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2023/10/13

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  • 第三十一話 マイナス

    百合は、ひゅ、と緊張に喉からよく分からない音が出たことを感じた。 それが唐突に乱入し楽曲を中断させた招かれざる客に向けられた、数多の視線の物理的に迫る程の印象の圧力によるものであるのは、語るまでもない。 沈黙の中知らずぎゅ、っと握ったマイク

  • 第十八話 家庭訪問

    幼少の妄想。人を殺めかねない不安。崇め立てるべき神聖。 それらは妖怪、怪人、神等など。彼ら発生が空想信仰に依る者どもは、空から生まれた単一であるからこそ、多くが親愛など知らない。 だからその存在が絶対であろうがなかろうが、殆どを対面のみで済

  • 第十七話 背水の陣

    紅美鈴というよく分からない妖怪は、出自を辿ると神獣へと行き着く。 ドラゴン、龍。大いなる自然の具現で、混沌たる力の根源。少し傾けば善となり、反対に向いてしまえば悪となる。そんな、茫漠とした上澄み。 そこから誕生したのが、紅美鈴という妖怪だっ

  • 第十六話 夢幻

    夢幻。それは、創造に至らぬ想像。とりとめもない、不確か。 夢は消えるもので、幻だってそれと同じ。だがしかし、強度が違うばかりで、ひょっとしたら現実もそれらと変わらないものではないか。 胡蝶の夢。邯鄲の夢。主体は果たしてゆらゆらと、思考を待っ

  • 第十五話 弱っちい

    蝶よ花よの言葉はあれども、誠に野花の生は辛いもの。 日に灼かれて虫にたかられ、水を蓄えることすら難儀する。そもそも、身を委ねた地に命を預けることすら生半可な生き物であっては出来ないこと。 だが、それでも花は咲く。歪であっても汚れていようが、

  • 第二十話 あんたはあんた

    「はっ、今日も生きるには丁度いい天気だっ」 独り言つ、晴天に白を混じえた黒き一線。 逃げゆく金の長髪を魔女帽で押さえながら昼に忘れた闇夜を空に描くように飛翔しているのは、魔法使いの少女霧雨魔理沙だった。 彼女は霧雨店のお嬢様を辞めて久しく、

  • 第十四話 負けないで

    全てに見上げられるためにある輝き。何よりも美しく刺激的な、一つ星の形象。 それを計る数字になど欠片の意味もなく、どこまでも幻想的なその決めつけにこそ価値があった。 曰く、最強。 別段三千世界にて比べあったことすらないというのに、その個体はそ

  • 第十三話 もしもの時は

    人において分かりやすい証というものは、名前と立場であるだろう。 こと現世においては名刺にでかでかと書かれた名前と所属により、その人を信頼する場合も往々にしてあった。 しかし、幻想に捨てられた際全て忘却してしまった少女には何も存在せず、故にサ

  • 第十二話 めでたし、めでたし

    時を止めてしまえば止めた人だって動けない。 そう、時間を止めてしまえば従属する空間だって凍る。そんな中を泳げる人間なんて果たして存在するのだろうか。 勿論、ただの人がそんなことを可能にするのはきっと難しい。また、粒ごと固定された全てを退かす

  • 第十一話 サクヤ

    その銀の少女が人里に現れたのは、酷く暗ったい夜も更けた頃合いであったようだ。 少女は、幻想郷では珍しくもない木造の家屋の間をきょろきょろと驚きに怯えながら歩いていたらしい。 酔いに酔った、問屋の番頭が赤ら顔で目抜き通りを歩んでいたところ、そ

  • 第十話 〇〇〇〇の幻想入り

    彼女、〇〇は己が稀なる血の先祖返りであるということは知っていた。 それもそうであるだろう、こんなシルバーブロンドの自毛を生やした日本人なんて、他にはいない。祖父が厳しく話すのを聞くまでもなく、自分が他と違うことくらい分かっていた。 「でも、

  • 第九話 †

    「むにゃむにゃ……」 パイプ椅子に背を寄りかからせて、ぐっすり。その赤い髪おさげを垂らしながら、赤き彼女は眠っていた。 つるりつるりが継ぎ目なく。そして少女の周りで時折キラキラ星空のように瞬く原色が、出来損ないのサイエンスフィクションのよう

