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まり☆こうじの映画辺境日記 https://maricozy.hatenablog.jp/

懐かしの特撮映画、ホラーならぬ怪奇映画、昭和の日本映画から、最新劇場公開映画まで! そんな映画の辺境地帯を偏屈に愛し続けるブログです。

まり☆こうじ
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2022/08/06

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  • 俺たち流されてるんだ。地獄に向かって…日本名作怪談劇場『怪談 夜泣き沼』

    日本名作怪談劇場DVD-BOX(4枚組)林与一Amazon■1979.8放映 原作:河竹黙阿弥(「木幡怪異雨古沼」) 脚本:杉江慧子、下飯坂菊馬 撮影:藤井哲矢 照明:釜田幸一 美術:吉村晟 音楽:牧野由多可 監督:家喜俊彦■おなじみの木幡小平次の怪談話。幼馴染の二人で、死んだ後も女を取り合うという因果なお話で、女房を寝取ったために小平次を殺してしまう太九郎が亡霊に取り憑かれて錯乱してゆく。お話は単純だけど、なかなか情趣に富んだ演出で見ごたえがある。■逃げる二人の乗った渡し船がいつの間にか三途の川にたどり着き、ロケ撮影からステージ撮影に切り替わる。製作は歌舞伎座プロだけど、京都映画に下請けに出…

  • お早うございます。死にました…なにわ女の一生涯を描き切る!NHK朝ドラ『カーネーション』備忘録⑦25-26週

    尾野真千子主演 連続テレビ小説 カーネーション 完全版 DVD-BOX3 全5枚【Nhkスクエア限定商品】尾野真千子、二宮星、小林薫、麻生祐未、十朱幸代 ほかAmazon 25週「奇跡」(演出:松川博敬) 145回 奇跡Amazon■2001年、88歳の糸子。かかりつけの病院でファッションショーを開催することになると、モデルになる末期がんの母親(中村優子)に、あんたには奇跡を見せる資格があるんやと励ます。そして、その病院には奈津(江波杏子)が入院していた。 26週「あなたの愛は生きています」(演出:田中健二) 146回 あなたの愛は生きていますAmazon■嫌がる奈津を老人ホームに入所させた糸…

  • 戯曲レビュー:まるでウルトラシリーズの最終回だった!でも変身はしない、リリアン・ヘルマンの『ラインの監視』

    リリアン・ヘルマン戯曲集作者:リリアン ヘルマン新潮社Amazon■1940年、ワシントン近郊のファレリー家の邸宅に、久しぶりに欧州から娘夫婦が帰ってくる。だが、その夫クルトはレジスタンスの闘士でナチスに手配されていた。その秘密を知ったルーマニアの亡命貴族は、彼を脅迫する。トランクの中の闘争資金をよこせば、密告しないと。。。■本作は同じタイトルで映画化されていて、アカデミー賞の主演男優賞を受賞している。その際に脚色は、ダシール・ハメットが行った。リリアン・ヘルマンは基本的に通俗的な笑いもカタルシスもない硬い作風だと思うのだが、本作はかなり通俗的なカタルシスがある。ラストの父と子の会話にちゃんと…

  • 消えたんじゃなくて、消されたんだ!異色の戦争映画『消えた中隊』

    消えた中隊辰巳柳太郎Amazon 基本情報 消えた中隊 ★★★ 1955 スタンダードサイズ 93分 @アマプラ 企画:星野和平 原作:井手雅人 脚本:黒澤明、菊島隆三 撮影:三村明 照明:山下馨 美術:高田一郎 音楽:大森盛太郎 監督:三村明 感想 ■なんと井手雅人が書いて直木賞候補になった小説『地の塩』の映画化。『土と兵隊』『五人の斥候兵』などで有名だった日活の戦争映画の復活で、再開日活としては戦後初の戦争映画になった記念作。しかも、伝説の名キャメラマンが監督に進出、脚本は黒澤組が書くという、意欲作。■ソ満国境で国境監視に当たる中隊は現地人と溶け込んで平和に暮らしていたが、新任の隊長(辰巳…

