手話通訳士となった元警察事務職が主役のミステリ作品です。本作品を読んで、「ろう者」に対する「聴者」、「コーダ」などの用語の意味や、聴覚にハンディキャップを持っている方々の文化的な側面への理解が、非常に少ないことを認識しました。ミステリとしては、詰め込みすぎの感は否めないものの、混乱することなく読み進められる良書です。
手話通訳士となった元警察事務職が主役のミステリ作品です。本作品を読んで、「ろう者」に対する「聴者」、「コーダ」などの用語の意味や、聴覚にハンディキャップを持っている方々の文化的な側面への理解が、非常に少ないことを認識しました。ミステリとしては、詰め込みすぎの感は否めないものの、混乱することなく読み進められる良書です。
企画のなんたるか、をズバっと説いてくれます。著者は、長々と文章を書き連ねることはせず、ポイントを抑えて端的に主張を展開していきます。企画とはこうあるべき、がそのままのかたちで書籍になったという印象を持ちました。短時間ですらっと読めるのも嬉しいところです。
個性的な殺し屋たちが繰り広げる群像劇です。「殺し屋シリーズ」として、『グラスホッパー』から時系列としてつながる作品で、その後の出来事への言及があったり、キャラクターたちが再登場します。舞台は東京から宮城行きの新幹線。殺し屋たちの組んず解れつする様が描かれます。
三年三ヶ月におよぶ断筆を解除した直後の作品集です。著者の若い頃の猛毒性のある短編はさすがに見られないのですがニヤリとさせられる危うい感じは健在です。本作で何故断筆に至ったかが著者の言葉で語られています。
南アフリカを舞台に、アメリカから逃亡した一家の悲劇を描いた作品。えげつないほどに暴力に彩られています。まさに南ア・ノワールです。
養子を貰った夫婦と、その子を中学生で産んだ少女の物語です。本作品は、主人公が入れ替わり二つの流れを形成しています。養子の母の視点では、不妊治療のあれこれが、その子を産んだ母親の視点では、幼くして妊娠することのあれこれが、side-A、side-Bのように語られます。
ハヤブサを操る殺人者とそれを追う女性TVキャスターを描いたサスペンスです。ハヤブサを意のままに操る殺人者、という無敵ともいえるキャラクターが登場します。獲物たる人を殺害し、大空へ飛び立ってしまうハヤブサは、殺人者の痕跡を残しません。この殺人者をどのようにして捕まえるのか、興味津々です。
週末里親として施設の少女を預かる夫婦の、一風変わった家族の物語です。本作品の一過性の家族は、家族という存在を所有し続けないという意味において、今のサブスク時代に合致しています。
藤沢周『雨月』は、ラブホテル従業員が巻き込まれた不思議な物語です。 雨月というと上田秋成『雨月物語』を思い浮かべます。なるほど、本作品は、怪異譚なのでしょう。ただし、これが分かるのは最終ページまで待たなければなりません。 […]
無実の罪で腹を切らればならぬ武士と、その周辺の者たちの三年間を描いた時代小説です。本作品の設定から、主人公の死すべき運命が変えられないというのは、想像に難くありません。とすると、全編を通して、漢をどう見せてくれるのか、が注目すべきポイントです。
1960年初頭の、独立後間もないコンゴを舞台としたエスピオーナージです。本作品は、枝葉末節に拘っているので、本筋を見失いがち。寄り道があり、なかなか先に進ませてくれません。そのせいか、徐々に明らかとなる真相も、盛り上がりに欠けるのです。
不倫をテーマにしたミステリです。妻帯者の、大きく揺れ動く心模様が主軸となってストーリーは展開します。不倫ものにありがちなエロチックなシーンは殆どなく、この手のお話しが苦手な読者でも、抵抗感は少ないかもしれません。
【本の感想】神道と神社の歴史研究会 編『日本人として知っておきたい神道と神社の秘密』
初心者にピッタリな神道と神社の関連書籍を、ということで手に取ったのが本書。解説されている内容については、知らないことばかりで、今更ながら無知蒙昧さを痛感した次第です。
大洪水が定期的におこる惑星を舞台に繰り広げられる、テクノロジーと魔法の物語です。細かな設定が語られないため、雰囲気で理解するしかないという如何にもな90年代SFです。とっつき難くく、読み進めるのに時間を要しますが、読了してみればサプライズも随所にあって満足度は高いでしょう。
一万円札の人となって、俄かに活況を呈した有難い(?)お言葉の数々が収められたものです。渋沢栄一は、政界から経済界に身を転じ、日本の近代化に尽力した人物ですから、その精神論は、一読の価値はあります。
