「駄目だ……絶対ママに怒られる……」朝通った道を再びぼやきながらヨハンは歩いていた。その顔は浮かないというより、もはや顔色が悪いようにしか見えない。現在の時刻は夜の7時。「暗くなるまでには帰ってきなさい」と言い聞かされて育ったヨハンは今まで
「……迷子の灰猫君も無事帰った、か」日が落ちた完全な闇の中に、一つだけ明かりが灯っていた。クロエが廃教会の中でランタンに明かりを灯しているのである。橙色の光に照らされてなお彼女の緑色の瞳はその色をはっきりと判別でき、日中よりもきらきらと輝い
今になって思えば不用心なものだ。目の前の少女が例の"魔女"でないという確証などどこにもないというのに、ヨハンは彼女に対して何一つ警戒を払わずに近づいてしまった。これは完全にヨハン自身の過失だ。そしてそれによって危機に陥る
「人の寝顔を盗み見か……いい趣味してるね、少年」眠っていた筈の少女が仰向けのまま、ヨハンを見上げていた。その端正な顔の口元にはからかうような薄い笑みが浮かんでいる。あまりに突然の出来事に虚を突かれたヨハンはしばらく硬直していたが、数瞬の後に
JUGEMテーマ:小説/詩「あいつ……本当にこんな所にいるのかなぁ?」そうぼやいたヨハンがいるのは雑居地区の端に位置するとある廃墟だった。もう軽く百年ぐらいは使用されていないだろうと思われるその建物は、窓ガラスが割れたり壁が崩れていたりとか
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