  • 戯曲レビュー:なんとリリアン・ヘルマンの『小狐たち』に前日譚があった!『森の別の場所』

    リリアン・ヘルマン戯曲集作者:リリアン ヘルマン新潮社Amazon■リリアン・ヘルマンの傑作『小狐たち』に、なんと前日譚があった。20年前、まだギデンズ一家の父母が健在だったころ、長兄ベンがいかにして父から財産を簒奪したかという、これまたえげつないお金にまつわるお話だけど、『小狐たち』に比べると若干の諧謔味という脂がのっていて、実に痛快で楽しい。薄らバカの次兄オスカーに、女からどうやって唾をかけられたの?どうやったらそんなことできるの?こうやって唾吐けばいいの?こう?と散々ツッコミを入れる場面など、完全にコメディ演出。■『小狐たち』でも、末妹レジーナの悪巧みに対して長兄ベンが、禍福は糾える縄の…

  • 検察怖い!徳島ラジオ商殺し冤罪事件の闇『証人の椅子』

    基本情報 証人の椅子 ★★★ 1965 スコープサイズ 103分 @ぶんぱく 原作:開高健 脚本:井手雅人 撮影:上村竜一 照明:高橋一三 美術:菊池誠 音楽:池野成 監督:山本薩夫 感想 ■1953年に起こった徳島ラジオ商殺し事件の捜査、起訴のプロセスを追って、逮捕された被害者の妻は冤罪であるという主張を展開した、いわゆる運動映画。同じ監督の『松川事件』に似た、社会運動としての映画だ。なかなか観る機会がなかったので、観られただけでありがたい。キレイなプリントだけど、白部分は黄ばんで見えるし、粒状性も荒い。記録映画のようにロケ主体で撮るというスタイルなので、敢えて荒らしてあるかもしれない。困る…

  • 年を取りました…NHK朝ドラ『カーネーション』備忘録⑥23~24週

    尾野真千子主演 連続テレビ小説 カーネーション 完全版 DVD-BOX3 全5枚【Nhkスクエア限定商品】尾野真千子、二宮星、小林薫、麻生祐未、十朱幸代 ほかAmazon #23週「まどわせないで」(演出:安達もじり) 132回 まどわせないでAmazon■昭和60年、ヤンキー化した、長女の娘(小島藤子)と暮らす糸子。若い経営者たちにおだてられ、100反の生地をなんとかするはめに。その成功を見て、若手経営者たちから、既製品の新ブランド立ち上げを提案される。 #24週「宣言」(演出:熊野律時) 139回 宣言Amazon■糸子は提案を断るが、階段から落ちて骨折、娘から引退を勧告されると、かえって…

  • 今になってやっと理解できた異色の心理劇『噂の二人』

    噂の二人 [DVD]オードリー・ヘプバーンAmazon 基本情報 The Children's Hour ★★★☆ 1961 ヴィスタサイズ 109分 @DVD 感想 ■あらすじは、以下の記事で書いてしまったので、省略。大昔にたぶん2回観ているが、どうも陰気で地味な映画で、失敗作という印象だった。ワイラーは1936年に『この三人』というタイトルで、同じ戯曲を映画化していて、でも同性愛を直接扱うことができなかったので、ヘテロな三角関係に改変している。でもそれはそれで飲み込みやすいよくできたメロドラマになっていて、これはかなりの佳作だった。『この三人』に比べると『噂の二人』はなあ。。。というのがこ…

  • 杉咲花と安田顕のドアップ対決!『朽ちないサクラ』

    朽ちないサクラ 公式シナリオブック徳間書店Amazon 基本情報 朽ちないサクラ ★★★ 2024 スコープサイズ 119分 @イオンシネマ京都桂川 原作:柚月裕子 脚本:我人祥太、山田能龍 撮影:橋本篤志 照明:打矢祐規 美術:我妻弘之 音楽:森優太 監督:原廣利 感想 ■正直、いまテレビドラマは警察ドラマや事件ドラマばかりで(人が死なないとドラマが作れないのか?)、いい加減観る気がしないので、基本的に警察もの、事件ものはスルーしている。本作も警察ドラマと聞いていたのけど、杉咲花が主演で、安田顕が準主役で出ているから、まあ意欲作だし大丈夫だろうと推察して、初日に観てきましたよ。■署内の慰安旅…

