chevron_left

メインカテゴリーを選択しなおす

cancel
kisanjin
フォロー
住所
春日井市
出身
島田市
ブログ村参加

2009/02/27

  • チャフは舞い降りた

    ‘The Chaff Has Landed’…「チャフは舞い降りた」。ちょっと恰好つけて言ってみただけです。コーヒーを焙煎すると、チャフ(生豆を覆っている薄皮が焙煎によって焼け剝がれて小片となったもの)が出ます。私が使っている直火式の手廻し釜は、全面がパンチングメタルの穴開き仕様なので、焙煎中に穴からチャフが抜け落ちて釜の下や周りに飛び散ります。時には、火が付いたまま‘舞い降りた’りする冒険家のチャフも登場します。チャフ...

  • ターケラシー

    2023年4月15日、旧櫻井邸(岐阜県美濃加茂市伊深町)を会場とする「戯け(Tawake)」展(東京藝術大学彫刻科第二研究室:主催)を観る。 《「文化財未満の旧櫻井邸という場」 展覧会場となる美濃加茂市旧櫻井邸は、大正5年から3年かけ施主:村長である櫻井福太郎によって建築された、木造瓦葺2階建、約380㎡に及ぶ、築100年を超えた建物であり、建物の特徴や凝った装飾彫刻(富士山と松、橋と舟)が施されてお...

  • 仮粧(けわい)

    春のけはひ入りたつままに、コクウ珈琲のありさま、いはむかたなくをかし。 大方のけしき、人のけはひも、けざやかに気高く、乱れたるところまじらず、客座のあたり、物清げに、けはひ香ばしう、心にくくぞもてなし給へり。 2023年4月8日、「コクウ珈琲」(岐阜県美濃加茂市)を訪ねて、伊藤千帆によるインスタレーション〈気配〉を味わう。 《私自身が普段作り上げる、その場所の過去の記憶、気配を切り取り実体化する...

  • バッタもん

    【バッタもんはヒールが似合う】 2023年1月5日、宝島社の企業広告が『朝日新聞』・『読売新聞』・『日本経済新聞』・『日刊ゲンダイ』に掲げられた、「団塊は最後までヒールが似合う。」と。宝島社が2006年5月16日に『読売新聞』や『日刊ゲンダイ』などで掲げた企業広告は、「団塊は、資源です。」だった。いわゆる‘2007年問題’(団塊世代が60歳定年退職を迎え始めて生じる諸問題)が間近に迫った頃、資源...

  • マキネッタの謎

    マキネッタ(Macchinetta)とは何か? イタリア語で機械(マシン)を意味する‘macchina’の語尾に指小辞‘-etta’が付されたもので、つまり「(ちっちゃくてかわいい)マシンちゃん」である。だが、マキネッタの正体は、謎に包まれている。時代と場所によって各人が想い描くマキネッタ、それが異なっているから… 【小辞典と大辞典】 マキネッタとは何か? 伊藤博(1930-2004)による『コーヒー小辞典』(柴田書店:刊 1980)に...

  • 珈琲呟語 8

    珈琲呟語(こーひーげんご)。TwitterやFacebookでつぶやいたコーヒー関連のもの、ここ約1ヵ月間分から少し拾う。 ついにUCCがSCAのCSP(コーヒースキルズプログラム)開設を発表した、それはそれでケッコウですが、大手企業までがSCAのCSPを勧めていて、SCAJはCQIのQグレーダーを勧める、という構造に私は違和を感じる。 〔2023.03.01〕 水野コーヒー(愛知県豊橋市)の坂柳猛興氏が2月25日に逝去の由、哀悼の意を表します。...

  • 蕎麦に居るね 55

    【台がわりで台なし】 2023年2月23日、3日前に発売されたカップ麺「日清のどん兵衛 特盛 ラーメンスープの!? きつねうどん」の台を蕎麦に入れ替えて食す。台は「日清のどん兵衛 特盛天ぷらそば」(東)を使用。元の商品の惹句は‘やってみたらうまかった’であるが、台がわりの「日清のどん兵衛 特盛 ラーメンスープの!? きつねそば」は、やってみたら不味かった。台がわりで台なし。残った特盛カップ麺で台がわりの「日...

  • うそからでたまこと

    虚珈新聞 2023(令和5)年4月1日 「コーヒー小説の虚構性についてお詫び」 嘘か?真実か? 2023年2月29日付け本紙記事「ChatGPTによるコーヒー嘘(うそ)小説」につきまして、このたび記事の一部が実際に生じている事象であるとわかりました。虚珈(キョコー)世界の出来事を報じることを目的とする本紙におきまして、記事の一部が既に現実となっていましたことを、関係者と読者のみなさまに深くおわびいたします...

  • 分断するブレンド

    春の夕暮れ、中山道太田宿にある「HUT BOOKSTORE」(ハット ブックストア)を訪ねた。この小さな本屋にあるさらに小さな展示スペースでは、写真展「台灣書店の記憶」が催されていた。台湾で営まれている書店31店舗を撮った写真が150点ほど、これを提供したのは設立から丸10年を経た台灣獨立書店文化協會。どこか懐かしくて心が落ち着くような、それでいて尖っていて心が騒ぎ躍るような…本屋の中で本屋の写真を観る。 「HUT...

  • 仮面の世界

    1971年3月30日、アメリカ合衆国のシアトルでは、コーヒー・茶・スパイス販売店「スターバックス」(Starbucks)が開業した。その頃、東京都町田市の鶴川街道では、テレビドラマ「仮面ライダー」の撮影中、オートバイで走行していた藤岡弘(本郷猛:役)が事故を起こして左大腿部複雑骨折の重傷を負った。1971年4月3日、「仮面ライダー」(毎日放送・東映:製作)の放送が開始された。それから約52年を経て、映画『...

  • コーヒー番組 5

    録りためてあったコーヒー関係のTV番組から7つを一気に観る。それでコーヒーの何かがわかるのか? 「琥珀色の島を夢見て ~TOKIO、沖縄コーヒーと出会う~」を観る。(RBC 2022年11月26日放送/CBC 同年12月18日放送) 和田浩二(琉球大学教授)曰く、《北緯25度から南緯25度の間の地域ですね、これがコーヒーベルトというふうに言われています。で、沖縄は北緯26度というところに位置するの、コーヒー栽培に...

