落葉カサッカササ 振り返り誰何(すいか) み
強風にあたたたたと二百十日 み
憧れていたイエロウのサングラス み
首振れば半円形に洗い髪 ま
赤道の夕焼 舷窓(げんそう)を支配 み
蜜豆の缶詰 蜜柑の缶詰 み
向日葵(ひまわり)の花は回転の錯覚 み
水やりや月下美人に髭がある み
涼しいと涼しげは別、床涼み み
「走るな」と注意書きあり天の川 み
歯磨きチューブをぶるぶると振る処暑 み
鮎は見た! 摑み取りする子の狂気 み
整列の驟雨(しゅうう)に咽(むせ)ぶ背番号 み
買い置きの麩(ふ)を帰省の子に持たせる み
「送信」を押してしまった解夏(げげ)の朝 み
防災無線:「6時から盆踊り」 み
荒波を真横から見る初嵐 み
航跡の消失点に雲の峰 み
残暑見舞いのインク 海の群青(ぐんじょう) み
噴水をスロー再生する病(やまい) み
ブルを射た残心が纏(まと)う香水 み
西日射し食器を包む新聞紙 み
大花火のフィナーレ、気づく空腹 み
無作為の作為が臭う月見草 み
夏休み 準備万端 無職なり み
鉢は揺れて金魚は揺れず。震度2
その曲がまた現実味、原爆忌 み
崖がある 記念碑はない 夏の果 み
風吹けば空気が変わる羽抜鶏(はぬけどり) み
喫煙所で上司が虹を見ていた か
縞馬の縞は横縞、夏惜しむ み
絵日記に写した夏の浜のメモ み
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落葉カサッカササ 振り返り誰何(すいか) み
娘も泊まることありと畳替え ま
先にいくなら未来で待て、冬虹 み
今日も暇 オアフ半周 冬の風 み
冴える理科室 姿勢のよい骸骨 み
山茶花(さざんか)を挿して不遇の蹲(うずくまる) み
教育と洗脳の隙間に目貼り み
「場所を空けろ。クリスマスツリー様だ」 み
換気扇が細切れにする冬の陽 み
ストーブの分解掃除(ぶんかいそうじ)で見つけた み
図書館に五冊予約の冬支度 み
「フロイデ」で目が覚めた ごめんね第九 み
タクシーに並ぶ梅田の十二月 み
枯葉よ、電子(でんし)も量子(りょうし)や計算機 み
目薬の冷たき頬を垂れ急ぎ み
忘年会の特等席は下座 み
紅葉(もみじ)は闇に。ライトアップの顰(ひそ)み み
薪を割る。綿虫が飛び、日が暮れる み
師走。黄ばんだ写真、黄ばんだ記憶 み
枯蘆(かれあし)が騒いだので窓を閉めた み
開かずの蔵を開ける。湿気寒(しけさむ)の風 み
痛風(つうふう)に、塩雲丹(しおうに)、海鼠腸(このわた)、唐墨(からすみ) み
宿坊で私にとっての初雪 み
畳を替えれば縁(へり)に二度躓(つまづ)く み
レントゲン写真の如く冬木(ふゆき)折れ み
駅舎出てゴチャゴチャ消えて冬の空 み
手袋と手袋の握手。冬山 み
ティンパニー、練習室にひとり。冴(さ)ゆ み
平穏の日々を乱すな冬薔薇(ふゆそうび) み
戸を開け放て。隙間風(すきまかぜ)はなくなる み
首都高下りる。ビル街へ冬日没(ふゆひい)る み
タオルを畳む。冬陽(ふゆひ)の香(か)を折り込む み
マップではこのあたり。北山時雨(きたやましぐれ) み
買った葱(ねぎ)を持ったまま妻を見舞う み
12月、星を継ぐものに幸あれ み
コートを着たまま入(はい)るのが礼儀だ み
そうやないんや生きていけ枯れ葎(むぐら) み
スタジアム出てすぐに鍋焼きうどん み
もう師走。『スピード感』の『感』はダメ み
5路線の踏切(ふみきり)渡る世は寒し み