魔法使いの名前は小泉ララ。十七歳。 「例えば、どんな魔法が使えるのですか?」僕は訊いた。 「へへへ」ララは微笑んだ。「いろいろ使えますよ。そうですね……、治癒とかできます」 「治癒……」 「はい。治癒。昼でも切り傷くらいなら治せます」 「すごいですね」 「左手の人差し指にバンソーコー貼ってますよね。お怪我ですか?」 昨夜、本を読んでいるときに紙の端で切ってしまったのだ。 「治せるかもしれません」ララは僕の指を手に取った。ララの温もりが伝わる。「バンソーコー剥がしていいですか?」 「うん」 バンソーコーを剥がすと、バンソーコーに絞めつけられ白くなった跡が露になった。傷の長さは二セ
魔法使いが我が家を訪れたのはトイレを借りる為だった。買い物で外に出たが、急な腹痛にみまわれ、しゃがみ込んだ魔法使いが、そのしゃがみ込んだ場所のまん前にあったアパートの、エントランスから最も近い101号室の我が家を選んで救いのトイレを求めてきた。 突然の訪問者は苦悶の表情を滲ませ、手をお腹に添え、身体をくの字に曲げていた。コントのように大袈裟に腹痛を表現している。 「私、魔法使いです。申し訳ありませんが急な腹痛でお手洗いを拝借させてもらえませんでしょうか?」 10代後半くらいか、小柄で大人しそうな女の子だったので、この子なら部屋にあげても強盗に豹変しないだろう。もし、強盗に変身
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