  • なんでもどこでもいっぺんに

    《ところでまた、世界は無限に数多くあり、そのあるものは、われわれのこの世界に類似しているが、他のものは、類似していないのである。(略) というのも、世界がそれから生じうるような、あるいは、それらによって形成されうるような、そういったもろもろのアトムは、一つの世界のために、あるいは限られた数の世界のために──それらの世界がわれわれの世界に似たものであろうと、異なったものであろうと──使い尽くされてしまっ...

  • みのかも颯と

    【風景をなぞる】 2023年2月25日、大縣神社(愛知県犬山市)の梅園を観てから、みのかも文化の森(岐阜県美濃加茂市)を訪ねて、美濃加茂市民ミュージアムで現代美術レジデンスプログラム「風景を愛でる」(日下部一司)を観る。 《来春1月に予定している美濃加茂市民ミュージアムでの個展の準備で4泊5日で滞在させていただいた。 滞在5日のうち2日間は移動で使用するので、実質3日間美濃加茂市の風景を撮影した...

  • 珈琲呟語 7

    珈琲呟語(こーひーげんご)。TwitterやFacebookでつぶやいたコーヒー関連のもの、ここ約1ヵ月間分から少し拾う。 「Gesha(ゲシャ)/Geisha(ゲイシャ)」問題は旦部さんの言う通りなワケで正解はない。んなことより例えばエチオピアの地名&商標名としては「イルガチェフェ」の表記ブレ・発音ブレの方がはるかに激しいのだが、こちらは何故かあんまり騒がれないんだよなwで私も以前は表記も発音もブレブレだったんだけど、今は...

  • 珈琲呟語 6

    珈琲呟語(こーひーげんご)。TwitterやFacebookでつぶやいたコーヒー関連のもの、昨12月中旬より約1ヵ月半分から少し拾う。 どんなコーヒーが好いのかは人それぞれ。「お似合いですよ」って他人に薦められるのが嬉しいならば、それもケッコウ。でも自分で好き嫌いや良し悪しを選びたいのであれば、耳を貸すこともない。先ずは「こんなコーヒーってイイよね」って垂れ流される呟きの同調圧力から離れてみては如何でしょう。 〔...

  • 超絶技巧とは何か?

    ‘超絶技巧’とは何か? Web『笑える国語辞典』に曰く、《超絶技巧とは、主に音楽の世界で、並みの演奏家にはとても演奏できない難易度の高い演奏技術を言い、フランツ・リストの『超絶技巧練習曲』(誰が「練習」できるんだという)がよく知られている。近年この語は美術の世界に取り込まれて、凝りに凝って他者がまねできない職人技を指すようになっている。(略) 果物や野菜そっくりの牙彫や巨大なカニがはりついているといった...

  • 蕎麦に居るね 54

    【家系蕎麦】 ここで言う‘家系蕎麦’は、家業が蕎麦屋でもなければ累代に継ぐ蕎麦の作法や品目があるわけでもないので‘家系(かけい)蕎麦’ではないし、吉村家を総本山とする系統の豚骨醤油ラーメンの蕎麦版でもないので‘家系(いえけい)蕎麦’でもない。自宅という意味での家(うち)で食す蕎麦、だから‘家系(うちけい)蕎麦’である。 2023年1月17日、「イカ明太釜玉そば」を作って食す。木曽路御岳そば(乾麺:霧...

  • 秘密を洩らす

    『コーヒープラネット 知られざる各国のレシピと憩いの文化史』(ラニ・キングストン:著 和田侑子:訳 グラフィック社:刊 2022)を遅まきながら読んだ。原著“Spill the Beans: Global Coffee Culture and Recipes”(Gestalten:刊 2022)は、オーストラリア出身のフード・ライターであるラニ・キングストン(Lani Kingston)によるもの。“How to Make Coffee: The Science Behind the Bean”(Harry N. Abrams:刊 2015)と“Londo...

  • ウィズアウト コロナ

    【太陽マヂックのコロナ】 宮沢賢治(1896-1933)の作品に‘コロナ’を拾う。それは、数字をともなって「太陽マヂックのうた」などに登場する。 《コロナは七十六万二百 / コロナは六十三万二百 / コロナは三十七万十九 / コロナは六十七万四千 / コロナは八十三万五百 / コロナは六十三万十五 / コロナは三十七万二千 / コロナは八万三千十九 / コロナは十万八千二百 / コロナは三十七万二百》 (「イーハトーボ農学校...

  • 珈琲の夢新世

    日本珈琲狂会(Coffee Lunatic Club of Japan:略称CLCJ)は、2010年の2月6日に生まれた。創設13周年を迎えた今般、これを記念して随想を掲げる。 【コーヒーでいい】 《喫茶店で人を待っていると、隣の人が、ウエイトレスに「コーヒーでいいです」と言って、コーヒーを注文している。「で」の使い方に違和感を覚えた。(略) むしろ、諦め、譲歩し、遠慮し、気を使い、自分を犠牲にするような物腰だけが、場違いなと...

  • ハレンナとステノフィラ

    ふと、『世界の絶滅危惧食』(ダン・サラディーノ:著 梅田智世:訳 河出書房新社:刊 2022)という本が目にとまって読んでみた。UK(英国)のフード・ジャーナリストによる原著“Eating to Extinction: The World's Rarest Foods and Why We Need to Save Them”(Dan Saladino:著 Jonathan Cape:刊 2021)の日本語版である。 曰く、《何千年もの時を経て、食物、料理、そして食事は、人間の想像力のこのうえなく雄弁な表現に...

  • あえて言おう、カスであると!

    コーヒーグラウンズ(coffee grounds)とは何か? 3つある。1つは、コーヒー農園(正確には圃場)。この場合の‘grounds’は、「場」である。もう1つは、飲み終わったコーヒーカップの底に残った固形の沈殿物。この場合の‘grounds’は「澱(おり)」である。残り1つは、コーヒーを抽出した後の残滓。この場合の‘grounds’は「滓(かす)」である。意味が3つもあるから、ややこしい。ちなみに、グラウンド(ground)は「砕く」意の...

  • マイナスにとびこめ

    ばくはつだ! ばくはつだ! ばくはつだ! げいじゅつだ!べらぼうな ゆめはあるか でたらめを やってごらんじぶんの なかに どくをもて じぶんのさだめに たてをつけうまくあるな きれいであるな ここちよくあるなマイナスに とびこめ タローマン 【でたらめに他人の歌を歌えばいいんだよ】 音楽、それはいつも人々の心を楽しませるものである。しかし、またそれにより心かき乱される者たちもいる。2023年1月18日...

