(イ・サンが建設した“華城”の建設資料:国立故宮博物館で2015.04撮影)「王の涙~(原題:『逆鱗』)」(4)この世のためにお風呂からあがって久々にサンに会いに行こうと…。サンに向かって、「母親の恵慶宮が“毒”を盛ろうとした」「…」「しかも、10歳の女の子に指示した。 どう処分しましょうか?」「ご随意に…」貞純大妃(チョンスンテビ)は、恵慶宮(へギョングン)の処罰を考えているところなので、直接会って話をしてお...
六龍が飛ぶ第39話(中)あなたが必要なのです~側室?首を切られたファサダンの剣士を見て、「靖安大君の後を付けていたのです。 昨夜帰って来なかったから探していました」「靖安大君の仕業だわ。ところで…」剣士は地面に文字を残していました。…名…✖「“無名”の意味だわ」ヨンギュとムヒュルは、「なぜまだ笑っているのですか? 義案君が世子になると言うのに…。 大君たちは選ばれなかったのですよ。 大問題です」「俺にと...
六龍が飛ぶ 第39話(上) 建国の功労者仏教界と“無名”は利害が一致しています。イ・ソンゲの夫人・康(かん)氏は、高僧の予言(操作)により自分の次男のバンソク短命だと言われました。息子を守るためには、“世子にするように”と勧められたために、夫のイ・ソンゲはチョン・ドジョンにも支援を求めました。バンウォンは、プニには“俺が王になる”と宣言。同時に無名のヨニャンからも、“この混乱の中から、大君媽媽(ママ)にも...
六龍が飛ぶ 第38話(下) “無名”の幹部たちヨニャンが現れて、「チョン・ドジョンの思想をこの国で実現するべきではない」「…」「我々“無名”だけでなく、 我々の基盤となっているこれまでの商業組織を崩すことになる」と、チョン・ドジョンが考える、土地の開発、商業組織への許可制度の導入を阻止すべきとの考え方を打ち出します。「ユクサン先生とチョヨンは、この件を担当してください。 次に…」ヨニャンが招いたのはクモン...
六龍が飛ぶ 第38話(中) 早くも始まった世子の話題寺院で法師の説教を聞くのは康夫人と息子の芳碩(バンソク)「まず、生き物の肉を食べてはなりません。 二つ目は他人の物を欲してはなりません。 三番目には乱暴な行いを行ってはなりません。 4つ目は嘘をつかないことです。 最後には、飲みすぎないことです」そう言って法師は線香の火を夫人と芳碩の腕に当てます。しかし、芳碩の腕には火傷の痕が付かないので驚く法師「...
ドラマ『信義(シンイ)』(高麗末期)を思い出すと、ヒロインの名前はユ・ウンスでした。史実のユ(柳)氏は主人公のチェ・ヨン(崔瑩)の第2夫人のこと。高麗時代のそれぞれの武将たちは、首都・開京(ケギョン)から遠く北の国境警備と沿岸の倭寇対策などの職務についていたため、そこでの夫人を持つと共に首都にも第2夫人を持つことが珍しくありませんでした。同様に李成桂(イ・ソンゲ)にも開京に第2夫人がいました。新し...
# 1392年の李成桂(イ・ソンゲ)即位後に、“高麗”への忠誠を捨てきれない臣下たちは、李成桂の呼びかけを無視して、杜門洞(トゥムンドン)の村に身を寄せていた。李成桂は村の周りに一か所だけの逃げ口を作り、火を放った。(中略)しかし、120名いた高麗の忠臣たちはほとんど杜門洞から出ずに焼け死んだ。この出来事から、一か所にこもって出てこないことを「杜門不出」と言うようになった。(康 煕奉『朝鮮王朝』収穫社...
新しい国「朝鮮(チョソン)」1392年4月、李成桂(イ・ソンゲ)は高麗最後となる第34代・恭譲王(コンヤンワン)からの譲位を受けて、その7月に王位に就きました。そして、国号を改めて「朝鮮」とするのは翌年3月で、大陸の「明」の承認を得てからです。(ウィキペディアより)その1393年9月から宮殿の建立工事を始めて1396年9月に「景福宮(キョンボックン:法殿)」が完成。なお、首都を漢陽(ハニャン)に定...
# 李成桂の即位により、バンウォンたち兄弟が王子となり、それぞれが号を持つことになります。また、嫡子なので大君(テグン)、プニ達も大君媽媽(テグンママ)と呼びます。これからは、5男のバンウォンを場合によっては靖安大君(チョンアンテグン)と表記します。なお「朝鮮」の国号の由来は『論語』に記述されている「古朝鮮」という国の名前(中国「殷」の時代)からです。新王朝が「和寧」(李成桂の出身地)および「朝鮮」...
