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2016/04/01

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  • 雨の中の、赤い日記。

    雨がやまない。 この数日、部屋の中が陰鬱な水気を帯びていて、気分的に耐えられなくなる。 気分を変えるために、図書館へ向かう。 数日前に日記に書いた内容を含む書籍を探すためだった。 目当てのものがふたつともあり、それを借りて暗い雨の中を歩いて帰宅する。 地方の図書館でも、書庫の中にはわりと様々な蔵書が眠っている。 一冊目を少し読み終えてから、もう一冊目に目を通そうとすると、二冊目の最初のページには明らかに血痕がついていた。 古本を好んで買うので、様々な書き込みや、何かをこぼしたようなシミはよく目にする。けれど、血痕は見たことがなかった。何かの赤いシミだと言われればそれまでだが、もうその血は赤くは…

  • 枝角を持った“ウェンディゴ”という名の怪物、スコット・クーパー監督『アントラーズ(ANTLERS)』

    「対人恐怖症」という一種の精神障害があるが、それが日本における「文化依存症候群」であるという事柄をつい最近になって知った。 文化依存症候群というのは、ある地域、民族、文化環境下において発生しやすいとされる精神障害を指す言葉である。昨今においてはわりとメジャーな精神障害も、例えば前述の対人恐怖症や拒食症も、この文化依存症候群の一種だと定義づけられている。 余談だが、ぼくはずいぶん昔、ある時期に対人恐怖症の中の一カテゴリーである「笑顔恐怖症」というものに軽くなったことがある。笑顔恐怖症とはなんぞやと言うと、人前で笑おうとすると、頬がぴくぴくと痙攣してしまって、顔がひきつって自然に笑う事が出来なくな…

  • 永遠のジェノベーゼと、脇腹に刺さったロンギヌスの槍日記。

    今日の夕食は、ベーコンとタケノコを入れたジェノベーゼのスパゲティと、鶏胸肉のオレガノな炒めもの。あとレタスとか、チーズとかパンとか、ワインとか。 見切り品で買った大量のきゅうりが冷蔵庫の中で腐りだしていて、少しだけパーティープールになっていたので、全部処理してぬか床に投入する。 きょうは、ある映画を観ようと思っていたのだけれど、横槍が入って観られなかった。 横槍は、自分の中での横槍で、自分が放った横槍で、誰かが突き刺してきた槍ではない。 計画というものは、十中八九壊されると知るべきである。 献立の計画、映画鑑賞の計画、デートの計画、人生の計画、そして脱獄の計画もね。計画は壊されてなんぼなので、…

  • 眠れる闇の雨音と、暗い水辺のマーメイド日記。

    今朝起きたのは午前九時十四分だった。 ほんとうはもっとずっと早くに目が覚めていた。六時前からずっと目覚めていたのだけれど、起き上がるキッカケを失ったままずっとベッドの上でまどろんでいた。 そのまどろみの中で、たくさんの奇妙な夢を見た。 世界では雨が降っていた。 現実でも、あるいはレア(半生)な夢の中でも、ずっと雨の音が聞こえていた。 起き上がるずっと前から、目覚めた時からずっと雨が降っていて、それがベッドから起き上がることを躊躇っていた理由でもある。だからまどろんでいる最中もずっと、雨の音ばかりがぼくの中に響いていた。 ここしばらく、朝起きてからすぐに走りにゆくことを、自分の中でのルールにして…

  • 螺旋の先にある空間、消されつつある黒猿陰謀日記。

    三日経っても覚えている夢を、書き綴ろうと思って、いま筆を動かしている。 記憶は徐々に消え去ってゆきつつあるので、ディテールは荒いし、唐突に終わるかも知れない。 どこかの土地、宗教施設だったらしい遺構みたいな場所、いちおう観光地のようだが、長らく寂れてしまっておそらくほとんど人なんて訪れていない。たぶん神社や仏閣ではなくて、ぼくの知っている宗教のものではない何かの跡地。 森に囲まれた空き地みたいな場所には、地上にはほとんど建造物はなく、地下に続く螺旋状の穴が空いている。穴と言ってもかなり大きなもので、入り口の大きさはおそらく直径三メートル以上はある。地上にも少し、盛り上がった、古墳のような小さな…

