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  • 絵本『ティーカップ』( レベッカ・ヤング 作/ マット・オットリー 絵/ さくま ゆみこ訳/ 化学同人)

    作者: レベッカ・ヤング画家: マット・オットリー訳者: さくま ゆみこ出版社: 化学同人出版年:2023年(9月) ISBN:978-4759823103 ふるさとを離れなければならなくなった男の子が、生きていける場所を探しにボートで海に出る。カバンの中にはティーカップを入れてきた。おだやかな日も荒れる日も昼も夜もティーカップをそばに置いたり、抱きしめたり。波に揺られて月日がすぎるとティーカップの中に何かを見つけた——。 出発するとき、この男の子に残されたものはこの荷物だけだったのだと思う。家族はどうしたのだろうかと思うと胸がぎゅっとなる。 p25 の男の子のかわりようを見ると、ティーカップ…

  • “Birdsong” Text by Katya Balen /Illustrations by Richard Johnson/Barrington Stoke,England)

    作: Katya Balen(カチャ・ベーレン)絵: Richard Johnson出版社:Barrington Stoke,(Kindle)出版年:2022出版国:England この作品 "Birdsong" は、邦訳『ブラックバードの歌』(カチャ・ベーレン 作/千葉茂樹 訳/あすなろ書房)が2023年10月に刊行されています。この感想は原書を読んでのものです。Katya Balen(カチャ・ベーレン)は1987年に英国で生まれた作家で、2022年に、英国で最も権威のある児童文学賞であるカーネギー賞で大賞とシャドワードチョイス賞(大賞候補作の中から若者が選んだ賞)を同時受賞しました。特別支…

  • 『無意識のバイアスを克服する』(ジェシカ・ノーデル作/高橋 瑠子訳/河出書房新社)

    作:ジェシカ・ノーデル訳:高橋 瑠子出版社:河出書房新社舞台:アメリカ出版年:2023年ISBN:978-430923133-4 *人文系ノンフィクション 本書は、王立協会科学図書賞などの賞にノミネートされた話題の人文系ノンフィクションだ。海外の児童書やYAは、時代の風をつかむのが早いため、こういった最新の研究書も参考にしてみると文化背景が深まると思い読み始めたが、内容が面白く、何度も読み返した。 *概説 人種や性差別、見た目や年齢などの属性のために人生が左右されることがある。時に命に関わる問題だ。例えば、黒人の命を軽視する警察の暴力行使などが思いだされる。こうしたあからさまな偏見だけでなく、…

  • 2024年今年もよろしくお願いします。

    みなさんこんばんは。 年明け早々に大変な出来事があり、被害にあわれた皆様にお見舞い申し上げるとともに、1日も早く生活が元に戻りますよう、お祈りします。 1/1に起きた震災と、1/2の航空機事故に関して、直接的に、また間接的に受けた心の傷がありまして、テレビニュースなどをほとんど見ることができませんでした。できるときにできることで、何か力になれればと思っています。これ以上、何も起こりませんように。 お正月休みはあえて普通の生活リズムを守り、毎年恒例の早稲田の穴守稲荷にお参りしてきました。 おみくじの言葉は「乾為天」でした。強力な天からのパワーに包まれ、運気の上昇や飛躍、成功が暗示されているとのこ…

  • 2023年心に残った児童書/YA作品

    *あいさつ もうすぐ2023年も終わりますね。仕事納めをするでもなく、あまり年末らしさを感じないのですが、この記事で今年を締めたいと思います。大事なのは形です(笑)! おかげさまで、今年はこのブログをはじめることができました。見切り発車感が否めないですが、テーマは〈書きながら考えていく〉だし、ひとつのスタイルにこだわることもないだろうと思っています。 いまのところ、下書きをため、後日公開していくスタイルをとっているので、ほとんどの記事の投稿日時が公開日とずれていました(お気づきだったでしょうか)。でも、今日のは、ほぼリアル配信です。 *2023年 児童書/YA この2ヶ月、ブログで紹介した本は…

  • 『台湾の少年1〜4』(游珮芸 脚本/周見信 絵/倉本知明 訳 岩波書店)

    脚本:游珮芸 絵:周見信訳:倉本知明出版社:岩波書店舞台:台湾出版年:2022年〜2023年ISBN:978-4000615457 他 この作品は全4巻のシリーズ。児童雑誌を創刊するなど、台湾の文化発展に大きく貢献した蔡焜霖(サイ コウリン)氏の伝記グラフィックノベルだ。 わたしは赤や白といった比喩になじみがあるほうではない。白色革命に向きあったのは、この本がはじめてといっていいくらいだ。読み終えて感じたことはいろいろある。行き過ぎた権威主義のもとで、ふつうの家族がひきさかれていく様子がつらいと思ったり、三つの言語が飛び交う焜霖の日常生活に触れ、同化政策について考えるきっかけになったりした。当…

