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  • オヤジのあくび581

    安部龍太郎「海の十字架」を読む2 足利将軍による治世を終わらせたのは織田信長であるが、信長が上洛する前の洛中の支配者は三好長慶であり松永弾正であった。「蛍と水草」はその内部抗争を描いている。 三好兄弟が次から次へと銃撃され、全て松永弾正の思うがままになっていく様子に救いはない。作者は三好長慶と冬康が交わした連歌にわずかな一滴の潤いを求めたのだろうか? 続く話は、大浦為信(津軽為信)、弘前藩の初代藩主。まだ津軽藩の一家臣に過ぎなかった為信が、畿内の信長の活躍に触発され津軽の信長を目指す話。彼の活躍以降、現在の青森県は南部藩の支配下である東部と弘前藩の西部に分かれてしまった。その蟠り(わだかまり)…

  • オヤジのあくび580

    安部龍太郎「海の十字架」を読む1 書名にもなっている大村純忠の物語は、ポルトガルの交易とセットになったイエズス会の布教を、いかに自身に有利な方向に利用するか? 戦国時代ならではの駆け引き劇が読者を楽しませる。少々怪しげなバルトロメオが、ストーリーの仕掛け人として立ち回る。 結果として、なぜ長崎が国際港として開かれたのかを語る、さらりとした下げもよかった。 続いて世界遺産宗像大社の大宮司であった宗像家本家最後の当主である宗像氏貞の話。大内、大友、毛利のせめぎ合いの中で生き抜く術を探る様子が描かれている。 「海の桶狭間」は船乗り視点の桶狭間戦記。 今川義元の進撃とリンクして、織田信長を討とうとした…

  • オヤジのあくび579

    安倍龍太郎、門井慶喜、畠中恵「歴史・時代小説教室」を読む 畠中さんは、作家自身が小説を書くために踏んでいるステップを惜しみなく公開している。それはほぼ一般化されたスキルなんだろうけれど、もちろん畠中さん独自の留意点も話されていて、何か書いてみたい作家志望者には参考になるに違いない。 読んでいるうちに、歴史ものや時代ものではないけれど、ボクが今まで出会ってきた人について何か書けないものか? 長い散文を書く集中力がないくせに、ちょっと思ってしまった。 続いて門井慶喜さんが登場する。彼の本はボクも少し読んでいてネタバレ的に楽しませていただきました。銀閣の東求堂同仁斎に「何も感動しなかった」平凡さを感…

  • オヤジのあくび578

    木村治美「六十代からのエッセイ教室」を読む 冒頭で日記とエッセイの違いについて、ふれている。エッセイは自分を客観視して、書かれている自分と書いている自分との間に距離を取るというのだ。だからこそ読み返しが可能であるし、読者を獲得できる。ボク自身のブログを読み返しても、この客観視が意外と難しいことがわかる。 セレンディピティの話が出てくる「求めよ、さらば巡りあわん」。ノーベル賞の田中耕一さんや「武士の家計簿」を見つけた磯田道史さんの例が出てくる。日頃から何かしらの問題意識を持っていてこそ求めていたものに出会えるという話なのです。 全ての刺激を受け止めるほど、ポクのセンサーは全方向に働かないし、入力…

  • オヤジのあくび577

    池田憲章・伊藤秀明「NHK連続人形劇のすべて」を読む やっぱり「ひょうたん島」の話から。「チロリン村」から続けて音楽を担当したのは宇野誠一郎さん。「真面目なものを真面目に」がチロリン村なら「真面目なものを不真面目に」がひょうたん島の精神だと話される。脚本担当の井上ひさしさんの影響も大きいようだ。 声優さんたちが直接歌を歌うミュージカルだからこそ心の躍動や衰退の波を表現できるのだとおっしゃる。例えばサンデー先生の「勉強なさい」の「い」は「イヤな」「やりたくない」の「い」なのだと伝えていたそうだ。また主題歌を歌った前川さんは当時中学1年だった! 子供向け番組の主題歌でソロで歌ったのは前例がなかった…

  • オヤジのあくび576

    田中健次「図解 日本音楽史」を読む 自分が親しんでいる琵琶でさえ知らなかったことが多い。本書によれば、雅楽の楽琵琶はペルシャ起源で7〜8世紀にシルクロード〜中国経由で日本に伝えられた一方で、盲僧琵琶ルートは、インド起源で6世紀に三国時代の中国経由で九州に伝えられたという。何と、雅楽の琵琶より早く伝わったのだ。 また琵琶と言えば「平家物語」というイメージが先行しているけれど、では源平の戦いのまえに活躍した琵琶法師たちは何を語っていたのか? 蝉丸、源博雅、藤原師長など名手たちは、中国の皇帝や英雄たちの物語を語っていたらしい。また「法師」を名乗っていても寺の僧ではなく、求めに応じて琵琶を奏し報酬を得…

  • オヤジのあくび575

    増本喜久子「雅楽」を読む 雅楽と言えば、現代のテンポ・リズム感から遥かに遅い、まったりとした音楽という印象を持たれている方もいるだろう。けれど日々の言葉を発する速さや生活リズムそのものが、元々古代日本では非常にゆっくりしていたわけで、当時の時間の流れを再現していると理解したい。 テンポをリードしているのは鞨鼓(横向きに置かれた小太鼓)。打楽器は他に鉦鼓、太鼓があるが、微妙に変化するテンポは鞨鼓が調整しているらしい。 主旋律を担うのは篳篥と笛。原則同じ音を奏しているかのようで微妙に違うのが面白い。特に興味が湧くのは篳篥でして、他を圧倒する音量なのだ。木管合奏でもオーボエの音が際立つが、同じダブル…

  • オヤジのあくび574

    菅野恵理子「MIT音楽の授業」を読む 音楽学科の開講科目は「文化・歴史」「作曲・理論」「音楽テクノロジー」「演奏演技(パフォーマンス)」の領域に分かれている。目を引くのは「文化・歴史」の領域に「ビートルズ」「ワールドミュージック入門」「アフリカの音楽」などの授業があること。伝統的な西洋中心の音楽史にとらわれていないのだ。 「ワールドミュージック」の授業では、パーソナル・ミュージック・エスノグラフィー」を書く課題からスタートする。自分の立ち位置や歴史を知るのだ。同じ課題を日本の学生に課すとしたら、地域特性がどのくらい反映されるだろう? 伝統邦楽まで深入りしなくていいが、昭和歌謡が過去の文化となっ…

  • オヤジのあくび573

    長友佑都「日本男児」を読む 熱い! 長友選手のエネルギーの源が、中学校時代のサッカー部顧問井上先生との出会いに見つけられる。ガキ大将だった小学校から両親の離婚という家庭環境の変化、そして地元有名チームのセレクション落ち、入った中学のサッカー部では練習よりもゲームセンター通い。そこから現在の長友選手を想像することは難しい。けれど熱い選手を育てたさらに熱い先生がいたのだ。とりわけ中学校当時はスタミナがなかった長友佑都が駅伝大会出場をきっかけに持久力を身につけていく過程は、指導者冥利に尽きる。現在も最前線からバックまですごい速さで往復している長友選手のスタミナは、この頃から育ってきたのだ。 サイドバ…

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