IV.歴史的経緯。今述べたように、科学的帰納法はアリストテレスや中世スコラ哲学者にとって未知のものではなかった。しかし、それはアリストテレスがエパゴゴグ(『論述論』II,23)と呼び、通常「帰納三段論法」あるいは「列挙帰納法」と表現する過程ではない。これは単に、あるクラスの各メンバーについて個別に述語できることは、そのクラス全体についても述語できると推論する過程である。これは科学的価値を持たない。なぜなら、事例の列挙が完全または完全な場合、結論は科学的普遍性、一般法則ではなく、単なる集合的普遍性となるからである。また、個々の事例の列挙が不完全または不完全な場合、集合的結論は危険であり、多かれ少なかれ蓋然性はあるものの、確実ではないからである。しかしながらアリストテレスは、単なる列挙を放棄し、現代の帰納法の...中世スコラ学者が「列挙的帰納法」のみを扱ったという通説は誤りです。彼らは科学的帰納法にも精通しており、アリストテレスのempeiria