『諸回向清規』巻5「戒法之品次」について
これは、中世の臨済宗で用いていた得度作法の1つである。16世紀中頃に成立した『諸回向清規』巻5に「戒法之品次(以下、「品次」と略記)」として収録されている。それで、宗門の得度作法と比べてみると一目瞭然だが、この作法は瑩山紹瑾禅師が弟子であった臨済宗法灯派の孤峰覚明に元亨4年(1324)に授けた『出家得度略作法(以下、『略作法』と略記)』にほぼ相当している。この記事では両者の違いについて述べることとしたい。ただし、細かな文言の違いについては、余程の思想的有意味性が確認されなければ省略する。それで、まず記述上の大きな違いといえば、「三衣」の授与であろうか。『略作法』では「剃髪・授坐具・授袈裟」と進み、「授袈裟」では「九条衣」を授けて、「搭袈裟偈」となるけれども、「品次」では「五条・七条・九条」と進むようになっ...『諸回向清規』巻5「戒法之品次」について
2025/02/17 07:19