  • 戯曲レビュー:虚言癖少女が二人の楽園を破壊する!リリアン・ヘルマンの有名傑作『子供の時間』

    リリアン・ヘルマン戯曲集作者:リリアン ヘルマン新潮社Amazon■図書館にリリアン・ヘルマンの戯曲集があったので、読んでみました。リリアン・ヘルマンて、ほとんど忘れられた作家のような気がしますが、戦う女性作家の元祖という気がします。自伝も有名ですが、未読なので、漠然とした印象ですけど。未完の女: リリアン・ヘルマン自伝 (平凡社ライブラリー へ 1-1)作者:リリアン ヘルマン平凡社Amazon眠れない時代 (ちくま文庫 ヘ 1-1)作者:リリアン ヘルマン筑摩書房Amazonジュリア (ハヤカワ文庫 NF 156)作者:リリアン ヘルマン早川書房Amazon■ワイラーが1936年に『この三…

  • 安岡のおばちゃん、遂に死す!『カーネーション』備忘録⑤21-22週

    「鮮やかな態度」(演出:盆子原誠) 117回 鮮やかな態度尾野真千子Amazon■北村は心斎橋の良い物件を買わないかと糸子に持ちかけるが、糸子は乗り気でない。一方、長女に洋装店を渡そうと思っていたのに、長女は心斎橋で店を出すと言い出し、思い直してもう少しがんばらな、と思う糸子。そしてロンドンで流行していたミニが来るとピンときた糸子ら母子は、北村に決断を迫る。 「悔いなき青春」(演出:田中健二) 125回 悔いなき青春Amazon■糸子は周防の妻が亡くなったと知らされる。一方、安岡のおばちゃんは死の直前に、勘助が戦地で潰れた理由を察するのだった。三女はついにロンドンへ旅立ち、昭和48年、時代の変…

  • 戯曲レビュー:結構な心理ホラー戯曲だった、河合穂高の『黄色い森』

    ■歯学博士でもある河合穂高の代表作で、第8回せんだい短編戯曲賞大賞受賞作です。つまり、大賞ですね。■繁華街で発生した爆弾テロとその後に発生した群衆雪崩の大惨事を背景として、そこに間接的、直接的に関わった女たちが、ある夜真っ暗闇の森の中で、その秘められた体験を吐露する。さらに、彼女たちの深層心理や、不安が蔓延する世界を象徴するかのような、謎の「黄色い飛行船」が飛来する。。。■という、かなりホラータッチの戯曲で、個人的には大好物です。というか、なんとなくわが脳内にぼんやり展開しつつあった不穏な恐怖のイメージが、すっかりここに作品化されているので、驚愕です。オレノアタマヲノゾイタナ?非常にコンパクト…

  • 戯曲レビュー:今から、ママはわたしの敵よ!リリアン・ヘルマンの傑作『小狐たち』

    リリアン・ヘルマン戯曲集作者:リリアン ヘルマン新潮社Amazon■ワイラーの『偽りの花園』の原作となった有名戯曲で、基本的なお話は変わらないけど、アレクサンドラの恋人の新聞記者は出てこない。映画は、ちゃんとウキウキする場面を追加しているけど、戯曲はひたすらシリアス。なにしろ母ものでもあるので、普通だったら、ちょっと泣かせる場面も設けるものだけど、リリアン・ヘルマンはひたすら硬派で、安易なお涙頂戴は書かない。でも、長兄のベンと次兄オスカーの件は、かなりコミカルで、凸凹コンビのようにも見える。■戯曲では南部の成金たちが、黒人たちを搾取するだけでなく、純粋な南部貴族の資産を略奪している様が強く描か…

  • 戯曲レビュー:浜辺の民宿を舞台に展開する壮大な海洋SF『海繭の仔』

    ■以下の戯曲アーカイブを探っていて発見した戯曲です。岡山大学の歯科博士の河合穂高の作で、第6回せんだい短編戯曲賞最終候補になった作品。でも、中身は立派なSFなので、本来ならSF短編小説として書くのが普通だと思うところ、あえて戯曲にしたところが捻くれている。 playtextdigitalarchive.com■特殊な発光器官をそなえる謎の生物クジラモドキが深海に生息する世界。その胎児は人間の姿に似ているという。5年前に、クジラモドキと海繭が浜辺に漂着し、海で起こった発光現象で多数の人間が集団自殺を図る事件があった海辺の町。そして今。そのときに双子の姉を亡くした妹が、クジラモドキ研究所で起こって…

