畑181 / 八十八夜の別れ霜
この時期、週にニ、三回、総会屋やら会議やら行事やらがあって、畑仕事もままならない。それでも、夕方には畑へ行く。作業をしにいくのではなく、日に日にあふれていく緑を見に行くのだ。見に行くといっても、なんらかの意思がはたらいているのではなく、なんとなく出かけて、なんとなく眺めて、ぼぉーっとしているだけ。殊にこの季節の緑は気持ちが安らぐ。黄緑、萌黄、ライムグリーン。夏の濃い緑とは違って明るい緑。調和・平和・自然・安息・新鮮・健康・生命力……。心も体もポジティブにしてくれる。まだ四月だというのに、周りで田植えが始まった。例年より十日ほど早い。八月の下旬に稲刈りをして、刈り取った株から出た穂をもう一度刈り取って、二回採りするのだという。これも温暖化の影響なのだろう。春が短くなり、夏が長くなった。近くを通りかかった百姓...畑181/八十八夜の別れ霜
2025/04/29 18:47