国立故宮博物館から見た景福宮の西側(1394年:建国後、開京から漢陽に遷都、同時に法殿の景福宮を建設しました)六龍が飛ぶ第37話(中)建国・1392年ヨニャンとドジョン「新しい体制が作られるのですね」「反対なのか?」「いいえ」「ではなぜ我々を牽制するのか?」「最初からそうではありません。 サンボン先生の原案を知った時、我々は興奮もしました。 あの計画を知るまでは、協力するつもりでした」「国土の平等...
六龍が飛ぶ 第37話(上) バンウォンの正義の証しチョン・ドジョンとバンウォン「これは偉大なる計画でしたが、 最初から私の場所はなかったじゃないですか!」「そのとおりだ。 最初からお前の場所はなかった。 しかし、お前は自分で自分の場所を作ったではないか。ポ ウンを殺したということが、これからのお前の場所だ」チョク・サグォン(ユンラン)は剣をムヒュルの首にかざして、「ポウン大監に何があったのですか?」...
六龍が飛ぶ 第36話(下) 決別の時イ・ソンゲが投げ出した短刀を抜くバンウォンバンウォンが短刀を首にあてると、ソンゲは硯を投げつけます。部屋に飛んで入るジラン「私はチョン・モンジュに手を出すなと言ったはずだ」「…」「私の言葉を聞かなかったくせに、 なぜ今度は私の言葉を聞くのか?!」「…」「死のうが生きようが、 お前が正しかったことを証明しろ!」「…」「“お前が悪い”とか“私が悪い”だとか、 なぜ私がすべて...
六龍が飛ぶ 第36話(中)善竹橋 1392年王宮は5000人の兵で警護されているので、チョン・モンジュが王宮に入る前に会おうとしたバンウォン。チョン・モンジュとバンウォン「ここで何をしているのか?」「日が昇ると、サンボン師匠と仲間を処刑するのですね?」「彼らは朝廷への謀反を起こそうとしたから、 罪に比べれば処刑はまだ軽い方だ」「腐った宮廷を諦めることはできないのですか?」「私はこの王朝で生まれ育った...
六龍が飛ぶ 第36話(上) 見えた弱点チョン・モンジュを倒す前にプニと相談して心の準備を整えたバンウォン。「将軍は命令を出したのですか?」 (ヨンギュ)「…」 (バンジ)「いいや。 俺の決断だ。 このイ・バンウォンの決断だ」「は!」 (ヨンギュ)「警護の兵士は…」 (バンジ)「そんなことを気にするのか? お前はこの国一番の剣士ではないのか?」「…」「ポウン先生が宮中に入る前に彼を終わりにする」そして、...
六龍が飛ぶ 第35話(下) 歴史に残る夜~バンウォンの決断…そうか宮中か…、5000人の兵士で警護されている…。これからの行動を考えているバンウォン。ホン・インバンの亡霊と語ります「お前は本当に切羽詰まっているのか?」「ではどうすれば…?」「ポウンの人生は高麗と共にある。 お前はそんな名誉を重んじている男なのか?」「惑わさないでくれ」「高麗を潰す人こそ、新しい“朝鮮”を切り開くのだ」「!」「それに、お前が...
六龍が飛ぶ 第35話(中) それぞれの決断の時ムヒュルとユンラン…ここでこの男を殺すべきか…?ユンランがそう思っていると、ムヒュルは、「あなたは刺客には見えません。 人を殺すとは思えません」「私はあまり経験がありませんので、 この武士の世界がどうなっているのか知りません」「…」「でも一つ分かっていることは、 私とあなたが決闘するならば、あなたは死にます。 だから…」「いいえ、あなたは望んではいない」「?...
六龍が飛ぶ第35話(上)1392年動かすと危険だと言われるくらいに重傷を負ったイ・ソンゲ「天の意志が変わったに違いない。 なぜ、ポウン(チョン・モンジュ)が…、 こんなにも変わってしまったのか…?」「我々が覇業を行う前に、 我々が知らぬ取引があったのです。 ポウンは我々が行おうとしていることを阻止したのです。 ようやく全てが分かりました」追っ手が来たので、バンウォンは荷車を隠して、軍をやり過ごします。バン...
六龍が飛ぶ 第34話(下) 開京に必ず帰る…アボジは重体、サンボン先生は流刑、 我々の仲間は逮捕…。 俺はどうすれば…? どこから始めたら良いのか…?プ二にも「プニ隊長、我々はどうしたら良いのですか?」と、「土地台帳が焼却されてからは不安なことばかり起きている」と、プニのネットワークも動揺「いいえ、ちょっと待って下さい。 我々がみんなで逃げ出すか、 みんなで戦うかを決めます」そこにバンウォンプニは、「ト...
