ボディーガードの翔真は、訳あり過ぎる美青年社長・聖名(せな)の警護をすることになるが… (1行更新?の日もあるかも…😅)
2023年10月
心臓がドクドクいっているのは自分でもわかったが、本当にどうしたものか…沈黙に耐えられず俺の方から、「…聖名…」「…うん…」聖名の方もかなり緊張しているようで、俺は逆に安心した。そして、(プラトニックなタイプなのかな?)なんて思った。すると、聖名が頬にキス…なぜ唇にしてくれないんだろう…なんてそんなことを少し思ったりして…すると、「ごめん緊張しちゃって…」そう言ってしがみついてきた。(もしかして本当は聖名も男は初めてで困っているんだろうか…)そこから先は何事もなく…でも緊張はしているし、それで疲れているしで眠れず…聖名も眠れはしないらしく、俺もその気配のため眠れなかった。それでも少しは眠ったようで、次の朝目覚めるといつもより少し遅い時間だった。◆小説「傾国のラヴァーズ」76・聖名との夜
俺が着替え終わるとすぐに聖名は部屋に飛び込んできた。そして後ろからしがみついてきて俺の肩に頬をのせた。「本当に翔馬のベッドに泊まって行っていい?本当に何もしないから」はしゃぐ聖名に、俺はありがたさを感じた俺はうまい言葉も出てきはしない「あ…うん泊まっていってよ」何しろ俺はどうしていいのかわからないから。まあ少しは聖名何かして欲しい気もしてきていたのだが。ベッドでは聖名を壁側に寝かせた。もう聖名の方も緊張した表情でうつむいている俺もずっと心臓がドキドキしっぱなしだでも聖名は無言…俺も無言…これは俺の方から何かすべきなんだろうか。でも俺は普通の男女の恋愛ドラマや映画みたいなものしか見たことがない。やっぱり男同士ってあんなこととかするんだろうかただ聞いたことはあるが、男同士ってあんなこととかするんだろうか。いや...■小説「傾国のラヴァーズ」75・聖名とドキドキ
俺が落ちるのも目前だったが、どうしてその時俺は他の人の存在を尋ねなかったのだろう。ドキドキしていた俺は、疑いもしなかったということなのだろう。聖名には芝居がかったところなんて微塵もなかった。俺を丸め込むための演技とは思えなかった。「聖名…」俺が名前を呼んだことで聖名の中の恐れは少しなくなったらしい。その様子を見て俺はまたセナを抱きしめてしまった。「あ、翔真…」聖名の声は嬉しそうだった。そして…聖名の顔が近づいてくると、俺は頬に柔らかいものを感じてびっくりした。聖名からのキス…俺は驚きのあまり、聖名をまた優しく抱きしめることしかできなかった。2人で無言のまましばらく抱き合っていた。経験のない俺には、どうすることもできない。俺が密かに困っていると、聖名はそっと俺から体を離し、照れながら元気に、「翔真、着替え手...●小説「傾国のラヴァーズ」74・聖名からのキス
そこで聖名は彼らしくもなくため息をつくと、「…オレは、大好きな人と暮らすのが夢だった。こんなオレだから一生できないと思っていた。だからこうして翔真と暮らせて嬉しかった。翔真に名前で呼ばれて本当に嬉しかった。さっきから翔真って呼べて嬉しい」聖名は笑みを作ろうとして失敗している。「何でもいいから翔真、ここにいてほしい。今まで通りでいい。何もしなくていいから」何にもって…「翔真…」そう言って、またすがりついてくる聖名が愛おしかった。俺が落ちるのも目前だった…が…★「傾国のラヴァーズ」73・すがりつく聖名
恋愛経験のない俺は、どぎまぎするばかりだった。「聖名、俺のことを好きになってくれてありがとう。俺、納得して仕事をやめられる気がする」すると聖名は不満げな表情になり、「何も終わってないだろ!仕事も、オレとのことも!綺麗事ばっかり並べて!何だよ、勝手にオレの前に現れて、仕事上とはいっても、凄く優しくしてくれて…」◆小説「傾国のラヴァーズ」72・聖名の叫び