  • これでウイルス対策は万全、モンスターな素敵マスクカタログ。

    新型コロナウイルスの影響で、この数ヶ月、ほとんどの人々がマスクをしている。 ちなみに、このウイルスの公式名称は、severe acute respiratory syndrome coronavirus 2 で、その略称が SARS-CoV-2 だそうである。そんでもって、疾病の名称が coronavirus disease で、その略称が COVID-19 だそうである。(略称の19ってなんだろう・・・、略称にだけついてるけど、IDってことかな。) そして上記の日本語訳が、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2、俗にいう新型コロナウイルス。新型ということは、旧型がいるんだろう。公式名称の2は、…

  • あんドーナツ、緑のドーナッツ百足日記。

    早朝に起きて、まだ暗いうちに湖の畔を走ろうと思ったけれど、なんだか嫌な夢にうなされて、ベッドから起き上がったのはもう日がずいぶんのぼった後だった。 この頃やけに、嫌な夢を見る。その苛立ちが、不安や悲しみが、真昼に溶け込むくらいの、本当に濃い色をした嫌な夢だ。 二年前、たぶん今からちょうど二年くらいの前の数週間の間、ぼくは毎朝、四時とか五時には目を覚まし、とある場所まで走った。 そこは湖の畔の森のなかで、奇妙な巨石が立ち並ぶ場所だった。それはイギリス南部にあるストーンヘンジみたいで、だからぼくはその場所をそのままストーンヘンジと呼んでいた。 ある日、ぼくはそこでひとりの少女に出会い、彼女に恋をし…

  • 無意識の殺意と、アンダーポイズン日記。

    ぼくが部屋の外に放った、花束から現れたイモムシは、玄関の近くで誰かに踏み潰されて、体内の臓器みたいなものをぶちまけて死んでいた。数日前の出来事だ。 いまでもその死体が、そこにある。 なかなか大きな罪悪感があった、もっと別な場所に放つべきだったと。そしてその死体を片付けることが躊躇われた。理由はわからないけれど、それはたぶん罪悪感が大き過ぎたからじゃないのだろうか。 きみは、一日にどのくらい、何かを殺すだろう。 ぼくはきょう、自分が認識しているだけで、小さな虫みたいなものを二匹殺した。指で捻り潰した。 自分に明らかに害をなすものを殺すことにはあまり躊躇はないし、後悔もない。まあそれが、大きな生物…

  • アルジャーノンに花束を、たぶんそんな日記。

    花束をもらう機会があって。 でもぼくは花束なんてもらうのが嫌いでさ。 いや本当に、真剣な意味があって手渡される花束ならもちろん、嫌ではないのだけれど、いわゆる形式的に花束でも渡しておけばいいだろうっていう、そういう花束が大嫌いで。 そんなものいらねえよ、と常々思っている。 だから、そういう類の花束をもらうことが想定される直前に、先に断ろうと思ったのだ。けれど、もらう前から花束を断るという行為に少し躊躇してしまった。もしかしたら、花束はぼくの手元に来ないかも知れないのに、「花束はいりませんから。」って言うことが、なんだか傲慢みたいでさ。 でもやはり断ればよかったと、すごく後悔している。 結局、適…