  • 朝ごはんのコーヒー

    ふと、『朝ごはんと俳句365日』(船団の会:編 人文書院:刊 2018)という本が目にとまって読んでみた。曰く、《…この本には二〇一七年五月から二〇一八年四月に及ぶ一年間の朝ごはんが記録されている。記録したのは俳句グループ「船団の会」の会員たちである》(坪内稔典 「はじめに」)と。 さて、『朝ごはんと俳句365日』に取り上げられた365の‘朝ごはん’から、私はコーヒーを含めた嗜好飲料を拾ってみた。もちろん...

  • 愛の宙吊り

    岐阜県現代陶芸美術館のあるセラミックパークMINO(岐阜県多治見市)は、磯崎新(1931-2022)が設計したもので、2002年10月12日にオープンした。同日の深夜(正確には日本時間で日付が翌13日へ変わった頃)にバリ島で爆弾テロ事件が生じた。この事件について後に鳩山邦夫(1948-2016)は、《私の友人の友人がアルカイダなんですね。(略) 彼はバリ島のあの中心部の爆破事件に絡んでおりましたけれども、私は彼の友人の...

  • 逝きし世の狂児

    2022年12月25日、渡辺京二が逝った。石牟礼道子(1927-2018)が死んでから1779日後である。臼井隆一郎とオオヤミノルと前山光則の文を抄出しながら、渡辺京二(1930-2022)とコーヒーを追って悼む。 《植民地化した地方を、コーヒーや砂糖という国際的商品のモノカルチャー化してゆくことを最初にやったのはオランダで、その場所はジャワです。以来、西インド、南米、アフリカがそ.ういった国際商品の産地とされ、...

  • 蕎麦に居るね 53

    【はす太郎】 「ゆで太郎」で蕎麦を食すこと時折、秋から冬へ。 2022年9月25日、ゆで太郎システム尾張旭195号店(初訪)で「冷し薬味そば」にクーポンでかきあげ添え。同年9月29日、ゆで太郎システム大口町191号店(以下同)で「冷し薬味そば」にクーポンで海老天付き。同年11月5日、「海老としめじのかきあげそば」(冷)。 同年12月3日、「小柱と春菊のかきあげそば」(冷)、冬の無料クーポンを得る...

  • 兎追いし

    壬寅(じんいん)のとなりにだれかがそっと腰かけた。壬寅はとなりの干支に訊いた。「あなたはいったいだれですか?」 となりの干支はほほえんだ。「私の名前は癸卯(きぼう)です」 2022年12月9日、白川公園(名古屋市中区栄)で〈ボールをつかむ爪の上の野兎〉を観る。彫刻家のバリー・フラナガン(Barry Flanagan 1941-2009)による作品(ブロンズ製 1989-1990)で、宙へ跳び出しそうなウサギが公園北西出入口(水...

  • 卯は宇宙の卯

    コーヒーにウサギ注ぎてマンデリンとかモカとかの差がわからない (鳥目散帰山人) 【卯は宇宙の卯 其ノ壱 スマトラウサギ】 スマトラウサギ(Sumatran striped rabbit:Nesolagus netscheri)に新春の賀詞を騙らせてから12年を経て、また卯(う)年。この間、インドネシアのスマトラ島に棲むスマトラウサギは、2017年2月に南スマトラ州ラヤ山の生物保護区で地元のコーヒー農家に目撃され、2018年2月に南スマトラ...

  • 新しい戦前

    「徹子の部屋」に出演したタモリ(森田一義)は、「来年はどんな年になりますかね?」と黒柳徹子から問われて、「誰も予測できないですよね、これはね。でも、何ていうかな、‘新しい戦前’になるんじゃないですかね」と答えた(テレビ朝日系 2022年12月28日放送)。 2023(令和5)年は‘新しい戦前’になるのだろうか? ‘新しい戦前’はいつからで、いつまでなのだろう? 《岸田文雄首相が率いる自民・公明政権は、日...

  • アウォード2022発表!

    日本珈琲狂会と日本コモディティコーヒー協会が、アウォード2022を発表する。 “CLCJ Award 2022”(日本珈琲狂会アウォード2022)発表! 【ヴェルジ賞】(Verde Award)「世界コーヒー選手権大会のロシア参加停止」 : Specialty Coffee Association(SCA) 〔授賞理由〕 スペシャルティコーヒー協会(SCA)は、ロシア軍によるウクライナ侵攻を批難するという理由で、同団体が主催するWorld Coffee Championships(...

  • 暗褐色の小噺 2

    【暗褐色の小噺】「こちらのお店は自家焙煎ですか?」「はい、そうですよ」「焙煎機が見えませんね」「この店にはありません」「え?」「焙煎しているのは地球の裏側にある私の自宅ですよ。だって自家焙煎だもの」〔Twitter 2022.12.17〕 【暗褐色の小噺】「こちらのお店は自家焙煎ですか?」「はい、そうですよ」「マスターが焙煎しているのですか?」「いいえ、違います」「え?」「私が焙煎したコーヒーではあなたにとって他家...

  • 暗褐色の小噺

    【帰山人のコーヒーQ&A】コーヒーのコクって何ですか?マイルドじゃない感じをコクと呼びます。そうネスレ日本が位置付けているのですから異論は認めません。〔Twitter 2022.11.07〕 【暗褐色の小噺】「オススメは?」「紅茶だね。ウチは珈琲屋だけど紅茶もこだわって、リーフでしか淹れないしリーフでしか売らない」「ティーバッグは?」「ダメ。味がどうこうより手間を惜しんじゃダメだよ」「コレは何ですか?」「あぁ、新発...

  • 珈琲呟語 5

    珈琲呟語(こーひーげんご)。TwitterやFacebookでつぶやいたコーヒー関連のもの、ここ約1ヵ月間分から少し拾う。 コーヒーの熱狂的マニア(髙津晶史氏)の部分を観た。 「なるほどなぁ、出る方も撮る方も、こう演(や)るのかぁ」という意味合いで、なかなか学ぶところが多かった。同時に、コーヒーの世界が遥か遠くへ消えていく感じも味わえた。 〔2022.11.04〕相変わらず手厳しい。オレでもここまで言えない(笑)番組は作...

  • 集う楽しさ

    2022年12月4日、日本コーヒー文化学会(JCS)による催事をオンライン(YouTube)で視聴した。この第29回年次集会の開会の辞で、井谷善惠(第4代会長)はこう言った。 《…日本コーヒー文化学会は創立30周年を迎えようしております。(略) 次に繋げるために皆(みんな)で何か明るく楽しいことを考えていきたいと思っております。中には「こんなこと言ってもなんか夢物語で終わるんじゃないか」とか「不可能じゃないか...