  • ひたすら凡作、単なる凡作『アサルト13 要塞警察』

    ASSAULT ON PRECINCT 13 (2005)Amazon 基本情報 Assault on Precinct 13 ★★☆ 2005 スコープサイズ 110分 @DVD 感想 ■『ロスト・フライト』がなぜかなかなか上出来だったので、ジャン=フランソワ・リシェ監督の昔の映画を借りてみましたが、いたって普通の活劇で、退屈はしないものの、意外なことも起こらない凡作という印象。『ロスト・フライト』が良かったのは、脚本が良かったということですね。■閉鎖が決まったデトロイト最古の警察署に、大雪の大晦日、逮捕された大物ギャング(ローレンス・フィッシュバーン)が収監されると、謎の覆面軍団の襲撃を受…

  • ふつうに「縞模様のパジャマの少年」観ておけばいいんじゃない?さすがに眠い『関心領域』

    関心領域作者:マーティン エイミス早川書房Amazon 基本情報 The Zone of Interest ★★☆ 2024 ヴィスタサイズ 105分 @イオンシネマ京都桂川 感想 ■アウシュビッツの強制収容所の隣にのどかな庭園と居宅を構えて、壁の向こうから不穏な物音が聞こえてくるなか、淡々と日常生活をおくるヘス所長一家だが、昇進を伴う転任を命じられる。。。■という、舞台設定一発勝負の異色作だけど、正直なところドラマが弱いので、途中から眠くなる。映像スタイルはまるで昔のATG映画のようで、特に音響効果は鮮烈なのだけど、求心力が持続しないし、何がいいたいのかはっきりしない。まあタイトルどおりのテ…

  • 安岡のおばちゃん復活!そして娘たちが自立してゆく『カーネーション』備忘録④15-20週

    #15週「愛する力」(演出:田中健二) 81回 愛する力Amazon■パンパンに成り果てた奈津を救えるのは、彼女が唯一こころを開く、安岡のおばちゃんだけや!(「ゴジラを倒せるのは、キングシーサーだけじゃ!」の今福正雄のイントネーションで!)糸子は永らく臥せっている安岡のおばちゃんに頭を下げる。復活した安岡のおばちゃんは奈津のもとを訪れ、一緒に店で働こうと誘う。一方、臨時の紳士服づくりの職人としてやってきた周防(綾野剛)は、仕事を終えると店を去るが、糸子はあぶなく好きになりそうやったと心を撫で下ろす。 #16週「揺れる心」(演出:安達もじり) 87回 揺れる心Amazon■ガラの悪い北村社長(ほ…

  • 趣味の良いホラー・アンソロジー『南から来た男 ホラー短編集2』

    南から来た男 ホラー短編集2 (岩波少年文庫)岩波書店Amazon■シリーズ前作『八月の暑さのなかで』が秀逸だったので、第二弾も買いましたが、そのまま積読になっていたものです。実は少し前に読んでいたのですが、ほとんど記憶に残っていなかったので、再読しました。おかしいなあ。■ダールの「南から来た男」は超有名作なので省略しますが、ブラックウッドの「まぼろしの少年」は良いですね。ブラックウッドがこんなメランコリックな作品を書くとは知りませんでした。本書ではこれが一番お気に入りです。■ブラッドベリの「湖」の詩情はさすがに独壇場ですね。ホラーではなく、ファンタジーとか童話といったほうが適当でしょう。■フ…

  • 赤川次郎のホラーはなかなか侮れない『怪奇博物館』

    怪奇博物館 (角川ホラー文庫)作者:赤川 次郎KADOKAWAAmazon■赤川次郎はときどき怪奇小説を書いていて、実はいくつか傑作があります。本書は半分が怪奇ミステリーで、半分が純粋怪奇小説です。怪奇ミステリーの方は正直噴飯ものだったりしますが、怪奇小説は意外と良いのがあります。■「吸血鬼の静かな眠り」は傑作です。赤川次郎の秀作は、家族同士で殺し合ったり、憎みあったりするものが少なくないのですが、本作のその系譜です。古典的な吸血鬼像も踏襲しながらけっこうモダンホラー風味になっているところが読みどころ。というか、時代的にはモダンホラーの時代ですね。吸血鬼じたいは正面から描かれず、間接描写に留め…

