女にとって、男はユートピアだ(彼と彼女のソネット:大貫妙子)随想録―50
女にとって、男はユートピアだ(彼と彼女のソネット:大貫妙子)随想録―50 芥川龍之介は、警句集『侏儒の言葉:しゅじゅのことば』の中で、いわゆる「ユートピア:理想郷」について、数学の証明のような分析を行っている。「ユートピアを実現するためには、人間性を変えなければならない。人間性を変えると、それまでユートピアと思われていたものは、ユートピアではなくなる。」・・・つまり、ユートピアとは「蜃気楼」のような物、あるいは「逃げ水」のような物で、これら「光のいたずら」の現象のようなものがユートピアなのだろう。人は、そこには決して到達できない。 さて、最近は「シティ・ポップ」の担い手の一人として、アメリカな…
「マンガ日本の古典全32巻」(源氏物語):中央公論社の転身+中国を叱る(随想録―49)
「マンガ日本の古典全32巻」(源氏物語):中央公論社の転身+中国を叱る(随想録―49) 隔世の観がある。以前「中央公論社」と言えば、押しも押されもせぬ大出版社だった。若い頃、左翼青年でもあった、読売新聞社の主筆:渡邉 恒雄さんが、中央公論の入社試験に落ち、さすがに思いは残っただろうが、後年、中央公論社が経営危機に落ち込み、あわや倒産の事態になった時、渡邉氏は、中央公論に救いの手を差し伸べ、危機を救った。まあ、それ以後「中央公論新社」と社名をちょっと変え、いまでも存続しているのだ。 その中央公論新社の「ドル箱」になっているのが、このブログで取り上げる、表題のシリーズだ。このような叢書は、他にも手…
犬の威厳、猫の愛嬌~両者の違い(随想録―48) 世は挙げて「猫ブーム」だ。日本のペットの飼育頭数で、犬を抜いて猫がトップになってから久しい。ネット空間で言っても、猫の話題には事欠かず、溢れんばかりだ。私がやっている「tumblr.」(タンブラー)でもそうだし、一度悪く書いたことを理由にし、私のユーザー登録を拒否したらしい「instagram」(インスタグラム)では、たぶんその傾向はいっそう強いだろう。女性投稿者が全体の7、8割を占めるインスタグラムでは「猫の画像、動画」が記事の多くを占めることも想像に難くない。「なに、この猫、かーわいい!!」と言った言葉がやり取りされていると見てよい。 さて、…
太平洋戦争当時の帝国職業軍人は官僚と化していた。+日本人と宗教(随想録―47)
太平洋戦争当時の帝国職業軍人は官僚と化していた。+日本人と宗教(随想録―47) 東条英機にもっとも典型的に見られるのだが、当時の軍人は、「軍人にあらずして、官僚だった」と言えよう。東条は細かな陸軍の細則には精通していたが、発想力に乏しく、教条的な行動を旨としていた。この男、精神論は大好きで、軍がOR(オペレーショナル・リサーチ)を研究する部門に視察に訪れたのだが、翌日にはこの研究部門を廃止した。まさに、この実戦的な部門の領域の軽視が、アメリカ軍の絶対優位を招いたのだ。アメリカ軍には精神主義は通用しなかったのだ。官僚のような軍人が戦に勝てるわけがない。 このような傾向は、海軍でも見られ、山本五十…
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