港千尋、勝又公仁彦、三木学による、視覚文化をレビューするウェブマガジンです。
shadowtimesβは、港千尋(写真家、批評家)、勝又公仁彦(写真家、美術家)、三木学(編集者、色彩研究者)による、視覚文化をレビューするウェブマガジンです。 写真のみならず、国内外のアート、テクノロジー、政治、経済、文化、芸能などを幅広く取り上げ、映像、視覚、色彩などの最新の知見によって、現代に起こる様々な事象を分析し、批評していきます。
田中和人|Kazhuhito TANAKA 《after still》
今回は、田中和人さんのスライドショー作品をご紹介します。田中さんは、写真によって、写真と絵画・立体との関係、具象と抽象の境界を探求する作品で知られています。今回は、抽象表現主義、カラーフィールドペインティングの先駆者であり、2011年当時オークションで最高値を付けたことでも知られる、クリフォード・スティル(Clyfford Still)の絵画のオマージュである作品《after still》をスライドショー作品にしています。タイトルから、スチール写真(still picture)とクリフォード・スティルの後(after)という二重の意味に読めます。《after still》は、カメラを使わず、ス…
武田陽介|Yosuke TAKEDA 《Stay Gold》
今回は、様々な光の現象に着目し、クールな視線と洗練された構図で日常を切り取るストレート写真で知られている注目の写真家、武田陽介さんのスライドショー作品をご紹介します。 武田さんは、代表作《Stay Gold》を元に、自分の鼓動のBPMを測定し、ハードビートに合わせて、スライドショーを展開しています。 ハートビートに合わすことによって、「凍れる時間」「凍れるメディウム」「凍れる身体」である写真を、今までにない方法で「蘇生」していると言えます。 武田さんの光の現われを観察する冷徹な視線に、ビートによって身体の鼓動と熱さが伝わり、身体の延長としてのカメラと、人間の知覚と分離したメディウムとしての写真…
山本聖子|Seiko YAMAMOTO 《One Day's Music Color》
今回はアーティストである山本聖子さんのスライドショー作品をご紹介します。山本さんは、千里ニュータウンという、戦後日本において高度に均質化された新興住宅地で育ち、現在も制作拠点をかまえています。その計画的、人為的空間への身体的違和感を元に、不動産屋のチラシの間取り図を無数に切り取り、網目のように貼り付け、平面、立体作品にすることで知られています。その後、メキシコやオランダでの滞在制作を経て、心身に及ぼす空間に漂う「気配」を色をモチーフに表現しています。今回は、千里ニュータウンのマンションの高層階から、1日24時間、ピンホールカメラで定点撮影し、漂白された均質的空間がスクリーンのように、光と色によ…
山内亮二|Ryouji YAMAUCHI 《Quiet River, Seoul 》
今回は、写真家の山内亮二さんのスライドショー作品をご紹介します。山内さんは、急劇にグローバル化し、均質化していく主にアジア圏の都市を遊歩しながら、そこに潜んでいる歴史や記憶、風土、風俗が現われる様子を、採集するようにスナップ写真を撮影しています。今回、韓国、ソウルの都市を舞台にした作品を使って、雄大な漢江の流れを背景に、マルチスクリーンのような技法で、都市の様々な景色が表れては消えていくようなスライドショー作品を制作して頂きました。ソフトにはマルチスクリーンの機能はついていませんが、画像処理ソフトで写真を重ね合わせ、少しずつずらしていくという画期的な技法でそれらの効果を実現しています。それによ…
中屋敷智生|Tomonori NAKAYASHIKI 《visual X music》
今回は、画家・アーティストの中屋敷智生さんのスライドショー作品をご紹介します。 中屋敷さんは、色彩豊かで幻想的な具象画を描くことで知れています。一見すると、色彩に対する豊かな感性を感じることができますが、実は色弱者のため見えていない色がかなりあります。しかし、見分けのつかない色に関しても、色の名前と、見えている色からの想像で描いています。画面には少し他の画家とは違う不思議な統一感がありますが、色ではなくコントラストの識別を駆使して、全体のトーンを合わせているそうです。 中屋敷さんの絵画は、とても魅力的なので、見えていない色があることは驚きですが、色から音楽に変換するソフトを使えば、新たな識別や…
鈴木崇|Takashi SUZUKI 《Fictum -beat and vision》
今回は、台所用のスポンジを使って、即興的なアレンジで何種類もの仮の構築物を作り、その生成のアルゴリズムを示した「BAU」、影のフォルムを浮き彫りにし、物体のように捉える「ARCA」などの作品集の出版で注目されている鈴木崇さんのスライドショー作品をご紹介します。 鈴木崇さんは、現在、東京国立近代美術館で展覧会が開催され、注目されているトーマス・ルフが教鞭を務めていたデュッセルドルフ芸術アカデミーで、ルフに師事するとともに、トーマス・シュトゥルートのアシスタントを務めていた経歴があり、日本では珍しいベッヒャー・シューレの系譜に直接的に連なるアーティストでもあります。 もちろん、鈴木崇さん独自の展開…