六龍が飛ぶ第34話(中)窮鼠(きゅうそ)猫を噛む高麗が崩壊する「あなたはサンボンが死ぬときは高麗が崩壊する時だと言いましたね。 では私が死ぬときも高麗が崩壊する時です」「…」「私をこの場で切って下さい」とチョン・モンジュ。「…」「将軍こそこの国の王座に就く気があるのですか?! そこまで覚悟はあるのですか?! この開京を血の海にする覚悟はあるのですか?!」「…」「どうか、この高麗の英雄のままであって下...
六龍飛天 第34話(上) チョン・モンジュ「サンボンは庶民の出身だからだ」母親のヨニャンから、プニは、「自分のためだけに生きて行きなさい。この世の事は見てはいけません」と言われました。ヨニとプニヨニはドジョンから頼まれて仏教寺院の改革案をまとめていました。「オンニ、忙しいの?」「ええ」「私…、オンマに会ったの…」「え?!どうやって?」「オンマの方が突然私の前に現れたのよ。 でもサンボン先生にもバンウ...
六龍が飛ぶ 第33話(下) チョン・ドジョンの生まれキル・ソンミとホン・デボン 「師匠はテミと私の師匠だったのに、 なぜ李家に仕えているのですか?」 「お金のためだ」 「双竜剣のためではないのですね?」 「…」 「コクサゴンの剣法を知りたいのです」 「そんなことを考えていたのか…?」 「生徒がみんな死んでいっても良いのですか?」 「いいだろう。 チョク・サグォンに会いに行け。 そこで分かるだろうが、私にはその...
六龍が飛ぶ 第33話(中)不寛容?都堂(議会) これを契機にと、新しく仏教界の高僧を高麗のための指導者に選出したいと言う王土地の調査を進めているチョン・ジュンは反対意見を述べます。 さらには、チョン・ドジョンも仏教界が所有する土地のことも、これからの改革には触れざるを得ないことを述べます。 「仏教界が所有する土地は200億坪以上です。 しかも一切納税をしていません。 一万人以上の僧侶に7万人以上の者た...
六龍飛天 第33話(上) 誰のために生きるのか保守派のウ・ハクジュたちを尻目に、土地台帳を燃やしてしまったチョン・ドジョン「この国は生まれ変わるのだ!」ムヒュルとバンウォン「よく分かりませんが、トリョニム(若旦那)が、 サンボン先生を師匠として仰ぐことが分かる気がします」「ああ、偉大な人だ」「何が偉大なのですか? 最近のトリョニムは何か変ですよ」「ああ、複雑なんだ」「チョヨンさんとの話の後に変わっ...
# 昨日のワンシーンウ・ハクジュたちがチョン・ドジョンの改革の足を引っ張るために、市場に立って民心を乱そうとしています。「チョン・ドジョンは改革の名の下に、 師匠や仲間たちを投獄したのです。 こんな裏切者の改革なのです」そんな市場を視察するチョン・ドジョンとバンジ。他方ではヨニャンがバンジのことを見つめます。バンジは開京一の剣士なので、衆目を集めるのは当然ですが、ここには母親の目があったと思います。...
六龍が飛ぶ第32話(中)民との約束 ユクサン、キル・ソンミ、それに老婆を前にしてヨニャン「今日、イ・バンウォンに個別に会ったが、 サンボンの思想は我々にとっては危うい。 そして、イ・バンウォンの考え方はサンボンとは違うことが明らかになった。 イ・インギョムと同様に彼を使うのは有益のようだが、 慎重にならないといけない」と、ユクサンにはチョン・モンジュの考え方とバンウォンを監視させる一方では、キル・ソ...
六龍飛天 第32話(上)生生之楽~民の幸せ「もう遊んでいる時ではなくなった」とバンウォン。ヘアスタイルも変えて、独自の路線を進むために自身の決心を具体化します。バンウォンは父親イ・ソンゲの屋敷を出て、転居。ムヒュルだけでなく、ムヒュルの師匠のホン・デボン、ムヒュルの祖母のミョサン、ヨンギュ、それにプニやカプンも同行していました。雪合戦の後のバンウォンの涙のシーンが続きます「プな、もう終わった。 も...
六龍が飛ぶ 第31話(下) 独立を決めたバンウォンキル・ソンミとチョヨン「大丈夫なのか?」「ええ、大変な目にも遭いましたが、 収穫もありました。 イ・ソンゲの5男のイ・バンウォンを、 我々の“刀”として利用することにしませんか?」「しかし、ヨニョンのことを話すべきではなかった」「では、聞いていたのですか?」「ああ、全部話は聞いて見ていた」「では聞きますが、 あの二人の子供たちはどうやって生きてきたので...
