ブレイキーは、リーダーでありながら、バンドの演奏トレンド、演奏志向には口を出さなかった。ジャズ・メッセンジャーズ(JM)のそれぞれの時代で、メンバーの中から「音楽監督」的立場のメンバーを選び出し、バンドの演奏トレンド、演奏志向は、この「音楽監督」に任せて、一切、口を挟むことは無かった。『Art Blakey and the Jazz Messengers(1961 album, Impulse!...
ジャズ喫茶『松和』は仮想喫茶店。大好きなジャズや70年代ロックの話題など、音楽三昧な日々をどうぞ。
久々にフュージョン・ジャズ盤をチョイス、である。年配のジャズ者ベテランの方々からは、概ね「ジャズの徒花」扱いされるフュージョン・ジャズであるが、クロスオーバー・ジャズも含めて、内容のある、聴き応えのある傑作、好盤は多々ある。ジャズの裾野は広く、ジャズは柔軟。フュージョン・ジャズの中にも「良い音楽」は沢山ある。Steve Gadd『Gaddabout』(写真左)。1984年7月、NY「A&...
子供の頃、小学校5年生の頃だったと記憶している。親父のAMラジオをくすねて、寝床に入ってイヤホンで聴くようになった。夜の10時頃、NHK第一だったと思うが、アメリカン・ポップスを聴かせる番組があった。その番組の中で、時々、ジャズ・ボーカル曲がかかる。大人の雰囲気で演奏はしっとり落ち着いている。英語で歌われているので、何を歌っているのか、基本的に判らない。8ビートのポップスやロック曲と比べて、基本...
1957年、ブルーノートより『 Introducing Johnny Griffin』をリリースし、初リーダー作デビュー。その後、ブルーノートに『A Blowin' Session』『The Congregation』の2枚の好盤を残したジョニー・グリフィン(Johnny Griffin)。1958年、満を辞して、リヴァーサイド・レコードに移籍する。『Johnny Griffin Sextet』...
「ファーマーの音色」を聴く盤ジャズの演奏の世界って、アレンジが重要なんだなあ、と思う時がある。アレンジの良し悪しで、リーダーの担当する楽器や、フロント管の旋律やアドリブがくっきり前面に明確に聴こえたり、聴こえなかったり。聴いていて、演奏全体が聴き心地良かったり、悪かったり。アルバム全体を聴き通していて、集中して最後まで聴けたり、途中で飽きがきたり。意外とジャズには「アレンジの重要性」が必須要素と...
邦題『アズテック組曲』。キューバの作曲&編曲家、指揮者のチコ・オファリル(Chico O'Farrill)のアレンジによるアフロ・キューバン・ジャズ。トランペットのアート・ファーマーがリーダーの12人編成のスモール・ビッグ・バンドのたエキゾチックな雰囲気が芳しい企画盤。アル・コーンが音楽監督を務めている。Art Farmer『The Aztec Suite』(写真)。 1959年11月の録音。ち...
1960年代後半、薬物中毒者の為のリハビリテーション施設シナノンで過ごしたブランクの時期を境に、1970年代〜亡くなる1982年までの活動期間を「後半のペッパー」 とするが、このライヴ音源は「後半のペッパー」の予告編的な演奏内容が記録されている。Art Pepper Quintet『Live at Donte's, 1968』(写真)。1968年11月24日、ハリウッド「Donte」でのライヴ音...
2018年、キース・ジャレットが脳卒中に倒れ、復帰の見込みが立たなくなって、キースの様な耽美的でリリカル、クラシック風味の創造的なソロ・ピアノの担い手が見当たらなくなった。というか、この10年くらい、キース以外で、ソロ・ピアノのアルバムがめっきり少なくなったと感じている。Nitai Hershkovits『Call On The Old Wise』(写真左)。2022年6月、スイス ルガノのコン...
ブルーノート時代のマッコイ・タイナーは、自らのモード・ジャズの完成に向けて鍛錬を積んでいた時期であり、そのタイナー流のモード・ジャズの確立に向けてのチャレンジ、試行錯誤が演奏から透けて見えて、なかなか味わい深いものがある。McCoy Tyner『Expansions』(写真)。1968年8月23日の録音。ちなみにパーソネルは、McCoy Tyner (p), Woody Shaw (tp), G...
