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2006/01/22

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  • 「ゲアトルーズ」

    ドライヤーとしては「奇跡」同様に舞台劇が原作なのだが、映画化にあたって強いては場面を散らさないでいわゆる三一致の法則(場の一致、人物の一致、筋の一致)を守り、それで映画としての簡素さ、端正さを通している。俳優はほぼ棒立ちで互いに顔を合わさずにセリフをやりとりし、カメラは簡素なパンと移動を含めた長回しで、一筆書きといった趣がある。-YouTubeカール・テオドア・ドライヤー2-公式サイト「ゲアトルーズ」-映画.comGertrud-IMDb「ゲアトルーズ」

  • 「ヒトラーのための虐殺会議」

    多くのユダヤ人の運命が、まったくの赤の他人により地理的にも意識の上でも遠いところで決められていくというコントラストが強烈。ナチスのユダヤ人「処理」案が合理的なようで歪んでいる。土台無法なことをしようとしているのだから当然。それにしてもイスラエルが現在パレスチナに対して行っている無法蛮行を思わずにいられず、後でどうするんだと思う。冒頭から気に入らない相手を下座に置くというセコい真似をしている。記録係?だけが唯一の女性で、それもひどく影が薄い。それをあえてかどうか強調しないのも「存在しない」存在の描き方としてはニュートラルなもの。-YouTube「ヒトラーのための虐殺会議」-公式サイト「ヒトラーのための虐殺会議」-映画.comDieWannseekonferenz-IMDb「ヒトラーのための虐殺会議」

  • 「ウェンディ&ルーシー」

    終始ミシェル・ウィリアムズが着たきり雀で、キュロットというより半ズボンみたいな服装で通している(意味は同じだけれど、キュロットというほど可愛くない)。ナマ脚に余裕のなさがむき出しに出ている。一見一応こざっぱりはしているのだが着替えはないと見える。日本でも今や外観だけ見ていると貧困に陥っているのかどうかわからないというが、それに近い。お話とすると、ボロのHONDA車に乗ってやってきたヒロインのウェンディがなつかれた犬のルーシーが目を離した隙に行方不明になって、見つけた時には壊れた車の修理に5000ドルとボラれるもので、一緒にはいられなくなるというシンプルなもの。アメリカでは車をなくしたら1930年代の大不況時代のホーボーみたいに貨車にタダ乗りして回らないといけないらしい。今どき公衆電話用のコインを警備員に借...「ウェンディ&ルーシー」

  • 「ファースト・カウ」

    冒頭でかなり大きな船が川を上っていくので時代設定がどのあたりなのかわからなかったが、やがて19世紀の開拓期のアメリカらしいのがわかってくる。ビーバーの毛皮や貝殻が物々交換で貨幣代わりになっていた頃の話で、雄鹿の毛皮buckがそのまま通貨ドルの意味になった例を連想した。主役二人の会話にアメリカ以外も入ってくるところで、ロシアが版図を広げていく過程は毛皮を採りながら森に進出していく過程でもあったという話も連想した。前半で野生のキノコを採るシーンがあって、毒キノコではなかろうなとひやひやした。ずいぶん死んだ例もあったのではないか。ドーナツを作るミルクを絞る牛は金持ちの持ち物と、持つ者持たざる者の断絶があるわけで、金持ち役のトビー・ジョーンズはヒッチコックの役などもやっていたイギリス人くさい役者。主役二人のうち一...「ファースト・カウ」

  • 「ウィッシュ」

    魔法使いが人々のwish=望み、願いを預かり、かなえようとしていたらしいのが次第に独占し我が物にしようとする。少なくとも後半の魔法使い=王は人々の望み、欲望を「管理」する存在としてあるわけで、冒頭は昔話風に絵本で語り始めるのが終わりは腐敗して権力に酔い、あるべき座から脱線暴走してしまう。同じ本で始まり終わるのに、冒頭とラストがズレているのが異色。夢の王国としてのディズニーアニメのモデルとして見てもいいし、民主主義のアナロジーにも見えてくる。主題歌をまるまる予告編やテレビスポットで流していたのは、「アナと雪の女王」の手法の再現か。併映のオリジナル短編映画「ワンス・アポン・ア・スタジオ-100年の思い出」では2Dと3Dのキャラクターが混在して違和感がないのだが、「ウィッシュ」のエンドタイトルではその100年間...「ウィッシュ」