  • サラ・クロッサンさん講演(@ヨーロッパ文芸フェスティバル2023)

    ヨーロッパ文芸フェスティバル2023 に行ってきた。2023年11月24日(金)イタリア文化会館での講演、〈子どもから大人への移行期の読者に向けた叙情的なストーリーテリング〉に参加した。アイルランドの詩人サラ・クロッサンさんがメインゲスト。翻訳家の金原瑞人さん、三辺律子さんが進行役を務めたサラ・クロッサンさんの名前の発音はセラが近いということで、終始セラさんと呼びかけられていたので、ここでは、ここから、”セラ”と表記することにする。 セラ・クロッサンさんは、2018年から2020年まで名誉ある「若者のローリエット」(Laureate na nÓg)」(桂冠詩人にちなんだもの)に選ばれ、アイルラ…

  • 『世界を7で数えたら』(ホリー・ゴールドバーグ スローン作 三辺律子訳 小学館)

    『世界を7で数えたら』 作者:ホリー・ゴールドバーグ スローン訳者:三辺律子出版社:小学館ISBN:978-4092905801 主人公ウィローは数字の7で世界を見る女の子で、生まれてから7番目の月と7番目の日に里親に出会った。高機能の脳を持ち、世界とそりが合わず、すでに幼稚園で「変なやつ」と言われる。植物は酷いことを言わないから庭にいると落ち着いた。自分でも変わっているとわかっていて、それを抑えようとしている。自分の世界に逃避したいときは数を7つずつ数える。中学の新学期、限界に達し、早退した日に庭で空を見あげたら、その数が最高記録になった。 ウィローはただ考えることが好きなだけだ。その探求力…

  • 『葉っぱの地図』(ヤロー・タウンゼンド 作 /井上 里 訳/小学館)

    作:ヤロー・タウンゼント訳:井上 里出版社:小学館出版年:2023年舞台:(出版国)イギリスISBN:978-4092906693 *2023年ブランフォード・ボウズ賞ショートリスト選出。 本書は、植物の声が聞こえる少女が、大切な庭と母の名誉を守るため旅に出るファンタジーだ。 12歳のオーラは母を亡くし、〈野いばら村〉のはずれにある小屋でひとりで住んでいた。友だちは庭の植物と愛馬のキャップだけだ。ある日、キャップが怪我をしたので薬草で手当てしたが、なぜか効かなかった。よく見ると、葉っぱに黒い染みがある。村では原因不明の病が流行っていた。村の総督は、病の原因は植物だと言い、オーラの庭を焼き払おう…

  • 『このすばらしきスナーグの国』(E・ A・ワイク=スミス原作/ヴェロニカ・コッサンテリ作/野口絵美訳/徳間書店)

    原著:E・ A・ワイク=スミス作:ヴェロニカ・コッサンテリ訳:野口絵美出版社:徳間書店出版年:2023ISBN:978-4198656805 【概説】 本作は、『ホビットの冒険』の著者J.R.R.トールキンが自分の子どもに読み聞かせた名作をもとに、イギリスの現代作家が編みなおした作品だ。スナーグとは、『ホビットの冒険』や『指輪物語』に出てくる〈ホビット族〉の原型となった〈スナーグ族〉のこと。小柄で愉快なキャラクターだ。 【あらすじ】 はじまりの舞台は、身寄りのない子どもが暮らす〈サニーベイ〉の家。崖の上にある敷地内の〈おこごとベンチ〉に、〈スナーグ族〉のゴルボが座っていて、ワトキンス先生に叱ら…

  • 絵本『きょうはふっくら にくまんのひ』(メリッサ・イワイ作/横山和江訳/偕成社)

    作:メリッサ・イワイ訳:横山和江出版社:偕成社出版年:978-4-03-348600-0 6階建てアパートの1階で、主人公の女の子リリはおばあちゃんとにくまんをつくっている。リリは、おばあちゃんに「たいへん、キャベツが足りない」と言われ、6階に住むバブシア(ポーランド語でおばあちゃん)にもらいに行く。ぶじに、キャベツを丸ごともらえたけれど、今度はバブシアに「たいへん、じゃがいもが足りない」と言われ、今度は、2階のグランマ(ジャマイカ語でおばあちゃん)にもらいに行くことにった。 色々な国にルーツを持つ6人のおばあちゃんたちが、マンションの各階に住んでいる。それぞれが郷土料理を作っていて、それぞれ…