ジャズ・オーケストラの演奏の中で一番のお気に入りは「ギル・エヴァンス」。音の魔術師「ギル・エヴァンス」の主宰するビッグ・バンドの演奏はどれもお気に入り。ギル・エヴァンスのアレンジが大好きで、ギル・エヴァンスのアレンジのジャズオケがバックの演奏であれば「なんでも通し」である。特に、1970年代に入って以降、電気楽器を導入、8ビートをメインにアレンジされたジャズオケの演奏が堪らない。ギルのアレンジの...
何故か、我が国では実力に見合った人気が伴わないジャズマンは多々いる。が、21世紀に入って、過去のジャズ盤の音源の入手が飛躍的に楽になったので、過去のリーダー作が聴き直しし易くなった。聴き直してみると「イケる」。どうして、我が国では人気が伴わないのか、訝しく思う。そんなジャズマンが結構いるから面白い。『The Art Farmer Septet』(写真左)。1953年7月2日と1954年6月7日の...
ドナルド・バードのリーダー作の落穂拾い、当ブログで「未記事化」のアルバムをピックアップしていて、不思議なアルバムに再会した。ハードバップど真ん中とフリー・ジャズの先駆け、2つの全く志向の異なる演奏スタイルのユニットの不思議なカップリング。どういう感覚で、こういうカップリング盤を生み出したのやら。The Gigi Gryce-Donald Byrd ”Jazz Laboratory” & The ...
ジャズ・トランペットのプロフェッサー & レジェンド、ドナルド・バードの落穂拾いをしている。FMから流れてくるモダン・ジャズ、マイルス・デイヴィスのトランペットに触れて、ジャズを意識して聴き始めて早50年。ドナルド・バードのリーダー作については一通り聴き終えてはいるが、当ブログに記事でアップしていないリーダー作はまだまだある。追々記事にしていっているのだが、その記事にする時、おさらいに対象盤を聴...
北欧ジャズの国単位の範疇は「ノルウェー、スウェーデン、フィンランド、デンマーク」。北欧ジャズには独特のフレーズと響きがある。耽美的でリリカルでメロディアス。静的で決して暑くはならないクールなインプロ。クラシックの影響とそれぞれの国のフォーク・ソングのフレーズが垣間見える。Jan Lundgren Trio『Swedish Standards』(写真)。1997年5月10−11日、コペンハーゲンの...
長年、デューク・ジョーダン(Duke Jordan)のピアノがお気に入り。ジャズを聴き始めた頃に、ジョーダンの名盤『Flight to Denmark』に出会って、ジョーダンのピアノと曲がお気に入りになった。ブルージーで哀愁漂う「オン・ビート」のバップ・ピアノ。この「オン・ビート」の弾き回しが、最大の個性だと僕は思っている。Duke Jordan『Lover Man』(写真)。1975年11月1...
ジャズマンには、時代時代のトレンドに合わせて、スタイルや奏法をマイナーチェンジするタイプと、時代時代のトレンドには左右されず、一度確立したスタイルや奏法は滅多に変えないタイプと、大きく分けて2つのタイプに分類されると感じている。迫力満点のモーダル・ピアノのレジェンド、マッコイ・タイナー(McCoy Tyner)は、一度確立したスタイルや奏法は滅多に変えないタイプ。コルトレーンの下で確立したスタイ...
2023年3月2日、ウェイン・ショーター(Wayne Shorter)は、89歳で逝去した。ジャズを聴き始めてから、リアルタイムでずっと聴き続けてきたジャズマンが逝去するのは単純に辛い。ショーターのサックスのベースは「モード」。ショーターのモード奏法は、マイルスのモードの個性とコルトレーンのモードの個性を極端に拡張〜融合した、当時のモード奏法の究極形の様な吹き回し。確実にステップアップしたモー...