鈴木崇|Takashi SUZUKI 《Fictum-sound and vision》
今回は、台所用のスポンジを使って、即興的なアレンジで何種類もの仮の構築物を作り、その生成のアルゴリズムを示した「BAU」、影のフォルムを浮き彫りにし、物体のように捉える「ARCA」などの作品集の出版で注目されている鈴木崇さんのスライドショー作品をご紹介します。 鈴木崇さんは、現在、東京国立近代美術館で展覧会が開催され、注目されているトーマス・ルフが教鞭を務めていたデュッセルドルフ芸術アカデミーで、ルフに師事するとともに、トーマス・シュトゥルートのアシスタントを務めていた経歴があり、日本では珍しいベッヒャー・シューレの系譜に直接的に連なるアーティストでもあります。 もちろん、鈴木崇さん独自の展開…
田中和人|Kazuhito TANAKA 《GOLD SEES BLUE》
田中和人|Kazuhito TANAKA 《GOLD SEES BLUE》 田中和人(写真家、アーティスト) http://kazuhitotanaka.tumblr.com/ 写真により色彩、形態、視覚を問い直す数多くの抽象作品シリーズを発表している。「写真と絵画や彫刻との関係」、そして「抽象と具象の境界」を探求する表現方法で知られている。モダニズム〜フォーマリズムの成果を批評的に継承し、写真というメディウムの潜在的な可能性を探ることで、今日的な視覚表現を独自のアプローチにより生み出している。 この度、カメラの前に金箔をかざし、金箔の透過光である青の光によって撮影することで、意図的にピクトリ…
澄毅|Takeshi SUMI 《comme de vent》
澄毅|Takeshi SUMI 《comme de vent》 澄毅(写真家、アーティスト) http://www.sumi-takeshi.com/ 自分の家族や友人が写る写真に無数の穴をあけ、逆光で再撮影することで、記憶を光で呼び起したり再創造する作品を制作。家族や友人の身体から光が漏れる写真は、今にも光によって溶けてしまいそうな危うさを感じさせる。作品を創造する一連のプロセスは、澄の伯父が広島に落とされた原爆の被爆者であることも関係している。近年は、パリに制作拠点を移住。写真に無数のスリットを入れて、髪の毛のような波打つ模様を作り、光によって触覚が喚起されるような作品を制作している。 プ…
佐久間里美|Satomi SAKUMA 《In a Landscape》
佐久間里美| Satomi SAKUMA 《In a Landscape》 佐久間里美(写真家、アーティスト) http://sakumasatomi.com/オーストラリアなど日差しの強い場所に行き、幾何学的で大胆な構成の写真を撮影することで知られる。基本的にはフィルムによる一発撮りで、撮影後の加工は行わない。抽象性が高く、一見何が撮影されているかは分からないが、光や色彩など撮影場所が極めて重要な意味を持つ。長年、西洋絵画の教育を受け、現在は知的障害者の施設で働いているため、写真にそれらの記憶が反映されている。また、禅画の影響を受け、幾何学的な還元をモダニズムではなく、禅の思想に根拠を求めて…
勝又公仁彦|Kunihiko KATSUMATA 《"Panning of Days -Syncretism / Palimpsest-"「5Days」》
勝又公仁彦|Kunihiko KATSUMATA 《"Panning of Days -Syncretism / Palimpsest-"「5Days」》 勝又公仁彦(美術家、写真家) http://www.kunihikok.com/ 多様な被写体のもとで「時間」「光」「場所」「空間」などをサブテーマに、常に写真と映像の構造に触れる作品を展開。日常の中に現象しながらも知覚されることのなかった世界を掬い取ることで、観る者を新たな認識へと誘うとともに、歴史・社会・文明への批評的な暗喩を込めた作品制作を続けている。エネルギーと視覚と文明の問題を提示した《Unknown Fire》。ホテルの室内から…
「スライドショーと音楽の新しい可能性-日本のビジュアルアーティストとPhotoMusicの試み-」三木学
www.value-press.com スライドショーは写真と動画の境界領域にあり、フィルム時代において表現ジャンルとして確立されていたとは言い難い。デジタル時代においても、ビジュアルアーティストにとって、スライドショーは取り残された課題である。しかし、新しい表現ジャンルになる可能性も秘めている。 フィルム映写機の場合は、写真は連続的に見せているが、回転に伴う機械音と暗闇、時間的断絶によって、前の写真と現在の写真は違うという「幕間」のサインになっていると同時に、効果的な「音楽」の役割を果たしていた。 デジタル時代のスライドショーは、メディア的にも時間的にもつながっており、それだけに写真の切り替…
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