そして、「翔真、行かないでほしい…せめてあと2週間とちょっと、契約満了までここに住んでもらえないかなぁ。オレ、何もしないから」「えっ?」まず、名前で呼ばれたことに驚いたが…「翔真にはオレ、ひとめ惚れだったんだ。ごめん、オレ、男の人も好きになるタイプだって隠してて」俺は固まってしまった。どうしよう…そう思いながらも、俺は聖名の背中に手をまわして抱き締めていた。気がつけば頬を寄せていた。聖名の気持ちに寄り添いたかった。聖名の体がびくっと揺れた。「えっ?」聖名はびっくりした表情で俺の顔を見た。■小説「傾国のラヴァーズ」71・聖名の告白
思えば、彼からはひと言もきちんとした謝罪の言葉もない。軽く謝られただけだ。俺を引き留めるのが形式上ということなのだろう。よくある話だ。それにしても、俺はどうしてらしくもなくこんなに怒っているのだろう。クライアントにこんなことを言い出すなんて。それだけ聖名を…想う気持ちがあったということなのだろう。そう思い至って恥ずかしくなり…その後、気づいた。聖名が、うちの会社との取引をやめると言い出したらどうするのか…聖名がぼうっとしている間に、後任を部長に決めてもらうしかない。俺はもうこの部屋に泊めてもらうのは嫌だった。でも聖名の警護がいない時間を作りたくなかった。「すみません、会社に電話して、すぐに後任を…」すると聖名は口元を引き結び、目から涙をこぼしながら俺に近づいてきた。そして俺の真ん前に立ってためらうように見...●小説「傾国のラヴァーズ」70・聖名の涙
意外な答えに俺は驚いたが、「ありがとうございます。でも、その必要には及びません。もともとこちらでの仕事が終わったら退職して、違う仕事を探すつもりでした」「えっ、どうして…?」俺は一瞬返事に困ったが、「自分には向いてませんでした。疲れました。人の不幸に寄り添うことに。要人につくSPのように銃が持てるわけでもなく、権限があるわけでもない。もどかしいものを感じていて、それが今夜のことで抑えられなくなったのかなと思います」どうしてか、すらすらと出た。聖名はぼう然と立ち尽くしていた。★小説「傾国のラヴァーズ」69・立ち尽くす聖名
ではなぜ?と言いたかったが、俺はこの真面目な男が自由にデートでも楽しみたかったのではないかと思い始め、痛々しくも思った。そして、それにショックを覚えて、そんな自分に驚いて。それでも、「でも、私には社長の警護は務まらないようです。会社にこのことを報告して、ベテランのボディーガードと交代します」すると聖名は顔を上げ、毅然と、「嫌だ」と言い切った。しかし、すぐに焦ったように、「そ、その、センパイのキャリアに傷つけたないから…」小説「傾国のラヴァーズ」68・聖名のとまどい
もう俺は咎めなかった。どうせ俺の言うことは決まっていたし聖名の答えも想像がついていたからだ。聖名はなかなか浴室から出てこなかった。そのうち洗面所からドライヤーの音が聞こえてきた。髪が長いので彼のドライヤーの時間は長い。仕事が多い時は生乾きのままパソコンに向かうと、いつだったか聖名は笑いながら言っていた。しかし今日は随分と長く感じられた。まあ、きっとしっかり乾かしているのだろう。ようやく部屋着の聖名で出てくると、冷蔵庫からミネラルウォーターのボトルを2本出して、1本を俺の前に置いてすすめると自分も一口飲んでいた。俺は飲む気がしなかった。沈黙の後、聖名は諦めたように俺に尋ねてきた。「それで話というのは?」「社長、さっきのように私に黙ってどこかに行かれるのは困ります。私に不満があるというなら私に直接もしくは会社...■小説「傾国のラヴァーズ」67・うつむく聖名
2023年10月
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