リセットの日

リセットの日coffeeandcigarettechocolateよりさっきから彼はパソコン・モニターの右端を眺めている。もうかれこれ十分前からだ。そんなに睨みをきかせてないで、さっさとアプリケーションを閉じれば良いのにさ。俺には彼が、何考えてるか手に取るように分かるんだ。パソコン・モニターの時計が十八時ちょうどになったのを確認して、彼はパソコンの電源を落とした。彼の勤めるデザイン会社では、毎週金曜だけ就業時間通りに帰ることを義務づけられていた。彼の周りの社員たちも一斉に帰り仕度をはじめていた。彼はデスクに掛けてあるコンパクトなブリーフ・ケースを手に取り、一度だけ経理課の隅に居る一際華やかな女子社員を見た。――まったく。彼女だけはやめておきなよ。きっと彼女は君の良さなんて気づきはしないからさ。こんなところで黙っ...リセットの日

『短編小説』オープン・テラス

唐突だけれど、実験的に横書きで短編を書こうと思ったんだな、僕は。果たして横書きって何ぞや……!?ってな具合にさ。あるいはそれは、実験的ではないのかも知れない。だって、短編という作品自体が実験みたいなものなのだから。まぁ、余計なまえがきはこの変で終わりにしちまおう。オープン・テラスcoffeeandcigarettechocolateより空振りの休日。目についたカフェに入った時、時刻はもう三時過ぎだった。正午過ぎに中目黒を出て、代官山までゆっくりと歩いた。六月の散歩は良い、と僕は思う。夏の香がすぐ傍まで来ている期待感と、梅雨時の静けさが融合し、どことなく僕を慰めてくれる。――慰められるだって？僕は自分の考えに自問する。一体何に労わってもらう必要があるのだろう。そこまで考え、煙草の煙で思考を閉じた。そのカフェは中々...『短編小説』オープン・テラス

突撃、わたしのライフハック

職場の隊長殿に「お前の本職は警備業だ」と言われておりますが、わたくし、自由を愛する自称フリーランスでございます。昨日の休憩中、部屋の模様替え案とかを書いてたら、無性に執筆環境を改めたくなったので、備忘録も兼ねて記載しましょう……誰特なんだよ、この企画。2011年3月21日現在の執筆道具あれこれ・PCthinkpad：x100e10万円を切るthinkpadは果たしてthinkpadと呼べれるのか、で有名なチャーミングなのノートPCです。僕の方では秋葉原電気祭りの際に購入したので5万円程で購入。執筆アプリケーションは以下の通り。日本語入力システム：ATOKtexteditor：WORD2007,VerticalEditor,Apsalyアイデアメモ：StoryEditor,Evernote,Dropbox・アイデ...突撃、わたしのライフハック

naver more

『君に送る最後の花束』という記事を図書館で読んだ。まぁ、英語を無理やり訳したような本だから、はたして正しいタイトルは何なのか……。ようするにその記事は、ニューヨークの若者たちが、過去の自分に喝をいれると言うものだけれど、とても感慨深いものばかりだった。12年前の3月7日の自分へ――父親に「いってらっしゃい」と素直に言いなさい。言わなければ君は随分と後悔することになる。だって君の父親は、出勤途中に跳ねられて死んでしまうのだから。ハイスクール時代の君へ――これだけは覚えておいた方が良い。君があの日、散々グズったホームパーティ。あれこそが分かれ道だったんだ。だから、絶対に君は参加するべきなんだ。でないと君は、この歳まで後悔するんだぞ。とかなんとかetc……。人生の分岐点なんてものは、たいてい後になって分かるものだ。あ...navermore