ーー我は先生に抱えられ台の上に乗せられ、注射を打たれた…。ーーその瞬間。我の記憶に、以前に同じ公園に住んでいた同胞の言葉が蘇った…。その同胞は以前に人間に飼われていた飼い猫であった。だが、その飼主とはあまり性格が合わず家を出たのだという。その同胞は外に出歩くのが好きだった。狩りも我よりも上手であった。人間になど養われずとも、十分に生活する力があったのだ…。ーーその同胞は人間に飼われる前に”保健所”というところにいたという。ーー”保健所”とは、飼い主のいない犬や猫を一定期間保護し、そして、引き取り手のない我らを殺処分する場所だという…。ーー殺処分?ーー不吉な響きのある言葉の意味を、我は同法に問うた。ーーそして、恐ろしい事実を聞かされたのだ。ーー殺処分とは、我らを殺して処分する、ということだ、と…。ーー何故だ...転生したら飼い猫だった件(転生編)5
ーー我は先生に抱えられ台の上に乗せられ、注射を打たれた…。ーーその瞬間。我の記憶に、以前に同じ公園に住んでいた同胞の言葉が蘇った…。その同胞は以前に人間に飼われていた飼い猫であった。だが、その飼主とはあまり性格が合わず家を出たのだという。その同胞は外に出歩くのが好きだった。狩りも我よりも上手であった。人間になど養われずとも、十分に生活する力があったのだ…。ーーその同胞は人間に飼われる前に”保健所”というところにいたという。ーー”保健所”とは、飼い主のいない犬や猫を一定期間保護し、そして、引き取り手のない我らを殺処分する場所だという…。ーー殺処分?ーー不吉な響きのある言葉の意味を、我は同法に問うた。ーーそして、恐ろしい事実を聞かされたのだ。ーー殺処分とは、我らを殺して処分する、ということだ、と…。ーー何故だ...転生したら飼い猫だった件(転生編)5
ーーあれから数日が過ぎた。ーー人間は我が三毛猫の雌だと知っても扱いを変えることはなかった。ーー食事も、水も十分に与えられ、虐待せれることもない。ーーもっとも、新しい飼い主とやらは毎朝決まった時間にでかけ、だいたい決まった時間に帰ってくる。なので我と向かい合うのも、朝出かける前の時間と、帰ってきてからの数時間ーー。ーーそれも、我の食事の用意と、汚してしまった物の片付け、あとは我の身体を暖かな布で拭いてくれたり、頭や身体を撫でたり…。………。ーー人間よ、それでよいのか?ーー我は別に良いのだぞ。ーー美味な食事を与えられ、新鮮な水を与えられ、暖かでふわふわの寝床を与えられ…。ーーじゃが、人間になんの得があるというのか…。ーー人間と暮らすということはもっと、飢えや痛みが伴うものと思うておった…。ーーだが、待てよ。ー...転生したら飼い猫だった件(転生編)4
ーーミケ…三毛…。ーー我は三毛猫であるのか?ーー三毛猫…。ーー三毛猫の雄といえば、人間の間ではレア的な存在ではないか…。ーーそれで、この人間も我を虐めぬのか…。ーーそもそも我らの毛皮の模様で待遇が変わるのには納得がいかぬが、それでもあのような虐待を受けなくて良いのなら…。ーー三毛猫バンザイッ!ーー我は有頂天であった。ーーだが、その幸せは、長くは続かなかった…。■■■「三毛猫の雌ですね」ーー最初に、我が意識を取り戻した病院、とやらで「先生」と呼ばれていた人間の言葉に我は打ちのめされた。ーー三毛猫の雌…。ーー我はこの間までは立派な雄猫であったのに…。ーーなんで、雌?ーー我は男の娘になっておったのか…。ーーあぁ…。ーーこの人間は我が雌だと解ったら、どういう反応をするのだろう。ーー三毛猫の雌は、珍しい個体ではない...転生したら飼い猫だった件転生編3
ーーな、何ということだ、我が仔猫になっておる。ーーど、どういうことじゃッーーなどと、慌てているすきに我は箱の中に…。ーー出せ、出さぬかッ!ーー我をどうする気ぞッ!ーー嗚呼、箱が揺れておる。ーーなんぞ、何をする気じゃッ!ーー箱の動きが止まった、今じゃ。ーーだが、登れんッ。ーー少し前までは、こんな高さは一飛びであったのに…。ーー爪も立たん、嗚呼…仔猫になってしまったからか…。ーーだが、何故じゃ。ーー何故、こんな姿に…。ーーまた、箱が動き出しおった。ーー我はどこかに運ばれておる。また、あの地獄が始まるのか…。ーーやっと、開放されたと思うたのに…。ーー我は震えた。ーーまた、あの飢餓・苦痛・恐怖…。ーー我は耐えられぬ、また、あの…。ーー我は恐慌に全身を包まれ暴れ、鳴き叫んだ…。ーー箱の揺れが止み、置かれたのが気配で...転生したら飼い猫だった件(転生編)2
ーー痛い…。ーー苦しい…。ーー寒い…。ーー許さぬ、許さぬぞ…人間め…。ーー嗚呼(ああ)…もう…どれほど飯を食っておらんのか…。ーー嗚呼、痛い、苦しぃ…そして…。ーー恨めしい。ーー我は信じたのだ。ーーあの、伝説を…。我の住む公園という場所には野良猫と呼ばれる同胞がたくさんおった。我々だけではない、鳥や、虫や、様々な生き物がそれぞれに生活をしておった。我らはいつも空腹で、食べるものを探し、己の縄張りを死守することのみが生活であった。だが、そんな我々を助けてくれる人間がおった。その人間たちはよく我らに食事を与えてくれた。我々のいる公園にはたくさんの同胞がいる故に、毎日が満たされる訳ではなかったが、うまい食事が得られることはこの厳しい世界での唯一の救いと安らぎであった。そんな中、我々の仲間がその人間に連れ去られる...転生したら飼い猫だった件転生編
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