  • 京都初のハイエンドオーディオフェアをチラ見

    ■先日、京都では珍しいハイエンドオーディフェアが開催されたので、ちょっと覗いて見ましたが。というか、京都初だそうです。確かに、東京や大阪はよく聞きますが、京都で目にしたのは初めてです。 news.yahoo.co.jp■そんなに長居はしませんでしたが、かなり高級な機器が鳴っていたようです。ただ、会場みたいに広い部屋がうちにあるわけではないうえに、100万、200万クラスの音と、10万くらいのエントリーセットで、どれほど音が違うのかというところは、疑問が残るところです。切り替えて聴き比べれば、明らかに違うのはわかるはずなのですが、経験からしてその違いは主観的には100点が110点になったくらいの…

  • 歴史スペクタクルの大作だった『ノートルダムのせむし男』

    ノートルダムのせむし男(字幕版)チャールズ・ロートンAmazon 基本情報 The Hunchback of Notre Dame ★★★ 1939 スタンダードサイズ 116分 @アマプラ 感想 ■なんだか脳裏では『オペラ座の怪人』とごっちゃになっていた本作、あたりまえだけど、全く違う話で、怪奇映画というイメージだったけど、結構な歴史スペクタクルで、超大作ですね。■15世紀後半のパリ、ジプシーへの弾圧のなか、美しい娘エスメラルダに惹かれたフロロ伯爵の邪心と、その庇護でノートルダム寺院の鐘つきとなったカジモドの三角関係を描く。エスメラルダは魔女裁判の結果、死刑が宣告されるが。。。■映画では、な…

  • 戯曲レビュー:日本学術会議任命拒否事件を描く、永井愛の『ザ・空気 ver.3 そして彼は去った 』

    ザ・空気 ver.3 そして彼は去った…作者:永井愛而立書房Amazon■安倍政権を路線を継承した菅政権下で起こった日本学術会議任命拒否事件をモチーフにした、ザ・空気シリーズ最終作。コロナ禍の2021年に初演されたもので、コロナ禍の渦中の雰囲気もそのまま盛り込まれるリアリタイムな作風で、作劇的な深化や装飾よりも、今ここにあるリアルをシンプルな筋立てで、撮って出しで伝えるアクチュアルドラマ(by部長刑事)。いや、素朴に凄いと思う。■舞台は1作目と同様のテレビ局の舞台裏に戻って、「報道9」の今夜の番組をどうするという話になっている。政治ジャーナリスㇳの植松は政権に日和って、完全に体制べったりだけど…

  • 戯曲レビュー:三好十郎の初戯曲『首を切るのは誰だ』

    ■「戯曲デジタルアーカイブ」というサイトが存在することを、先日はじめて知りました。戯曲って、図書館で借りないと読めないイメージだったのですが、かなりの名作戯曲が、ここで手軽に読めます。しかも、かなり珍しいものも収録されているようです。 playtextdigitalarchive.com■なぜか気になったのが三好十郎の『首を切るのは誰だ』という戯曲。短いからですね。30分前後の舞台だったようです。1929年に書かれた、処女作だったようです。でも、非常に平明で読みやすく、今読んでも十分に面白いし、古くないですね。三好十郎は以前にNHKで『浮標』をやってましたが、あれはいくらなんでも長すぎて、挫折…

  • 戯曲レビュー:総理会見のカンペを書いた記者は誰だ?永井愛の『ザ・空気 ver.2 誰も書いてはならぬ』

    ザ・空気 ver.2 誰も書いてはならぬ作者:永井 愛而立書房Amazon■2018年に初演されたザ・空気三部作の2作目。2000年の「指南書事件」、2016年の「国会記者会館屋上使用裁判」のふたつの事件をモチーフとして、政権の醸し出す空気に忖度する記者クラブの問題を描く。■総理の記者会見用Q&Aの原稿が国会記者会館のコピー機で発見された。誰が書いたのか?この件はスクープできるのか?首謀者の保守系新聞の論説委員はとぼけまくり、同じく総理を育てたと自負する、総理と一蓮托生の関係にあるNHKの解説委員(あの人ですね!)はあくまで総理を守ろうと、同じ穴の狢の論説委員とも対立する。■記者クラブのメンバ…