1970年代の純ジャズ・シーンに現れ出た、不世出の偉大なスタイリストであるショウ。彼のトランペットを初めて聴いたのは、1981年の初めだったと記憶する。ジャズを本格的に聴き始めて丸3年。何とか、ジャズの聴き方が判って、演奏のトレンドの特徴や演奏自体の良し悪しが判ってきた頃だった。ウディ・ショウについては、我が国のジャズ評論の世界では、ハバードのコピーの様なトランペットを吹く、ハバードの後塵を拝す...
ウディ・ショウ(Woody Shaw)のリーダー作を聴き直している。聴けば聴くほど、早くに亡くしたのは実に惜しいトランペッターだった。そんな気持ちがどんどん募ってくる。ショウのトランペットは、1960年代の最先端のモード・ジャズを掘り下げて、新しい響きと新しいフレーズ展開を具現化したもの。今の耳で振り返ればそれが良く判る。明らか1960年代のモードには無いし、1980年代の純ジャズ復古以降、新伝...
ジャズ・ピアノの伝説のレジェンド、ビル・エヴァンスが生前、リーダー作の録音を残したレーベルは、Riverside、Verve、Fantasy、Warner Bros.、Elektra が主だったところ。Milestoneレーベルからのリリースは「発掘シリーズ」。エヴァンスの逝去後、発掘された音源を、マネージャーだったヘレン・キーンと判断して正式リリースしたもの。Bill Evans『Half M...
マイルスがエレクトリック・ジャズに手を染めたのが切っ掛けとなって、1970年代前半のジャズのトレンド、「ジャズの電気化」と「ロックとの融合」が進み始める。いわゆる「クロスオーバー・ジャズ」である。マイルスはいち早く電気化を実現、「ファンク」との融合を推し進めた。そこで、チック・コリアは考える。第1期Return to Forever(RTFと略)では、それまでのジャズのトレンドを集約し、最先端の...
チックが主宰する「ストレッチ・レーベル」からリリースされた(当時は日本だけでの発売だったと記憶している)、自主制作盤っぽいリーダー作は秀作ばかり。なぜ正式盤としてリリースしなかったのか不思議。大手レーベルは、チックの昔の録音はリリースしても売れない、とでも思っていたのだろうか。今ではどの盤も廃盤状態なので、中古を探すしかない。勿体ないことである。Chick Corea Akoustic Band...
アコ・チックのアルバムを聴き直していて、チックが主宰する「ストレッチ・レーベル」からリリースされた(当時は日本だけでの発売だったと記憶している)、自主制作盤っぽいリーダー作が複数枚出ているのに、改めて気がついた。そして、この盤の内容がどれも優れている。順に全アルバムを聴き進めて、思わず聴き惚れてしまった。Chick Corea『The Trio: Live From Country Club』(...
伝説のアルト・サックスの天才奏者「アート・ペッパー(Art Pepper)」。彼のキャリアの最大の特徴は「ジャンキー(麻薬中毒者)」であったことだろう。ペッパーのディスコグラフィーを振り返ってみると、初リーダー作が1956年の録音。それから1960年の録音までが、アート・ペッパーの活動前期と定義して良い。アート・ペッパーの活動前期は、1950年代半ばから薬物関連の懲役刑のため何度も活動が中断、刑...
パット・メセニーは何の前触れもなく、いきなり「コンテンポラリーな純ジャズ」に転身することがある。通常のパットは、パット・メセニー・グループ(PMGと略)での活動がメインで、音の基本は「コンテンポラリーなクロスオーバー・ジャズ、もしくは、硬派な純ジャズ志向のジャズ・ロック。パットの個人名義での活動もあるが、こちらは「オーネット・コールマン」を踏襲したフリー・ジャズがメイン。しかし、突如として「コン...
パット・メセニーは、今年70歳。盟友ライル・メイズが2020年に亡くなって、パット・メセニー・グループの活動は停止した。ソロ活動のみに集中して現在に至る。2021年リリースの『Side-Eye NYC(V1.IV)』は、久しぶりに「PMGサウンドに通じるパット」らしい内容で、聴いていてワクワクしたが、その後が続かない。どうしたのか、と思っていたら、昨年、突如、ソロアルバムが出た。Pat Meth...