  • 「ミカエル」

    サイレント映画で白黒だから一見派手ではないが、ずいぶん壮麗なセットだなと思った。芸術家(彫刻家)が主人公だからということもあるだろうが、背景とは裏腹におそらく通常ならばミューズとして扱われるだろうキャラクターに向けられる眼差しのリアルさ。主演のベンヤミン・クリステンセンは監督でもあるという。「野いちご」で監督のヴィクトル・シューストレムを主演に起用したベルイマンみたい。-YouTube「ミカエル」-映画.comMichael-IMDb「ミカエル」

  • 「屋根裏のラジャー」

    イマジナリーって、「シャイニング」みたいに子供が空想上の友だちを持つことなのだけれど、本体が意識を失って空想のはずのイマジナリーが独自に生きて活動するとなると、あれ?と思う。忘れられると消えてしまうという枷はあるにせよ、どこまで行けば消えるのかよくわからない。最高度のアニメーション技術を生かしたイメージの奔流は魅力的だけれども、制限がないというのも逆にタガがはめられたみたいで自由さが逆に足を引っ張ってしまう。「はてしない物語」を映画化した「ネバーエンディングストーリー」みたいに、空想の大切さを説く映画化で空想を具体的なイメージにする段階でどこかに齟齬が出てしまうと思わざるを得ない。イギリスを舞台にしているらしいのだが、あちこちに出てくる書き文字が日本語というのはディズニーアニメなどでわざわざ英語を日本語に...「屋根裏のラジャー」

  • 「死霊のはらわた ライジング」

    一作目で森の中で蔦が絡まって体の自由を奪ったのに対応してエレベーターの中でワイヤが絡まるというのが律儀というか。変なポーズになるのは笑かすつもりかな。森が舞台だったオリジナルに対して、今回はマンションが舞台。ドアの外を覗く魚眼レンズを通して人物が右往左往するシーンなどが微妙に可笑しい。ドアを叩くのを真下から撮ったカットとか、エレベーターから血の奔流が噴き出すのは「シャイニング」だろう。クライマックスで血をやたらと撒き散らすのはお約束。-YouTube「死霊のはらわたライジング」-公式サイト「死霊のはらわたライジング」-映画.comEvilDeadRise-IMDb「死霊のはらわたライジング」

  • 「ティル」

    考えてみると、ティル事件の犯人たちはほとんど直接には描かれていない。犯人に限ったことではなく、白人一般の差別意識と暴力性こそが問題であり、ヒロインに侮辱的な言動を働く保安官や誰がとばしたのかわからないヤジなど特定されない広がりのある背景を感じさせる。ヒロインは息子に白人に応答する時はイエス、サーという具合にサーをつけろと教えたと法廷で証言し、自身白人の判事に対して実践する。彼女は差別がひどいミシシッピとそれほどでもないシカゴの両方の生活を経験しているが、息子はシカゴだけという差が不幸につながった。白人家庭ではテレビを見ているのが横移動して黒人家庭ではラジオになり、さらに移動するとヒロインの家ではテレビを見ているという具合につながれる。ヒロインが比較的裕福なのがわかる。惨殺された息子の遺体が物陰に隠れていた...「ティル」