六龍が飛ぶ 第31話(中) 腐敗した高麗なのに…バンウォン同様にチョン・モンジュも悩みます。そしてモンジュは、…すまないが、国作りはサンボン(ドジョンのこと)に任せる。 私は宰相には就かない。 天の運が失われたとしても、 儒学者としてこの高麗と運命を共にする。イ・ソンゲとジラン、それにドジョンとチョ・ジュンたち「中央の役人たちが土地の視察に行ったとしても、 地方の役人たちの協力がないと調査ははかどりま...
六龍が飛ぶ 第31話(上) 王という名の監獄~バンウォンと無名の共通点人々が笑い合える社会を作りたいとプニとムヒュルに約束したバンウォンでした。しかし、バンウォンは、チョン・ドジョンがチョン・モンジュに語る、新しい国の組織の話を立ち聞きします。チョン・ドジョの構想は、王室が政治には関与できないように絶対王権を排除すること、そして儒教者が協議制で政権を運営するという制度です。王は宰相を任命するだけで、...
六龍が飛ぶ 第30話(下) 理想の国のかたち・そしてバンウォンの居場所バンウォンとムヒュルが夜道を歩いていると…、「お前がイ・バンウォンなのか?」ユクサン(六山)「“花が開く前に摘む”と言ったよな?」…現れたな。 “無名”だ。「“無名”だな?」「ははは、緊張するな。 話がしたかったので来ただけだ」そう言って、手紙を残して去ろうとします。「“初無者 無盡”と言いましたよね。 あの男が合言葉を教えましたよ」「では...
六龍が飛ぶ 第30話(中) みんなの夢は民百姓のためにナム・ウン「将軍がチョンチャングンの擁立に賛成した」チョ・ジュン「そうか…。待っていた日が来たようだな。 将軍こそこの機会を逃してはならない」ナム・ウン「しかし、どういうことなのか? 新しい王を立てるのはいいが、改革の戦いが遅い!」バンウォン「ポウン(チョン・モンジュ)先生が我々の味方になってくれるためには、こうした方法しかないのです。三峰(サン...
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(イ・サンが建設した“華城”の建設資料:国立故宮博物館で2015.04撮影)「王の涙~(原題:『逆鱗』)」(4)この世のためにお風呂からあがって久々にサンに会いに行こうと…。サンに向かって、「母親の恵慶宮が“毒”を盛ろうとした」「…」「しかも、10歳の女の子に指示した。 どう処分しましょうか?」「ご随意に…」貞純大妃(チョンスンテビ)は、恵慶宮(へギョングン)の処罰を考えているところなので、直接会って話をしてお...
(イ・サンが建設した京畿道水原の“華城”:2015.04撮影)映画『王の涙~逆鱗』(3)刺客たちhttps://www.youtube.com/watch?v=2mUfBSYsar0&list=RD45UAworljWk&index=4(Youtubeより)ウルスを待つ老論派ウォレの養父カプスは養父殺害の際に、足元に血痕を残していました。それを発見した内禁衛将に尋問を受けました拷問に耐えつつカプスは、「王に合わせてくれ」と。サンの前に引き出されたカプスサンはカプスとの過去のことを思...
ドラマ『逆賊』では、ホン・ギルドンの父親・アモゲが中国の皇室が好んだという“黒細麻布(フクセマポ)”に目を付けて生産・輸出のビジネスを展開しました。# 美しい黒い麻布でした。こちらは映画『逆鱗』でのイ・サンの衣装。(製作2013年、日本公開2014年)実際に映画でヒョンビンが来ていた王衣(夏服)です。素材は黒い麻。(2014年の日比谷の映画館にて)# さて、ドラマ『イ・サン』ではサンが奴婢制度の廃止とと...
(イ・サンが建設した京畿道水原の“華城の南の門”:八達門・2015年撮影)# ドラマ『イ・サン』で描かれていた第21代王・英祖は、晩年になっては老論派(守旧派)との対立を避けて政治の安定のみを図っていたことが脚本(セリフ)からも読み取れました。また、認知症の初期でもあったのでしょうか少々短気でもあり、感情の起伏もあり、老論派+貞純(チョンスン)大妃の策略にも気づかなかった点が強調されているようです。そんな...
『イ・サン』再考(2)~サンの仲間たち(テーマソング)https://www.bing.com/videos/riverview/relatedvideo?&q=youtube+%e3%82%a4+%e3%82%b5%e3%83%b3+ost&&mid=81EE4A1CB6CEBA91D48E81EE4A1CB6CEBA91D48E&&FORM=VRDGAR1.孝懿(ヒョンイ)王后・金氏(ドラマでの王妃役はパク・ウネ)王妃は9歳(1762年)でサンと結婚しました。その後はサンだけでなく義母にあたる恵慶宮(ヘギョングン)・洪氏(ホンシ)にも精一杯仕えて...
