぶれた人たちが手っ取り早い職業としたが、中には未成年の「ボーイ」たちも混じっていた。いつも来てくれる「お嬢さん」に憧れ...

  • 「吉本興業」と「週刊文春」の不毛な≪対立・抗争≫

    年末から「吉本興業」と「週刊文春」の抗争が始まり、裁判沙汰になりそうな気配だと、メディアは面白半分に伝えているが、全く不毛な争いだと、私は思う。「週刊文春」は、《いつ》《どこで》《誰が》《どうしたか》を明らかにしたが、「吉本興業」はそれが事実無根だと否定している。ならば、...

  • 昭和万葉集・84・「港のおりくさん」

    84「港のおりくさん」(詞・伊藤岸子 曲・徳久地政信 歌・若原一郎) 《寸感》 若原一郎には珍しいマドロス演歌である。浅黄にこぼれ松葉の暖簾をくぐれば、縞のお召しに西陣帯を締めた「おりくさん」が微笑んでいる。彼女に酌でほろ酔い機嫌、明日の船出を前にした一時のやすらぎか・・...

  • 私家版・昭和万謡集・83・「田舎のバス」

    83「田舎のバス」(詞・三木鶏郎 曲・三木鶏郎 歌・中村メイコ) 《寸感》 バスガールは田舎にもいる。東京と違って、道ばたで草を食っている牛をどけたり、パンクして動けなくなったオンボロ車を馬に引かせたり、仕事の量は倍増する。「それでもお客さん、ガマンをsているよ、それは私...

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