  • おいしいコーヒーが飲めますように

    『おいしいごはんが食べられますように』(高瀬準子:著 『群像』2022年1月号 講談社:刊 初出/単行本 講談社:刊 2022/第167回芥川龍之介賞受賞)を読んだ。この小説には、‘ごはん’だけでなく‘コーヒー’も登場するが、言葉として表れるだけで飲用の場面は描かれない。以下、抄出(頁数字は単行本による)。 《定時を過ぎて、一息いれようと給湯室へコーヒーを淹れに行った二谷さんを飲みに誘った。二十時過ぎに二人...

  • コスタリカの誘惑

    山本奈衣瑠は、ヤマト運輸のテレビCM「いつものカフェ」篇(2020年11月24日公開)では「J-CAFE」(実は café 1886 at Bosch/東京都渋谷区渋谷)でコーヒーを買っていたが、片岡物産のテレビCM「私はモンカフェ。」篇(2022年10月20日公開)では「RIVERSIDE CLUB」(旧:The Workers coffee/bar/東京都目黒区青葉台)でコーヒーを淹れていた。いずれも、トランジットジェネラルオフィスが運営するカフェが映るCM...

  • ホンジュラスの光と影

    コーヒーを識(し)るとき、「○○を知るための○○章」でお馴染みのシリーズ本‘エリア・スタディーズ’が効(き)くことは、少なからずある。その中でも、2022年夏の新刊『現代ホンジュラスを知るための55章』(中原篤史:編著 明石書店:刊 2022)は、コーヒーを識るに効き目が最強である。以下、同書で木下雅夫が執筆を担った第22章「ホンジュラスとコーヒー 中米「コーヒー大国」の光と影」より一部を抄出。 《中南米が対...

  • もみぢ二景

    2022年11月11日、「まめ蔵」(岐阜県土岐市下石)でコーヒー(タンザニア・サウステラ)を飲みながら店主らと日暮れるまで談ずる。 それから、穴弘法(土岐市土岐津)を2年ぶりに訪ねる。「穴弘法もみじと100地蔵のライトアップ」開催中、池に映る‘逆さ紅葉’を眺め、岩穴の石仏に灯を供え、高山城跡へ登って‘もみぢ’を観る。予想ほどに人出がないので、夜景の‘もみぢ’狩り放題。 2022年11月1...

  • 風土を喰らふ

    喰らうは生きる 食べるは愛する いっしょのご飯が いちばんうまい (映画『土を喰らう十二ヵ月』 キャッチコピー) 『土を喰(くら)ふ日々 わが精進十二ヶ月』(水上勉:著 文化出版局:刊 1978)について、「この本こそ 今、日本で唯一読む価値のある食べ物の本なんだ!」(漫画『美味しんぼ』33 第5話「驚きの味」後編 花咲アキラ:画 小学館:刊 1991)と原作者の雁屋哲は山岡士郎に言わせた。確かに《読む価値のある...

  • 日曜日の遊び方

    愛知県の尾張旭市が「おいしい紅茶日本一のまち」を名乗るようになって11年が経った。これは日本紅茶協会が認定する「おいしい紅茶の店」が、基礎自治体(市・町・村・特別区)別の人口1人当たりの店舗数で最も多くなった2011年より始まった。その後に実店舗数でも最多となった尾張旭市は、今でも《令和3年11月1日時点では、尾張旭市内の15店舗が「おいしい紅茶の店」として認定されており、名古屋市、大阪市と同数で...

  • アートの世界

    【世界を変える?】 2022年10月14日、英国(UK)のナショナル・ギャラリーの第43室で、エコテロリズム団体「ジャスト・ストップ・オイル」(Just Stop Oil)のフィービー・プラマー(Phoebe Plummer)とアナ・ホランド(Anna Holland)が、ハインツの缶入りトマトスープを〈ひまわり〉(フィンセント・ファン・ゴッホ:画 F454 1888)へ投げつけた。 その約31時間後、私は‘ジャスト・ストップ 「ジャスト・ストップ...

  • 珈琲呟語 4

    珈琲呟語(こーひーげんご)。TwitterやFacebookでつぶやいたコーヒー関連のもの、ここ約3週間分から少し拾う。 奥山儀八郎『日本の珈琲』(原題『珈琲遍歴』)の怖ろしさの例:「新元会」pp.83-841. 引用資料〈芝蘭堂新元会図〉自体が西暦表記を1年違えた2. 1のママにした奥山はさらに和暦の「閏」(うるう)を落として誤記3. 原資料と奥山の本とで二重に誤っているネタ元が完成4. 後に寺下辰夫らが引っ掛かって誤謬...

  • 紅茶の日に想う

    11月1日は「紅茶の日」である。日本における「紅茶の日」は、1983年に日本紅茶協議会(翌1984年に日本紅茶協会へ改組)が捏造した故事を掲げて制定された。 《海難にあってロシアに漂着した日本人、伊勢の国(現在の三重県)の船主、大黒屋光太夫他2名は、ロシアに10年間滞在せざるを得なかった。 帰国の許可を得るまでの辛苦の生活のなかで、ロシアの上流社会に普及しつつあったお茶会に招かれる幸運に恵まれた...

  • とどまる・ととまる・のどまる

    寒露(かんろ)末日の2022年10月22日、GALERIE La Paix(ガルリ ラペ:名古屋市昭和区)を訪ねて、小川友美展「とどまる」を観る。 《ここにとどまる じっと動かない 根を張り、地中からいろんな養分を吸収し、地上をささえる 瞬発的に感情を版へぶつけることができるドライポイント(直接凹版技法)の手法で、人間関係の中で生じる情動、身体の感触を版に刻む。 先へ先へ何かを掴もうと、ニードルを持つ手を思うが...

  • テンペスト

    『機動戦士ガンダム 水星の魔女』が、2022年10月より始まった。このテレビアニメは始まったばかりだが、ウィリアム・シェイクスピア(1564-1616)の戯曲『テンペスト』(“The Tempest” 初演1611/松岡和子:訳 筑摩書房:刊 2000)で、その起承転結を愚推する。 《(傍白) 二人とも相手の虜になっている。速やかに事は運んだが、ひと苦労させなくてはなるまい。手軽に勝ち得てはせっかくの宝も手軽にあしらわれる。》 (...