『イ・サン』再考(1)~悪女列伝の最悪女帝1.貞純(チョンスン)王后 彼女は極めつけの“歴史的なワル”と言えましょう。まずは時代背景。儒教の教義を巡る論戦は表面上のことで、病巣だと言われ続けていた王朝内の官僚や両班たち。彼らの私利私欲が根底にあり、勢力・派閥争いの渦を巻き起こしていました。そんな王宮では南人(ナイン)派や小論(ソロン)派を退けて老論(ノロン)派が各部署を牛耳っており、中でも外戚・金家...
これまで冊封国になる前の韓半島(ハンバンド)の歴史を、<古代韓半島>として振り返りました。今回アップして来た『王は愛する』の時代背景が、大陸と半島の歴史的関係のちょうど分岐点だったと思います。(冊封制度は、大陸が明の時代に完成したとされ、日本の室町時代にも明に朝貢したとの記録があります)元からの安全保障を得るべく、高麗第24代王が世子をいわば“人質”として元に預け、その世子(後の第25代・忠烈王)が...
大陸の元と高麗王朝1.王氏高麗ソン・ジナ作家は高麗末期を描いた『信義(シンイ)』で、当時の高麗最大の貴族・“奇(キ)”一族の家長キ・チョル(実在)を登場させました。妹は「元」の皇后となった『奇皇后』です。『王は愛する』では、ワン一族とウン一族を登場させています。いずれも貴族ではあるものの、史実としてはワン一族が王家の外戚です。リンの父親の妹が第25代・忠烈王の最初の妻(実在)です。ただし、父親(ワン...
王は愛する 第40・最終話 王は愛した…一度人生を体験して、もう一度人生をやり直してみたい。そうすれば二度目はもっと良い人生で、反省することは少ないかもしれない。(ウォン)# 以下は3人と師匠で作り上げたストーリーだと思います。イ・スンヒュ師匠のナレーション…元からの使節団は重要な情報を得ました。それはワン・ジョンからでした。…「私が反元勢力の主導者のことを知っています」と、ワン・ジョンはその勢力のこと...
王は愛する 第40話(上) 1297年の夏タンとサンサンがすっかり元気になって挨拶に来たので大喜びのタン「大丈夫なのですか?」「ええ、元気です。 ちょっとだけ、胃が痛みますけどね」「良かった!」「胃が悪くてもですか?」「良かった…」「ピヨンによく似て泣き上戸ですね」「そうなんです。 いつもオラボニに笑われていました」ハンカチを渡すチン・グァンでした。サンはこっそりと料理のコツを教えて欲しいとタンに…。家を...
王は愛する 第39話(下) 王は愛した~元からの調査団ウォンが宮殿に戻ると、元からの使節・調査団が到着していました。回復した王が玉座に座っています。「いったい秘書官は何をしているのか?」「使節団の面々にはたくさんの説明が必要でしたから…」「何を知りたいのでしょうかな?」調査を行った使節団が見せたものは小動物の死骸「元成殿の礎石から発見されました」「呪詛だと?!」「ワンビ媽媽は呪詛により亡くなったとい...
王は愛する 第39話(中) 陰謀の果てに(昨日のシーンのつづき)「私を裏切る気なのか? お前を救ったのは私だぞ。 衣食住を与えて、育てて来た」「一度も裏切ったことはありません。 命令に従い、たくさんの人を殺して来ました」 「これからもそうだ」「あなたは高麗のためだと言った。 しかし…」「あの女を殺せと言ったからなのか?」「ナウリこそ、元の国に高麗を歯向かわせようとしています。 国賊です」「ムソク!...
王は愛する 第39話(上) 解毒剤と玉璽~ムソクの良心今は人がいないウン判府事の元の屋敷駆けつけたウォンとリン。まず、リンは縛られたピヨンを見つけます。「助けて下さい!」「何があったのか?」「世子嬪媽媽とサンアガシが…」「どこなのか?」「もとのアガシの部屋の中です」「!」「これを!」「?!」「彼がくれた解毒剤です」「解毒剤?」「ええ、陽が沈む前までに飲む解毒剤です。 日没と共に死ぬと聞きました」# ム...
王は愛する 第1話(下) 娘・サンへの伝言ゴロツキたちのアジト「お前たちよりも役に立つ連中がいるそうだぞ!」「ところでどうしてこんなに武器が必要なのか?」「ウン・ヨンベク商団の荷物を奪う計画だからだ」「ウン・ヨンベクだと? 奴らの私兵は官軍よりも強いと聞いているぞ。 3日に一度は軍事訓練をしているぞ。 正気なのか?」「俺たちも刺客を集めている。 絹の一反もあれば一年分の稼ぎになるのにな~」「奴らは...