シダー・ウォルトンが率いる「イースタン・リベリオン」。第1作が、1975年12月の録音。第1作から第4作まで、スタジオ録音のみで全4作。1975年から1983年までの8年間。基本的には、1970年代のモード・ジャズの進化形のパフォーマンスの記録で、これがなかなか見事な内容で残っている(我が国では取り上げられることは殆ど無いが....)。Cedar Walton『Eastern Rebellion...
そこはかとなくファンキーでバップな「情熱&躍動ピアノ」。テクニックは確か、端正で正確なタッチ。両手を一杯に使って、ダイナミックにスケールの大きいバップ・ピアノを弾きまくる。そんな「シダー・ウォルトン」のリーダー作の聴き直し。1970年代の純ジャズ。これが意外と興味深い。Cedar Walton『Eastern Rebellion 3』(写真左)。1979年12月19日の録音。ちなみにパーソネルは...
エレクトリックなハービー・ハンコック(エレ・ハービー)の活動期は、1969年から1984年辺り。以降『Perfect Machine』(1988年録音)、『Dis Is Da Drum』(1993-94年録音) と、4〜5年に1枚のタイミングでアルバムをリリースしている。そして、今回、ご紹介するアルバムで、エレ・ハービーは打ち止めである。Herbie Hancock『Future 2 Futur...
ハービー・ハンコックのリーダー作の「落穂拾い」。当ブログでの、ハービーのリーダー作の記事のコンプリートを目指しているのだが、1980年代後半から、ポロポロッと何枚か、記事化されていないリーダー作がある。エレ・ハービーについては2枚ほどのリーダー作が未記事化。その中の一枚を今回取り上げた。ハービー・ハンコックは、1963年、マイルスのバンドに抜擢される。マイルスにはモード・ジャズの薫陶を得て大成長...
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ブレイキーは、リーダーでありながら、バンドの演奏トレンド、演奏志向には口を出さなかった。ジャズ・メッセンジャーズ(JM)のそれぞれの時代で、メンバーの中から「音楽監督」的立場のメンバーを選び出し、バンドの演奏トレンド、演奏志向は、この「音楽監督」に任せて、一切、口を挟むことは無かった。『Art Blakey and the Jazz Messengers(1961 album, Impulse!...
ジャズを本格的に聴き始めた頃から「アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズ」はお気に入り。アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズのアルバムを聴き通すだけで、ジャズの演奏トレンド、演奏志向の歴史が判る。ブレイキーは、リーダーでありながら、バンドの演奏トレンド、演奏志向には口を出さなかった。ジャズ・メッセンジャーズのそれぞれの時代で、メンバーの中から「音楽監督」的立...
ホレス・シルヴァーと袂を分かって、ブレイキー単独となったメッセンジャーズ。ブルーノートに移籍してブレイクする前のアルバム群。以前のジャズ盤評論としては「ブレイク前のメッセンジャーズの暗黒時代」とされる時代のアルバム達。しかし、そうだろうか。僕はこのアルバムを実際に自分の耳で聴いて、この盤は決して「暗黒時代」の音では無い、と判断している。Art Blakey & The Jazz Mess...
レコード・コレクターズ 2024年11月号の特集「ECMレコーズ」にある「今聴きたいECMアルバム45選」。この「今聴きたいECMアルバム45選」のアルバム・セレクトが気に入って、掲載されているアルバムを順番に聴き直し&初聴きしている。今回のアルバムは、実は初めて聴く「初聴き」盤である。Barre Phillips『Three Day Moon』(写真左)。1978年3月の録音。ECM 1123...
今月発売の「レコード・コレクターズ 11月号」の特集「ECMレコーズ」にある「今聴きたいECMアルバム45選」。この「今聴きたいECMアルバム45選」のアルバム・セレクトが実に気に入って、掲載されているアルバムを順番に聴いている。以前聴いたことがあって、今回聴き直しのアルバムもあれば、初めて聴くアルバムもある。どちらも「今の耳」で聴くので、意外と新鮮に感じるから面白い。Enrico Rava『...