  • 戯曲レビュー:あの政権下での電波停止発言に義憤炸裂!永井愛の社会派ホラー『ザ・空気』

    ザ・空気作者:永井 愛而立書房Amazon■NHKの大河ドラマ『光る君へ』て面白いですね。あれは大河なのに大石静の生きの良い作風が生きていると感じますが、もともと大石静は演劇出身で、二兎社に所属していました。というか、永井愛と一緒に立ち上げたのです。その後、大石静はテレビ界に移行しましたが、永井愛はずっと演劇界で活躍を続けて、二兎社の代表として硬派な演劇を書き続けています。■2017年に初演された『ザ・空気』は、2016年の安倍政権下の総務大臣による電波停止発言に衝撃を受けて書き下ろされた。テレビ報道番組の編集をめぐる圧力と忖度を描いて、社会派ホラーともいわれるヒット作です。まあ、ホラーといっ…

  • アウター・リミッツ S1「人間電池」「狂った進化」「生まれてこなかった男」

    アウターリミッツ 完全版 1st SEASON DVD-BOX 1クリフ・ロバートソンAmazon 「人間電池」 ■宇宙の果の惑星やアステロイドベルトに眠る鉱物資源を利用するために、人間の一種の念力を利用して、それらをぶつけ合って小さく粉砕してから地球近傍に引き寄せるという遠大な計画が持ち上がり、超常物質の発見者の科学者が自らの前頭葉に移植するけど、彼がイラッとするたびに小さな雷雲のような物体が出現して相手に電撃を加える事件が発生し。。。■とにかくSF的発想の部分がなかなか素敵で豪快。レアメタルはまだまだ地球の地下にも眠っているだろうから、念力部隊を組織すればいいんですね。中国とか実際やってそ…

  • 男衆がみんな斃れてゆく。そして勘助、無念の死『カーネーション』備忘録③:第11-14週

    第11週「切なる願い」(演出:小島史敬) 64回 切なる願いAmazon■ボヤを出して酷いやけどを負った父を看病するなかで、三女が生まれる。祖母も寝込み、糸子がすべてを背負って一家の大黒柱になる。お客の流れを止めるな!着物に戻せるモンペを開発して再びしゃかりきに働き出すが、泰蔵が出征し、快方に向かっていた父は旅行先で急逝する。 第12週「薄れゆく希望」(演出:福岡利武) 70回 薄れゆく希望尾野真千子Amazon■父なきあと、食料の調達に腐心するなか、商売に対する世間の目の厳しさを認識すると、軍服の縫製を請け負うことにする。そんななか、勘助がひそかに再び出征し、あっけなく戦死する。奈津は旅館の…

  • 映画批評はこころのダイアリーだ!寺脇研の『昭和アイドル映画の時代』

    昭和アイドル映画の時代 (光文社知恵の森文庫)作者:寺脇 研光文社Amazon■寺脇研といえば、学生の頃からずっとキネ旬の邦画評論を続けながら、文科省のお役人でもあったという奇特な人で、しかも定年退職後には退職金(の一部)を突っ込んで映画製作にも乗り出すという、マニアの本懐かくあるべしという手本を示した人。そこは、素直に感服します。■本書は、60年代から80年代の邦画各社のアイドル映画を、当時キネ旬などに掲載された批評を転載するかたちで編集されている。なので、封切り当時の生の空気を伝えているところが、貴重といえば貴重。年代的に、日活青春映画の路線はリアルタイムな対象ではないから、東宝や松竹や大…

  • 要は赤いから問題なんだろ?ついに観た『いちご白書』

    Strawberry Statement (1970)WarnerAmazon 基本情報 The Strawberry Statement ★★★ 1970 ヴィスタサイズ 109分 @NHKBS 感想 ■1968年にコロンビア大学で実際に起こった大学紛争と籠城と警官隊による制圧の顛末を、舞台をサンフランシスコにうつして架空のウエスタン大学の事件として映画化した超有名作(日本では)。■その割にはなぜか観る機会がなくて、なぜか日本ではDVDさえ発売されていない。カンヌでは評価されたけど、本国ではヒットしなかったというから、そのせいかも。日本では『「いちご白書」をもういちど』が大ヒットしたからいま…

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