悩みを抱える人々と、彼らの悩み相談を引き受ける雑貨屋ご主人に起きた、時空を超えるキセキの物語です。いくつかのお話が入り組んでいて、下手をすれば混乱に陥りそうですが、これをすっきりと読ませるのは流石のお手並み。
薬丸岳『ハードラック』は、強盗殺人の罪を着せられた青年が、真相を究明するために奔走するサスペンスです。 少年犯罪、被害者家族・加害家族といった、答えの出し難いテーマを得意(?)としている著者ですが、本作品は分かり易い展開 […]
【本の感想】森岡毅『USJを劇的に変えた、たった1つの考え方 成功を引き寄せるマーケティング入門 』
ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)の業績をV字回復させたマーケターが説く、マーケティングのなんたるかを著したものです。マーケティングの知識を持っていても、実践の書として参考になります。
大正時代の板東ドイツ人俘虜収容所所長 松江豊寿の半生を描いた作品です。松江豊寿は、知名度は高くはありませんが(自分が知らないだけ?)、本作品を読むと、この時代にあってヒューマニズムのなんたるかを理解知っていた人物のようです。
【本の感想】山口周『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか? 経営における「アート」と「サイエンス」』
複雑さが際立つ昨今、経営において論理的思考による意思決定=サイエンスだけでは、他社に抜きんでる事はできない。サイエンスを超える美意識=アートが必要という趣旨です。サイエンスが苦手な自分には喜ばしい...と思ったらアートもそれほど得意ではないことに、はたと気づきます。
2013年 週刊文春ミステリーベスト10 国内部門 第1位。2014年 このミステリーがすごい! 国内編 第2位。 長岡弘樹『教場』は、警察学校を舞台としたミステリー連作短編集です。文庫の裏表紙のあらすじに、「”既視感ゼ […]
【本の感想】スペンサー・ジョンソン『チーズはどこへ消えた?』
スペンサー・ジョンソン『チーズはどこへ消えた?』は、チャレンジすることをテーマにした自己啓発本です。世界中で売れに売れているベストセラー、そしてロングセラー。色々な立場の方々と、本書を題材にディスカッションしなければ、気付きは得られないでしょう。一人で楽しむ書籍ではなく、皆とアウトプットするための書籍なのです。
お嬢様女子中学生たちの友情が描かれた青春小説です。スクールカーストを題材にし、冴えない系の女子チームを主役に据えていますが、ありがちなイジメ問題に焦点が当たってはいないので、厭な気分を味わうことはありません。むしろ、読み進めながら、彼女らの頑張りに力が入り、ラストでは不覚にもウルっときてしまったのです。
少年の頃に猟奇殺人を犯した過去を持つ、青年の物語です。いわゆる少年Aのその後を描いた作品で、彼が友と信じた同い年の青年との関係性が主軸です。本作品は、著者がよく取り上げる少年犯罪や加害者をテーマとしています。
どんでん返しのあるサイコ・ミステリです。主役の二人は対称的な性格で、女性への憎悪という絆で結びついてるという設定。オチは予想がつきますが、伏線の回収の仕方といい読後の余韻といい満足は高い作品です。
殺人事件の発生から解決に至るまで、ごくごく単純にストーリーが展開します。見るべきは、”アメリカンおたく”の生態ということになるでしょうか。このあたりに興味がないと、全く面白味を感じないでしょう。風刺を効かせているのでしょうが、時代の徒花になってしまいました。
戦国の梟雄 松永弾正久秀の生涯を描いた作品です。戦国好きには、あまりに有名な主人公であるので、著者がどう味付けしてくれるかが興味の中心です。ノワール感、プリーズと思い続けていたら、結局、友情物語でしたか。
余命を宣告され、余生を正義のために捧げようとする男の物語です。社会に害をなす毒婦を殺害したはずが、容疑者は別の人物。自分を絞首刑にするために、探偵を雇うというユーモラスでシニカルな発想が面白いですね。
子育てに追われる主婦に迫る悪意を描いた作品。タイトルの「夜明け前の時」は、子供をあやしてまんじりともしないまま、夜明けの時を迎えた情景を表しています。
アルコール依存症患者専門療養所の、とある一日を描いた作品です。本作品にノワールを期待するとハズレてしまいます。登場人物たちに悪さ感はチラりと垣間見えますが、至って普通の嫌な奴ら。物語もサスペンスフルな展開は見られません。
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