記憶のなかの幻は・・・

＜都会のとあるオフィスにて＞ 明日の事は考えないようにしている。 なぜならば、少し先のことを考えるだけで、 その重圧に押しつぶされそうになるからだ。 そんな時、妄想に導かれる。 わずかに記憶された香りは幻か。 心地よさにまぶたをとじる。 またあの幻に包まれることはあるのだろうか。 あの幻は時を止め、静寂を与えてくれる。 会議室からときおり聞こえる強調された声…

あの幻をもとめて・・・

＜都会のとある恵比寿駅にて＞ 今日もつゆの雨である。 足取りが軽いのは昨日の香りのせいであろうか。 道端にアジサイが思い頭を少し傾げて、 そんな妄想を嘲るように雨に揺れた。 わずかに移り変わりを見せる花の色は、 あの幻と重なり、心地よさがよみがえった。 またあの幻に包まれることはあるのだろうか。 そんな期待を抱くと、いつもの何気ない道も、 雨でつよく輝いてい…

その香りは幻なのか・・・

＜とある恵比寿駅のできごと＞ 都内の改札で足早に帰りを急いでいる。 一日の疲れを癒したい、ただその事だけを考えて、さらに足は早まる。 人波が大きく広がり、そこから抜け出したい。 そんな衝動に強く駆られた。 明るく照らされる掲示板とは対照に、目線は暗い足元へと落ちる。 そんな時、ふと心地よい香りに包…