  • 第八話 虹

    上白沢慧音は、戸惑っていた。 昨今人里に見受けられる妖怪への恐怖を忘れがちな風潮を憂い、人里にて自らの寺子屋を作るという目標のための方々への根回し、そして子供達と顔を合わせていく内に、最近しょっちゅう耳に入るようになった名前。紅美鈴。 人側

  • 第七話 どうして貴女は

    月は分厚い雲間に消えて、幻想の地は蕩けるような、闇の中。多くが寝入る夜に、レミリア・スカーレットは幻想の空気を初めて吸い込んだ。 すぅ、と花蕾の唇は開かれて、喉が動いて涼を嚥下する。人工の飛沫は完全に除かれた、暫くの間味わうことすら出来なか

  • 十五話 天泣く程に恋しくて

    たとえ雨に心地が乱れたとしても、失くしてこの世は恵まれない。 ただ気圧によるものか時に頭がずくんと痛む。思わず庭の先に巌を望めどそこに救いなどはなく。 そんな私事を気にするのはらしくないと彼女は思えども、それでも視線は度々空へ向いた。 雨粒

  • 第六話 レミリア・スカーレットの幻想入り

    レミリア・スカーレットは吸血鬼である。それも、彼女はドラキュラの祖であるヴラド・ツェペシュに連なる家系に生まれたのだとされた程の、生粋の血を啜るもの。 父曰く、実際にかの串刺し公との繋がりは薄いそうであるが、それでもレミリアは生まれつき強力

  • 第五話 べびーしったー

    朧月夜に影二つ。まるでそのものと見紛うばかりの見事な人の形に、球の集い重なりのような不可思議な形状の黒。そんな二つが並んで空を往く。 仲良く、というには一方が少し先導しているような感もあるだろうか。空飛ぶ人間のようなものが、闇を引き連れてい

  • 第四話 私の方が

    博麗神社を祟る怨霊。いや纏わり付き過ぎた挙げ句に御霊信仰に巻き込まれたのか今や博麗神社の主神のようにすらなってしまっている、魅魔。彼女にとって紅美鈴という妖怪は奇々怪々な存在である。 魅魔はこれまで永き間、人の隣で呪っていた精神である。横か

  • 第三話 可愛い妹

    「はっ!」 透過する、薄青に紅。朝霧に乗せた人魚の歌声響く中、霧の湖の畔にて、踊るものが一人。いや、それは舞にしては武骨であっただろうか。美しくも鋭い、それは演武となって霧を裂いていく。 優れた形の移り変わりはあまりに素早い。そこそこな長駆

  • 第二話 代わりじゃないよ

    蒼穹に立ち昇った、残滓の煙、白一筋。神社の境内から振り返り見たその景色ばかりが記憶に残る。 博麗霊夢はその日、人里にて行われた盛大な葬礼に、深く感じることはなかった。 可哀想に、頑張るんだよ、上から投げつけられるそんな言葉を下から聞いて、た

  • 第一話 おかーさん?

    布団の代わりに柔らかに繁茂した草。天井代わりに天の川に星々を散らす天上。木の根に横たえた顔の隣で跳ねた、バッタに笑う。 これは家なき子の、野宿。けれども、野を家とするのは、別に苦痛ではないと、紅美鈴は思う。 「何しろ、昔はこんなのばかりだっ

  • 美鈴おかーさん・目次

    東方Projectの紅美鈴さんが主役の二次創作小説です。 妖怪の彼女が人と妖怪の間を行ったり来たりしながら母のごとくに少女らの心を和ましていく小説となります。 日向に安堵する妖怪、闇を知る人の子。白と黒は果たしてどちらに。

  • 第三十話 逃げ出してはいけない

    ドームのゲスト室から望めるのは、空きを埋め尽くす夥しいまでの人の数。 五万を超える人波がうねるように一人を求めるその様は、まるで蜘蛛の糸のお話に出てくる地獄をすら想起できる。 そして、実際彼らはアイドル鹿子という少女一人に天国を覚えている者

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