会社員でも旅に出たいをテーマに、サラリーマンの吉川が、駐在するメキシコを中心に旅した記録をつづります。チアパス州の奥地にあるエバーグリーン牧場を舞台に繰り広げられる人や動物との出会いが第1作目です。
僕はダニエルにその後、一度だけ再会した。 短い夏休みを利用して、オアハカを訪れたのは、就職してから数年たってからだ。 メールやインターネットがまだ普及する前だから、どうやって待ち合わせたか覚えていない。だけど彼はメキシコ人の地元ミュージシャンとともにバンドを組み、バーで演奏をして、何とか生計を立てているようだった。 僕はダニエルが好きだった日本のチューブわさびをお土産に渡した。 「覚えてくれていたのか」 そう言いながら大事そうに小さなお土産をポケットにしまった。 そして、彼は僕をある家の裏庭に招き、バンドのメンバーとともに演奏を聞かせてくれた。スペイン語の歌詞で懸命に歌うダニエルは、心の底から…
「山と電波とラブレター」 書店での展開の様子と常陽リビング紙サイト掲載のお知らせ
学生の時に新聞より貴重な情報源としていたタウン誌常陽リビング。 今回、本紙とサイトに掲載いただきましたので、リンクを紹介します。 取材があったので、多少本に込めた思いをお伝えしました。 www.joyoliving.co.jp それから! 私はメキシコにいるの書店の様子は見に行けないんですが、友人たちが新宿の紀伊国屋本店や、池袋ジュンク堂の様子を送ってくれました。 新宿紀伊国屋本店 綾瀬はるかの隣にしっかり積まれていると教えてくれました。 池袋ジュンク堂さん 池袋ジュンク堂での陳列の様子 手に取ってもらえていたとしたら幸せですね。 今回の出版にはたくさんの感謝したい人がいて、個別にお礼してもし…
小さなオアハカの空港を発つと、大都会のメキシコシティへ50分ほどで着く。 最後の日、友人たちが見送りに来た出発口で、僕は寂しいというよりは、お世話になった土地への感謝と、これから日本になじめるのかという不安で感傷的になっている暇はなかった。 その冬、確か3月の初旬だったと思うが、成田空港に約2年ぶりに到着して、初めて寂しさがこみあげた。友人たちやダニエルとはまたいつか会えると確信があったが、決定的に欠落していたのは「色彩」だ。 成田を足早に歩いている男女は、みな一様にシックな黒ベースの服を着ていた。それがえらく悲しく映ったのだ。黄色や赤や派手な柄を自由に笑顔とともに着こなし、べらべらと大声で冗…
「ブログリーダー」を活用して、吉川 真司さんをフォローしませんか?