  • 『西の果ての白馬』(後半)(マイケル・モーパーゴ作/ないとうふみこ訳/徳間書店)

    前半からの続きです。 「ネコにミルク」 トレメッダ農場は〈ワシの巣〉のふもとにある。農場主はバーバリーおじいさん。年老いてから結婚した奥さんは、息子トーマスを産んですぐに亡くなった。農場には家畜がたくさんいる。乳牛は手作業で乳搾り、子牛たちの牛舎は屋根なし、豚小屋はぼろぼろ。羊は毎年百頭ほどの子羊を産み、メンドリやアヒルはあちこちを歩き放題。畑には大麦やオーツ麦を蒔き、ジャガイモも育てている。農耕具は中古品でみすぼらしいものだ。除草剤や殺虫剤は毒薬だから決して使わない。おじいさんは昔ながらのやりかたを通している。息子のトーマスは、新しいやりかたを取り入れたいといってくるが、断っていた。おじいさ…

  • 『西の果ての白馬』(前半)(マイケル・モーパーゴ作/ないとうふみこ訳/徳間書店)

    作:マイケル・モーパーゴ訳:ないとうふみこ出版社:徳間書店 出版年: 2023年舞台:イギリス(コーンウォール)ISBN:978-4198655983 イギリス、コンウォール半島に実在するゼナー半島を舞台にした連作短編集。ゼナーの町を見下ろす〈ワシの巣〉岬と、そのまわりの荒れ地がえがかれる。 それぞれのあらすじと感想を。あ、そうそう、この短編集は順番通りに読んでほしい。 「巨人のネックレス」 11歳のチェリーの家族は、ゼナー岬の入り江を気に入っていて、〈ワシの巣〉と呼ばれる丘のふもとの農地にあるコテージを借り、毎年休暇を過ごしていた。チェリーは砂浜でピンクのサクラガイを1025個集めていた。あ…

  • 『アリとダンテ、宇宙の秘密を発見する』( ベンジャミン・アリーレ・サエンス作/川副智子訳/小学館)

    作: ベンジャミン・アリーレ・サエンス訳:川副智子出版社: 小学館出版年: 2023年舞台:アメリカ(テキサス州)ISBN:978-4093567442 夢中で読み終えた。好きすぎるあまり、すぐ感想がまとまらないタイプの作品だった。アリの気持ちが沁みいるし、やや自分の思考回路に似ていて、いろいろ心にささった。アリの両親がいい人でよかった。たぶん、多様性の受けいれについて、まだまだ理想と現実の乖離があると思うから、辛い場面はあるけど、こういう話は世に出続けてほしい。 ……と2023/10/05に書いていたので、あらすじと感想を追記してみた。 心に残ったところはこんな感じ。 ピックアップトラックの…

  • 『雨あがりのメデジン』(アルフレッド・ゴメス=セルダ作/宇野和美訳/鈴木出版)

    作: アルフレッド・ゴメス=セルダ訳:宇野和美出版社: すずき出版出版年: 2011年舞台:コロンビアISBN:978-4790232506 カミーロは10歳、南アメリカはコロンビアのメデジン市に住んでいる。数ヶ月前にはじめて町に図書館ができた。図書館は怪物のような口をあけた黒い岩のよう。気になって近くまでは行くものの、ある理由から近づけないでいた。 ある日、中に宝物がつまっているように思え、とうとう中に入った。カミーロは貧しい地区に暮らし、学校に行かせてもらえていない。父さんからは、なんでもいいから自分で金を稼ぐように言われていた。 カミーロは服の下に本をこっそり隠し、図書館を出て、よろず屋…

  • ブログ開設のごあいさつ

    みなさん はじめまして。こんにちは。こんばんは。新しいブログを開設しました。ブログ名はズバリ『わたしの全ての物語』(仮)です。ズバリと言いながら(仮)です。サラ・クロッサンさん の『わたしの全てのわたしたち』(最果タヒ/金原瑞人訳ハーパーコリンズ)から連想しました。原書タイトルは”ONE”。 わたしは読んだ物語でできています。変わっていきます。最近読んだ本『世界を7で数えたら』(ホリー・ゴールドパーグ スローン作 三辺律子訳 小学館)には「突然変異型」の大人が出てきますが、わたしも”緩慢変異”しているのです。 日によって読める本と読めない本があります。ギョッとする描写にひかれるときも、ただただ…

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