表面は沸騰するも芯は冷ゆ み
強風にあたたたたと二百十日 み
憧れていたイエロウのサングラス み
首振れば半円形に洗い髪 ま
赤道の夕焼 舷窓(げんそう)を支配 み
蜜豆の缶詰 蜜柑の缶詰 み
向日葵(ひまわり)の花は回転の錯覚 み
水やりや月下美人に髭がある み
涼しいと涼しげは別、床涼み み
「走るな」と注意書きあり天の川 み
歯磨きチューブをぶるぶると振る処暑 み
鮎は見た! 摑み取りする子の狂気 み
整列の驟雨(しゅうう)に咽(むせ)ぶ背番号 み
買い置きの麩(ふ)を帰省の子に持たせる み
「送信」を押してしまった解夏(げげ)の朝 み
防災無線:「6時から盆踊り」 み
荒波を真横から見る初嵐 み
航跡の消失点に雲の峰 み
残暑見舞いのインク 海の群青(ぐんじょう) み
噴水をスロー再生する病(やまい) み
ブルを射た残心が纏(まと)う香水 み
西日射し食器を包む新聞紙 み
大花火のフィナーレ、気づく空腹 み
無作為の作為が臭う月見草 み
夏休み 準備万端 無職なり み
鉢は揺れて金魚は揺れず。震度2
その曲がまた現実味、原爆忌 み
崖がある 記念碑はない 夏の果 み
風吹けば空気が変わる羽抜鶏(はぬけどり) み
喫煙所で上司が虹を見ていた か
縞馬の縞は横縞、夏惜しむ み
絵日記に写した夏の浜のメモ み
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表面は沸騰するも芯は冷ゆ み
夕日照るビルのガラスに帰り花 み
畑から脱走したか茶の花よ の
この頃は客人はなし敷松葉 み
雨の舗道は銀杏落葉(いちょうおちば)に滑る み
露寒(つゆざむ)やさっき見たのは何だろう み
群時雨(むらしぐれ)、我が町の名はひらがなに み
柘榴(ざくろ)をブロック塀へフォーシームや み
サンルームに冬浅く眠り老いる み
頭から食べて柳葉魚(ししゃも)の尾が残る み
伴走のロープが緩む秋惜しむ み
引いた牛蒡(ごぼう)を銃口に詰めてやれ み
夜霧にハイビームの影はマドロス み
やや寒し、今日は頭が回らぬ日 み
秋深き5時にコミュニティバスを待つ み
AI(えいあい)に真理を託す文化の日 み
脚注に言い訳のある『星月夜』 み
キーを挿しシングルルームに秋の灯 み
うわさの猪(い)の目のイヤリングの魔除け み
いちゃもんをつけながら喰う通草(あけび)の実 み
子らの自転車、黄落(こうらく)を撒き飛ばせ み
愁訴(しゅうそ)に合はぬ風邪薬(かぜぐすり)、処方さる み
蜜柑山(みかんやま)の急坂(きゅうはん)から町と海 の
冬めけば書く手紙みな不備(ふび)・不悉(ふしつ) み
新松子(しんちぢり)、投げよと捥(も)いだ手の臭(にお)い み
神渡しが逆風になる方角 み
サフランの花を見て想うラ・マンチャ み
金塊のごと冷(ひ)ゆるバター一斤(いっきん) み
新北風(みーにし)に乾いた髪が肩を刷(は)く ま
ブロッコリ切れば菜虫(なむし)がギャッと出る み
透明人間はブルッと立冬 み
生けるのか 捨てるのか 台子(だいす)に芒(すすき) み
駆除された熊の手 富裕層の胃に み
鵟(のすり)よ、『邪(じゃ)』の対は『正(しょう)』か『別の邪(じゃ)』か み
秋収め、とっくのとうに嘘はばれ の
文化祭、今年もお化け屋敷です が
コンビニへロックアイス®を買う夜寒(よさむ) み
乗継ぎの寸暇(すんか)に新蕎麦(しんそば)を啜(すす)る み
漢字のみ。檸檬(れもん)、榲桲(まるめろ)、榠樝(かりん)の実 み
行違(ゆきちが)う特急は行楽の秋 み