今月発売の「レコード・コレクターズ 11月号」の特集に「ECMレコーズ」があった。これは「創設者マンフレート・アイヒャーのコンセプトと55年の歴史の概説」と「今聴きたいECMアルバム45選」の2本立ての特集。特に、後半の「今聴きたいECMアルバム45選」のアルバム・セレクトが実に気に入った。ということで、この45枚のアルバムについて、ブログ記事としてアップしようと思い立った。Wolfgang D...
今日で「僕なりのジャズ超名盤研究」シリーズの三日連続の記事化。小川隆夫さん著の『ジャズ超名盤研究』の超名盤を参考にさせていただきつつ、「僕なりのジャズ超名盤研究」をまとめてみようと思い立って、はや3年。やっと第1巻の終わりである。ジャズを本格的に聴き始めたのが1978年の春。フュージョン・ジャズの名盤の何枚かと、純ジャズのアルバム、MJQ『Pylamid』、 Herbie Hancock『Mai...
小川隆夫さん著の『ジャズ超名盤研究』を参考にさせていただきつつ、「僕なりのジャズ超名盤研究」をまとめてみようと思い立って、今回までで32枚の「超名盤」について聴き直して、聴き直した時点での感想をブログ記事に綴ってきた。そして、いよいよ、残すは2枚。今回はキース・ジャレットの登場。 Keith Jarrett『The Köln Concert』(写真左)。1975年1月24日、当時の西ドイツ、ケル...
この歳になると、なかなか「超名盤」について聴き直す機会が無いだけに、楽しみながらの聴き直しになっている。小川隆夫さん著の『ジャズ超名盤研究』を参考にさせていただきつつ、「僕なりのジャズ超名盤研究」をまとめてみようと思い立って、今回までで31枚の「超名盤」について聴き直して、聴き直した時点での感想をブログ記事に綴ってきた。そして、いよいよ、残すは3枚。Chick Corea『Return to F...
まだまだ夏日が顔を出す、暖かいというか、蒸し暑い日が続く10月だが、真夏日以上という「酷暑」は去ったので、様々な類のジャズを聴く時間が増えた。特に、この10月は、何故だか判らないが、和フュージョンと合わせて、和ジャズの名盤・好盤を探索したり、聴き直したり。特に、学生時代から、若き社会人時代に聴きまくった盤を聴くことが多い。古澤良治郎『キジムナ』(写真左)。1979年10月16~20日、東京、日本...
フュージョン・ジャズ時代、そのアルバムの成り立ちが変わっている例として、高中正義『オン・ギター』をご紹介した(2024年10月10日 のブログ記事・左をクリック)。この『オン・ギター』は、ギター教則本の付属レコードとして発表されたものだった。ゼロ戦『アスファルト』(写真左)。1976年の作品。ちなみにパーソネルは、大谷和夫 (key), 長岡道夫 (b), 鈴木正夫 (ds), 佐野光利 (g)...
フュージョン・ジャズの時代、インスト中心のアルバム作りが主流で、ボーカルがメインのアルバムは少なかった。ボーカル入りのアルバムはあったが、どちらかと言えば、ファンクネスな要素の彩りが欲しい時の「ソウル、R&B志向のボーカル」で、フュージョン・ジャズとして、「ボーカリストの歌を聴かせる」盤は希少だった。阿川泰子『Lady September』(写真左)。1985年6~7月、東京での録音。ちなみにパ...
我が国を代表するクロスオーバー&フュージョン・バンドである「カシオペア」。意外と超ストイックなバンドで、結成時(1976年)から1989年までの野呂一生・櫻井哲夫・向谷実・神保彰によるメンバーでの第1期の活動の中で、10年以上、常にカシオペアはグループとしての活動を優先、ソロ活動は一切御法度という厳しい規律の上でバンド運営されていた。1985年〜1986年、当初から期間を厳格に定めてソロ活動を容...
ジャズの演奏で大切なものは色々あるが、リーダーのフロント楽器の特性に応じた「アレンジ」は特に重要な要素。そして、その「アレンジ」に適したリズム・セクションの手配。この「アレンジ」と「適したリズム・セクション」がバッチリ合ったセッションは優れた結果になる。J.J. Johnson and Kai Winding『Jay & Kai + 6: The Jay and Kai Trombone...