  • 「映画 窓ぎわのトットちゃん」

    「アンクル・トムの小屋」のタイトルで覚えた小説が「アンクル・トムズ・ケビン」になっていたのであれと思って調べたら、戦前に出版されたのは1927年と1933年で共に「トムズ・ケビン」でした。アンクル・トムというと1954年の公民権運動以後では白人におべっかを使う黒人という意味になっているわけで、小児マヒと呼ばれたポリオの男の子に相当手荒く接すること共々,後になってみると無意識に差別的ともとれる扱いをしていることそのものは避けないで描くといったスタンスなのかと、やや戸惑いながら見ていた。トットちゃんがパンダのぬいぐるみを持っていてエンドタイトルもそれで締めくくられるのだが、今みたいにパンダがポピュラーになったのは1970年の日中国交回復からで、この映画が始まる翌年の1941年に国民党のトップ蒋介石の妻・宋美齢...「映画窓ぎわのトットちゃん」

  • 「枯れ葉」

    カウリスマキぶしと言おうか、淡々としてぶっきらぼうでいながら妙におかしみをにじませるタッチは健在。前半のウクライナ侵攻みたいに社会的な危機を間接的にせよ描くのは珍しい。女は肉体労働者、男はアルコール依存症とさむざむとした画面と設定で、ビデオや配信も見ないでもっぱら映画館で映画を見ている(テレビも出てきたかどうか)のは監督の趣味嗜好もあるのだろうけれど、貼られているポスターがゴダールの「軽蔑」「気狂いピエロ」デヴィッド・リーンの「逢引き」など古い名作揃い。フィンランドには、今どきああいうプログラム組む映画館あるのかな。あんまりデジタルデバイスが出てこないので、いつの時代の設定だろうと思っていたら辛うじてスマートフォンが出てくる。フィルムで撮影されたというが、上映はDCPにせよざらっとした質感は出ている。-Y...「枯れ葉」

  • 「暴走車 ランナウェイ・カー」

    最近公開された「バッド・ディ・ドライブ」のオリジナル、2015年製作のスペイン映画。自家用車の運転席のシートに爆弾が仕掛けられるという基本的な設定は当然同じだが、リメイクでは子供が兄と妹だったのが、このオリジナルでは姉と弟と逆になっている。リメイクの方が細かいところでブラッシュアップされているのは確かで、スマートフォンの縦横な使いこなし方も、カネの受け渡しも、犯人の隠し方もひとひねり工夫されている。こちらでは早い段階で子供がケガしてその後かなり父親が感情的になる。妻との関係も良好。リメイクでは離婚寸前だった。いろいろ複雑にしているにも関わらず、リメイクの上映時間は91分、こちらは101分。韓国やドイツでもリメイクされているらしい。それだけセントラル・アイデアの単純明快さが魅力で、アレンジのしがいがあるとい...「暴走車ランナウェイ・カー」

  • 「エクソシスト 信じる者」

    「チューブラ・ベルズ」を随所に流したり、ある程度成長した女の子がおねしょしたり、極めつけはエレン・バーステインの登場と、「エクソシスト」第一作を完全に想起させるように作ってあるわけだが、道具立てを揃えるまでに手間取りすぎてなかなか怖くならない。女の子がおねしょして父親が風呂に入れ、扉を閉めてしばらくして見に行くと風呂に黒い水が溜まっている、おかしいのは水が濁っていたらまず娘が溺れてないかバスタブに腕を突っ込んで確かめないか。そうしないのは芝居のつけかたが不適切ということになる。悪魔を祓われる女の子がふたり、背中合わせに縛られている図というのは珍しく、考えてみると二人いっぺんというのはいいのかと思う。仲良しか知らないが、別の人間ですからね。神父が日和りかけるというのもなんだかまわりくどい。-YouTube「...「エクソシスト信じる者」

  • 「怪物の木こり」

    サイコパスvs.連続殺人鬼という図式は、本来加害者側のサイコパスが被害者寄りになるという点で興味を引くが、脳にチップが埋め込まれて云々という作りものっぽい設定がジャマしてそういう対立がだんだんボヤけてくる。殺し場も通りいっぺんで、およそ三池崇史にしてはパワー不足。何より終盤、畳みかけなければいけないところでだらだら間延びした説明台詞が続くのにうんざりした。マスクを被っているのは誰かという興味は、はぐらかしを含めて間断なくつながっている。-YouTube「怪物の木こり」-公式サイト「怪物の木こり」-映画.com「怪物の木こり」-IMDb「怪物の木こり」