  • 田舎の酒屋にはテキーラなんて売っていない、あるのは密造のウォッカとジンくらいだブルシット日記。

    今日ふと思ったんだけれど、ぼくはいますごく自由な時間の中にいる。 まあ、常に、いつだって自由な時間の中にはいるんだけれど、いまはな〜んにも気にしなくてもいい日々が少しだけ目の前にある。でもそんな時でも、なんだかわりと規則正しい生活を送っちゃっている自分がいる。 バカだなあ。 せっかくだからもっとぶち壊れた生活を送ってみたらいいのになあ。 ただぼくのぶち壊れ方の方向性にもよるが。 バットマンのマスクをかぶってトンプソン・サブマシンガンを携えて、つぶれかけの寂れた酒屋に、テキーラ一本欲しさに強盗に入るとか、でも田舎の寂れた酒屋にテキーラはなく、そのかわりに年老いた武器マニアの店主がコルト・パイソン…

  • 自己嫌悪、そして誰もいなくなったクリスティー日記。

    例えばきみが苦しでいる時に、そしてその苦しみが自分だけではまったくどうにもならなかった時に、たぶんきみは誰かにその話をするかも知れない。話をして、その流れで助言を乞うこともあるだろうし、助けを求めることもあるだろう。 ぼくのいままでの経験も同じで、苦しい時に色んな人にいろんなことを話したことがある。助けを求めたこともある。 だたそれは、困ったときには誰かに相談しろというロジックを幼い頃から無駄に埋め込まれていた結果であって、本質的に誰かに困った話をすれば問題が解決するわけでは、まったくないし、助けを求めたところで、おおよそは何も変わらないまま、アホみたいに助けを求めただけの自分が取り残される。…

  • おおよそ、ゼロ日記。

    今日は日記を書く。 誰がなんと言おうと、まあもちろん誰もなにも言わないけれど、いや誰かが何かを言うかも知れないけれど、そんなことは知らねえ、今日の日記を、ありのままに出来るだけ正確に書くと決めたのだ。 いまこの日記を書き始めたら雷鳴が轟いた。雷鳴は好きだ。ワクワクする。昔、幼い頃に、魚釣りに出掛けた祖父が原付バイクで慌てて帰ってきた。たぶん真夏の、昼過ぎ、夕方近くだったと思う。突然の雷雨が周辺の地域を襲った最中だった。 祖父の目の前で、雷に打たれた人がいたそうだ。黒焦げになって死んでいたと、そう言っていた記憶がある。雷鳴が轟き始めてすぐに、祖父は木陰に隠れて雷が過ぎるのを待っていたという。雷に…

  • ロスト・ラビュリントス、あるいはミーノータウロス消失日記。

    昨日の夜、眠ったのがいつなのかが、わからなかった。 ある瞬間、気が付くと、食後の洗い物もすべて終わらせてあったし、部屋の電気もすべて消してあった。真っ暗闇の部屋に立っていた。はっ!と思って、「もう眠らなきゃ!」と洗面台で歯を磨きだした。 でもそれは、いちどベッドに潜り込んでしばらく眠ったずいぶん後だったらしく、それになぜ気が付いたかといえば、寝室にゆくと整えたはずのベッドがグチャグチャだったことと、時計を見たら朝方だったからだ。 たぶんその随分前に、洗い物を終えて、歯も磨いて、ベッドに潜り込んで、眠ったのだと思う。 でもなぜか、夜明け前にぼくは部屋の中に立っていて、これから眠るのだと思っていた…

  • タトゥー 後編 其ノ弐

    西アフリカ奥地の森のなかに住むある部族には、生まれながらにして体に模様を持つ子どもたちがいたという記録が残っている。 体の模様に関する一般的な考察によれば、いわゆる原始の入れ墨に関して、その起源は外的な要因による偶発的な身体への着色(傷や怪我などの中に植物の色素などが入りこんで出来るもの)、あるいは後にそのことを利用した、刃物などによる身体への傷口に天然の色素で着色する身体装飾という見解がなされている。けれどこの部族では、外的な要因による着色とはまったく別に、母親の胎内から生まれ落ちた際にすでに、体に模様を持っている子どもたちがいたと言われている。 その模様は、生まれたばかりの頃には大抵は体の…