ここヴァーチャル音楽喫茶「松和」では、「夏だ、海だ、高中だ」ではなく、「秋だ、爽快だ、高中だ」というキャッチが蔓延している(笑)。とにかく、この2〜3日前から、ググッと涼しくなった関東地方。涼しくなって、空気が爽快になって、高中正義のアルバムの聞き直しの続きである。高中正義『Brasilian Skies』(写真左)。1978年のリリース。リオデジャネイロの「PolyGram Studios」と...
この2〜3日、関東地方では気温がグッと下がって、昨日などは、11月中旬の陽気になって、ちょっと寒いくらい。慌てて、合物の服を出して、夏物のほとんどを衣替えである。これだけ涼しくなると、音楽を聴くのにも良い環境になって、夏には聴くのを憚られたハードなジャズやロックなども聴くことが出来る。高中正義『オン・ギター』(写真左)。1978年の作品。ちなみにパーソネルは、高中正義 (g), 石川清澄 (ke...
「Jay&Kai」のアルバムを聴いていて、改めて「トロンボーンの音色ってええなあ」と思った。もちろん、トロンボーンを吹く上でのテクニックが優れていることが前提なんだが...。テクニックに優れたトロンボーンの音色って、ブリリアントで、エモーショナルで、ニュアンス豊かで、柔らかで優しい。そんなトロンボーンの音色が好きで、今でも時々、ジャズ・トロンボーンの好盤を引っ張り出してきては聴き直している。K...
「A&Mレコード」が牽引役を担ったのが、聴き易さと分かり易さと適度な刺激を追求した「クロスオーバーなイージーリスニング・ジャズ」。そのカラクリは「聴き易さと分かり易さと適度な刺激を追求した、ロック&ポップスとジャズとの融合」と考えると、A&Mの諸作は実に興味深く聴くことが出来る。J. J. Johnson & Kai Winding『J&K: Stonebone』(写真左...
1960年代半ば以降、ビートルズをはじめとするロック・ミュージックの台頭によって、ジャズのシェアは下降線を辿り始めた。一般聴衆は、聴き易く分かり易く適度な刺激のある「ロック&ポップス」を好んで聴くようになる。ジャズは「古い時代の音楽」として、その人気は徐々に衰え始めていた。一方、ジャズは多様化の中で、ハードバップから派生した大衆志向なファンキー&ソウル・ジャズ、そして、ハードバップの反動から派生...
ブラウン~ローチ・クインテットの始動後、『Clifford Brown & Max Roach』と『Brown and Roach Incorporated』の直後、同一日、同一メンバーでのジャム・セッションの『Clifford Brown All Stars』と『Best Coast Jazz』は、ブラウニー(クリフォード・ブラウンの愛称)にとって、1954年8月のロスでの、怒涛の「名演...
ドナルド・バードは「機を見て敏なる」トランペッターだった。トランペッターとして、テクニックは優秀、端正でブリリアントで理知的な吹奏。破綻無く、激情に駆られて吹きまくることなく、理知的な自己コントロールの下、常に水準以上のバップなトランペットを吹き上げる。そんなドナルド・バード、ハードバップ初期の頭角を表し、ハードバップの優れた内容のリーダー作を幾枚もリリース、その後、ファンキー・ジャズに手を染め...
ジョン・アバークロンビー(以降「ジョンアバ」と略)のギターの音世界が好きで、1970年代から、ずっとジョンアバのアルバムを追いかけている。欧州ジャズらしい、彼しか出せない叙情的なサスティーン・サウンドが、とにかく気持ち良い。特に、ECMレーベルでの、ECM独特の深いエコーに乗ったジョンアバのギターシンセには、聴くたびに惚れ惚れである。John Abercrombie『Current Event...
僕は「チック者」である。チックを初めて聴いたのが、1970年代半ばだったから、2021年2月9日に逝去するまで、かれこれ既に半世紀、チックをずっとリアルタイムで聴き続けてきたことになる。よって、チックのリーダー作については、当ブログで全てについて記事にしようと思っている。現時点で、あと十数枚、記事にしていないアルバムがある。今日は、その中の「異色作」について語ろうと思う。Chick Corea...
