雨の中の、赤い日記。
雨がやまない。 この数日、部屋の中が陰鬱な水気を帯びていて、気分的に耐えられなくなる。 気分を変えるために、図書館へ向かう。 数日前に日記に書いた内容を含む書籍を探すためだった。 目当てのものがふたつともあり、それを借りて暗い雨の中を歩いて帰宅する。 地方の図書館でも、書庫の中にはわりと様々な蔵書が眠っている。 一冊目を少し読み終えてから、もう一冊目に目を通そうとすると、二冊目の最初のページには明らかに血痕がついていた。 古本を好んで買うので、様々な書き込みや、何かをこぼしたようなシミはよく目にする。けれど、血痕は見たことがなかった。何かの赤いシミだと言われればそれまでだが、もうその血は赤くは…
2020/07/29 23:47