袖擦りあうも多生の縁(他生)と初めて居酒屋で隣り合った時などよく言う言葉だが輪廻転生を表す仏教から来た言葉だそうだきけばキリスト教にも似た表現もあるそうだこの月の満ち欠けは新月から十五日かけて満月に至りまた十五日かけて再び新月へと欠けてゆくそれを永遠に続ける無限の営みを人間の世界では輪廻転生と呼ぶのだこの物語の最初に登場する少女の表現ですぐにこの小説がこの手の物語だとららりりり「月の満ち欠け」というタイトルからすぐに気付かされるその時1975年に公開された「リーインカネーション」という米映画を思い出した詳しい内容はほとんど覚えていないが自分の悪夢が前世の記憶であるというスピリチュアルホラーだったがこのプロットは今はもはや使い古された感があるそういえば方向性は違うがデジャブ(既視感)を扱ったデンゼルワシント...月の満ち欠け佐藤正午