高麗(コリョ)の建国は918年。それから1392年(朝鮮王朝建国)までの474年は、後の朝鮮王朝(518年間)と同様に長い歴史です。ドラマ『王は愛する』は、高麗中期の歴史の転換点を舞台背景としています。脚本はソン・ジナ作家。(同名の小説をソン・ジナ作家が脚本にしたもの)また、ドラマ『信義(シンウィ)』も同じくソン・ジナ作家の脚本・小説で、舞台は14世紀末の衰退する頃の高麗でした。『信義』は第31代...
新羅の首都・慶州の仏国寺(プルグクサ)ドラマ『善徳女王(ソンドクヨワン)』と新羅(シルラ)の興亡大帝国だった高句麗が、唐と新羅の連合により足元をすくわれ、北に追いやられて渤海へと転じました。三国時代が終わった7世紀末のことでした。その唐と新羅の同盟関係ができる少し前のこと。新羅初の女王・『善徳女王』が第27代王として即位しています。ドラマはほとんどがフィクションなのですが、当時の時代背景としては、...
歴史を駆け抜けた八咫烏(やたがらす)ドラマ『朱豪』では、初めて国家のシンボルマークに三本足の八咫烏(やたがらす)がデザインされました。新羅と唐の連合軍に滅ぼされても高句麗のヤタガラスは歴史を駆け抜けます。1.南北の二国の時代へ668年、第28代の宝臓(ポジャン)王が新羅と唐との連合軍に屈服し、高句麗が滅びます。そこで新羅は、滅ぼした百済と高句麗の民や軍を吸収して、半島での覇権を我が物にしました。さ...
関西に渡来した豪族1.広隆寺と秦氏半島から4世紀から5世紀にかけて渡来した有力な豪族に、漢(あや)氏と秦(はた)氏の一族がいました。それぞれが奈良と京都に一大勢力を築き、とくに京都の秦氏は養蚕・機織り、農業灌漑の技術を伝播し太秦から嵯峨野にかけての農業用地開発と産業を発展させました。京都・右京区太秦(うずまさ)の広隆寺は、603年に秦河勝(はたのかわかつ)が聖徳太子から賜った仏像を本尊として建立し...
半島の三国時代ドラマ『朱蒙』のラストの解説ではソソノの次男が百済の建国者ではないかとの余韻を残しました。また、『太王四神記』では高句麗の版図拡大が描かれました。以下は高句麗、百済、新羅の三国時代の話です。1.三国時代後の第19代王・広開土(クァンゲト)大王(テワン)こと、タムドクが16歳で高句麗王となったのが391年でした。 広開土王の高句麗(コクリョ:고구려)が版図を拡大して次の歴史地図のような...
百済から来た王子~および聖徳太子のころ高句麗の王族・若光とその子孫が関東に根を下ろしたように、百済の王族・豪族の一部も日本に渡り、関西(大阪)に根を下ろしました。遡って、新羅と唐の連合軍により高句麗が滅びた話は前回でした(668年のこと)。それよりも少し前の660年に、同連合軍により百済が先に滅びています。しかし、残党によるゲリラ戦は各地で行われていました。1.百済のラストプリンス百済最後の王は義...
七夕の日の夜「もうあんたの顔を見たくないから帰りなさいよ!」「…」悲しくて怒るプニ「もしも俺が止めに入ったらユニも俺も殺されていた…。 タルバンおじさんは目の前で殺されたんだ」「オラビだって死んだらよかったのよ!」「…」「ヨニ姉さんがどれだけ好きだったか分かっているの?! 毎日、毎晩オラビのことを心配していたのよ! 毎晩帰りを祈っていたのよ! 家からこっそり布を持ち出してオラビの服だって作ってくれた...
六龍が飛ぶ第4話(中)烏鵲橋(オジャッキョ)「あんたが彦星になってくれないなら、 私は織姫にはならないわ」…。ヨニから告白されたタンセでした。ここはヤングァン道イス郡の村ヨニは村の人気者の織姫でした。約束どおりにヨニの家に毎日を水汲みをして届けるタンセ。他方、何かと近寄ってくる若者たちも大勢でした。(“彦星”の服を縫うヨニと若者たちを睨みつけるプニ)開京の都堂(高麗の議会)「たかがモンゴル語の通訳の...
