「乃至法界平等利益」への雑考
ちょっとした雑考である。曹洞宗で用いる「施財の偈」について、以下のように唱える場合がある。財法二施、功徳無量、檀波羅蜜、具足円満、乃至法界、平等利益。ところが、こちらの「施財の偈」は本来、以下のように唱えられている。維那聖僧の帳の後より身を転じ、首座に問訊す。乃ち首座に施財を請するなり。却りて槌の本位に帰り、槌を打つこと一下す。首座施財して曰く、財法二施、功徳無量、檀波羅蜜、具足円満。『赴粥飯法』このように、僧堂で食事をいただく前に、首座がその食が施された意義を「施財の偈」を通して示したのである。そして、基本的に江戸時代までの各種清規も、明治期以降の『行持軌範』でも、同じ唱え方となっている。そして、道元禅師が参照された『禅苑清規』とは少し異なっている。首座施財、喝して云く、財法二施、等無差別、檀波羅蜜、具...「乃至法界平等利益」への雑考
2023/10/11 15:23