  • 「市子」

    市子という女が失踪し、婚約者が過去を探っていくというのが大筋なのだが、画面の隅にかつてのサービスサイズの写真のプリントの隅に入っていたような時刻が入り、それが遡っていくことで場面自体が過去に戻っていくことが示される。写真のプリントみたいな字体にしてあるのも、今ではそれ自体が失われたこと=広い意味の喪失感の表現を狙ったのではないか。宮部みゆきの某作品みたいな話だが、必ずしもミステリの体裁はとっていない。見ていて足元が揺らぐような感覚がある。-YouTube「市子」-公式サイト「市子」-映画.com「市子」-IMDb「市子」

  • 「隣人X 疑惑の彼女」

    惑星難民Xが何くわぬ顔をして普通の人に紛れて生きているらしいという疑惑から話が始まるわけだが、週刊誌の臨時雇い林遣都の担当になった女二人のどこに一体そういう疑惑がかけられる余地があるのかさっぱりわからない。上野樹里が36歳になっても結婚しないとか、ファン・ペイチャが台湾人で日本語が不自由とか一般的なレベルの差別を受けてはいるのだが、普通の意味での移民難民あるいは疎外された人間の話ならともかく、惑星難民といったデカい話にするにはムリがある。「エイリアン・ネイション」みたいなエイリアンを移民になぞらえたアナロジーなのかと思ったが、アナロジーというにはあまりに真っ正直に移民そのものだ。しかも上野樹里の方には両親まで出てきますからね。宇宙人?は人をコピーするという設定だと思ったが、それはどうなったのだろう。宇宙人...「隣人X疑惑の彼女」

  • 「バッド・デイ・ドライブ」

    リーアム・ニーソンの証券会社のトップが車の運転席の下に爆弾を仕掛けられ、こういう時に限って普段反抗している娘と息子が後部座席に座ってしまい、そこに謎の犯人からの脅迫電話がかかってくる。単純だが強力なシチュエーションとそれに変化をつける小技のバランスが良く、車が走ったり止まったりのメリハリも効いている。リーアムが息子と娘を守ろうとするパパぶりと証券会社のトップという手を汚す立場の両面を陰影をつけすぎずに演じる。さすがに御年70歳を過ぎてフィジカルなアクションはムリだが、座りっぱなしのアップ主体でこなせるシナリオを選ぶ選球眼は確か。後で考えると出来すぎじゃないかと思えるところもあるのだが、91分というコンパクトな尺を勢いで押し切るところが頼もしい。スタントに何十人もの名前が並ぶのも昔のアクション映画風。スペイ...「バッド・デイ・ドライブ」

  • 「ミステリと言う勿れ」

    崖っぷちを走る車をフォローしながら崖から飛び出して墜落炎上するのを捉えたつかみはOK。おそらくVFXだろう黒煙と炎もよくできている。それから「犬神家の一族」ばりの旧家の室内の広大さ(特に奥行き)を生かした画作りに目を見張る。クレーンかドローンか、とにかく大ぶりにカメラを動かした外景の描き方もいい。犬神家と違って死人は冒頭にまとめて描いているからそれほど血生臭くはならない。中盤から終盤にかけて伏線とその回収がいささかうるさくなってきてテンポが落ちる。ゲストスターが出てきてからは特にそう。-YouTube「ミステリと言う勿れ」-公式サイト「ミステリと言う勿れ」-映画.com「ミステリと言う勿れ」-IMDb「ミステリと言う勿れ」