  • タトゥー 後編の其一

    カリンがいなくなってから、ぼくは日常とは何かということを、狂った猿のように繰り返し繰り返し考え続けた。いや違う、まだ狂う前だから考え続けたのかもしれない。ぼくはまだ狂った猿ではないから、考え続けられたのかも知れない。 狂ってしまったほうがどんなに楽かとも思った。でも狂うってことは思った以上に、その頃のぼくからは、遥か遠くにあった。 ある日、通りすがりの老人がぼくに話しかけてきた。息子に持たされている携帯電話をさっきどこかに置き忘れてしまったということだった。どうしたらいいだろうかと、唐突にたずねられた。だからぼくは、彼と共にここまで来た道を遡りながら、携帯電話を探すことにした。財布ではないから…

  • タトゥー 中編

    カリンがいなくなってから二年と少しが経った。 二年と少し前のあの日、「八時くらいにきみの部屋にいくね!」というメッセージを最後に、カリンはぼくの前から姿を消した。消えてしまったのが、ぼくの前からだけなのか、あるいはこの世界からなのか、それはいまでもよくわからない。約束の八時をずいぶん過ぎた頃に彼女に電話をかけると、もうその電話番号は繋がらなくなっていた。 その直後に、少し混乱したぼくは近所の交番に向かい、カリンからの連絡が途絶えたことを訴えたのだが、交番にいた若い男性の警察官から彼女の詳細を聞かれた時に、ぼくは彼女についての多くをまったく知らないことに気が付いた。 「心配されていることはわかり…

  • タトゥー 前編

    『これは宝物の場所を印した地図なんだよ。』 カリンは目を閉じてシャワーの水を頭から浴びながら、小さな声でそう言った。浴槽の湯に体を半分沈め、湯気に煙るバスルームの天井を見上げていたぼくは彼女の方に目をやった。 「母さんが、いつも幼いわたしにそう言ってた。別にわたしが聞くわけじゃないのに。この模様はなんなの?って私がしつこく聞くわけじゃないのに、母さんはなにかと私のこの模様の説明をしたがったの。」 ぼくは黙って彼女の裸をしばらく見つめていた。 カリンの右上腕部には、広範囲に渡って不思議な模様があった。ぼくがそれを知ったのは、彼女と初めて裸で抱き合った数年前の晩夏の午後だった。その日は朝からずっと…

  • サケブナス、ゴラアナ日記。

    近所の高台に稲荷神社がある。 この地に暮らし始めてから、もう何度も何度もその稲荷神社には足を運んでいるが、それはいずれも昼間でさ、夜に行ったことがないなあと、ふとこの夜更けに思う。 ちょっと、いまから行ってみようかなって・・・。 ぼくは神道や仏教やキリスト教や、その他、何かの信仰を持っているわけではない。だから神社や仏閣に足を運ぶのは信仰ではなく、もっぱら建築的なヴィジュアル鑑賞が目的だったり、民俗学的な興味からである。 それでも、たとえば神社や仏閣や、あるいは建物なんかなにもなくても、信仰の対象になっている場所ってものは、場所によっては昼間でも何かしら不可思議な雰囲気が漂っているもので、まし…

  • 悪夢と猫夢と、ミッドナイトゴダイヴァ日記。

    きょう、小さな区切りを迎えた。 花をもらって、チョコレートと日本酒をもらって、半分の作り笑いと半分の本当の笑みを浮かべて、その後、家路についた。 そしてビリー・アイリッシュを聴きながら黙々と夕食を作り、気が付けば夜の十時前、やや古いアメリカのドラマを観ながらクソみたいなジャンクワインを飲み、少し深酒をして、零時を過ぎても珍しく起きていて、もう一度言うけれど深酒をして、冷蔵庫のサーモスタットらしき音と、頭上の電球が放つノイズを聞きながら日記を書きはじめている。 帰り際に、死んでしまったと思っていた三匹の猫のうちの一匹を見かけた。 三匹のうちの一匹はもう一年以上見かけていないし、もう一匹も数ヶ月見…

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