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男 其の肆 « 再生»
啓蟄も過ぎ、日の出の時間が随分と早くなってきて、太陽の光にも暖かさが増してきたある日の午後、男は庭の片隅に群生しているスノードロップが一斉に純白の蕾をふっくらと膨らませ始めていることに気が付いた。ウエディングドレスに譬える人がいるが、男は珈琲カップを連想させると思っている。...
2023/05/31 04:07
女 其の参 « 真実 »
「宇宙の秩序を思わせる、彼の身体から発せられる、あの天空に響き渡る透明な音色。その瞬間、彼の内部では全ての物事がすっきりと調和し宇宙と繋がっているんだ。でも、そんなこと、本人は意識もしていないし、理解もしていないのさ。」 ゆるやかながら日差しに温もりが感じられるグループレ...
2023/05/30 05:05
男 其の参 « 願望 »
男は離婚の際に、一つだけ譲らなかったことがある。ロンドンのチェルシー地区にあるアパートの所有権は完全放棄するとしても、コッツウォルズにあるライムストーンのコテージは自分のものとして所有しておきたかった。海外出張が多く、ロンドンに帰って来ても若い愛人のところで過ごすことが多か...
2023/05/29 04:51
女 其の弐 « 記憶の選別 »
彼女は簡単な夕食を終えて、ソファーに寛ぎながら放って置いたままの封筒のことを思った。前回深紅の封筒を受け取った時は丁度旧正月の時期で、今は台湾に住む双子の妹からの新年のカードかと思ってしまっていた。台湾では新年を赤で祝い、服装も赤色を身に着ける習慣がある。日本の神社でも朱色...
2023/05/28 01:36
男 其の弐 « 確信»
男には一つの確信があった。どんなに年月が過ぎようとも、人間はそう変わらないし、変われない。持って生まれて来た資質と、幼少時代の環境が一人の人間の基本的な性格と生き様を決定すると思っていた。15年前に出会って忽然と姿を消した女性は、今でもあの時のように明るく、話し好きで、あら...
2023/05/27 02:28
女 其の壱 « 記憶の断片 »
夕方の散歩から帰って来た時、彼女は郵便受けを確認する習慣がある。以前だったら、銀行からの口座取引明細書、ガス、電気、水、電話などの公共料金の支払い請求書、保険会社からの通知、ダイレクトメールなどの封筒が毎日のように入っていたものだった。最近はどこもかしこもペーパレスとなり、...
2023/05/26 03:03
男 其の一 « 覚醒 »
男は起きてから何度目かのため息をついた。昨日までは、自分でも突拍子もないと思っていたアイディアに賛同し、背中をどんと押して応援してくれるかのようににぎやかに囀っていた小鳥たちも、今朝は未だ一羽も姿を見せていなかった。 賽は投げられた。男は一人つぶやいた。今更思い巡らしても...
2023/05/25 03:05
新たな試み
ある昔の友人からの一通の手紙をきっかけで、森を散策する度に、いろいろな思いが交錯し、言葉が溢れ、それを文章にして書きつけていったところ、短いながらも一つのストーリーが出来上がりました。 小説と呼ぶには、その体をなしておらず、文章も相変わらず冗長なのですが、せっかくなのでクッカ...
2023/05/24 14:50
2023年5月 (1件〜100件)
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