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  • 【小説感想】村上春樹「沈黙」。ネットでは「顔というものを持たない人々」にならないようにしないといけない。

    突然、村上春樹の「沈黙」が読みたくなったので再読。 短編集「レキシントンの幽霊」に収録されている短編。 レキシントンの幽霊 (文春文庫) 作者:村上春樹 文藝春秋 Amazon 村上春樹の作品にしては珍しく、起こる事象が現実的で具体的、抽象度が低いので読みやすい。「好きな作品」としてちらほら名前を見かける。 テーマはいじめだけれど、「生きる姿勢」を率直に語っている。 「ドライブ・マイ・カー」もそうだったが、この鋼鉄の精神はどこから来るのだろう。 長編の主人公たちが状況に流されがちなのとは対照的だ。 未読の人のために筋を簡単に説明すると、主人公の大沢は同級生の青木という男に事実無根の噂を流されて…

  • 【ドラマ感想】山里亮太と若林正恭の青春を描いた「だが、情熱はある」が、上質なルサンチマン文学すぎる。

    南海キャンディーズの山里亮太とオードリーの若林正恭の半生を描いた「だが、情熱はある」の第三話を見た。(一話と二話は見損ねた) 山里と若林はもちろん知っているけど、それ以上のことはほとんど知らないので、完全にドラマとして楽しんでいる。 創作として見ると、無茶苦茶上質なルサンチマン文学だ。 このドラマ、どのエピソードを見ても「ああ……」と思う。 特に若林と父親の会話が、「俺おまか」と思うくらい既視感があった。 どこの家もこんな風なのだろうか。 若林が言う「俺がおかしいのか、周りがおかしいのか」というのは、不遇感をこじらせる時期に浮かぶおなじみの思いだ。 どこまで「俺を認めない世界がおかしい」と思え…

  • 変化が速い時代だからこそ、スルメゲーをじっくりやりこんでしゃぶり尽くしたい。

    「九龍妖魔學園紀」を購入したまま忘れていた、とふと思い出した。 九龍妖魔學園紀 ORIGIN OF ADVENTURE -Switch アークシステムワークス Amazon 2004年に発売されたゲームだが、switchとPS4に移植されて評判も良い。 元々、アトラスの学園ジュヴナイルものが大好きだった。女神転生は「if」が一番好きだし、ペルソナも1が好きだった。 非日常的な危機と青春時代の日常や悩みが溶け合っているところがいい。 「九龍妖魔學園紀」は学園生活を送るADVパート、遺跡を巡る探索パートに分かれてる。 ADVパートで仲間と交流したり、アイテムを探したりして、探索パートをこなす。3D…

  • 対話型AI「チャットGPT」に小説のあらすじを考えてもらったら、思った以上に学びが深かった。

    shinonomen.hatenablog.com ↑の東雲さんの記事を読んで滅茶苦茶面白いと思い、自分も「Chat(チャット)GPT」に「400字で小説のあらすじを考えて」と頼んで三種類出してもらった。 タイトルのみ自分で考えた。 あらすじ① 世界にひとつだけの美術品 "> ある日、主人公の高橋真一は街で美術展を開催していた。 "> 彼は会場で美術作品を鑑賞していたが、ひとつの絵画に目が止まった。それは美しい花が描かれた絵だった。 "> 真一はその絵の現代美術としての価値を見いだし、一目惚れしてしまう。 "> しかし、真一が購入しようと思ったとき、その絵画はすでに売り切れていた。 "> 彼は…

  • 筒井康隆「虚人たち」を読みながら「去人たち」を読む。物語とはつくづく「現実的ではない」

    kyojintachi.k2cee.com 最初「去人たち」を読んだ時に、よく意味がわからなかった。確か「Ⅱ」の途中で読むのを止めたと思う。 筒井康隆「虚人たち」のオマージュだと聞いたので、「虚人たち」を読めばわかるのかなと思っていた。 最近そのことを思い出して「虚人たち」を読みながら「去人たち」を読み始めたんだけど(ややこしい)、嘘みたいに面白い。 「虚人たち」は「物語」は「意味」によって支配されていることを、登場人物がメタ視点で理解しているという実験的な試みをしている。 ・ある登場人物は、自分が物語の中で「ある事象を目撃すること」ということしか存在の意味を持たないことをわかっている。そのこ…

  • 【漫画感想】残酷歌劇「ライチ☆光クラブ」 暗い世界に閉じ込められた少年たちが辿る残酷な運命。

    ライチ☆光クラブ 作者:古屋 兎丸 太田出版 Amazon ぼくらの☆ひかりクラブ 全2巻セット Amazon 既に映画化されていることも知らず表紙買い。 江戸川乱歩に代表される、退廃的で耽美で残酷描写があるインモラルな世界観だ。「グランギニョール」というジャンルがあるのを初めて知った。 残酷描写にそこまで興味がないし好きでもないのだが、これは凄い良かった。 常川、それはある共同体においてはそう規定される。 しかし僕の血は常川か? No。 僕の肉は常川か? No。 常川とは曖昧で実体がない。 この光クラブにおいて、我はゼラと規定される。 (引用元:「ライチ☆光クラブ」 古屋兎丸 太田出版/太字…

  • 「実際の物事や人物を元にしたフィクション」は、自分の中で「名作・傑作」であるほうが問題が根深い。

    「フィクション」と銘を打っている場合は、まずはフィクションとして読む。 問題があれば指摘すると思うが、自分は自分にとってつまらない作品はすぐに忘れるので「フィクションと、モデルとおぼしき実際の物事や人物との関係性の問題をどう考えるのか」というところまでいかない。 自分の中でこの件で一番悩むのは「創作として名作、傑作なので否定できない場合」だ。 2018年6月にこの件について考えた時に、自分の中ではこういう結論だった。 自分が「実話をモデルにしたり元にした創作品で、その存在を否定する」のは以下の条件がすべてそろったときだ。 ①著者がその事件を基にしている、と明言している。もしくは特定の事件をモデ…

  • 【小説感想】実際の事件を基にして発刊中止になった「パルチザン伝説」 これを「個人的な物語」と読めないところに分かり合えなさを感じる。

    文藝賞の最終候補になり単行本化が決まっていたが、抗議によって急遽発売中止になったいわくつきの作品。 パルチザン伝説 作者:桐山 襲 河出書房新社 Amazon 東アジア反日武装戦線が起こした事件をモデルにしているため、抗議を受けて発売が困難になったらしい。自分は「虹作戦」よりも「三菱重工爆破事件」を「M事件」としてそのまま用いていることが気になった。 創作の表現は自由で守られるべきだと思うけれど、実際のどの事件をモデルにしているかはっきりとわかる、しかもその事件を否定せずに描かれていると創作としての評価云々以前に忌避感がわく。三菱重工爆破事件は亡くなっている人もいるし。 それ以外も終戦間際に内…

  • 「忌録 document X」の考察をしてみた。

    忌録: document X 作者:阿澄思惟 A.SMITHEE Amazon そういえばkindleで購入したなあと思い出し読んでみた。 考察をやってみたが、うまくつながらない部分が多い。細部を詰めるには材料が少なすぎるので、これは細部を詰めると迷路に迷い込むパターンかなと思った。 なので考え方を変えて、つながりそうなキーワードを拾ってみた。 ①白チ(知的障害・心神喪失) 美咲は知的障碍者だった。(みさき) 川上喜代子は七歳まで白チだった。(みさき) 結城フクは統合失調症(みさき) 光子ボサツを見ると心身喪失状態に陥る。(光子ボサツ) 坂本夫妻の前の前の入居者の夫は狂死した。(忌避) ②女の…

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