いつかの夜明けを待って…Picture3

Picture 3香と明が出会ったのは10年前、香が中学生になった夏。10才の時のトラウマから、家族とも家ともうまくいかず、行き場をなくしていた。狭い場所は苦手だった。暗闇は恐怖だった。嫌悪しても疎んでも、夜は確実に訪れる。自分の家ですら、安らぎはなく、しかし夜闇から

いつか夜明けを待って…Picture 2

Picture 2今日スタジオを使用していたチームは、予定より撮影が延びてしまい、片付けが終わった頃には20時を回っていた。窓の外の闇を目にすると、外へ踏み出す勇気はしおしおと萎れていく。今日も帰れないなと、オーナーの坂崎に泊まる意を伝えようと思ったところに、隣の部

いつかの夜明けを待って…Picture 1

Picture 1辺りが薄暗くなった刻限、杉本香(カオリ)は家路を急いでいた。アルバイト先の撮影スタジオからは徒歩15分程度の距離だが、それすら長く感じる。前の晩はスタジオに泊まったため、2日ぶりの帰宅だ。走って帰りたいところだが、積み重なった疲労が、香の歩みを遅くし

作品紹介

作品紹介過去のトラウマから、家族とうまくいかずさまよう夜に、明に拾われた香。その出逢いから10年、香を取り巻く人間関係も少しずつ変わっていき、止まったままの時間が動き出す。といいつつも、明が香に対して、全力で過保護な話です。