  • 大川パーコで遊ぶ

    私が「大川パーコ」の実物に見(まみ)えたのは2022年7月18日に「カフェ・アダチ ギャラリー」(岐阜県関市)で、また同機を作動させたのは2022年8月12日に「喫茶 星時」(岐阜市)でだった。その後、「大川パーコ」の所有者より改めて直に借り受けて、3回ほど遊んだ(今般の貸出しを快諾された平田敬雄・久美子の両氏に感謝します)。 《如何に上等の珈琲をお求めになつても、入れ方が下手でしたら決して美味し...

  • 五色の襤褸舟

    《内海を巡回する航路があるとします。すると海上の一点は、船の前とも後ろともつきません。しかし私の生まれた座標が、ここからは未来と感じられやすい、というふうには申せましょう》 (津原泰水 「五色の舟」/『NOVA 2 書き下ろし日本SFコレクション』 大森望:編 河出書房新社:刊 2010) 津原泰水(つはら やすみ)が、2022年10月2日に死んだ。そして、どこか余所の世界──SARS-CoV-2が誕生しなかった世界、凄まじ...

  • 珈琲呟語 3

    珈琲呟語(こーひーげんご)。TwitterやFacebookでつぶやいたコーヒー関連のもの、ここ約1ヵ月分から少し拾う。 さて、読んでから読むか、それとも、読んでから読むか… 〔2022.09.12〕 奥山儀八郎(1907-1981)は死んでいなかった!? 講談社はなぜ「口寄せ」記事を掲げて恥じないのか? 〔2022.09.14〕 グッバイ・ゴダール! (悼詞です。作品名としては画像と一致していません) 〔2022.09.14/ジャン=リュック...

  • 珈琲偏歴

    コーヒーを愛好し研究するに俊秀たる旦部幸博(たんべ ゆきひろ)が解説したコーヒー本を読んだ。『日本の珈琲』(奥山儀八郎:著/旦部幸博:解説/講談社学術文庫2735 講談社:刊 2022年9月)である。原題は『珈琲遍歴』で、その初版が四季社より1957年に刊行され、さらに旭屋出版より1973年と1984年に再刊された。今般の復刊は1973年版の『珈琲遍歴』を底本としたものであるが、巻末にあった「日本珈琲文...

  • 秋の珈琲狂句

    10月1日は、「コーヒーの日」(全日本コーヒー協会制定)であり、「国際コーヒーの日」(国際コーヒー機関制定)であり、日本コモディティコーヒー協会(CCAJ)の創設記念日である。いずれも、およびでないし、うんこくさいし、うさんくさいし、ばかばかしい。今秋は、俳句なのか漫俳なのか川柳なのか判らないような珈琲の狂句を吐く。 冷ゆるコーヒー新年度また値上げ(ひゆるこーひーしんねんどまたねあげ) 木犀の香を殺...

  • ロマプロとファーブラ

    ♪ ロマンティック 恋の花咲く 浮かれモード… ‘陶芸’も‘オタ芸’も、芸術と産業の間隙から生じた。だが、‘陶芸’の始原が定かでないのに比して、‘オタ芸’の発祥はモーヲタが打ち始めたことに因ると推定される。その打ち曲「ロマモー」(ロマンティック 浮かれモード/藤本美貴:歌 つんく:詞・曲)は、2002年9月に発売された。その翌10月に岐阜県現代陶芸美術館(岐阜県多治見市)が開館した。2021年11月より施設(空調...

  • 味覚と快楽の螺旋 3

    某ブログのコメント欄で《『美味しいコーヒーって何だ?』は「絞殺る」(しめる)。『私はコーヒーで世界を変えることにした。』は「夢想る」(ゆめみる)。『お望みなのは、コーヒーですか?』は「曲球る」(まがる)。『彼女はカフェオレの夢を見る』は「念波る」(おくる)。『コーヒー学検定《上級》 金沢大学編』は「演技る」(えんじる)。》などと遊ばれていた、その頃に放送されたTVドラマ 『ガリレオ』第2シーズンの第六...

  • 饒舌のパレード

    映画『容疑者Xの献身』(2008)には、原作小説(2005)に登場しない内海薫(柴咲コウ:演)が居た。映画『真夏の方程式』(2013)には、原作小説(2011)に登場している内海薫が居なかった。映画『沈黙のパレード』(2022)には、原作小説(2018)に登場している内海薫が居る。内海薫は居るのか居ないのか?ハッハッハッハッハ…さっぱりわからない。ブレまくってる。問題には必ず答えがある、だけどそれを直ぐに導き出せるとは限ら...

  • 秋夜に珈琲小咄

    三遊亭圓窓(六代目)こと橋本八郎が、2022年9月15日に歿した。そこで、コーヒーの雑話に添えて圓窓による珈琲小咄(こばなし)を拾ってみる。 《名古屋市東区の加藤珈琲店栄店は、テイクアウト用のコーヒーを為替相場に応じて1杯1ドル(税抜き)で販売している。2日に1ドル=140円台に突入したことを受け、3日の販売分は過去最高値の1杯140円となる見通しだ。 名物の「1ドルコーヒー」はSサイズで、税込...

  • デギュラス!

    ジャン=リュック・ゴダール(1930-2022)が2022年9月13日に死んだ。その5年前の2017年9月13日に映画『グッバイ・ゴダール!』(Le Redoutable 2017)がフランスで一般公開された。1968年の五月革命の前後を背景にゴダールの‘政治の季節’を描いた『グッバイ・ゴダール!』において、グレゴリー・ガドゥボワは映画監督ミシェル・クルノー(1922-2007)を演じた。そして、1789年のフランス革命の前夜を背景と...

  • 珈琲呟語 2

    珈琲呟語(こーひーげんご)。TwitterやFacebookでつぶやいたコーヒー関連のもの、ここ約1ヵ半月分から少し拾う。 「アストリッドとラファエル 文書係の事件録」日本語吹き替え版を見逃し配信で観た。コーヒーを飲まないアストリッド・ニールセン(サラ・モーテンセン:演/貫地谷しほり:声)が好い。 〔2022.07.28〕 コーヒー業界が言い募る「ただ苦いだけではない」とか「ただ酸っぱいだけではない」とか、もう聞き...

  • 腹の中に流して 後篇

    〔承前〕 《作品のテーマは「腹の中」。白地に黒い線というモノトーンで表現することが多い水戸部さんが、今回は色彩を採用。 「かつて家族の暮らしがあった私的な場所。生活感、人のいた気配などこの場所や人々と向き合い、感じた思いを表現したい」と意欲を語った。》 (『岐阜新聞』中濃版 2022.08.26 沢野都)《水戸部さんは二〇年の第二十三回岡本太郎現代芸術賞で入選、群馬青年ビエンナーレ2021に入賞するなど注目の...