チック・コリアのリーダー作の「落穂拾い」。当ブログに、まだ記事化していないチックのリーダー作を順に聴き直している。意外とソロ・ピアノ集が多く、記事化されていない。あまり興味が湧かなかったかとも思ったのだが、聴き直してみると、どのアルバムもチックの個性が散りばめられていて、聴き応えのあるものばかりである。Chick Corea『Children's Songs』(写真左)。1983年7月の録音。E...
チック・コリアのピアノとゲイリー・バートンのヴァイブは凄く相性が良い。ジャズ特有のファンキー色を限りなく押さえ、ブルージーでマイナーな展開を限りなく押さえ、硬質でクラシカルな響きを前面に押し出し、現代音楽の様なアブストラクトな面を覗かせながら、メロディアスで流麗なフレーズを展開する。楽器は違えど、音の性質は同類の二人。Chick Corea & Gary Burton『Lyric Sui...
向井滋春は、和ジャズを代表するトロンボーン奏者の一人。1976年に初リーダー作『For My Little Bird』でデビュー。当初は、コンテンポラリーな純ジャズがメイン。しかし、1979年、約1年間、NYに在住した折にフュージョン・ジャズに触発される。そして、いきなり、フュージョン・ジャズに転身する。向井滋春『Spacing Out』(写真左)。1977年9月28日、日本コロムビア第1スタジ...
月刊誌「レコード・コレクターズ」2024年6月号の特集、「フュージョン・ベスト100 邦楽編」を眺めていて、向井滋春のアルバムが目に入った。懐かしい。和フュージョン全盛時、もともと、トロンボーンの音色が好きなこともあって、向井滋春のフュージョン盤はよく聴いた。意外とトロンボーンって、フュージョン・ジャズに向いているんですよね。向井滋春『Hip Cruiser』(写真左)。1978年10月2~6日...
月刊誌「レコード・コレクターズ」2024年6月号の特集、「フュージョン・ベスト100 邦楽編」に挙がったアルバムを聴き直している。当時、ヘビロテで聴いたアルバムも多くある。当ブログに記事としてアップしていないアルバムも結構ある。当時の耳で聴いた感覚と今の耳で聴いた感覚、意外と変わらないのが面白い。松岡 直也 &ウィシング 『The Wind Whispers』(写真)。1979年の作品。...
1973年の再結成後、順調に内容のあるアルバムを2枚、リリースしてきた、マンハッタン・トランスファー(The Manhattan Transfer=以下「マントラ」と略)。そろそろ「マントラの音志向」を確立するタイミングでもあった。The Manhattan Transfer『Pastiche』(写真左)。1976年12月から1977年9月の録音。1978年のリリース。ちなみにパーソネルは、Ti...
1973年、一旦解散したマンハッタン・トランスファー(The Manhattan Transfer=以下「マントラ」と略)。その後、まもなく、リーダーのティム・ハウザーは、ローレル・マッセ、ジャニス・シーゲルと出会う。そして、アラン・ポールを紹介され、新生マントラを立ち上げることを決意、『The Manhattan Transfer (Atlantic, 1975) 』(左をクリック)で再デビュー...
マンハッタン・トランスファー(The Manhattan Transfer=以下「マントラ」と略)は、1969年にティム・ハウザー(Tim Hauser)が中心となり結成したジャズ・コーラス・グループ。マントラと言えば、1973年にティム・ハウザーをリーダーとして、アラン・ポール、ジャニス・シーゲル(1979年からシェリル・ベンティーン)、ローレル・マッセーの4人組という印象だが、これは再結成後...
シビアで硬派で「即興が命」の純ジャズを聴き続けた合間、耳休めにウエストコースト・ジャズを聴くことが多い。ウエストコースト・ジャズは、1950年代後半から1960年代全般にかけて、米国西海岸、ロスアンゼルス、サンフランシスコを中心に流行ったジャズの演奏トレンド。ハイテクニックを駆使して流麗で聴き心地の良いパフォーマンス、聴き手に訴求するキャッチーなアレンジ。「聴かせる」ジャズを旨とした、ジャズの演...
