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てんとうむし
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2014/11/01

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  • 発散

    屋根瓦が真夏の直射日光に焼かれ、エアコンの室外機が唸りを上げ出し、母が息苦しさを 歌え始める少し前の時間帯。食材の調達など外出の要件を午前中に済ませてしまうと私は 炭酸割のウィスキーのグラスを片手に炊事場に立ち、フリーズドライの味噌汁に合うよう、 手際も悪くだし巻き玉子を焼いてみたり、酒の切り身を炙ってみたり、その時々の 母の希望により、白米を粥に替えたりしながら朝・昼兼用の食事作りに取り掛かる。 ベッドに縁に腰掛け、丁度、配膳が乗るサイズの椅子をテーブル替わりに、病院食よりも やや少なめの代わり映えしない献立をなんとか食べ終わると、再び母はベッドに横たわり、 午後からの灼熱攻撃に備える。上背150㎝の母の足元には丁度、人ひとりが座れる位の スペースができ、母が自分でみぞおちの辺りを押さえ始めると、私はそこに胡坐で鎮座し、 干からびたその足を摩りにかかるのだが…。 その日、母は「書き遺したいことがあるから、私用の引き出しから便箋を取って欲しい」 そんなことをベッドの座り込んだ私に向け言い始めた。足摩りを中断させられることが 煩わしかったし「書き遺す」など縁起でもない発想を私は反射的に拒絶したのだが、 「三段重の引き出し、便箋は中段に入れてあるから、お願い」と母の意思は明確だ。 仕方なく開けてみると、何かの冊子やチラシなどが雑然と詰め込んではあるが、解らない。 そこで、上下段も含め「ガサガサ」と紙類をかき分け探しはするも、便箋など見当たらず、 何が何だか見当もつかない。

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