六龍が飛ぶ第4話(上)彦星と織姫バンウォンは「正義とは悪を排除することです!」とホン・インバンに言いました。そのことからインバンは「もしやあの子がイ兄弟を…?」と疑います。「こんな遅くにご用ですか?」「まさかあの夜のことは…?」「あの夜、 ホ・ガンの服の紐を残したの師匠でしょうか?」「それでも師匠と呼ぶのか?」「善と悪を教えていただいたからです。 あの夜、師匠は悪い事を行い、 私は正義を果たしました...
六龍が飛ぶ第3話(下)正義とはイ・インギョムとキル・テミ「ペク・ユンとケンカするつもりなのか?!」「ホ・ジョの息子の味方をしているからです! 私の息子が罰を受けそうなのに、 何もできないではないですか?!」都堂3人衆に今回の成均館の事件で亀裂「何とか助けてください」というキル・テミに、インギョムは、「いい加減にしろ! 今度私を煩わせたらお前とて殺すぞ!」怒り狂ったキル・テミが帰宅するとホン・インバ...
六龍が飛ぶ 第3話(中) 禁じられた思想ヨンボンサ(龍鳳寺)「人間性と正義が大切にもかかわらず、 なぜ王は利益だけを主張するのでしょうか? そうなれば、学者も民も利益だけを追求します。 そして身分の上下間でも争いは絶えません。 そして、 私利私欲に走って逆に国を危うくします」「素晴らしい…」「…」「お前はいつの間にか発音も開京の人になってしまったな」「しかし、 国はどうやって豊かにできるのでしょうか?...
六龍飛天第3話(上)成均館で学ぶ民心を動かしたチョン・ドジョンでしたが、逮捕されて尋問にかけられます。「一人では何もできないはずだ。 お前の背後には誰がいるのか?」キル・テミは焼き鏝のような野蛮な拷問はチェ・ヨン将軍がやる手だと、濡れた布で呼吸を止める拷問を行います。イ・ソンゲとバンウォン、それにバンウ(長男)「ハンジュには帰らないとは、なぜだ?」「俺と一緒に開京に住みたいのか?」「成均館で学びた...
イノライフ・エンタメ・ニュースより『六龍が飛ぶ』でキム・ミョンミンの鳥肌の立つ名演技で彼だけの鄭道伝(チョン・ドジョン)を完成させた。SBSの月火ドラマ『六龍が飛ぶ』第2話では、李成桂(イ・ソンゲ、チョン・ホジン)は李仁謙(イ・インギョム、チェ・ジョンウォン)に弱みを握られて咸州(ハムジュ)に帰ることにした。このことを伝え聞いた士大夫は驚き慌てた。チョン・モンジュ(キム・ウィソン)は李成桂に会うと言い、他の士大...
チェ・ヨン将軍 『信義(シンイ)』より(photo cap. by nana)六龍が飛ぶ第2話(中)元の使節団ちょっと分かり辛い話の流れなので、推論を含めてまとめておきます。貴族3人組…イ・インギョムたちは、滅び行く「元」と台頭する「明」の国際情勢を把握していません。そして、過去からの既得権を守るために、「元」との縁を切ることはしません。さらに、イ・ソンゲには「明」との戦争準備をさせようとしていたようです。チョン・モ...
チェ・ヨン 『信義(シンイ)』より(photo by nana)六龍が飛ぶ 第2話(上) 辞退して咸州(ハムジュ)に帰る李成桂高麗武士の心情を突くイ・インギョムでした。イ・インギョムは架空の人物ですが、『信義』でのキ・チョル(実在の貴族)のような(王室を軽んじる)政界のトップだと思えば良いと思います。過去に信じる人を裏切ったこと、忠義に欠けたことを責められて、イ・ソンゲはイ・インギョムに一歩引き下がります。そし...
チェ・ヨン(『信義(シンイ』より)「秋の日のビオロン(バイオリン)のため息 ひたぶるにうら悲し」1944年6月6日の英米を中心とするノルマンディー上陸作戦(作戦コード:「ネプチューン」)に先立ってのラジオ放送でした。これに呼応してレジスタンスやパルチザンも一斉に立ち上がりました。そして、ナチスドイツによって占領されていたフランスの解放の第一歩となりました。ウクライナに愛を💙💛六龍が飛ぶ第1話(下)高...
高麗への帰国の際に空を見上げるチェ・ヨン(30歳の頃です)。ドラマ『信義(シンイ)』より(photo by nana)六龍が飛ぶ 第1話(中)子豚ちゃんの話開京町のはずれには地方からもやって来た乞食たち(# いわゆるストリートチュルドレンの孤児たち)「二手に分かれて稼ぐんだ。 ところでお前のオンマは赤ん坊を産んでから、 どこに逃げたのか?」「オンマは逃げてはいません!」「分かった、カプン。 今日は何とか食べ物をく...
