東海道は御殿浜(ごてんはま)で左に曲がるが、その角の民家の玄関前に「膳所城勢多口惣門跡」の石碑が立っている。南惣門の番所だったお宅らしく、昭和46(1966)年に建立された碑だ。直ぐ横には、お地蔵様の小さな洞も立っている。街道は、既に膳所藩の城下に入っているらしい。「膳所」と書いて「ぜぜ」と読ます難読地名のひとつであろうが、何故かこの地名だけは、親しみがあり、物心付いた頃より、耳にこびりついていて、漢字の表記も難なく読み下すことが出来る。何時の頃からかは定かでは無いが、可成り小さい頃から何度も何度も聞かされ、記憶の中に刻み込まれてきたように思う。その頃はこれが大津の地名とは知る由もないが、「ぜぜ」と言う言葉の響きが強く印象に残っている。幼少の頃同居していた母方の祖母は、事ある毎に「膳所三万石のお馬廻り役」...お馬廻り役(東海道歩き旅・近江の国)