  • 「翔んで埼玉 琵琶湖より愛をこめて」

    大阪の都構想だとか万博だとか、果ては日本大阪化計画と称して日本全体の侵略を企てて白い粉をばらまいたりミサイルに見立てた通天閣を発射したりするのだから、関西三府県、特に大阪を敵役に仕立てているわけなのだが、問題になりそうなぎりぎりのところで躱している。あくまで茶番劇の分を守るバランス感覚ととるかツッコミ不足ととるかは微妙。偏見か知らないが、関西の方が京都と大阪と兵庫(芦屋というべきか)と並び立っているからややこしそう。前作もそうだったけれど、現在の埼玉から回想?形式にカッコに入れた体裁にする必要あったのか疑問。内容にさほど有機的なつながりがあるでなし、大宮vs浦和の綱引きってそれこそどうでもいい話。東京に対する埼玉が大阪に対する滋賀にそのまま対応するのかどうか、統計があるわけではないが東京の場合はもう少し地...「翔んで埼玉琵琶湖より愛をこめて」

  • 「シチリア・サマー」

    イタリアがサッカーW杯で優勝した年だから1982年の話ということになるか。相手チームの西ドイツが統一されるのが1990年。半世紀足らず前のシチリアというのがああも封建的だったのか、ゲイというだけで文字通り殴る蹴るの乱暴狼藉を働かれる。冒頭、祖父と父、孫の三代がウサギを狩るところから始まるのだが、銃を振りかざすところからしてマチズモがびっちり充満していて母娘の女二人が割り込む余地もない。ひなびた田舎の風景なのだけれど、その分封建的ということになるか。銃の発射と大詰めでの花火の打ち上げをひっかけている。サッカーを中継しているテレビを屋外に持ち出して一家で見ている図が印象的。-YouTube「シチリア・サマー」-公式サイト「シチリア・サマー」-映画.comStranizzad'Amuri-IMDb「シチリア・サマー」

  • 「ポッド・ジェネレーション」

    子宮を体内からいわばアウトソーシングして独立したポッドとして扱うという着想は一応奇抜だけれど、夫がいつも家にいるので一緒に過ごす時間が長い分、胎児が妻より親和性が高くなるというあたりで想像力が尽きてしまったみたいで、普通の出産とあまり手順が変わらなくなる。妻が自分のお腹を痛めなくても子供を得られるというのは養子だって似たようなものだろうし、ポッドは会社のものだと担当が強調する分、壊していいのかと思ってしまう。つるんとしたポッドと生々しい赤ん坊とのコントラストは一応目を引く。-YouTube「ポッド・ジェネレーション」-公式サイト「ポッド・ジェネレーション」-映画.comThePodGeneration-IMDb「ポッド・ジェネレーション」

  • 「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」

    バカに鬼太郎の背が高いなと思ったらあれは鬼太郎の父親であって(つまり目玉のおやじということになるのだが目玉だけになるのは後の話)鬼太郎が誕生するのはラストもラスト、エンドタイトル後ということになる。誕生にふさわしいというべきか。かなりの程度、旧日本軍の戦争犯罪に踏み込んでいて、血液製剤は731部隊を思わせ、それに製薬業という「犬神家の一族」の家業と亡くなった(が、存在感は失っていない)当主のイメージと旧家的体質を重ねている。(余談になるが櫻井よしこは今はドがつく右翼だが前はミドリ十字を追求していた、なんでああなったのか)それから鬼太郎の相棒になる水木というキャラクターは水木しげるの「総員玉砕せよ!」の生き残りで、自分勝手な上官を激しく面罵する。ああいう具合に罵倒できたらよかったのにという心残りも入っている...「鬼太郎誕生ゲゲゲの謎」