  • 腹の中に流して 前篇

    2022年9月3日、中山道太田宿界隈(岐阜県美濃加茂市)で開かれているアート催事を訪ねて遊ぶ。 「きそがわ日和2022 アーティスト・イン・レジデンス 水戸部春菜展 腹の中」 (主催:特定非営利活動法人 きそがわ日和) 《日常が一変することを、人はとてもよく知っていると思う。 きそがわ日和に呼んで頂いて、とても光栄だった。 頑張ろう頑張ろうと意気込んできたものの、悩んで。今も悩んでいる。 なかなか作品が...

  • 蕎麦に居るね 52

    【開店記念500円】 「小木曽製粉所(おぎそせいふんじょ)」(春日井店:愛知県春日井市)が、2022年7月13日に開店した。FC契約によるイフスコダイニング(名古屋市中区)の運営では、大垣店・清須店に続く3店舗目。2022年7月15日に春日井店を初訪、ざるそば(中)にミニ山賊焼き(鶏もも肉の揚げ物)が付く「グランドオープン記念セット」(期間限定/500円)を食す。7月20日にも7月24日にも7月...

  • なつともし2022

    夏灯揺れる珈琲ゼリー食む (なつともしゆれるコーヒーゼリーはむ) 鳥目散帰山人 2022年7月2日、8月20日、8月27日、「コクウ珈琲」(岐阜県美濃加茂市)でコーヒーゼリーを食べる。憩いの時。 2022年7月28日、「まめ蔵」(岐阜県土岐市)でコーヒー(ニカラグア・サンタアナ他)を飲む。近隣でカフェを開く陶磁器業者の話など、憩いの時。2022年8月4日、「珈琲タナカ 御成店」(名...

  • どっこい生きてる 其の弐

    「国際芸術祭「あいち」」は、「あいちトリエンナーレ」(あいトリ)から何が変わったのか? 呼称だけでなく運営組織の会長を県知事から民間人へと変えたものの、事務局の所在は愛知県の県民文化局文化部文化芸術課のままである。だが、「国際芸術祭「あいち」2022」の会場を巡りはじめた私は、前回の「あいちトリエンナーレ2019」とは全く異なることを気付かされた。まず、団扇(うちわ)。前回は会場で無償配布していた団扇...

  • マツリとハコ

    2022年8月7日、島田市博物館(ヒストピア島田/静岡県島田市)を訪ねて、第88回企画展「豪華絢爛嶋田の大祭 継承される威厳と伝統」を観る。 《島田大祭は、大井川鎮護や安産の神として信仰されている大井神社の祭りで、始まりは元禄8(1695)年とされています。3年に一度、寅、巳、申、亥の年に行われ、今年で110回を数えます。 祭りの最終日には、神輿が大名行列・鹿島踊・屋台などを伴って、大井神社から御...

  • 戦争と珈琲

    大東亜戦争終結ノ詔書の玉音放送が流されて日本の敗戦が伝えられてから、77年の歳月が流れた。戦争にとって珈琲とは何であるのか? 珈琲にとって戦争とは何であるのか? この機に、森村誠一による随想を抄出して掲げる。 《戦争中敗色濃厚なとき、無い無いづくしの中で父親は柿の葉っぱから珈琲の代用品を作った。珈琲が好きな父親のおこぼれで苦くて黒い液体が好きになった。 終戦が近くなり、無い無いづくしで配給はイモ...

  • 冷し珈琲は如何にして造るか

    冷し珈琲(アイスコーヒー)は、日本の夏の風物詩である。『新版 角川俳句大歳時記 夏』(角川書店:編 KADOKAWA:刊 2022)では、季語‘アイスコーヒー’を以下のように述べている。 アイスコーヒー ㊂〔三夏〕 冷し珈琲(ひやしコーヒー) コールコーヒー[解説] コーヒーを冷たくした飲み物。やや濃いめのコーヒーを氷を入れたグラスに注ぎ、急冷したり、水で時間をかけて抽出したものを冷やしたりする。成分の中の苦味が涼...

  • どっこい生きてる 其の壱

    例えば「世界基督教統一神霊協会」(統一教会)が「世界平和統一家庭連合」(家庭連合)へと改称(2015.08.26)したように、過去4回(2010・2013・2016・2019)催された「あいちトリエンナーレ」(あいトリ)は5回目で「国際芸術祭「あいち」」へと改称(2020.11.17)した。前回の「あいちトリエンナーレ2019」で「表現の不自由展・その後」に端を発した騒動、その非難から逃れて悪印象を拭うための名称変更であること、論を俟...

  • 夏の遊観

    2022年6月27日、本地の郷(愛知県瀬戸市)を訪れて、半夏生(はんげしょう)を観た。片白草(かたしろぐさ)とも呼ばれるドクダミ科の多年草、その群生地でハチやアブやトンボに混じって、半夏生(7月2日)の5日前の遊び。 2022年7月26日、春日井市立中央公民館(北館)の民俗考古展示室を訪れて、企画展「水と生きる 人と水のつながり」を観る。「遺跡と水害」のコーナーで、《神領第2号墳の南側には区...

  • ツキが落ちたのか?

    ツキが落ちたのか? 2022年で満月がもっとも大きく見えるスーパームーンは7月14日の未明、これにあわせて東京上空で200機のドローンが描く映画宣伝のショウは当初の13日夜も延期した15日夜も荒天によって中止となった。その映画『ムーンフォール』の日本公開は、2022年7月29日にAmazon Prime Video(アマゾンプライムビデオ)の配信で始まった。虧月(きげつ)を経たこの日は朔(さく)、すなわち暗月であり...

  • 4つのパーコ

    過般、「さようなら、小森の部屋」(カフェ・アダチ ギャラリー/岐阜県関市)を訪ねた。これまで「小森の部屋」には、第1回(2020.08.03 談議)と第2回(2021.07.24 談議)と第3回(2022.02.23 不入)と第4回(出張 in 星時 2022.05.31 乱入)に訪ねたが、会場である棟を閉鎖予定とのことで《泣いても笑っても最終回。ふざけても真面目でも最終回》の第5回も訪ねて、小森敦也(カフェ・アダチ店主)と談議(2022.07.18)。ユ...

  • 街は誰のもの?