リッチー・バイラークはNY生まれ。当初、クラシック音楽とジャズの両方を学び始め、バークリー音楽大学に入学。1年後、バークリーを離れ、マンハッタン音楽学校に移り、彼はマンハッタン音楽学校を音楽理論と作曲の修士号を取得して卒業した才人。確かに、バイラークのアレンジは、学者然とした「理詰め」の雰囲気が強い。ピアノの個性は、リリカルで耽美的、そして「多弁」。ハイテクニックを駆使して、多弁なフレーズを弾き...
ジャズ・インストを聴き続けた合間、耳休めに女性ジャズ・ボーカルを聴くことが多い。もともとジャズ・ボーカルは得意では無い。流石に、レジェンド級の、低めの声で唸るような、こぶし豊かな、日本で言う「演歌系」のような本格派の女性ボーカルは得意では無い。聴くには聴くが、申し訳ないが、ジャズ・ボーカルの勉強の為に聴くことがほとんどで、ジャズ・インストの合間の「耳休め」に聴くことは無い。合間の「耳休め...
現代のジャズ・シーンにおいては、ギタリスト人材が豊富に感じる。そんな中でも、突出した存在の一人が、ジュリアン・ラージ。数々の有望新人を発掘してきた、ヴァイブのゲイリー・バートンが新たに発掘した天才ギタリストである。音の志向は、現代のコンテンポラリーなジャズ・ギターで、パット・メセニーの様な「ネイチャーな響き」もあり、ジョンスコに「くすんで捻れる」ところもあり、過去のレジェンド級のコンテンポラリー...
ボブ・ジェームスは、クロスオーバー〜フュージョン〜スムース・ジャズにおける、僕の一番のお気に入りアーティスト。10歳代半ばから、ずっとリアルタイムで、ボブ・ジェームスを聴き続けている。彼自身のキャリアは、60年を越える。フォープレイが解散状態に陥ってからは、自身のピアノ・トリオでの活動が目立っていた感がある。Bob James『Jazz Hands』(写真左)。2023年10月のリリース。ボブ・...
今までなら中堅どころだった、40〜50歳代の「ニューフェース」。ヴィジェイ・アイヤー(Vijay Iyer)もそんな「ニューフェース」の一人。ヴィジェイ・アイヤーは、1971年10月生まれ。初リーダー作が1995年。アイヤーが24歳の頃。以降、アイヤーのリーダー作は、20枚以上を超える。が、我が国では、なかなか人気が出ない。僕は全く知らなかった。アイヤーの名前を知るようになったのは、2014年か...
コロナ禍をやり過ごし、現代のジャズについては、順調にニューリリースを継続している。安堵である。この5年ほどの傾向として、今までなら中堅どころだった、40〜50歳代の「ニューフェース」の好盤リリースが目につく。そんな「遅れてきた」ニューフェースなジャズマン達は、20歳代後半から30歳台にも、コンスタントにリーダー作をリリースしたりと、ジャズの第一線で活動していた。が、その情報が何故か埋もれていたみ...
ジャズの楽器の中での「絶滅危惧種」の一つ、ヴァイブ(ヴィブラフォン)。スイング時代には、ライオネル・ハンプトン。ハードバップ期には、ミルト・ジャクソンがモダン・ジャズ・ヴァイブを確立した。エディ・コスタ、デイブ・パイク、ヴィクター・フェルドマン、レッド・ノーヴォらが後に続く。そして、ハードバップ後期には、レム・ウィンチェスター、ゲイリー・バートン、ボビー・ハッチャーソンが継ぎ、ジャズの多様化の時...
ドナルド・バードは、ジャズ・トランペットのレジェンド。バードのトランペットは、端正で流麗でブリリアント、ピッチやフレーズにブレは無く、アドリブ・フレーズのイマージネーション豊か、ジャズ・トランペットの教科書の様なパフォーマンスが個性。この端正で流麗で「教科書の様なパフォーマンス」が良くないらしく、我が国では、ドナルド・バードの人気はイマイチ。綺麗すぎる、うますぎる、破綻がなくて面白くない、と、何...