愛することは 哀しい だけど 愛することしか できない
月の姿も知らず 幻に泣く君よ グラスは 満ちては 空になって 虚無を照らしだす ピアノの音色も 心を動かしはしない 幻など追いかけても 満ちたりた想いなど 手に入れることはできないさ
ビールの空き缶を潰して ゴミ袋に放り投げる カランコロンと音をたてながら 床を転がる空き缶を眺めて ながいながい溜息をついた 不条理から逃げるために また別の不条理を生む その終わらない 螺旋のような日常に
君とふたりで 傾けるグラス 煙草のけむりで 君がよく見えない 時間は どこへ消えたのか もうさがすことも できないけれど
恋の哀しさに酔って 唄うメロディ 思い出を抱きしめながら 遠い遠い 世界の涯てへ
酔いが醒め 転寝から覚め 時計を見れば まだ真夜中 喉の乾きを ミネラルウォーターで潤し すべきこともなく また酒を飲む どう考えても 夜が永すぎる
ジュークボックスに コインを投げ入れて あの人の好きだった曲を ボタンを押す指は 今だに震えて 流れはじめた曲に そっと まぶたを閉じる ほんのみじかい夢を見て 目覚めた頬に涙の痕 かたむけるグラスは 哀しい恋の味がして
炭酸が パチパチとはじけている グラスの中で ただ燃えている 灰皿の煙草 じっと見つめて 夜が更ける 今日もまた
グラスの縁の塩を舐めて 涙がひと粒 水面を揺らす あなたは知らなくていい わたしの流した涙のことなど
最後の言葉を グラスに溶かして ライムを搾る だけど ふたりは明日を想う 未練が 心を包むから
宵待ちのあなたは グラス片手に物思う 灰皿で燻る煙草を 見つめて 心など 此処に在って 此処にないの
哀しい酔いが指先にまで 微かに洩れる吐息よ 窓から射す月明かりが この想いを愛に似せてくれる 心などいらない 傍らの煙草だけでいい そうだろう? どんなに募っても 愛にはならない想いなら
夜更けに目を覚まして 窓辺に立つ 沈みかけた月が 俺に笑いかけるが 笑い返すことができない 扇風機が 夏の夜の空気を シャツに絡みつかせる 風を避けて 煙草に火をつける 寝酒は 眠りによくないと知っているが 酔わずにいられるだろうか? 指先に点る 小さな火に独りごちても なにも応えず ただ立ち上る紫煙 白々と明ける空 グラスを呷っても この痛みから 解放されそうにない
酔いにまかせて 出せない手紙を したためる 綴れども 届かぬ君への想い 想いは 届かないからこそ 美しい
逢いたいと願う時ほど 逢えずにいるの 夜の永さに堪えかねて トランプの札を捲ってみる キングは淋しい笑顔で 慰めてくれるけれど 心の穴を埋めてはくれない 月が深く頷いて 夜が更ける 逢えない夜が
君に伝える言葉を持たない 想いが伝えられないもどかしさを抱いて 今夜も不味い酒を飲む 失くした言葉を見つけられずに 想いまで失くしてしまったような気持ちになる 煙草は灰皿でただ燃えている ああ 月よ あの人を愛していると伝えられたなら あの人が誰かのものではないのだと 不味い酒と味気ない煙草 ネオンだけがギラギラと煩い夜 日々は苦痛でしかない そうだろう?
逢えない夜を 星と過ごすのも ようやく慣れたな 窓辺に立って 最後の煙草に 火を点ける ウォッカの香りに 眠りは ますます遠のいて 君への愛おしさだけが 募っていく
今夜も不味い酒をあおって 冷たいベッドに潜りこむ 君の声が聴こえる きっとまた空耳だろう 海の蒼には たくさんの哀しみが 眠るという 部屋にあるのは煙草のけむり 背中を丸めて目を瞑る 君の笑顔は想い出さない すべては幻 しめつけられるこの心さえも
深淵
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愛することは 哀しい だけど 愛することしか できない
黄昏に融けてゆくあなた 夢のような日々を振り返れば ただ 哀しく
今年もよろしくお願いします 蒼井冬星
愛していると 思ったんだ 愛が何かも 知らないのに
情熱は 空回り 空回りするからこそ 情熱 君のいない夜は 星を見て過ごそう 傍らに グラスと煙草 眠れぬまま 時を刻む時計を見やる 梟と睨めっこ 君も いつかは飛び立つの 返ってくるのは 沈黙ばかり
鞄につめたのは 小さな愛の欠片だけ
冬の日 路地裏を独り歩く 剥がれかけたポスターが 風に吹かれて ふと見上げれば ビルの間に小さな星空
今日 君の夢を見たよ どうして 僕の心は 君から 離れられないのだろうね
僕の持ってるものは もう 全部 渡したよ それらをどうするかは 君次第
あなたが見つめる先に わたしはいない
孤独を見つめれば 孤独もまた見つめ返してくる その孤独は わたしと同じ眼をして 問いかけてくるのだ 孤独はつらいか? と 答を見つけられず 黙ってしまうわたしを なにもいわずみつめて
「死ね」って 言われたこと ある? そのとき 頭にきた? 悲しかった? 僕は 「あぁ、やっぱり」って 思ったよ 世の中に 要らない存在だと 自分でも 思ってたから でもさ 死ぬときぐらいは 楽な死に方がいいなぁ そんな思いで 今日まで 生きながらえてるって感じ
あなた 宿命とは 斯くも酷なものなのです がらんどうの部屋で思うのは 日々の苦痛と苦い愛 逃れられぬ宿命であるから わたしたちは泣き、笑い それでも 歩いていかなければならないのでしょう
すべては 水面下で進んでいるのさ 誰も その日を知らない
バカ騒ぎのTVに 愛想が尽きて ベランダに出ては 星を眺める 煙草のけむり 燻らせて 未来と 君を 想う 夜空に 瞬く星たちよ 人々の涙と 嘆きと祈り 神に 届けて
こうしている間にも 世界は涙に満ちている 哀しみと憎しみの連鎖を 止められずに 神の定める法則の なんと無慈悲なことよ すべての微笑みの返る場所は 何処にあるというのか
深夜 突然の雨に 君の手を引いて 駆け込んだカフェの軒先 君の髪が濡れて 黒いTシャツが さらに黒くなった その腕を引き寄せて 唇を重ねた 驚いた君は 一瞬身体を硬くしたけれど 何も言わずにいた きっと あの時から 君は 気づいていたんだね
参ったな 人が死ぬのを見るのが好きな奴が 存在してるんだ それも 自分は安全な所にいてね 己の手を下さずにね 参っちゃうよな いつまでも そんなことが 許されると 思っているんだぜ 自分の考えだけで 世界が回っていると 本気で考えているんだぜ 参っちゃったよ
一陣の風が吹いて 水面に波紋を広げる あなたを知らずにいた頃には もう戻れない 愛にならずに 散っていった恋は 淋しげに涙を流す あなたを想うことも 忘れることもできずに
何処へ 行くの? うん 何処へ行けば いいんだろうね? 時折 淋しくなってしまうよ 僕には 何もないから