    真宗大谷派系の学校法人同朋学園が運営する名古屋造形大学は、旧の大草キャンパス(愛知県小牧市)から新たな名城公園キャンパス(名古屋市北区名城)へ、2022年4月に移転した。その新校舎(設計:山本理顕 当時学長/施工:大林組)を、2022年6月25日に訪れた。 名古屋造形大学ギャラリーオープニング企画展 「just beyond」 《作品としては、白い半屋外の空間を意識した渡辺泰幸による無数の小さな陶製の鈴を吊...

  • 珈琲呟語

    珈琲呟語(こーひーげんご)。TwitterやFacebookでつぶやいたコーヒー関連のもの、ここ約1ヵ月分から少し拾う。 栄ミツコシマエヒロバスのブルーボトルコーヒートラック40人待ちの行列を見てから(そもそも並ぶ気はないw)、大須万松寺通り商店街の松屋コーヒー本店まで散歩。冷た~い桃のフローズンを食べながら松下会長と熱~い珈琲談議をしました。 〔2022.06.25〕 結局1960年代のアンナミラーズについてはハッ...

  • コーヒー問う奇談

    夜まで蒸し暑い時季には、背筋がぞっとするような話題も好い。「コーヒー農園の現場主任」という怪異譚が、『コスタリカ伝説集』(エリアス・セレドン:編 山中和樹:訳 国書刊行会:刊 2022)にあった。実に興味深い、コーヒー問う奇談。以下に、抄出。 《コーヒー園では今頃が草取りや畝(うね)づくりの時期で、月明りのすがすがしい夜、コーヒー農園の現場主任が働くショベルの音が絶えず聞こえるという話である。この現場...

  • 蕎麦に居るね 51

    コロッケ蕎麦の記事が『中日新聞』の特報面にあった(2022年7月1日/『東京新聞』は同年6月27日掲載/宮畑譲:文)。それでは、ちょっとコロッケ蕎麦を追ってみる。 《全国各地で盛り上がるご当地B級グルメ合戦。そんな中、立ち食いそばチェーン「名代富士そば」が、コロッケそばを「東京名物」として広めようと、賛同者を募っている。(略) 何はともあれ、まずは富士そばのコロッケそばをあらためて食べてみた。通常...

  • 一口知識 焙煎篇

    抽出篇に続き、「コーヒー 一口知識(ひとくち ちしき)」の焙煎篇を試行版として僅かに作ってみた。〔初出はTwitterやFacebookなどのSNS。以下は、それらをまとめたもの〕 【手編焙煎】(てあみばいせん)煙はこもりませんが、思いがこもります。手編の焙煎は、素人向きなどと半ば小バカにされますが、マフラーやセーターと並んで「思いがこもり過ぎがちな三大手編迷惑」であることも事実。やり過ぎると、手も重(おも)いで...

  • 蕎麦に居るね 50

    【再訪・初訪】 2022年5月21日、「泉屋」(岐阜県郡上市)で「あまごそば」(温)を食す。雨降る郡上八幡で遊び歩く途次、196日ぶりに再訪。但し、前回は臨時休業でフラれたので「泉屋」で蕎麦を食すのは559日ぶり。そして、郡上八幡で「あまごそば」を食すのは「俄」(にわか)で食べて以来2043日ぶり。優しく澄んだ滋味が好い。 2022年5月29日、「一条蕎麦」(愛知県小牧市)で「鴨ぶっかけ...

  • 一口知識 抽出篇

    試行版として僅かに「コーヒー 一口知識」を作ってみた。まずは、抽出篇から。 〔初出はTwitterやFacebookなどのSNS。以下は、それらをまとめたもの〕 【腐乱ネル】(ふらんねる)ネルドリップの布の保管で、水漬けして常温で放置すると、雑菌が繁殖して傷んだりします。これを「腐乱ネル」と言います。「ネルドリップこそ至上」と無闇に唱える方が日本ではかなり多いですが、これも「腐乱ネル」の一種です。 【ド立派ー】(...

  • キリマンジャロをもう一杯

    君去りしけざむい朝 (あした) 挽く豆のキリマンジャロに死すべくもなく (福島泰樹) 石井隆(いしい たかし)こと石井秀紀が、2022年5月22日に死んだ。《どこのニュースも映画監督と書いているが、俺にとっては、全盛期のヤングコミックでローアングルで女を狙っていた、大好きな漫画家だ。名美、いい女だったな》と、いしかわじゅんは呟いた(Twitter 2022.06.10)。その通りだ。 《いささか旧聞にぞくするが、あの...

  • 近づいて遠ざかる

    コーヒーに近づけば近づくほど、コーヒーから遠ざかってしまう。矛盾しているようで、実は現にある事象だ。 「それって!?実際どうなの課」(日テレ系 中京テレビ)の2022年6月2日の放送で、ワイルドスピード森川(森川葵)がラテアートに挑戦していた。「ROAR Coffee House & Roastery」(ロアーコーヒーハウス&ロースタリー)の松島正史が指導したラテアートは、初級のハートから中級のレインボーチューリップを経て上...

  • パルマコンと紫陽花 三度

    【単葉田子の腐臭】 2022年5月8日、ヒトツバタゴ自生地(愛知県犬山市西洞)を訪れて、花咲く単葉田子(ひとつばたご)を観た。363日前に観た時は私有地だったが、犬山市が昨年度までに調査料・鑑定料・購入費・補償費などで計約832万円(うち約665万円は国庫補助)を投じて今季は公有地となっていた。その変化に係わらず、単葉田子はほのかに甘い匂いを漂わせて白い花を咲かせていた。そこに薄く腐臭も感じて、...

  • あんそろ珈琲の随一

    「あんそろ珈琲」とは、『日本の名随筆 別巻3 珈琲』(清水哲男:編 作品社:刊 1991)と『こぽこぽ、珈琲』(杉田淳子・武藤正人:編 河出書房新社:刊 2017)と『作家と珈琲』(平凡社編集部:編 平凡社:刊 2022)、このコーヒー絡みのアンソロジー3冊を一括りに私が称したものである。このアンソロジー3冊(計102名による計112篇)の中で至高にして随一の作品、それは別役実(1937-2020)による「コーヒー 珈琲」であ...

  • 出来の悪い話

    「ジオンの歴戦の勇士ドアンも、巨大な戦争が生み出した男だ。戦争孤児を守る為に戦う男の姿にアムロは憎しみを越えた戦いをする、爽やかな感動をこめて。機動戦士ガンダム、次回「ククルス・ドアンの島」。君は、生き延びることができるか?」 (永井一郎:声/TVアニメ『機動戦士ガンダム』次回第15話予告 1979.07.07) 《ただ「‘神回’と言われて」とかいろいろおっしゃっていただいたんですけども、何のことはない出来の悪い...