# 『六龍が飛ぶ(六龍飛天)』は、高麗時代末期の1383年頃からだと推定できます。ドラマ『信義(シンイ)』は1351年の第31代・恭愍(コンミン)王の即位からスタートしましたので、あれから約30年後の話です。『信義』はタイムスリップのファンタジー+史劇でしたが、史実がしっかり押さえられていたので、コンミン王と王妃(魯国公主)やウダルチ(王室警護)のチェ・ヨン(崔瑩)将軍、また敵のキ・チョルも実在の人...
『大君』より「背徳のクーデター(2)」首陽大君の蜂起(癸酉靖難:ケユジョンナン)から、王位の奪取までのシナリオは配下の韓明澮(ハン・ミョンフェ)と権擥(クォン・ラム)などが作ったとされます。そして、王位に就くに当たっては、(ウィキペディアでは)この策士(友人同士)の他に、譲寧大君が後押し。「譲寧大君(世宗の実兄)や権擥、韓明澮らの後押し」とあります。ちなみに、権擥は官僚だったのですが、韓明澮は科挙...
<朝鮮王朝>は14世紀末から20世紀初に至る518年の長い歴史なのですが、18世紀末のアメリカ独立やフランス革命などの時代になると、海外からの影響がさざ波のようにひたひたと及んできていたと考えられます。逆に言えば、それまでの<朝鮮王朝>では絶対王政の中にあって王室内の権力争いや、王室と官僚たちの綱引きに明け暮れていたように思えます。王朝「クーデター」考(中)ドラマ『大君』より~背徳のクーデターもっ...
今の私たちは極東アジア唯一のG7国であることを誇りに思い、またアジアの朋友国と共に民主主義の輪を広げる一翼を担っていると考えています。そんな中で「武力」によって国際秩序を変えようとするロシア政府(および軍部)によりウクライナが侵攻を受けています。まるで時計の針を逆回転させるかのような時代錯誤の行為です。ウクライナに愛を💙💛さて、ドラマ『華政』に続き『御史とジョイ』を振り返りました。『華政』で描かれた...
# 今日はジョイが髪をアップにします。 さてどのように? 写真上・左はテスモリ (結婚式の王妃の髪型です) 写真上・右はトクジモリ 写真下・左はチョクチンモリ 写真下・右はオヨモリなお、離婚後のジョイの三つ編みの髪型はテンギモリです。(テンギはリボンのことで、モリとは“頭”とか“髪型”の意味です)御史とジョイ第16話(おわり)ジョイフルワールド~共同体の仲間たち漢陽の宮中では大騒ぎ「チョナ!」「御医を呼...
(漢江の下流の江華島)御史とジョイ第16話(最終:中)両班(ヤンバン)シェフからの贈り物~「脱賤」証明書「ははは、開店準備が出来たようだな」「ところで饅頭房の料理長はいつ来るのですか?」「あ~、ちょっと待ってくれ…。 呼んでくる」「俺たちの若旦那が満足できる料理長はいるのか?」しばらくして着換えたイアンが、「朝鮮王朝最高の料理長が出道!」「!」「料理長のパンドクと申します」「やい!パンドク! 腰が...
御史とジョイ第16話(最終:上)正義を貫いたイアン~そして江華島へイアンは逮捕したパク・スンを検察(義禁府)に引き渡す前に、暗行御史団と官軍と共に遠回りして断崖に連れ出しました。「まずは、 大監によって苦しめられた者たちに謝罪して貰う」イアンは刀を抜きます。「…」「愚かな奴だ。 この世の道理を知らないのか。 私に良心があったら、ここまでの権力を得られたと思うのか? 早く義禁府に連れて行け!」イアン...
(いざ光化門:景福宮へ)御史とジョイ第15話(4)特権を得たイアン~苦労の成果アポイントの時間に宮殿に向かったイアン「チョナの好物だと思います」とキナコモチを持って参上。早速手を付ける仁祖でした。しかし、「チョナの健康のためにと“トリカブト”を少量入れています」「?!」(吐き出す王)そこで“切り札”!(まずは処方箋)「これは世子チョハが健康のためにと東宮担当の医者が処方したものです。 同じ処方で私も処...
(江華島の海岸)御史とジョイ第15話(3)霊媒師ピリョンの大役が成功へテソの育ての母親からもたらせられた悲報は、共同体を守ってきたパウェがパク・スンとパク・トス親子と私兵たちに殺害されたことでした。幸いに孤児たちは共同体“トルクソン”から逃れることができました。驚きの情報はパク・テソ、チ・メンス、カン・ハンギも殺害されたことでした。イアンにとっての捜査の詰めとなる証言者たちが消されたということになり...