  • 「ベネデッタ」

    キリストが冒頭からしきりと真偽とりまぜて登場して、それが冒瀆的な表現なのかどうなのかバーホーヴェン氏簡単にシッポをつかませない。十字架にかけられたキリストの腰の布をとると性器がなくてつるんとしているのにびっくり。ベネデッタにキリストがとりついたように見える時と悪魔がついたようになる時と両方。同じ修道院を舞台にしているせいもあってケン・ラッセルの「肉体の悪魔」を思わせる。エロとグロが表に出ているのも一緒。シャーロット・ランプリングだと「愛の嵐」、ランベール・ウィルソンだと「悪霊」のイメージをそれぞれ応用したようなキャスティング。-YouTube「ベネデッタ」-公式サイト「ベネデッタ」-映画.comBenedetta-IMDb「ベネデッタ」

  • 「ナポレオン」

    戦闘シーンの数珠つなぎの間にナポレオンの政治的な立ち回りと妻ジョセフィーヌの奔放な振る舞いが描かれるわけだが、2時間38分という長尺の割にダイジェスト的な印象が強い。4時間を超すというアップルでの配信版を待てということかな。マリー・アントワネットなどギロチンにかけられて終わり。ロベスピエールやタレーランの出番もごく短い。冒頭、ナポレオンが勇ましく馬を駆って走り出したと思ったら大砲の弾が馬の首に命中して転倒、わずかな運の差で生死が決まったのを端的に見せる。ジャック=ルイ・ダヴィッドによる有名なナポレオンの戴冠式の絵画を再現したシーンが出てくるが、裏ではこういう手順で行われていたのですといったタネ明かし的な興味がある。それにしても86歳にしてこうもスケールの大きな戦闘シーンを、ほぼ実写(に見える)でこなすリド...「ナポレオン」

  • 「花腐し」

    シナリオライター志願だった元若者(柄本佑)と一応監督をしている元若者(綾野剛)との対話がメインで、現在のシーンがモノクロ、過去のシーンがカラーという具合にちょっと逆のような描き分けをしている。バターを使ったアナルセックスを描くのに「ラストタンゴ・イン・パリ」のタイトルをセリフで挙げるわけだが、前に荒井晴彦脚本作品としては「ベッド・イン」でもやっていたし、何より実際の「ラスト」の撮影現場でベルトリッチとマーロン・ブランドがマリア・シュナイダーの同意を得ずに性描写にあたったのが最近になってわかって存命中だったベルトリッチが非難にさらされたのはまだ記憶に新しい。細かい話になるが、そういう状況でわざわざ描きますかね。わざわざ入れるまでもないと思うが。ゴールデン街的なセンスは正直、辛気臭い。-YouTube「花腐し...「花腐し」

  • 「正欲」

    正欲と書いて性欲にひっかけているわけね。新垣結衣はアセクシュル(他人に性的な欲望、関心を抱かない人)役がある程度定着してきた感はある。「逃げるは恥だが役に立つ」も近い。相手の磯村勇斗とベッドで手足を絡ませながら肌は接触しないあたり違う意味で刺激的。水に広い意味の官能的な感触を付与して描くのにある程度は成功しているが、タルコフスキーを思い出すまでもなく、不満は残る。磯村健斗がペドフェリアと見なされるのは、モノや人が直接映る映画では作り手の狙い以上が射程に入ってしまう分難しいと思う。誤解と言い張れる余地があまりない。検事役の稲垣吾郎が石頭のようで裏にまわると脆いところをよく表現していた。-YouTube「正欲」

  • 「駒田蒸留所へようこそ」

    何度か転職しているウェブマガジンの記者が初め下調べもしないでウイスキーメーカーを訪れて大恥をかいたのをきっかけになんとか成長していくのと、ウイスキーメーカーの女社長が苦心惨憺しながら会社を立て直していくのが並行して描かれる。ウイスキーの原酒のブレンドにすごい手間暇がかかることをずらっと並んだサンプルの数で見せる。社長が元美大生でBL趣味のスケッチからウイスキーのテイストを思い出すあたりが強引ながらなんとなく納得する。テイスティングルームのソファがかなりぼろぼろで、会社の景気がぱっとしないのを見せる。美術では空の雲のデフォルメの仕方が印象に残る他、長野の実景をおそらく忠実に再現している。家族の再生というのをテーマに押し立てて、初め社長に絡む同年輩の男を元カレかと思わせて(社長は見ての通り↑若くて美人ですから...「駒田蒸留所へようこそ」