  • 維夏の日乗

    立夏をはさんでコーヒーを喫(の)んで観て聴いて談ずる、維夏(いか)の日乗(にちじょう)。 2022年4月22日、コーヒーアミーゴス中部が主催するオンラインセミナー「コーヒー豆が日本に運ばれるまで from Ethiopia」を視聴する。講師は二宮和則(トランスシーガル)、進行は大西文明(コーヒー サクラ)。《どう言ったらいいかな》と言いながら《かわいそうを商売にしている人もいるが、それはちょっと違うんじゃない...

  • 鐘の音が響く

    映画『トップガン』(Top Gun/1986)は、アート・ショル(1931-1985)に捧げられている。1985年9月16日、曲技パイロットのアート・ショルはピッツS2機に載って『トップガン』制作の空撮中に太平洋へ墜落して死んだ。 1986年に日本で公開されたトム・クルーズ出演の映画は2本、同年12月6日公開の『トップガン』と、その1週後12月13日公開の『ハスラー2』(The Color of Money/1986)である。私は、同年12...

  • 変態とパンジー

    《自分のやる事をあらゆる角度から徹底的に研究するのは、野蛮人と農民と田舎者だけである。それゆえ、彼らが思考から事実に到るとき、その仕事は完全無欠である。》 (オノレ・ド・バルザック 「骨董室」/クロード・レヴィ=ストロース 『野生の思考』 大橋保夫:訳 みすず書房:刊 1976 エピグラフ/原著 Claude Lévi-Strauss “La Pensée sauvage” 1962) 『シン・ウルトラマン』 観賞後記(「空疎と傲慢。そして、憂情。」)...

  • アートとコクウ

    小寒末候の2022年1月16日、「コクウ珈琲」(岐阜県美濃加茂市)の店内に小林椋氏の作品が置かれた。マンデリンを飲みながら、気になるような木にならないようなキネティックで奇怪で機械なアートを観た。 穀雨末候の2022年4月30日、「コクウ珈琲」の客席の間に置かれた衝立(ついたて)が伊藤千帆氏と小川友美氏の作品と化していた。イタリアンブレンドを飲みながら、それまでは透明であっても視線を妨げていたモ...

  • 空疎と傲慢。そして、憂情。

    ウルトラマンに穴があるのだとすれば、それは空疎な覗き穴か節穴、あるいは傲慢な抜け穴か落とし穴である。ウルトラマンに穴がないのだとすれば、それは憂情である。 《むろん、『ウルトラマン』がトリック映像の集積であり、怪獣もぬいぐるみで戦闘機もおもちゃの模型だということは、子供の眼にも明らかである。『ウルトラマン』の科学的世界は種も仕掛けもある手品であることを自ら暴露しており、いわばあちこちに「穴」があ...

  • あんそろ珈琲 後篇

    〔承前〕 それでは、「あんそろ珈琲」の各論を一つ。さて、《読んでいる時に詰まったり、引っ掛かったりする、すなわち思考する行為がない読書はつまらない》(庄野雄治 「はじめに」/『コーヒーと随筆』 mille books:刊 2017)という意見もある。『作家と珈琲』(平凡社編集部:編 平凡社:刊 2022)を読んでみると、有吉玉青の「緑の珈琲」に《詰まったり、引っ掛かったりする》。 《母・佐和子が珈琲について書いた文章が...

  • あんそろ珈琲 前篇

    2022年1月にコーヒー絡みのアンソロジーが発売された。『作家と珈琲』(平凡社編集部:編 平凡社:刊 2022)である。 『作家と珈琲』は、『作家の珈琲』(コロナ・ブックス編集部:編 2015)ではない。どちらも平凡社が発行した本だが、同じではない。コロナ・ブックスの「作家の──」シリーズは、『作家の食卓』(2005)から『作家の猫』(2006)・『作家の犬』(2007)・『作家のおやつ』(2009)・『作家の酒』(2009)...

  • 超熟のちぎり絵

    近親者や配偶者を亡くした人は、年が明けると千切ったり貼ったりしたくなるのだろうか? 例えば、和紙ちぎり絵を48歳から始めた亀井健三(1918-2002)、或いは、新聞ちぎり絵を89歳から始めた木村セツ(1929-)。 《そこに思わぬ転機がきた。12月中旬、私の父の死去と翌年正月の服喪がそれである。 静かな寂しい服喪の正月。ふと思いたって中野先生にもらった和紙と手本の短冊を取り出し、自分で貼ってみる気になった。短冊...

  • 味覚と快楽の螺旋 2

    湯川学(帝都大学理工学部物理学科教授)がインスタントコーヒーを好む理由は、‘科学文明の匂いがする’(文藝春秋Web『本の話』 特集「なぜ湯川はインスタントコーヒーを偏愛するのか? ガリレオシリーズとインスタントコーヒーの特別な関係」 2021.09.18)からなのか…さっぱりわからない。実に面白い。 《湯川は立ち上がり、ドアの横にある流し台のところへ行った。「さてと、コーヒーでも飲むかい?」 「俺は結構。どうせイン...

  • コーヒー番組 4

    録りためてあったコーヒー関係のTV番組から7つを一気に観る。それでコーヒーの何かがわかるのか? 「プロフェッショナル 仕事の流儀」の「ロープ1本で、世界の平和を守る」(file:503)を観る。(NHK総合 2022年2月22日放送) 土木技術者の山口宇玄(たかはる)曰く、《ぼく自身はコーヒーが苦手です。子ども舌なんで苦いのがダメなんですよ。ただあの妻がねコーヒーが好きだったんで、嗜好品だったらいいものをなん...

  • 巴里の空の下コーヒーのにおいは流れる

    『パリのすてきなおじさん』(金井真紀:文・絵 広岡裕児:案内 柏書房:刊 2017)を遅まきながら読んだ。巴里(パリ)の空の下コーヒーのにおいは流れるか? 《しばしば取材先でお菓子が出る。喜んでいただく。甘いものが苦手な広岡さんの分までいただく。だが、フランスのお菓子は総じて甘過ぎる。取材が終わる頃には体じゅうに甘味がまわって、わたしは「にがいものか、からいもので中和したい!」と騒ぐことになる。だいた...

ブログリーダー」を活用して、kisanjinさんをフォローしませんか?

ハンドル名
kisanjinさん
ブログタイトル
帰山人の珈琲漫考
フォロー
帰山人の珈琲漫考

にほんブログ村 カテゴリー一覧

商用