「チャンと挨拶するのですよ」:香港で:1970年8月の事だった。生まれて初めて海外に出張の機会を与えられて(正確には「初めて外国に出かけて」)最終予定地の香港に到着した。すると、現地の商社が予約してくれたホテルには我々の記録がなかった。駐在員が激怒して交渉した結果でホテル側の誤りと判明して、お詫びとしてペントハウス〔最上階のテラス付き部屋〕をシングルと同様の価格で用意してくれた。と、ここまでは導入部。翌朝、朝食に行こうとエレベーターホールに行くと、向こうから立派な服装の貴婦人風の小母様が来られて「お早う御座います」と日本語で声をかけられた。「こんな人知らないのに」と戸惑っていると「貴方日本人でしょう。外国に来たら、知らない人に出会っても、チャンと挨拶するのですよ。未だ外国に慣れていないようだけれども、これ...異文化との遭遇