  • 「ロスト・フライト」

    ジェラルド・バトラーが現実離れしたタフガイではなく、機長としてのスキルはきっちり身につけているけれど自分では銃をとらない役で、ドンパチはたまたま一緒になった元外人部隊マイク・コルターと少数精鋭の特殊部隊に任せてある。このコルターが敵か味方か、なかなかわからないので相当にハラハラさせる。敵役は凶悪犯揃いだがテロリスト扱いはしていないのは「ダイ・ハード」ばり。大口径狙撃銃が登場して通常の車の装甲を貫通させるのが見もの。ジェラルド・バトラーが最初の方で「誇り高きスコットランド人だ」と自己紹介するのは事実。-YouTube「ロスト・フライト」-公式サイト「ロスト・フライト」-映画.comPlane-IMDb「ロスト・フライト」

  • 「首」

    前にビートたけしが話していた戦国時代の設定のごくラフなプランで、うんとカネかけて人馬の隊列を撮っておいて乗っている男の顔がアップになると志村けんのバカ殿、というのがあった。志村の起用はかなわなくなったが、発想とするとそれに近い。もともと北野武の監督作は女を仲間に入れないホモソーシャルな体質が強いのだが、あからさまにホモセクシュアル(衆道というべきか)に傾いて混同した感じになっている。衣裳は黒澤明の娘の黒澤和子なわけだが(心配)、全体に凄く傾いた(かぶいた)デザインを採用している。信長だけではなく武将たち全般がそう。加瀬亮の信長が怪演で、尾張弁を採用しているのは津本陽「下天は夢か」以来だろうが、森蘭丸から弥助からそれぞれ意外な展開を見せる。一瞬あとには裏切って殺したり殺されたりといった展開がグロいのとバカバ...「首」

  • 「デシベル」

    爆弾が爆発しても至近距離にいる人が死なないどころか突き飛ばされた程度のダメージで済んでしまうのには目が点になった。それも何度もですよ。何ですか、これ。潜水艦の艦長が陸に上がったところを狙われ、そうなったのには深海での魚雷攻撃にまつわる謎が伏せてあるというお話の仕掛けなのだが、どうも持って回った印象が強い。爆弾が爆発するかしないかでハラハラさせるシンプルな構造でなんでいけないのだろう。いい加減なところを挙げていったらきりがないが、プールの客が爆弾が解除されたと思ったらすぐ集まってくるノー天気さで、まだ爆弾残ってるか知れないではないか。韓国映画でもこんないい加減な脚本があるのだな、と逆に勉強になりました。-YouTube「デシベル」-公式サイト「デシベル」-映画.comDecibel-IMDb「デシベル」

  • 2023年11月に読んだ本

    11月の読書メーター読んだ本の数:20読んだページ数:4237ナイス数:0マスターズ・オブ・ライト[完全版]読了日:11月01日著者:ネストール・アルメンドロス,ジョン・アロンゾ,ジョン・ベイリー,ビル・バトラー,マイケル・チャップマン,ウィリアム・フレイカー,コンラッド・ホール,ラズロ・コヴァックス,オーウェン・ロイズマン,ヴィットリオ・ストラーロ,マリオ・トッシ,ハスケル・ウェクスラー,ビリー・ウイリアムズ,ゴードン・ウイリス,ヴィルモス・スィグモンド街場の天皇論(文春文庫)読了日:11月02日著者:内田樹ダンス・ダンス・ダンス(上)(講談社文庫)読了日:11月02日著者:村上春樹ダンス・ダンス・ダンス(下)(講談社文庫)読了日:11月02日著者:村上春樹男性中心企業の終焉(文春新書1383)読了日:...2023年11月に読んだ本

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